日本の労働人口の減少は深刻な問題となっています。そのため、どの業界でも人手不足への対応が求められ、その結果、BPOサービスの需要が高まっています。
BPOの対象となる業務も、経理・総務・人事から、IT情報システム、コールセンター、マーケティングなど様々な分野・ビジネスに広がっており、BPO市場はますます拡大していくでしょう。
この記事では、そもそもBPOとは何なのか、その意味や一般的なアウトソーシングと何が違うのかといった基本から、メリットや対象となる業務、そして特にIT系BPO導入時のポイントについて、わかりやすく解説します。
人手不足やリソース不足で、非効率化しているIT情報システム業務にお悩みの企業担当者の方は、ぜひご参考になさってください。
BPOとは一括で委託すること
BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略であり、自社の業務を外部に一括で委託するアウトソーシングの一種です。
IT関連を含めた業務の企画から実施に至るまで、業務や案件におけるプロセスをまとめて継続的に委託するのがBPOの特長になります。委託先の外部企業が、自社部門の一部のように機能するイメージです。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOはよくアウトソーシングと比較されますが、主な違いは委託業務の範囲と委託期間です。
BPOとアウトソーシングの違いについて詳しいこちらの記事をご覧ください。
▼BPOとアウトソーシングの違いを徹底比較! サービスのポイントを解説
BPOと人材派遣の違い
BPOと人材派遣もよく比較されますが、主な違いは契約形態と指揮系統です。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
▼BPO、業務代行、派遣の契約形態の違いとは? アウトソーシングで留意すべきポイントを解説
なぜIT系BPOが求められるのか
アウトソーシングや人材派遣ではなく、なぜBPO、中でもIT系BPOの需要が高まっているのでしょうか。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度におけるBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで4兆5,636億9,000万円(推計)となっています。
このうち、IT系BPO市場規模が2兆6,888億円、非IT系BPO市場規模が1兆8,748億9,000万円です。
今後も市場は伸び続け、2022年度では約4兆7,000億円を超え、2024年度には5兆円を突破すると予測されます。
出典:株式会社矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2023年)」(2023年11月14日発表)
労働人口が減少し、アナログ業務のデジタル化が進む現代社会では、IT関連などの専門的な知識が求められる人材を即座に確保するのは非常に困難です。
また、採用できたとしても、一人一人を育成するには時間とコストがかかります。
さらに業務が属人化していると、退職や異動によってノウハウが引き継がれないといったリスクや問題が発生します。
BPOの利用によって継続的に外部に委託することで、外部のノウハウやスキルを自社の一部門として活用でき、その部門には時間やリソースを投入する必要がなくなります。
また、担当者ではなく委託した事業会社にノウハウが蓄積されるため、担当者が変わったとしても業務の情報やノウハウは共有可能です。
短期間ではなく長期的なパートナーとして業務を任せることができるBPOは、今の時代に即した人手不足を解消する効率的なサービスといえます。
BPOの主なメリットとは?
BPOを導入するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- 業務効率化促進
- コア業務への集中
- コスト削減
なぜ上記のようなメリットが得られるのか、それぞれについて詳しく解説していきます。
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▼アウトソーシングにデメリットはある? 導入における注意点を簡単に解説
1.業務効率化促進
業務品質を向上させたり、効率化させたりするためには、ノウハウや知見を社内に蓄積させていく必要があります。しかし、それらは一朝一夕で身につくようなものではなく、長い時間と労力がかかります。
業務を専門企業に任せることで、自社のリソースを割くことなくノウハウや知見を得られるでしょう。
また、BPO導入時には、委託会社がまず業務課題のヒアリング・調査・分析を行い、業務をどう効率良く進めるか第三者の視点で改善策を検討します。
委託会社によっては業務プロセスの改善も行ってくれるため、結果的に業務の質や生産性の向上につながることを期待できます。
BPOは、自社のリソースを割くことなく業務効率を改善できるのです。
テクバンでも業務プロセスの改善も含めて、IT系BPOを承っております。ぜひ一度、費用感や提供サービスについてお問い合わせください。
テクバンのIT系BPOとは?
2.コア業務への集中
企業の生産性を高めるためには、売り上げや利益に直接影響するコア業務にどれだけ注力できるかが重要です。
バックオフィス業務やデータ入力など売り上げに直接結びつかないノンコア業務を、BPOによって専門の会社に任せることで、限られた社内のリソースをコア業務に集中させることが可能です。
また、働き方改革により「いかにコア業務の効率を上げるか」「限られた人員で生産性を向上できるか」ということが経営視点から重要となっています。働き方改革の側面からも、BPOの利用は有効であるといえるでしょう。
コア業務に集中できれば、自社サービスの品質向上や競合との競争力の強化、収益向上などにつながります。
3.コスト削減
自社で人材を確保するとなると、当然人件費は固定費として計上されますが、BPOであれば、委託費用の負担だけで済むため変動費に計上され、必要に合わせて調整できることも大きなメリットです。前述したような、人材の採用や育成にかかる時間もコストも削減できます。
また、企業には繁忙期と閑散期があり、繁忙期に合わせて人材を揃えると閑散期に人が余り、無駄なコストがかかってしまいます。
BPOであれば、委託会社が必要な人員を必要なタイミングで確保してくれるため、無駄が発生することなく最低限のコストに抑えられます。
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BPOの対象となる業務は何か?
