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2023.01.31

BPOとは? アウトソーシングとの違いや導入ポイントなどを解説

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目次

私たちが想像する以上に、日本の労働人口の減少は深刻な問題となっています。
そのため、どの業界も人手不足が叫ばれている昨今では、BPOサービスの需要が高まっています。BPOの対象となる業務も、経理・総務・人事からコールセンター、マーケティングなど様々な分野・ビジネスに広がっており、BPO市場は益々拡大していくでしょう。

この記事では、そもそもBPOとは何なのか、アウトーソングとどう違うのかといったBPOの基本から、メリットや対象となる業務、導入時のポイントまでわかりやすく解説します。

人手不足や非効率的な業務にお悩みの企業担当者の方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

人口減少時代に ビジネスを成長させる アウトソーシング活用法

BPOとは一括で委託すること

BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略であり、自社の業務を外部企業に一括で委託するアウトソーシングの一種です。

業務の企画から実施に至るまで、業務や案件におけるプロセスをまとめて継続的に委託するのがBPOの特長になります。委託先の外部企業が、自社部門の一部のように機能するイメージです。

外部企業に委託することで、コストや人材といった自社の経営資源をコア業務に集中できる他、様々なノウハウやスキルを持つ専門会社に委託することで、業務の完成度や顧客満足度の向上が可能となるでしょう。

BPOとアウトソーシングの違い

BPOはよくアウトソーシングと比較されますが、主な違いは委託業務の範囲と委託期間です。

アウトソーシングは、単一業務を一時的な期間だけ外部委託します。
例えば、経理部門の業務を委託するのではなく、経理部門の「書類整理」のみを委託するようなイメージです。繁忙期など、必要性が生じた際に業務を一部切り出し、短期間だけ外部に委託することが可能です。

一方BPOは、対象の部門や業務プロセスごと長期的に外部委託することを指します。
自社にノウハウがない専門性の高い業務やノンコア業務を継続的に外部委託することで、業務品質を向上させ、コア業務に集中する環境を整備できます。

BPOは、企画・設計から効果分析まで一括で委託することから、業務課題を解決することを目的とした経営戦略のひとつともされています。

BPOとアウトソーシングの違いについて詳しい記事はこちらから。
▼BPOとアウトソーシングの違いを徹底比較! サービスのポイントを解説
▼BPO、業務代行、派遣の契約形態の違いとは? アウトソーシングで留意すべきポイントを解説

BPOと人材派遣の違い

BPOと人材派遣もよく比較されますが、主な違いは契約形態と指揮系統です。

人材派遣は、派遣社員の労働により対価が発生する労働者派遣契約です。
人材派遣会社に所属している派遣社員が、派遣先の指示に従って業務を遂行します。つまり、発注元の企業が派遣社員の業務を指揮命令する必要があります。

一方BPOは、業務の遂行や成果物によって対価が発生する業務委託契約(請負契約または準委任契約)です。
委託先である企業が労働者に指揮命令を行うことで業務が遂行され、発注元の企業から労働者へ直接指揮命令を行うことはありません。

逆に、発注元の企業が直接指揮命令を行ってしまうと、偽装請負という違法行為になってしまうので注意が必要です。

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▼アウトソーシングと人材派遣の違いを比較! それぞれのメリットと選ぶポイントを解説

人材派遣とBPOの違い

なぜBPOが求められるのか

アウトソーシングや人材派遣ではなく、なぜBPOの需要が高まっているのでしょうか。

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度におけるBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで4兆5,636億9,000万円(推計)となっています。
このうち、IT系BPO市場規模が2兆6,888億円、非IT系BPO市場規模が1兆8,748億9,000万円です。
今後も市場は伸び続け、2022年度では約4兆7,000億円を超え、2024年度には5兆円を突破すると予測されます。

国内BPO市場規模推移・予測

出典:株式会社矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2023年)」(2023年11月14日発表)

労働人口が減少している現代社会では、経理やIT関連などの専門的な知識が求められる人材を即座に確保するのは非常に困難です。
また、採用できたとしても、一人一人を育成するには時間とコストがかかります。さらに業務が属人化していると、退職や異動によってノウハウが引き継がれないといったリスクや問題が発生します。

BPOの利用によって継続的に外部に委託することで、外部のノウハウやスキルを自社の一部門として活用でき、その部門には時間やリソースを投入する必要がなくなります。
また、担当者ではなく委託会社にノウハウが蓄積されるため、担当者が変わったとしても業務の情報やノウハウは安心して共有可能です。

短期間ではなく長期的なパートナーとして業務を任せることができるBPOは、今の時代に即した人手不足を解消する効率的なサービスといえます。

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BPOの対象となる業務とは? 委託先の選定ポイントとともに紹介

BPOの主なメリットとは?

