企業や組織がスムーズに業務を行うために欠かせない職務を総務部門は担っています。
最近では、この総務の業務をグループ企業や外部の専門事業者にアウトソーシングする組織が増える傾向にあります。自社の総務部門の業務もアウトソーシングできないかお悩みの方もいるでしょう。
そこで総務業務をアウトソーシングするメリット・デメリットを紹介しながら、アウトソース導入の際のポイントや注意点についても解説します。
総務アウトソーシング(代行)とは?
総務アウトソーシングとは、組織の総務部門が担っている広範囲な業務を外部の事業者へ業務委託することです。
多種多様な総務業務の一部を委託する場合や、経営に直接かかわる業務以外の総務業務すべてをアウトソーシングして委託するケースなど、必要に応じたアウトソーシングが可能です。
総務部門のアウトソーシングを検討する場合、「どんな課題があるか」「自社で行うべきか」といった観点で、委託する業務項目や内容を洗い出し、選択する必要があります。
一方で、業務のアウトソーシング方法の一種であるBPOサービスでは、部署の業務をまるごとアウトソースすることができます。単純に従来業務をそのままスライドするのではなく、部署の業務改善や効率化を図り、企業体質の変革まで目指すこともできることが特徴です。
また単なるアウトソーシングよりも、長期的に実施することが多いBPOでは、長い目で見た経営戦略を基に業務を委託できるため、より高い費用対効果を見込めます。
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総務アウトソーシングが広がる理由とは
業務が多岐にわたる総務部門の運営は、これまでも管理監督する社員の下で派遣社員が実務を行うという態勢をとっていた企業や組織も見受けられました。専門性が要求されない業務は、手順書やマニュアルさえあれば教育不要な派遣社員という外部リソースに任せていたのです。
この点を踏まえながら、現在、総務アウトソーシングの導入が国内で広がっている理由を以下で解説します。
IT環境の発展
インターネットの普及やDX推進でオンラインによる業務のやり取りをしやすくなったこと、さらに近年のクラウドサービスの浸透により、外部委託の際に、共通のソフトウェアの準備といった設備投資があまり必要なくなったことが理由のひとつとして考えられています。テクノロジーが急速に進化したことで、総務業務のアウトソーシング化も加速しているのです。
業務専門化の浸透
先ほど解説したIT環境の発展により、オンラインで行う業務が拡大しました。この影響から専門業務に特化した事業者が時間や空間を越えて、仕事を受注し、提供することが可能になっています。
このことで、あらゆる業務の専門化、細分化が進み、発注したい業務を任せやすくなり、総務アウトソーシングの広がりを促進しているのです。
人材不足
人手不足が叫ばれて久しい昨今、売り上げが立たない総務部門に人員を増やす決断をする組織は少なくなりつつあります。
その上、高い事務処理と判断力、コミュニケーション能力が求められる優秀な総務部門担当者の人材確保は特に難しくなっていることで、採用活動を行わなくとも専門性と品質が担保された、総務アウトソーシングという選択肢が広がっているものとみられます。
総務アウトソーシングのメリットとは
では、総務アウトソーシングを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。どんな組織にも共通する代表的な3つのメリットを紹介します。
1.コスト削減が可能
総務アウトソーシングは、必要なときに業務量に応じた活用ができるため、繁忙期に合わせた人員の通年確保が不要で、コスト削減につながります。
例えば、月末や年度末など特定の時期に集中する業務をアウトソーシングして、それ以外は社内で行えば、固定費を削減できるでしょう。
2.業務品質の向上と改善が進む
専門性の高い総務アウトソーシングを活用することで、業務の品質向上が見込めます。加えて、外部委託の際には業務の見直しと整理が実施されるため、ボトルネックが可視化されやすく業務改善が促されます。
さらに、アウトソーシングの種類や委託先によっては、一部業務だけでなく、業務プロセスを含めた総務業務を丸ごと委託できるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)もあります。
社内の総務部門の場合、担当者が退職や異動する際、新たな人材の採用や引き継ぎの必要がありますが、アウトソーシング、特にBPOなら採用計画や育成、引き継ぎ準備も不要です。
BPOについて、さらに詳しい記事をご用意しております。ぜひご確認ください。
▼BPO事業者選びのポイントを解説! 対象業務と活用メリットは?