具体的にどのような業務をBPOで委託できるのか、対象業務の例をご紹介いたします。
- IT関連
- 総務
- 人事
- 経理
- 受付
- 営業事務
- コールセンター
- マーケティング
- データ処理
以前は、経理などバックオフィス系の業務が中心でしたが、近年はBPO事業会社も増加し、対応できる業務の幅も拡がってきています。
今回はIT系BPOをピックアップして詳しく見ていきます。
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IT系BPOとは
近年では、情報システム部門のBPOニーズが高まっています。
ITシステム関連の業務を外部委託することは、ITO(ITアウトソーシング)とも呼ばれ、端末調達からキッティング、Webサイトの制作や運営、アプリ開発、システム運用、サーバー管理など様々な業務に対応します。
特に情シスは、リソース不足に陥りやすく、社内のIT関連すべてを管理しなければならないため、負担も大きい業務を抱えています。そうした業務をまるごと専門家に任せることで、社内の業務負担を減らす企業が多くなっています。
次項から、IT系BPOの主な形態について解説します。
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▼情シス業務はアウトソーシングできる? 対応範囲や委託先の選定ポイントを解説
フルアウトソーシング
フルアウトソーシングとは、IT業務の一部だけをアウトソーシングするのではなく、業務のすべてをアウトソーシングする形態のことです。
開発するシステムを企画から要件定義、開発作業、テスト・実装を経て、運用作業まで一貫したすべてのIT業務を外部委託として依頼することが可能です。
もちろん、システムの企画までは自社で行い、その後の工程はすべて外部に任せるというように、どこからアウトソーシングするかは自由に選べますので、外部企業との事前打ち合わせでアウトソーシングする業務内容をしっかりとすり合わせるとよいでしょう。
フルアウトソーシングについて、テクバンに問い合わせる
運用アウトソーシング
運用アウトソーシングとは、サーバーやクラウド、OSなどシステムのITインフラ部分の運用を委託することを指します。
コストをかけて導入したITシステムを、自社で使いこなせずに形骸化してしまっているケースもあるのではないでしょうか。
形式的には稼働しているものの、実際はだれも使用していないITシステムがあったり、バージョンアップやメンテナンス作業に手が回らずセキュリティ上のリスクを抱えていたりするケースなど、IT運用のみをアウトソーシングすることで、運用作業の技術的な問題を解消します。
テクバンの運用アウトソーシング「システム運用マネジメント」とは?
ヘルプデスク
従業員からの電話やメールでのIT関連の問い合わせに対し、サポート対応する業務をヘルプデスクといいます。
例えば、社内のPCやシステムが動作しない際の社員からの問い合わせ対応や障害・不具合対応など、一般的に自社の情シス部門が担当となっていますが、それらを外部の専門業者に任せることで情シス部門はコア業務に専念でき、業務効率や生産性の向上を目指せます。
サービスの形態は多様にあるため、ヘルプデスクのサービス企業にどんなことができるのか、どこまで対応してもらえるのかなど、一度相談してみるのもよいでしょう。
テクバンのヘルプデスクサービスとは?
ヘルプデスクのアウトソーシングについて、テクバンへ問い合わせる
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ホスティング
ホスティングとは、外部企業のサーバーやストレージを活用し、IT運用・保守などの業務を委託することです。
自社でサーバーを設定している組織も多いですが、メンテナンス面でも問題や障害が発生した際の対応で、一時的にサーバーを停止しなければなりません。そうすると、自社サービス自体も停止することになり、停止している時間は組織にとっては損失となります。
そこで外部のサーバーを借りることで、自社でサーバーを管理・保守するコストを削減するとともに、安定したITの運用体制を継続するためにホスティングを採用している組織も増えてきているようです。
ホスティングについて、テクバンへ問い合わせる
ハウジング
ハウジングとは、自社が用意したサーバーや通信機器を外部企業のデータセンターなどに間借りすることをいいます。
前項のホスティングとは逆に、自社がサーバーをはじめとした機器を用意し、外部企業に預ける形態です。
サーバーの所有権は自社にありますが、機器の管理や保守、メンテナンス・トラブル対応などは預け先の外部企業に一任するケースが多いようです。
ハウジングについて、テクバンへ問い合わせる
IT系BPOを導入する際のポイント
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務効率化、人件費削減の影響でBPOの需要は急速に高まり、サービスの市場規模も年々拡大しています。
基本的には委託先であるIT系BPOサービス提供会社と長期契約を結ぶことが多いため、導入に失敗しないためにも、導入前にBPOの特徴を理解し、次のポイントを押さえておきましょう。
- IT系BPO導入目的を明確にし、事前に社内体制を整えておく
- 適切なIT系BPOサービス事業者を選定する
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
1.IT系BPO導入目的を明確にし、事前に社内体制を整えておく
BPO導入の効果を最大限に高めるためには、自社の課題や導入の目的を明確にしておくことが大切です。
