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2023.01.31

アウトソーシングはメリットだけ? どんなデメリットがある? 契約形態によって依頼できない業務も解説

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目次

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークのように社外で働くことがあっという間に浸透しました。
また、労働人口が減少している昨今、業務委託や人材派遣などのアウトソーシングの活用が企業の間で増えています。

しかし、アウトソーシング導入については、メリットばかり注目されていますが、デメリットはないのでしょうか。
アウトソーシングの導入を検討する場合、デメリットやリスクについて把握しておくことも大切です。
本記事では、特にアウトソーシングのデメリットに注目しながら、注意点とその対策方法について解説します。

人口減少時代に ビジネスを成長させる アウトソーシング活用法

アウトソーシングとは?

アウトソーシングは、慢性的な人材不足を解消し、業務効率化を実現する画期的な手段として、おすすめされているようです。
まず、アウトソーシングとは何か、概要を解説します。

アウトソーシングの定義

アウトソーシングとは、「out(外部)」と「sourcing(資源利用)」を組み合わせた和製英語で、業務の一部を外部の協力企業に委託・発注することを意味します。業務委託とも呼ばれ、対義語はインソーシング(内製)といいます。

労働人口の減少や人件費削減の傾向から、企業では「限られた人材で効率良く業務を遂行する」ことが求められており、人材不足を補いつつ業務の質を高めるアウトソーシングの需要は年々高まっています。

なお、アウトソーシングの中でも、対象の部門や業務プロセスごと長期的に一括外部委託することは「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と呼ばれています。
BPOについて詳しい記事もご用意しております。
▼BPOとは? アウトソーシングとの違いや導入ポイントなどを解説

準委任契約と請負契約の違い

アウトソーシングの契約は、一般的に業務委託契約と呼ばれていますが、こちらは正式名称ではなく業務委託契約という法律上の契約はありません。実際の契約形態は、大きく分けて「準委任契約」と「請負契約」の2種類に分けられます。

準委任契約は、契約を締結した委託者が委託した業務に対して、受託者が業務の過程に責任を持つ契約です。委託者は、仕事の完成度ではなく業務の「過程」に対して報酬を支払い、業務の結果や成果物に責任を持ちます。委託者は、受託者に対し指揮命令をすることはできません。

一方、請負契約は、委託者が委託した業務に対して、受託者が成果物を完成させることに責任を持つ契約です。委託者は、業務の結果や成果物に対して報酬を支払います。こちらも委託者が受託者に対し指揮命令をすることはできません。また、納品物に欠陥があった場合や期限内に完成しなかった場合は、委託者は損害賠償を請求することができます。

システム開発や経理などの成果物が明確な場合は、請負契約が一般的であり、システム運用や保守、事務処理、コンサルティングなど成果を明示しない場合は、準委任契約が適しています。

契約形態の違いや種類について、関連の記事をご用意しております。
BPO、業務代行、派遣の契約形態の違いとは? アウトソーシングで留意すべきポイントを解説

アウトソーシングできるのはどんな業務は?

では具体的にアウトソーシングできる業務とそうでない業務には、どのようなものがあるのでしょうか。

アウトソーシングできる業務

アウトソーシングは元々、情報システムの関連業務の外部委託を指していましたが、近年は人手不足をはじめとした背景により社外へのアウトソーシング需要の増加に伴い、対応業務の幅も拡がりをみせています。
アウトソーシングができる対象業務は、主に以下の通りです。

  • 情報システム関連
  • 経理(経費や給与計算など)・総務・庶務・労務
  • 人事・教育
  • コールセンター
  • 営業事務
  • 製造
  • 物流
  • 研究・開発
  • 受付

上記のように、多岐にわたる業務に対応できます。
アウトソーシングに向いているのは、コア業務意外の直接的に利益を生み出さないノンコア業務やルーティンワーク業務です
。ある程度作業がマニュアル化されており、イレギュラーな判断を必要としない定型業務をアウトソーシングすることで、企業は利益を直接生み出すコア業務に専念できます。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼アウトソーシングについて徹底解説! メリットやサービス内容を知ろう

アウトソーシングできない業務

アウトソーシングが難しい業務やできない業務もあります。

企業活動の根幹となるコア業務は、企画立案や経営判断を要する場合も多く、自社のサービスや商品の品質に大きく影響を与えるため、アウトソーシングには不向きです。
自社の利益をつくる経営戦略を外部に共有することにもなり、アウトソーシングすることで業務のノウハウが社内に蓄積せず、アウトソーシング先の企業に万が一トラブルが発生した場合、自社の業務が停止することにもなり得るので非常にリスクがあります。

また、弁護士、税理士、社会保険労務士など国家資格が必要な独占業務は、アウトソーシングすることはできないため注意が必要です。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
アウトソーシングとは? 委託事例と成功におけるポイントを紹介

