業務の非効率性や属人化といった課題に直面していませんか?
業務可視化は、こうした課題を解決し、コスト削減やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の土台を築くことで、企業の成長を加速させます。
本記事では、企業の生産性向上に欠かせない業務可視化について、得られる5つのメリットから具体的な4つのステップ、実現のポイントまで、詳しく解説します。
業務可視化とは? その定義と重要性
現代のビジネス環境は目まぐるしく変化しており、企業が持続的に成長するためには、業務の現状を正確に把握し、迅速に改善を繰り返す能力が不可欠です。この基盤となるのが「業務可視化」です。
業務可視化は単に業務プロセスを「見える化」するだけでなく、その先の生産性向上や競争力強化に直結する戦略的な取り組みといえるでしょう。
業務可視化の基本定義
業務可視化とは、企業や組織で行われるあらゆる業務について、そのプロセス、担当者、使用ツール、投入される時間やコストなどを明確に「見える化」することを指します。これにより、これまで暗黙のうちに行われていた作業や、特定の個人に依存していた業務内容が、組織全体で共有可能な情報となります。
このため業務可視化は、単に情報を整理するだけでなく、その情報を基に「現状把握」「問題特定」「改善策立案」へとつなげる一連のプロセスを意味します。例えば、業務フローチャートの作成、業務マニュアルの整備、タスク管理システムの導入などを通じて、以下の情報を明確にしていきます。
可視化の対象 |
得られる情報 |
業務プロセス全体 |
各業務の開始から完了までの流れ、部門間の連携、ボトルネックの箇所 |
各タスクの担当者と役割 |
誰が何を、どのタイミングで行っているか、責任範囲 |
業務にかかる時間・工数 |
個々のタスクやプロセスに要する具体的な時間、人件費などのコスト、リソース消費 |
使用ツール・システム |
業務で利用しているITツールやシステム、その連携状況、データ連携の有無 |
業務上の課題・リスク |
非効率な部分、停滞している箇所、無駄な作業、属人化している業務 |
これらの情報が明確になることで、業務の全体像が把握しやすくなり、客観的なデータに基づいて問題点の特定や改善策の検討を効率的に進めることが可能になります。
業務可視化の主な目的
業務可視化は、単に現状を把握するだけでなく、その先の具体的なビジネス目標達成に貢献することを目的としています。企業が業務可視化に取り組む主な目的は、以下のように多岐にわたります。
- 業務効率と生産性の向上
業務プロセスから無駄な作業、重複、停滞(ボトルネック)を排除し、より少ないリソースで高い成果を出すことを目指します。これにより、従業員一人ひとりの生産性向上はもちろん、組織全体の業務効率を最大化します。 - コスト削減とリソースの最適化
非効率な業務や過剰なリソース投入を特定し、無駄なコストを削減します。人員、時間、設備などのリソースを最も効果的な部分に再配分することで、投資対効果(ROI)の向上を図ります。 - 属人化の解消と品質の安定化
特定の個人に依存していた業務(属人化)を標準化し、誰でも同じ品質で業務を遂行できるようにします。これにより、担当者の不在時や異動時にも業務が滞るリスクを低減し、製品やサービスの品質を均一に保ちます。 - 問題点の早期発見と改善サイクルの確立
業務フロー上のボトルネックや潜在的なリスク、非効率な点を早期に発見し、迅速に改善策を講じる体制を構築します。これにより、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を継続的に回し、恒常的な業務改善を可能にします。 - DX推進の基盤と経営判断の迅速化
デジタル技術を活用した業務変革(DX)を進める上で、現状業務の可視化は不可欠です。可視化された業務データは、経営層が迅速かつ的確な意思決定を行うための重要な情報源となり、競争優位性を確立するための戦略立案に貢献します。
これらの目的を達成することで、企業は市場の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現するための強固な基盤を築くことができるのです。
業務可視化がもたらす5つのメリット
業務可視化は、単に業務のプロセスを見える化するだけでなく、企業経営に多岐にわたるメリットをもたらします。ここでは、業務可視化によって得られる主要な5つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