BPOを導入するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 業務効率化
  2. コア業務に集中できる
  3. コスト削減

なぜ上記のようなメリットが得られるのか、それぞれについて詳しく解説していきます。

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▼アウトソーシングにデメリットはある? 導入における注意点を簡単に解説

1.業務効率化

業務品質を向上させたり、効率化させたりするためには、ノウハウや知見を社内に蓄積させていく必要があります。しかし、それらは一朝一夕で身につくようなものではなく、長い時間と労力がかかります。

業務を専門企業に任せることで、自社のリソースを割くことなくノウハウや知見を得られるでしょう。

また、BPO導入時には、委託会社がまず業務課題のヒアリング・調査・分析を行い、業務をどう効率良く進めるか第三者の視点で改善策を検討します。
委託会社によっては業務プロセスの改善も行ってくれるため、結果的に業務の質や生産性の向上につながることを期待できます。

BPOは、自社のリソースを割くことなく業務効率を改善できるのです。

2.コア業務に集中できる

企業の生産性を高めるためには、売り上げや利益に直接影響するコア業務にどれだけ注力できるかが重要です。

バックオフィス業務やデータ入力など売り上げに直接結びつかないノンコア業務を、BPOによって専門の会社に任せることで、限られた社内のリソースをコア業務に集中させることが可能です。

また、働き方改革により「いかにコア業務の効率を上げるか」「限られた人員で生産性を向上できるか」ということが経営視点から重要となっています。働き方改革の側面からも、BPOの利用は有効であるといえるでしょう。

コア業務に集中できれば、自社サービスの品質向上や競合との競争力の強化、収益向上などにつながります。

3.コスト削減

自社で人材を確保するとなると、当然人件費は固定費として計上されますが、BPOであれば、委託費用の負担だけで済むため変動費に計上され、必要に合わせて調整できることも大きなメリットです。前述したような、人材の採用や育成にかかる時間もコストも削減できます。

また、企業には繁忙期と閑散期があり、繁忙期に合わせて人材を揃えると閑散期に人が余り、無駄なコストかかってしまいます。
BPOであれば、委託会社が必要な人員を必要なタイミングで確保してくれるため、無駄が発生することなく最低限のコストに抑えられます

BPOならコスト削減につながる

BPOの対象となる業務は何か?

具体的にどのような業務をBPOで委託できるのか、対象業務の例をご紹介いたします。

  • 総務
  • 人事
  • 経理
  • 受付
  • 営業事務
  • コールセンター
  • マーケティング
  • データ処理
  • IT系

以前は、経理などバックオフィス系の業務が中心でしたが、近年はBPO事業会社も増加し、対応できる業務の幅も拡がってきています。

上記の中から、いくつかピックアップして詳しく見ていきます。

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業務代行サービスとは? 委託に最適な作業内容を紹介

1.経理、総務、人事

伝票記帳、請求書発行、経費の精算・管理、売掛金・買掛金管理、支払処理など専門性の高い経理業務や、備品や名刺の管理、郵便物の対応、出張時の各種手配といった総務の仕事はBPOに適しているとされています。

また、人事の中でも採用業務は担当者の負荷が特に高い業務ですが、募集から書類・面接選考、採用決定、内定通知までまとめてBPO業者に任せることができます。

そして、研修受講者の管理や講師の選定、研修効果のチェックなど採用した人材を育成する一連の流れもBPO化が可能です。

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▼総務アウトソーシングとは? メリット・デメリット、導入の注意点を紹介

2.コールセンター

一般社団法人日本コールセンター協会の2022年実態調査によると、コールセンターの年間総売り上げは年々増加しており、今後も高い需要があることが予想されます。

また、お客様の問い合わせを受けるコールセンターは、場所や設備、機材、人員などを確保し、人員の教育・管理が必要となります。
しかし、コールセンターに特化したBPO業者に依頼すれば、それらを用意する必要がないため、人材における初期投資や運用コストを大幅に削減できるでしょう。

電話対応からお問い合わせ内容の記録、管理、報告までの一連の流れをすべてBPO業者がまとめて対応します。

3.IT関連

近年では、情報システム部門のBPOニーズも高まっています。
ITシステム関連の業務を外部委託することは、ITO(ITアウトソーシング)とも呼ばれ、端末調達からキッティング、Webサイトの制作や運営、アプリ開発、システム運用、サーバー管理など様々な業務に対応します。

特に情シスは、リソース不足に陥りやすく、社内のIT関連すべてを管理しなければならないため、負担も大きい業務を抱えています。そうした業務をまるごと専門家に任せることで、社内の業務負担を減らす企業が多く増えています。

また、情シスが社内のITトレーニングやIT研修を担当することもあり、「社内教育だけでは思うように効果が得られない」「実践的なスキルを教える人材が不足している」などのお悩みを抱えている組織もあるのではないでしょうか。
テクバンでは、そんなお客様に向けた「ITトレーニングサービス」を提供しております。
知識と経験豊富なテクバンの講師陣が、多くのプロジェクトで培ったノウハウを基に、現場で生きるITトレーニングを実施します。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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▼ITアウトソーシングのメリット・デメリット、導入ポイントを解説