アウトソーシングに向いている業務と向いていない業務がある

アウトソーシングのデメリット

アウトソーシングにはたくさんのメリットがある一方、デメリットや注意点もあります。
主なデメリットは、以下の3つです。

  1. 社内にノウハウを蓄積することができない
  2. コスト削減につながらない場合がある
  3. 情報漏洩の危険性がある

アウトソーシング導入を検討するなら、デメリットもよく理解し、それらの対策について事前に考慮しておく必要があります。次項にて、それぞれ詳しく解説します。

1.社内にノウハウを蓄積することができない

アウトソーシングは、業務の一部を外部の人間にすべて任せるということです。業務すべてを内部で行う場合と異なり、人材育成や担当する従業員の経験値を高めることにはつながりません。
また、社内にノウハウを蓄積していくこともできません。
さらにアウトソーシングした業務の実態や詳しいフローが把握しきれず、ブラックボックス化してしまう恐れもあります。

将来的に内製化を目指す場合や、アウトソーシング先の企業が突然事業を撤退する例もあるため、指示するだけの”丸投げ”にせず、社内でもある程度の情報を共有しておくようにしましょう
委託先のスタッフと定期的にノウハウやナレッジを共有する機会を設け、自社にもノウハウが残るような仕組み作りが大切です。

2.コスト削減につながらない場合がある

アウトソーシングは、業務の引き継ぎ時にも時間的・人的コストがかかります。委託前に社内で業務プロセスを整理したり、マニュアル化やルール化をしたりと社内体制を整える必要があり、それらに工数を確保する必要があることも把握しておきましょう。

また、委託後も進捗確認や成果物のチェック、情報共有を行う定例会の開催など一定のコストがかかる場合があります。問題が発生すれば自社の社員が対応する場合もあるので、結果的に大して時間やコストの削減につながりにくいケースもあります。

単純な固定費としての外注費だけではなく、社内の運用で発生するコストもしっかり把握し、内製化よりもコスト削減につながるか、費用対効果をあらかじめ検証する必要があります。

委託前後にも時間的・人的コストがかかる

3.情報漏えいの危険性がある

委託する内容によっては、社員や顧客の個人情報や重要な企業秘密の提供を行うことになりますが、意図せず重要な情報が外部に漏れてしまうリスクも発生します。

令和4年に施行された個人情報保護法第25条では、「個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない」と定められており、委託先から情報が流出したとしても、自社に大きな責任が問われることになるのは明らかです。

委託先企業の選定する際には、企業の基本方針や認証資格の有無、セキュリティ体制をチェックし、適切な情報の取り扱いができる企業かを調査し見極める必要があります。自社が情報管理に苦労している点を、委託先ではどう対策しているかなどの視点も重要です

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▼総務アウトソーシングとは? メリット・デメリット、導入の注意点を紹介

アウトソーシングで得られるメリット

企業がアウトソーシングを行うメリットについても挙げていきます。

  1. コア業務に注力できる
  2. 業務品質が向上する
  3. 属人化を防止できる

それぞれのメリットを詳しくみていきます。

1.コア業務に注力できる

アウトソーシングの一番のメリットといわれているのが、限られた社内のリソースをコア業務に集中させることができる点です。

企業の競争力を高めるためには、競合よりも商品やサービスの価値を高め、より利益を生み出す仕組みの設計が重要です。そのためには、社内のリソースをより多くのコア業務や知的業務に専念させる必要があります。

売り上げに直接結びつかないノンコア業務や定型ルーティンワーク業務をアウトソースすることで、担当者の業務負担が減り、企業の利益に直結するコア業務により多くの時間を割くことが可能になります。

2.業務品質が向上する

アウトソーシングする委託先の企業は、その分野の専門家であり、業務に必要な知見がある人材や、業務遂行に必要なツールやシステムの整備などの環境も整えています。

アウトソーシングをすれば、それらのノウハウやスキルを自社に取り入れることができるため業務品質が格段に向上します。経験豊富なプロに任せることで、スピードや業務の精度も上がり、業務が最適化されることは顧客や取引先の評価にもつながります。

また、アウトソーシングを導入する際は、委託会社によって現状の課題が整理され、より効率的な業務が遂行されることになります。これまで解決できなかった課題も、プロの知識によって解決し、結果的に全体の業務プロセスが改善されることになるでしょう。そういった点からも業務品質や生産性の向上が期待できます。

3.属人化を防止できる

企業では、社員が長期で休むケースや突然退職してしまうケースも少なくありません。その人がやっていた業務を代行しようにも、業務の進め方やフローなど細かい部分が共有されておらず、属人化してしまう場合も多いでしょう。