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▼業務標準化の目的とメリットとは? 進め方の実践フレームワークも解説
1.業務効率と生産性の向上
業務可視化の最も直接的で分かりやすいメリットは、業務効率と生産性の飛躍的な向上です。業務プロセス全体が明確になることで、どこに無駄があるのか、どの工程がボトルネックになっているのかが瞬時に把握できるようになります。 以下のような効果が期待できます。
- 無駄な作業の排除
重複している業務や、本来不要な手続き、あるいは手戻りが発生しやすい工程などを特定し、それらを排除することで、業務にかかる時間や労力を大幅に削減できます。 - ボトルネックの解消
業務の流れの中で滞留している部分や、特定の担当者に負荷が集中している箇所(ボトルネック)を特定し、改善策を講じることで、全体の業務フローがスムーズになります。 - タスクの優先順位付け
各タスクの重要度や緊急度が明確になるため、従業員は自身の業務に集中しやすくなり、無駄な判断時間を減らすことができます。これにより、個々の生産性が向上し、結果としてチーム全体の目標達成に貢献します。 - 時間短縮と残業削減
非効率な業務が改善されることで、作業時間が短縮され、従業員の残業時間の削減にもつながります。これは、従業員のワークライフバランスの改善にも寄与し、エンゲージメントの向上にも影響します。
このように、業務可視化は、個々のタスクレベルから組織全体のフローレベルまで、広範囲にわたる効率化と生産性向上を実現する基盤となるのです。
2.コスト削減とリソースの最適化
業務可視化は、隠れたコストの発見とリソースの最適な配分を可能にし、企業の経営資源をより有効に活用するための強力な手段となります。
業務プロセスを「見える化」することで、以下のようなコスト削減とリソース最適化の機会が生まれます。
無駄なコストの特定と削減
- 人件費の最適化
業務の重複や非効率な作業が可視化されることで、不要な作業に費やされていた人件費を削減できます。また、作業量の偏りをなくし、従業員一人ひとりの負担を均等にすることで、残業代の抑制にもつながります。
- IT投資の最適化
現状のシステムやツールの利用状況が明確になることで、利用されていない、あるいは効果の低いITツールへの投資を見直し、より費用対効果の高いツールへ切り替える判断が可能になります。
- 消耗品・設備費の削減
業務プロセスにおける無駄な印刷や資料作成が可視化されることで、用紙やインクなどの消耗品費、さらには設備の稼働コストの削減にも寄与します。
リソースの有効活用
- 人員配置の適正化
各業務にかかる時間やスキル要件が明確になることで、適切な人材を適切な業務に配置できるようになります。これにより、従業員の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させます。 - 時間の有効活用
無駄な待ち時間や手戻りが減ることで、従業員はより価値の高いコア業務に集中できるようになり、限られた時間を最大限に活用できます。 - 予算の効率的な配分
各業務に必要なコストが明確になるため、予算をより戦略的に配分し、企業の成長に直結する分野への投資を強化できます。
業務可視化は、単なる節約ではなく、企業の経営体質を強化し、持続可能な成長を支えるための重要な投資といえるでしょう。
3.属人化の解消と品質の安定化
特定の従業員しか知らない業務や、その人しかできない作業が存在する「属人化」は、企業にとって大きなリスクです。業務可視化は、この属人化を解消し、業務品質の安定化に貢献します。
属人化解消と品質安定化の具体的な効果は以下の通りです。
ナレッジの共有と標準化
- 業務手順の明確化
業務可視化を通じて、これまで個人の経験や勘に頼っていた業務プロセスが、明確な手順として文書化・図示化されます。これにより、誰でも同じ品質で業務を遂行できるようになります。 - 知識の共有
特定の個人が持っていた業務ノウハウや知識が組織全体で共有されるため、担当者の異動や退職、あるいは急な欠勤時にも業務が滞るリスクを最小限に抑えられます。
品質の均一化と向上
- 作業品質の安定
標準化された業務プロセスに従うことで、従業員ごとの作業品質のばらつきが減少し、常に一定以上の品質を保つことが可能になります。これは、顧客満足度の向上にも直結します。 - ミスの削減