課題や目的が曖昧なまま進めてしまうと、適切な外部委託ができず、期待していた効果が得られなくなることや、あれもこれもと委託内容が増え、結果的に内製化と変わらないコストになってしまうことがあります。
まずは、今後注力したいコア業務とノンコア業務を事前に振り分け、ノンコア業務の中から課題を整理することで、目的やBPO業者に委託する業務範囲が明確になります。
業務の振り分けができたら、BPOを依頼する業務と、アウトソーシングを依頼する業務で分類してもよいかもしれません。
さらに、現在の状況を可視化しておくことで、BPO導入後に正確な効果測定や比較ができ、今後の参考となるでしょう。
また、今後どの事業を拡大していくか、どのような組織にしていくか、もしくはBPOが継続できなくなり自社に戻すことになった場合、どのように自社で対応していくかなど、将来的なビジョンやリスクを踏まえた計画を立てておくことも重要です。
社内体制をある程度整えておくことで、導入がスムーズに進み、BPOのより高い効果を得られるでしょう。
ただし、この作業は多くの時間と労力を要する重要なプロセスです。そのため、この段階で多くの企業が挫折し、アウトソーシングを導入できずに非効率な業務を続けざるを得ない状況に陥っています。
このような課題を解決するために、テクバンは「TECHVAN Management Center」サービスをご提供しています。
このサービスでは、豊富な経験を持つスタッフが業務全体を整理し、迅速に課題を特定して、アウトソーシングで効果を出すための具体的な改善策を提案いたします。これにより、コスト効率を高め、トータルな業務最適化を実現します。
ご相談いただければ、最短1カ月でサービスの提供を開始いたします。
ぜひ「TECHVAN Management Center」について、お問い合わせください。
2.適切なIT系BPOサービス事業者を選定する
IT系BPOの委託先を選定する際は、前項で明確にした目的が実現できるのか、信頼のおけるパートナーになりえるかなどを見極めることが大切です。
IT系BPOサービスを提供する事業会社は数多く存在し、専門領域や対応可能な業務範囲は各社異なります。IT系BPOの委託先を選定する際のポイントは以下の通りです。
- 専門分野とサービスの範囲は何か
- これまでどんな実績があるか
- スムーズなコミュニケーションがとれるか
- 柔軟な対応が可能か
- セキュリティの対策管理レベルはどうか
- 適正なコストか
IT系BPO事業会社の専門分野あるいは得意分野は何か、その分野の実績が豊富かどうかは、委託先選定に不可欠なポイントです。自社が依頼する内容と同じような規模や期間で実績があるかどうかなどをホームページや問い合わせ時に確認するようにしましょう。
また、IT系BPO導入後には互いの情報連携や進捗確認など、密なコミュニケーションが必要になります。連絡方法や連絡可能な時間、報告の頻度などをあらかじめ確認しておくことが重要です。
さらに、導入後に一定の成果を得られた場合、委託業務を拡大していく可能性も踏まえ、なるべく柔軟に対応してくれる事業会社を選ぶことをおすすめします。
実際に委託する際は、重要な企業機密や個人情報の提供を行うことになるため、認証資格の有無、セキュリティ体制をチェックし、適切な情報の取り扱いができる企業かを見極める必要があります。
選定にあたり、コスト面を判断基準にする場合が多いでしょう。
しかし、安価なコストを追求しすぎて、結局期待していた水準の業務が遂行されないといったケースもあります。
必ず目的の業務が達成できるか、その業務内容に見合ったコストどうか、複数社で見積りをとって、比較検討するようにしましょう。
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IT系BPOコンサルタントに相談
ここまで、IT系BPO導入のポイントや委託先の選定ポイントについて解説してきましたが、BPO導入が初めての場合、そもそも自社の課題が分からない、何を外部へ委託するべきか自分たちで判断できないといった場合もあるでしょう。
そんな時は、現在の業務の可視化や、的確な業務の切り分けをサポートするIT系BPOコンサルタントにお任せするのがおすすめです。
IT系BPOコンサルタントとは、IT系BPOにおける専門家であり、企業が抱える課題の解決策を提案・実施し問題解決へと導きます。
BPOの効果を最大限発揮できるようベストなプランを提案してくれるので、導入に悩んでいる場合、まずはIT系BPOコンサルタントに相談してみるといいでしょう。
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BPOコンサルタントについて詳しい記事はこちらから。
▼BPOコンサルタントとは? 最適なアウトソースを
IT業務のBPO導入で業務効率化を
対応業務範囲が広く、常に人員不足、リソース不足に悩むIT情報システム部門も、IT系BPOをうまく活用すれば、コア業務に集中することができ、業務の効率化やコスト削減など様々なメリットが得られます。
一方、BPO導入で失敗しないためには、社内業務の見直しや目的の明確化、信頼のおけるパートナー選びが大切です。各社のサービスをよく比較検討して、自社に最適な事業者を選びましょう。
テクバンでは、様々な業務課題を解決するIT業務のBPOサービスをご提供しております。社内の状況に応じて最適なBPOプランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
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