アウトソーシングで外部の会社に任せることで、業務の詳細が可視化され、属人化を防ぐことが可能です。個人ではなく会社として業務内容やマニュアルが共有化されるので、特定の人員が辞めたとしても、別の人員で業務を遂行することができます。また、必要な人員の調達も委託先の会社が行ってくれるため、新たな採用や教育にリソースを割く必要はありません。

アウトソーシング導入を進める手順

アウトソーシング導入については事前の準備が必要です。よくアウトソーシングを導入する際、委託先の候補となる会社をとりあえず呼んで「この業務をお願いしたい。いくらでできるか?」という思いつきのような会話からスタートすることも多いと聞きます。人材不足に悩み、この業務を丸投げしたいという気持ちで焦って導入すると、結果的に内製化よりもコストがかかってしまったり、アウトソーシングする目的が曖昧になってしまったりします。

ここでは、効率的にアウトソーシングの導入を進める具体的な手順とポイントを解説していきます。

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▼事務をアウトソーシングするメリットや導入時の注意点などを紹介

1.現状把握

まずは、自社の現状を把握し、アウトソーシングする業務を明確化します。
自社のコア業務を見極め、ノンコア業務の中から、「人材が不足している」「専門知識を持つ人材がいない」「タスクが多く残業が多い」などの課題を洗い出すことで、アウトソーシングする目的や業務範囲が明確になります。その際、将来的に内製化に戻す場合など今後のビジョンを踏まえた計画を立てておくことも重要です。

現状を把握し、目的や目標を明確にしておくことで、導入がスムーズに進み、導入後も正確な効果測定や比較ができます。

2.委託先企業の選定

アウトソーシング企業に依頼したい業務が明確になったら、委託業者を選ぶことになります。
大手がよいのか、コストを重視するのか企業の状況によって何を重視するのかは様々でしょう。選定する際のポイントは、以下の通りです。

  • 対応可能なサービスと専門分野・技術
  • 過去の実績
  • セキュリティ体制
  • 柔軟性
  • コスト

まずは、アウトソーシングしたい業務に対応しているか、その分野に専門性をもって取り扱っているか、過去の実績は豊富にあるかなどを情報収集していきます。

前述のデメリットで解説した通り、情報漏えいのリスクも踏まえて、個人情報や企業秘密のやり取りを行う場合は、セキュリティ対策をきちんと行っている企業かどうかも判断のポイントです。

また、こちらもデメリットで解説しましたが、基本的にアウトソーシングすれば、社内にノウハウを蓄積していくことはできません。様々なリスクに備え、自社にノウハウを残しておきたい場合は、委託先と定期的な情報共有の機会が必要です。その際にコミュニケーションの場が設けられるのか、都度マニュアルを作成・更新してくれるのかといった柔軟性などを見ておくことも大切です。

最終的な判断はやはりコスト面になりますが、費用が安いほどコストパフォーマンスが良いわけではないことを念頭に入れて、業務に対して適正なコストかを判断するようにしましょう。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼BPOサービスを依頼する会社の選び方と導入のメリットを解説

3.契約・業務引き継ぎ

委託先の企業が決まれば、契約締結へと進みます。業務時間、業務内容、業務の質、成果物、料金、損害賠償などを取り決めますが、ここでのポイントは、業務量や業務内容にはある程度柔軟性がある方が、状況に応じてコストを調整できるのでベターです。トラブルやイレギュラーな対応が発生した場合にどう対応するのか、追加料金はどのくらいかなどを双方であらかじめよく話し合っておく必要があります。

業務の引き継ぎは、委託先の企業によってある程度手順化していますが、テスト運用など段階的に導入することで、現場の混乱もなくスムーズに進めることができます。業務に支障が出ないよう引き継ぎの方法やスケジュールをよく確認するようにしましょう。

契約にはある程度柔軟性がある方がベター

アウトソーシングの相談はテクバンへ

テクバンは、お客様の事業課題をITの力で解決するITソリューションパートナーです。
マルチベンダーとして培った豊富な経験と高いITスキルを備え、情報システム部門のアウトソーシングやBPOサービスを提供しております。

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アウトソーシングのデメリット対策

アウトソーシングにおけるデメリットを中心に、導入の注意点や対策、導入手順についてまとめて紹介しました。
アウトソーシングは業務の効率化や人材不足の解消など、さまざまな効果があるため、うまく活用することで利益向上や事業を拡大できる有効な経営戦略のひとつです。
一方で、人手が足りないからといって思いつきで導入すると、想定していた効果を得られなかったり、思わぬリスクを負ったりする可能性もあります。
導入前にはメリットだけではなく必ずデメリットを理解し、対策をしておくことで効果的なアウトソーシングを実現できます。
事前に自社の課題を把握し、リスクを想定した上でサービスを利用するようにしましょう。

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