手順が明確になることで、ヒューマンエラーの発生要因が減り、業務上のミスや手戻りを削減できます。
人材育成とオンボーディングの効率化
- 教育コストの削減
新入社員や異動者が業務を習得する際の教育期間を短縮できます。可視化された業務フローやマニュアルがあることで、OJT(On-the-Job Training)の効率も向上します。 - 多能工化の推進
複数の従業員が多様な業務に対応できるようになり、組織全体の柔軟性とレジリエンス(回復力)が高まります。
属人化の解消と品質の安定化は、事業継続性(BCP)の観点からも極めて重要であり、企業が持続的に成長するための強固な基盤を築きます。
4.問題点の早期発見と改善サイクルの確立
業務可視化は、潜在的な問題点を早期に発見し、継続的な改善サイクルを組織に根付かせるための強力なツールです。
このメリットがもたらす具体的な効果は以下の通りです。
問題点の迅速な特定
- 非効率な箇所の特定
業務フロー全体が見える化されることで、どこにボトルネックがあるのか、どの工程で時間がかかっているのか、あるいは無駄な承認プロセスが存在するのかなどが明確になります。 - リスクの可視化
潜在的なリスクやエラーが発生しやすいポイントを事前に特定し、問題が顕在化する前に予防策を講じることが可能になります。例えば、情報セキュリティ上の脆弱性や、コンプライアンス上の問題なども発見しやすくなります。
迅速な意思決定と対策
- データに基づいた判断
可視化されたデータは、感覚や経験に頼るのではなく、客観的な根拠に基づいた意思決定を可能にします。これにより、問題発生時の対応が迅速かつ的確になります。 - 改善策の具体化
問題点が明確になることで、具体的な改善策を立案しやすくなります。例えば、特定の業務の自動化、フローの見直し、人員配置の変更など、多角的なアプローチが可能になります。
継続的な改善サイクルの確立(PDCAサイクル)
- Plan(計画)
可視化されたデータに基づき、改善目標と具体的な計画を立てます。 - Do(実行)
計画に基づき、改善策を実行します。 - Check(評価)
改善策がどの程度効果を上げたかを、可視化されたデータを用いて定量的に評価します。効果が不十分であれば、その原因を分析します。 - Action(改善)
評価結果に基づき、さらなる改善や計画の修正を行います。
このPDCAサイクルを組織全体で回し続けることで、常に業務を最適化し、変化するビジネス環境に柔軟に対応できる強い組織を築くことができます。
5.DX推進の基盤と経営判断の迅速化
現代ビジネスにおいて不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、業務可視化は必要不可欠な第一歩となります。また、可視化されたデータは経営層の迅速かつ的確な意思決定を支援します。
DX推進と経営判断の迅速化におけるメリットは以下の通りです。
DX推進の強固な基盤構築
- デジタル化・自動化の対象特定
業務プロセスが可視化されることで、どの業務をデジタル化すべきか、RPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)を活用して自動化すべき領域はどこか、といった具体的なDX推進の方向性が見えてきます。現状の業務を理解せずにデジタルツールを導入しても、効果は限定的です。 - データ活用の促進
業務プロセスを通じて生成されるデータを可視化し、分析することで、より深いインサイト(洞察)を得られます。これは、データドリブンな経営を推進するための土台となります。 - 変革への抵抗の低減
業務の現状と改善点が明確になることで、DX推進の必要性が従業員にも理解されやすくなり、変革への抵抗が減り、スムーズな導入・移行が期待できます。
DXの推進方法について、詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼DXの進め方とは? スムーズにプロセスを推進できる6つのステップとポイントを徹底解説
経営判断の迅速化と精度向上
- リアルタイムな情報把握
業務の進捗状況、コスト、リソース配分などがリアルタイムで可視化されることで、経営層は常に最新の情報を手元に置くことができます。 - 客観的なデータに基づく意思決定
感覚や経験だけでなく、可視化された客観的なデータに基づいて経営判断を行えるようになります。これにより、意思決定の精度が高まり、リスクを低減しながら、より迅速に市場の変化に対応することが可能になります。 - 戦略立案の強化