3.社員をコア業務に集中させられる
総務部門の業務のうち、主に社員が行わなくても問題のない定型業務などをアウトソーシングすることで、組織運営にとって重要なコア業務へ社員のリソースを集中させることができます。
定型業務はコア業務と異なりキャリアアップにつながらず、やりがいを感じにくい業務といわれています。定型業務が多いと離職率が高くなる傾向もあるため、そういったノンコア業務はまとめてアウトソーシングすることをおすすめします。
また、来客・代表電話の対応や郵便物の管理があるため、一般的に総務部門の社員は出社を求められることがあります。しかし、これらの業務を切り出してアウトソーシングすれば、社員の出社頻度を下げたり、より経営にかかわる重要業務を担ってもらったりすることが可能です。
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総務アウトソーシングのデメリットとは
ここまで解説してきたように、総務アウトソーシングにはメリットが大きいですが、半面、デメリットもあります。これらのデメリットを確認して、導入時には対策をとりましょう。
1.ノウハウが社内に蓄積されない
まず、総務アウトソーシングを活用するデメリットとして挙げられるのが、効率化された業務ノウハウや知識が社内に蓄積されにくくなることです。
アウトソーシング後に別の事業者へ委託変更する可能性や、環境や状態が変わって再び自社業務に戻す場合もあるでしょう。
このとき、自社の業務ノウハウや知識不足がネックにならないよう、定期的に業務マニュアルの点検や情報の共有を事業者と行い、業務がブラックボックス化しないようにしましょう。
2.セキュリティリスクがある
総務アウトソーシングを活用する場合は、大切な社内情報を外部へ渡す必要が出てくるでしょう。そのため、自社だけで情報を管理するより、セキュリティ対策は十分留意することが重要です。
委託先のセキュリティ体制を確認することはもちろん、万が一の情報漏えいの際にどんな対応を行うのか、事前に契約条項に盛り込むなど対策を確立しておきましょう。
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総務のアウトソーシングが必要な背景
どんな企業や組織にも発生する総務業務ですが、多くの総務部門に共通するいくつかの課題があるようです。改めて、総務部門が抱える業務課題について解説します。
業務範囲が広い
まず、総務部門が抱える課題のひとつとして、業務範囲が広すぎることが挙げられます。
代表電話の対応や受付業務から、福利厚生業務、郵便物管理、備品管理、社内イベントの運営、社外および社内の広報活動、秘書業務、株主総会の運営まで、多くの業務・役割を担っています。
また、企業や組織によっては、文書作成といった事務業務や庶務業務、契約書管理、給与計算、労務管理、社内研修の実施などを兼務したり、所属部門がどこにも決まっていないその他の業務全般を一時的に担当したりする場合もあるようです。総務の名の通り、正に従業員が日々快適に働き、円滑に業務が進められるよう、総合的な業務を柔軟に行っています。
属人化しやすい
組織の規模によりますが、総務部門はほとんどの場合、少人数で運営されています。多種多様で広範囲に業務を行っている上、企業のトップをはじめ全従業員と関わるため、高い事務処理と判断力、コミュニケーション能力が求められます。
対応する業務が多い分、ある業務については、「総務のAさんなら知っているはず」などと特定の人が頼りにされやすく、属人化しやすい面があるようです。業務の効率化と継続性には属人化を避けなければなりません。
生産性が低いとみなされやすい
従業員のために社内外の様々な業務を幅広く担当し、なくてはならない総務部門ですが、工数の変動も大きく、生産性が低いとみなされがちな業種であることが特徴です。
従業員をサポートするのが仕事である以上、慢性的に多忙であるにもかかわらず総務業務の実績の可視化は難しいのが実態です。結果的に人的コストをかけるのは、営業部といった利益を直接生み出す部署が優先される傾向にあります。
ひとつひとつの業務にフォーカスすると、業務経験が浅くてもいい、誰でもできる業務ととらえられ、「たかが総務」と思われてしまうのです。
総務アウトソーシングの注意点とポイント
コスト削減や業務品質の向上や業務の効率化など大きな効果を見込める総務アウトソーシングですが、十分に活用するための事前準備や、導入時に注意すべき点があります。「社内に常駐は可能か」「料金はいくらか」といった部分もちろんも気になるところですが、委託業者に頼む前に次項の点について社内で明確にしておいた方がいいでしょう。
期待した成果を得るために行うべき、事前準備と導入時のポイントをそれぞれ解説します。
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▼アウトソーシングとは? 委託事例や成功におけるポイントを紹介
依頼の目的と業務範囲を明瞭にする
総務アウトソーシングを考えるとき、まず検討すべきは、アウトソーシングする「目的」を明瞭にすることが肝心です。
コスト削減、業務効率化などを目指す場合が多いかもしれません。目的が明らかになれば、これに沿って実際の業務を照らしてみると、アウトソーシングの範囲も浮き彫りになります。
また、権限の範囲を明確にすることも重要です。業務中にいちいち事業者から判断の問い合わせが入っては、業務効率が下がってしまいます。
アウトソーシングの目的と業務範囲を明らかにして、事業者との認識のずれを防ぐことは、トラブルを避け、スタッフに高い能力を発揮してもらえるでしょう。
情報共有の場を定期的に設ける
また、総務アウトソーシング後はその導入効果を高めるためにも、情報共有の場を定期的に設けるべきです。
情報共有を徹底すれば、見えにくくなりがちな業務プロセスやノウハウ、新たな問題の把握が可能です。アウトソーシングのデメリットとして挙げた「ノウハウが社内に蓄積されない」ことも避けられます。
総務アウトソーシングならテクバンへ
テクバンでは総務業務のアウトソーシングができるBPOサービスがあります。
総務はもちろんのこと、経理や人事をはじめ幅広いデスクワークをテクバンが代行するサービスです。
まず、事前のヒアリングでは現場のデスク作業代行や業務改善を実現させるために、テクバンのスタッフが現場に入り、現状把握、内容整理を行います。これをもとにお客様の状況に応じた最適なオリジナルのBPOプラン・業務設計を提案し、適切に実行します。
さらにテクバンのノウハウを駆使して、情シス部門と連携しながら、業務推進やシステム利用方法の改善を行うことで、課題を根本的に解決することが可能です。
また、社内にナレッジが蓄積されるように情報共有を行うため、社員のスキル向上も見込め、システムや業務環境、人材に関する根本問題を総合的に解消していくことで、経営基盤の安定化につながるのです。
テクバンのBPOサービスについて詳しくはこちらをご覧ください。
総務アウトソーシングで組織内を効率化
これまで紹介してきましたが、総務部門は企業や組織がスムーズに業務を行うために欠かせない業務を担っています。また、直接的な業務のサポートのみならず、福利厚生など従業員の健康や生活面も支える重要な任務といえるでしょう。
ただし、これらの業務すべてを社員が行う必要のないことは明らかです。外部のリソースを取り入れることは、組織全体の業務負担を大幅に削減し、効率化を進める契機にもなります。
総務アウトソーシングの活用は、費用削減、業務品質の向上と改善、社員をコア業務に専念させられるなど、多くのメリットを得ることが可能です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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