BPOを導入する際のポイント

新型コロナウイルス流行後、企業のDX推進や業務効率化、人件費削減の影響でBPOの需要は急速に高まり、サービスの市場規模も年々拡大しています。

委託先であるBPOサービス事業会社とは、長期契約を結ぶことが前提になりますので、導入時に失敗しないためにも、導入前にBPOの特徴を理解した上で、次のポイントを押さえておきましょう。

  1. BPO導入目的を明確にし、事前に社内体制を整えておく
  2. 適切なBPOサービス事業者を選定する

それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

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▼アウトソーシングとは? 成功におけるポイントと委託事例を紹介
▼BPOを依頼するべき会社の選び方と導入のメリットを解説

1.BPO導入目的を明確にし、事前に社内体制を整えておく

BPO導入の効果を最大限に高めるためには、自社の課題や導入の目的を明確にしておくことが大切です。

課題や目的が曖昧のまま進めてしまうと、適切な外部委託ができず、期待していた効果が得られなくなることや、あれもこれもと委託内容が増え、結果的に内製化と変わらないコストになってしまうことがあります。

まずは、今後注力したいコア業務とノンコア業務を事前に振り分け、ノンコア業務の中から課題を整理することで、目的やBPO業者に委託する業務範囲が明確になります
業務の振り分けができたら、BPOを依頼する業務と、アウトソーシングを依頼する業務で分類してもよいかもしれません。
さらに、現在の状況を可視化しておくことで、BPO導入後に正確な効果測定や比較ができ、今後の参考となるでしょう。

また、今後どの事業を拡大していくか、どのような組織にしていくか、もしくはBPOが継続できなくなり自社に戻すことになった場合、どのように自社で対応していくかなど、将来的なビジョンやリスクを踏まえた計画を立てておくことも重要です。

社内体制をある程度整えておくことで、導入がスムーズに進み、BPOのより高い効果を得られるでしょう。

2.適切なBPOサービス事業者を選定する

BPOの委託先を選定する際は、前項で明確にした目的が実現できるのか、信頼のおけるパートナーになりえるかなどを見極めることが大切です。

BPO事業会社は数多く存在し、専門領域や対応可能な業務範囲は事業会社によって異なります。BPOの委託先を選定する際のポイントは以下の通りです。

  • 専門分野とサービスの範囲は何か
  • これまでどんな実績があるか
  • スムーズなコミュニケーションがとれるか
  • 柔軟な対応が可能か
  • セキュリティの対策管理レベルはどうか
  • 適正なコストか

事業会社の専門分野あるいは得意分野は何か、その分野の実績が豊富かどうかは、委託先選定に不可欠なポイントです。自社が依頼する内容と同じような規模や期間で実績があるかどうかなどをホームページや問い合わせ時に確認するようにしましょう。

また、BPO導入後には互いの情報連携や進捗確認など、密なコミュニケーションが必要になります。連絡方法や連絡可能な時間、報告の頻度などをあらかじめ確認しておくことが重要です。
さらに、導入後に一定の成果を得られた場合、委託業務を拡大していく可能性も踏まえ、なるべく柔軟に対応してくれる事業会社を選ぶことをおすすめします。

実際に委託する際は、重要な企業機密や個人情報の提供を行うことになるため、認証資格の有無、セキュリティ体制をチェックし、適切な情報の取り扱いができる企業かを見極める必要があります。

最終的にコスト面を判断基準にする場合が多いでしょう。
しかし、安価なコストを追求しすぎて、結局期待していた水準の業務が遂行されないといったケースもあります。
必ず目的の業務が達成できるか、その業務内容に見合ったコストどうか、複数社で見積りをとって、比較検討するようにしましょう。

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▼BPO事業者選びのポイントを解説! 対象業務と活用メリットは?

BPO委託先の選定ポイントを思い浮かべるビジネスマン

BPOコンサルタントに相談

ここまで、BPO導入のポイントや委託先の選定ポイントについて解説してきましたが、BPOが初めての場合、そもそも自社の課題が分からない、何を外部へ委託するべきか自分たちで判断できないといった場合もあるでしょう。

そんな時は、現在の業務の可視化や、的確な業務の切り分けをサポートするBPOコンサルタントにお任せするのがおすすめです。

BPOコンサルタントとは、BPOにおける専門家であり、企業が抱える課題の解決策を提案・実施し問題解決へと導きます。

BPOの効果を最大限発揮できるようベストなプランを提案してくれるので、導入に悩んでいる場合、まずはBPOコンサルタントに相談してみるのがいいでしょう。

BPOコンサルタントについて詳しい記事はこちらから。
▼BPOコンサルタントとは? 最適なアウトソースを実現

BPO導入で業務を効率化

BPOをうまく活用すれば、コア業務に集中することができ、業務の効率化やコスト削減など様々なメリットが得られます。

一方、BPO導入で失敗しないためには、社内業務の見直しや目的の明確化、信頼のおけるパートナーとなる適切な業者選びが大切です。各社のサービスをよく比較検討して、自社に最適な事業会社を選びましょう。

テクバンでは、様々な業務課題を解決するBPOサービスをご提供しております。社内の状況に応じて最適のBPOプランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

テクバンのBPOサービスについてはこちらから。

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