業務全体が可視化されることで、自社の強みや弱み、市場における機会や脅威をより正確に分析できるようになります。これは、中長期的な経営戦略の立案において、非常に重要な情報となります。
このように、業務可視化は、単なる業務改善にとどまらず、企業のデジタル競争力を高め、持続的な成長を実現するための戦略的な投資としての側面も持ち合わせています。
業務可視化と関連概念の違いを理解する
業務可視化は、企業の生産性向上や効率化に不可欠な取り組みですが、その概念は他の重要なビジネス概念と密接に関連しつつも、明確な違いを持っています。
ここでは、特に混同されやすい業務標準化や、近年注目されるDXの関係性を掘り下げ、それぞれの概念が持つ独自性と相互補完的な役割を解説します。
業務標準化との関係性
業務可視化と業務標準化は、どちらも業務改善を目指す上で重要な概念ですが、その目的と役割には違いがあります。業務可視化は、現状の業務プロセスを「見える化」し、客観的に把握することに主眼を置きます。一方、業務標準化は、可視化された情報をもとに、業務の手順や品質を一定の基準に統一することを目的とします。
業務可視化は、業務標準化の「基盤」となるものです。まず、業務の流れを可視化することで、各プロセスの課題やボトルネックを特定できます。この情報を基に、最適な業務フローを設計し、業務の標準化を進めることが可能になります。そして、標準化された業務フローに従うことで、従業員間の作業品質のばらつきを減少させ、品質を向上させます。以上のプロセスを通じて、全体的な業務効率が向上します。
両者の違いをまとめると、以下のようになります。
概念 |
主な目的 |
役割・特徴 |
得られる効果 |
業務可視化 |
現状の業務プロセスを明確に把握すること |
業務の流れ、時間、担当者、問題点などを「見える化」する |
課題の早期発見、改善点の明確化、情報共有の促進 |
業務標準化 |
業務手順や品質を統一し、安定させること |
可視化された情報に基づき、最適な業務フローを確立し定着させる |
品質の安定、属人化の解消、効率性の向上、教育コスト削減 |
業務標準化について、詳しい記事もご用意しております。ぜひご確認ください。
業務標準化の目的とメリットとは? 進め方の実践フレームワークも解説
DXとの連携
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ITやデジタル技術を活用して業務全体やビジネスモデルを革新し、競争優位性を確立する取り組みです。このDX推進において、業務可視化は不可欠な「第一歩」となります。
DXを成功させるためには、まず現状の業務プロセスを詳細に把握し、どこに非効率な部分があるのか、どこをデジタル化すべきかを明確にすることが重要です。業務可視化を通じて、紙ベースの作業、手作業によるデータ入力、部門間の連携不足といった非効率な点を洗い出すことができます。これにより、デジタル技術を導入するべき優先順位や、具体的な施策立案の根拠が明確になります。
例えば、業務フローを可視化することで、RPAを導入して自動化すべき定型業務や、AIを活用してデータ分析を高度化すべき領域が見えてきます。つまり、業務可視化は、単なる業務改善に留まらず、デジタル技術を最大限に活用し、新しい価値を創造するための基盤となるのです。
概念 |
主な目的 |
役割・関係性 |
業務可視化 |
現状業務の把握と課題特定 |
DX推進の「現状分析」フェーズ。デジタル化の対象や優先順位を明確にする基盤。 |
DX |
デジタル技術による業務・ビジネスモデルの変革 |
業務可視化で得られた知見に基づき、具体的なデジタル技術を導入し、業務効率化、新規事業創出、顧客体験向上などを実現。 |
このように、業務可視化はDXの成功を左右する重要な前提条件として、業務の効率化や新しいビジネスモデルの創出を促進する強力な推進力となります。
業務可視化の具体的な進め方と4つのステップ
業務可視化を成功させるためには、その進め方を明確なステップに沿って実践することが重要です。
場当たり的な取り組みではなく、戦略的な視点を持って計画的に進めることで、組織全体の生産性向上と効率化を確実に実現できます。
そこで、業務可視化を効果的に推進するための具体的な4つのステップを詳しく解説します。
ステップ1:現状の業務プロセスの記録
業務可視化の最初のステップは、現状の業務プロセスを詳細に「棚卸し」し、正確に「記録」することです。これは、組織内でどのような業務が、誰によって、どのように行われているかを明確にするための基盤となります。このステップを丁寧に行うことで、後の分析や改善策の立案がスムーズに進みます。
ステップ2:業務フローの可視化(図示化)
現状業務の棚卸しと記録が完了したら、次のステップは収集した情報を基に業務プロセスを「図示化」することです。これにより、業務の全体像や各タスク間の関係性、情報の流れが視覚的に明確になり、関係者全員が共通認識を持つことができます。複雑な業務プロセスも、図にすることで直感的に理解できるようになります。
ステップ3:データ分析による課題特定
業務フローの可視化によって業務の全体像が把握できたら、次のステップは可視化された情報と収集したデータを詳細に分析し、具体的な課題や改善点を特定することです。このステップは、単なる「見える化」で終わらせず、真の業務改善へと繋げるための最も重要なフェーズといえます。
ステップ4:改善策の立案と実行・効果測定
業務フローの可視化とデータ分析によって具体的な課題が特定できたら、いよいよ最後のステップとして改善策を立案し、実行し、その効果を測定するフェーズに入ります。このステップは、業務可視化の成果を最大化し、持続的な業務改善を実現するために不可欠です。
業務可視化に役立つツールと外部サービスの活用
業務可視化を効果的に推進するためには、適切なツールの導入と外部サービスの活用が不可欠です。これらのツールやサービスは、現状の業務プロセスを明確にし、課題特定から改善策の実行までを一貫してサポートします。これにより、生産性向上と効率的な業務運営を実現し、企業の競争力強化に貢献します。
プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールは、チームや組織全体の業務進行を視覚的に把握し、円滑に進めるための強力な支援ツールです。これらのツールを導入することで、個々のタスクの割り当て、進捗状況、期日などをリアルタイムで一元管理できるようになります。これにより、業務のボトルネックが明確になり、遅延のリスクを早期に発見して対処することが可能です。
また、チームメンバー間のコミュニケーションや情報共有も効率化され、認識の齟齬を防ぎます。タスクの優先順位付けやリソース配分の最適化にも役立ち、結果としてプロジェクト全体の生産性向上に大きく貢献します。
代表的なプロジェクト管理ツールには、以下のようなものがあります。
ツール名 |
主な特徴 |
業務可視化における役割 |
Backlog(バックログ) |
プロジェクト管理、課題管理、バージョン管理、Wiki機能などを統合。シンプルな操作性でチーム開発や一般業務の管理にも利用可能 |
タスクの進捗状況や担当者を明確にし、チーム全体の作業負荷と進捗を可視化 |
kintone(キントーン) |
ノーコード・ローコードで業務アプリを簡単に作成できるクラウドサービス。多様な業務に柔軟に対応し、データ共有やコミュニケーションを促進 |
業務データの集約・可視化、業務フローの電子化により、業務プロセス全体を見える化 |
Trello(トレロ) |
カンバン方式を採用した直感的なインターフェースが特徴。タスクをカードとして管理し、リスト間で移動させることで進捗を可視化 |
個々のタスクの状態を「未着手」「進行中」「完了」などで視覚的に把握し、チーム全体の作業状況を共有 |
Asana(アサナ) |
タスク管理、プロジェクト管理、ワークフロー自動化など多機能。大規模なチームや複雑なプロジェクトにも対応可能 |
プロジェクトの目標とタスクを紐付け、誰が何をいつまでにやるのかを明確に可視化 |
データ分析・BIツール
データ分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、企業が保有する膨大な業務データを収集、統合、分析し、意思決定に役立つ形で可視化するためのソリューションです。これらのツールを導入することで、データの集計や解析が迅速に行えるため、経営層から現場の担当者まで、誰もがデータに基づいた現状把握と意思決定を行えるようになります。
過去の業務データからトレンドやパターンを抽出し、将来の課題や機会を予測することも可能です。データのビジュアル化機能により、複雑なデータもグラフやダッシュボードとして分かりやすく表示され、専門家以外でも結果を容易に理解できるようになります。これにより、組織全体の課題共有がスムーズに進み、業務改善の議論が活発化します。
代表的なデータ分析・BIツールには、以下のようなものがあります。
ツール名 |
主な特徴 |
業務可視化における役割 |
Microsoft Power BI(パワービーアイ) |
マイクロソフト社が提供するBIツール。Excelや各種データベース、クラウドサービスなど多様なデータソースと連携し、高度な分析とレポート作成が可能 |
売上データ、顧客データ、業務遂行データなどを統合・分析し、ダッシュボードでリアルタイムに可視化。 |
Tableau(タブロー) |
直感的な操作で高度なデータビジュアル化を実現するBIツール。ドラッグ&ドロップでグラフやダッシュボードを作成でき、専門知識がなくても利用しやすい |
複雑な業務データを視覚的に分かりやすい形で表現し、業務パフォーマンスの傾向や異常値を瞬時に把握 |
Google Looker Studio(旧 Google データポータル) |
Googleが提供する無料のBIツール。GoogleアナリティクスやGoogleスプレッドシートなど、Googleサービスとの連携が容易 |
Webサイトのアクセス状況や広告効果など、マーケティング関連の業務データを集約・可視化し、施策の効果測定に活用 |
業務プロセス管理(BPM)ツール
業務プロセス管理(BPM)ツールは、組織内のあらゆる業務プロセスを設計、実行、監視、分析、改善するサイクルを支援する専門ツールです。これらのツールは、業務フローの各ステップを詳細に定義し、自動化することで、人為的なミスを減らし、処理速度を向上させます。
BPMツールを導入することで、業務のボトルネックや非効率な部分が明確に可視化され、継続的な改善活動を促進します。例えば、申請・承認プロセス、顧客対応、在庫管理など、定型的な業務を標準化し、システム上で管理することで、業務の透明性が高まり、属人化の解消にも寄与します。これにより、組織全体の生産性向上はもちろん、変化するビジネス環境への適応力も高まります。
代表的な業務プロセス管理(BPM)ツールには、以下のようなものがあります。
ツール名 |
主な特徴 |
業務可視化における役割 |
Appian(アピアン) |
ローコード開発プラットフォームとしても知られ、業務プロセスの自動化、アプリケーション開発、データ管理を統合的に提供 |
複雑な業務プロセスをモデル化し、リアルタイムで実行状況を監視。プロセスのボトルネックや遅延を特定し、改善を支援 |
Camunda(カマンダ) |
オープンソースのBPMプラットフォーム。BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)に基づき、業務プロセスを設計・実行・監視・最適化 |
業務フローを標準化された記法で可視化し、プロセス実行状況の監視やパフォーマンス分析を通じて改善点を明確化 |
BizTalk Server(ビズトークサーバー) |
マイクロソフト社が提供する統合プラットフォーム。企業内の多様なシステム間でのデータ連携や業務プロセスの自動化を支援 |
異なるシステムを横断する業務プロセスを統合し、データ連携状況を可視化。業務全体の流れとボトルネックを把握 |
アウトソーシングのメリットと活用例
アウトソーシングは、企業が特定の業務を外部の専門業者に委託することで、内部リソースをコア業務に集中させ、全体的な生産性を向上させる戦略的な手法です。業務可視化を進める上で、自社内だけでは対応しきれない専門性の高い業務や、一時的にリソースが不足する業務において、アウトソーシングは非常に有効な選択肢となります。
アウトソーシングを活用する主なメリットと活用例について解説します。
アウトソーシングのメリット
- 専門知識の活用と品質向上
外部の専門業者は、特定の分野における豊富な知識と経験を持っています。これにより、自社では難しい高度な業務も高品質で遂行され、業務品質の安定化・向上につながります。 - コア業務への集中
ノンコア業務や定型業務を外部に委託することで、社内の人材は本来注力すべき戦略的なコア業務に集中できます。これにより、企業全体の生産性と競争力が向上します。 - コスト削減と効率化
人件費、設備投資、研修費用など、内部で業務を遂行する際に発生する固定費を変動費化できます。必要な時に必要な分だけサービスを利用できるため、コストの最適化が図られ、企業運営の効率化に寄与します。 - 業務の標準化と改善
外部の専門業者は、効率的な業務プロセスやベストプラクティスを持っており、これらを導入することで、自社の業務プロセスも標準化され、継続的な改善が促進されます。 - 柔軟なリソース調整
業務量の変動に合わせて柔軟にリソースを調整できるため、繁忙期の人手不足や閑散期の余剰人員といった課題を解消しやすくなります。
アウトソーシングの活用例
業務可視化では、特に以下のような業務でアウトソーシングが有効です。
- データ入力・集計
業務可視化の初期段階で必要な、膨大なデータの入力や集計作業を外部に委託することで、迅速かつ正確にデータ収集を進められます。
- 業務フローの図示化・分析支援
専門的な知識を要する業務フローの作成や、可視化されたデータの詳細な分析を外部コンサルタントに依頼することで、客観的な視点からの課題特定や改善策の立案が可能になります。
- ITヘルプデスク
社内ITツールの利用に関する問い合わせ対応やトラブルシューティングなど、定型的なヘルプデスク業務をアウトソーシングすることで、情報システム部門はより戦略的な業務に集中できます。
ITヘルプデスクのアウトソーシングについて詳しくは「ITヘルプデスクのアウトソーシングは有効? 情報システム部門の課題と解決策を徹底解説! 生産性向上、コスト削減のヒントをご紹介」をご覧ください。
- 経理・人事などのバックオフィス業務
これらのノンコア業務をアウトソーシングすることで、専門性を維持しつつ、社内リソースを削減し、業務効率化を図ることができます。
テクバンでは、業務標準化をはじめ、特に情報システム部門が抱える課題解決のコンサルタントを行う「TECHVAN Management Center」サービスがあります。
本サービスでは、経験豊富なコンサルタントがIT情報システム部門の現状から課題を抽出し、優先順位を見極めた業務標準化とこれに伴うアウトソーシングの構想を策定。課題の解決とともに、部門コスト削減やDX推進など経営視点のゴールをお客様と共有しながら、業務標準化による業務効率化と生産性向上を実現させます。
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業務可視化による生産性向上の事例
業務可視化は、理論的なメリットだけでなく、実際に多くの企業で具体的な成果を生み出し、生産性向上に貢献しています。ここでは、特に代表的な業界である製造業の事例と、可視化がもたらす短期・長期両面での効果について、具体的なケースを交えながら解説します。
製造業における業務可視化の成功事例
製造業では、複雑な生産プロセスや多岐にわたる工程、そして熟練工への属人化といった課題が常に存在します。これらの課題は、生産効率の低下や品質のばらつき、コスト増加の要因となりがちです。業務可視化は、これらの課題を解決し、生産性向上を実現するための強力な手段となります。
ある製造業の事例では、紙ベースの生産管理や手作業による進捗報告が常態化しており、リアルタイムでの生産状況把握が困難でした。また、特定の工程でベテラン作業員に業務が集中し、ボトルネックとなっている状況も見られました。そこで、以下のステップで業務可視化を進めました。
- IoTセンサーの導入
各製造ラインにIoTセンサーを設置し、機械の稼働状況、生産量、不良発生率などのデータをリアルタイムで収集しました。 - デジタルツールの活用
収集したデータを一元管理するクラウドベースのシステムを導入。これにより、生産状況がダッシュボードで「見える化」され、異常値や遅延が即座に把握可能になりました。 - 業務フローの再設計
データに基づき、非効率な手作業や重複する工程を特定。特に属人化していた工程については、標準化された手順書を作成し、デジタルツール上で共有しました。
これらの取り組みにより、この企業では以下のような具体的な成果を上げることができました。
課題 |
業務可視化のアプローチ |
得られた効果 |
リアルタイムの生産状況把握が困難 |
IoTセンサーとデジタルツールの導入によるデータの一元管理とダッシュボード化 |
生産リードタイムを15%短縮 |
特定の工程での属人化とボトルネック |
データに基づく非効率工程の特定、業務フローの標準化とデジタルツールでの共有 |
不良品率を10%削減、設備稼働率を20%向上 |
紙ベースの管理による情報伝達の遅延 |
リアルタイムでのデータ共有とコミュニケーションツールの活用 |
意思決定の迅速化、コスト削減 |
この事例からもわかるように、業務可視化は単に業務を見える化するだけでなく、データに基づいた具体的な改善策の立案と実行を可能にし、組織全体の生産性向上に大きく貢献します。
短期的な改善効果と長期的な効果
業務可視化がもたらす効果は、即効性のある短期的な改善と、継続的な取り組みによって得られる長期的な成果の二つの側面があります。これらを理解することで、業務可視化の戦略的な価値を最大限に引き出すことができます。
業務可視化は、比較的短期間で具体的な効果をもたらすことが期待できます。主な短期的な改善効果は以下の通りです。
- ボトルネックの即時特定と解消
業務フローやデータが可視化されることで、どこで業務が滞っているのか、誰に負荷が集中しているのかが明確になります。これにより、特定のタスクや工程における非効率な部分を迅速に特定し、改善策を講じることが可能になります。例えば、特定の承認プロセスに時間がかかっていることが分かれば、承認ルートの見直しや電子承認システムの導入を検討できます。 - 情報共有の促進とコミュニケーションロスの削減
業務の進捗状況や担当が明確になることで、チーム内外での情報共有がスムーズになります。これにより、認識の齟齬による手戻りや、不必要な確認作業が減少し、コミュニケーションロスが削減されます。特にプロジェクトの立ち上げ時や緊急時には、リアルタイムでの情報把握が迅速な意思決定を可能にし、遅延を最小限に抑える効果があります。 - 無駄な作業の排除
業務プロセスを詳細に分析することで、重複する作業や不要なステップを洗い出すことができます。これらを排除することで、個々の従業員の負担が軽減され、より価値の高い業務に集中できるようになります。
一方、業務可視化は一度実施して終わりではなく、継続的な運用と改善によって、より大きな長期的な効果を生み出します。主な長期的な効果は以下の通りです。
- データに基づいた経営判断の精度向上
可視化ツールを通じて継続的に収集・蓄積される業務データは、将来の戦略立案や意思決定における貴重な資産となります。過去のデータ分析により、業務のトレンドや潜在的なリスクを予測し、より精度の高い経営判断を下すことが可能になります。これは、新しいビジネスモデルの創出や市場の変化への迅速な対応にも繋がります。 - 組織全体の継続的な改善文化の醸成
業務可視化は、従業員一人ひとりが自身の業務と組織全体の繋がりを理解し、自律的に改善提案を行う文化を育みます。定期的な見直しとフィードバックのサイクルが確立されることで、組織全体として継続的に業務効率と生産性を向上させる土壌が形成されます。 - 属人化の解消と人材育成の強化
業務プロセスが明確になることで、特定の個人に依存していた業務の標準化が進み、属人化が解消されます。これにより、急な欠員時にも業務が滞るリスクが減少し、安定した品質を維持できます。また、標準化されたプロセスは新人教育やスキルアップの基盤となり、組織全体のスキルレベル向上に貢献します。 - DX推進の加速と競争力強化
業務可視化は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための不可欠な第一歩です。現状の業務を正確に把握することで、どのプロセスをデジタル化すべきか、どのようなITツールを導入すべきかといった戦略が明確になります。これにより、企業全体のデジタル変革が加速し、市場における競争力を高めることができます。
短期的な改善効果
業務可視化による短期的効果も見込めます。
例えば、新しいプロジェクトの立ち上げ時には、業務の可視化が即座に役立ちます。プロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握できるため、迅速な意思決定が可能です。
また、問題が生じた場合、即座に対応するためのデータや情報があるため、遅延を最小限に抑えることが期待できます。
業務可視化が生産性向上の早道
この記事では、業務効率化、コスト削減、品質向上などの課題解決に向けて「業務可視化」する手順に加えて、メリットや留意点などについて解説しました。
業務可視化は、業務プロセスを見える形にすることで、無駄な作業やボトルネックを特定し、生産性向上と効率的な業務運営を可能にして、事業成長の実現を促します。
また、業務可視化は業務標準化の基盤となり、DXの元になる取り組みです。組織全体のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。
ぜひ業務可視化を通して、さらなる生産性向上と事業成長を目指しましょう。生産効率について、お悩みの際はテクバンまでお気軽にご相談ください。