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2023.01.31

BPO、業務代行、派遣の契約形態の違いとは? アウトソーシングで留意すべきポイントを解説

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目次

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、業務代行など、自社業務をサポートするためのアウトソーシング方法は様々です。
ところで、いざ外部委託する場合、アウトソーシングの方法によって契約形態が異なっていることをご存じでしょうか。契約内容をよく理解しておかなければ、場合によっては契約違反、法令違反となってペナルティーを取られることも。
そこで、代表的なアウトソーシングの種類とメリットを紹介しながら、契約形態の種類や留意点を解説します。

人口減少時代に ビジネスを成長させる アウトソーシング活用法

業務のアウトソーシング方法の種類

そもそも、社内の業務をアウトソーシングする方法にはどんな種類があるのでしょうか。こちらでは代表的な3つの方法であるBPO、業務代行、人材派遣について紹介します。

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1.BPOとは

BPOとはアウトソーシングの一種で、プロセスごと業務を外部に委託する方法です。
業務の一部のタスクだけでなく、業務に関する一連の工程はもちろん、これに伴う業務の最適化などの課題解決を含めて丸ごと外部委託するため、クオリティー向上と業務効率化を目的に取り入れられる特徴があります。
専門性が高い分野ではあるものの、コア業務ではない人事や経理、総務などで導入されることが多いようです。

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BPOはプロセスごと業務を外部委託し、品質向上、効率化を実現させる経営戦略

2.業務代行とは

業務代行とは、一部の特定業務を切り取って代行するサービスのことです。 
例えば、総務部門で行っている給与計算や年金処理などの代行や、人事部門の社員教育や研修などの代行、そして法務関連の専門知識が必要な業務の代行など、その種類は多種多様です。

3.人材派遣とは

人材派遣とは、派遣会社と雇用関係にある人材を派遣してもらい、受け入れ組織で労働力として業務を行ってもらうサービスです。派遣できる業種には制限があります。

BPO・業務代行・派遣の違い

前項で紹介したアウトソーシング方法の異なる点について解説します。
BPOと業務代行、人材派遣の違いは委託業務の範囲です。
業務代行や人材派遣で業務を委託する場合、契約した特定の業務を行ってもらいます。一方、BPOは特定業務の遂行だけでなく、プロセスの見直しやより効率的な業務システムの開発といった課題解決や業績改善のサポートまで委託します。
ひと言で表せば、BPOは業務の「一括」、業務代行と人材派遣は業務の「一部」を任せることです。
また、BPOでは業務スタッフへの指示はBPO事業者のスタッフが行い、業務代行や人材派遣の場合は、スタッフへの業務指示は受け入れ企業側の社員が行います。 

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3つのサービス、それぞれのメリット

業務を外部委託する場合、これら3つのうちからどれを選択すべきでしょうか。BPO、業務代行、人材派遣、それぞれのメリットを紹介します。

BPOのメリット

BPOはアウトソーシングのように部分的なタスクを外注するのではなく、企業内の業務部門・プロセスを丸ごと委託し、業務効率化を実現できることがメリットです。
また、人材管理などマネジメントの必要がなく、いきなり高い品質の成果を求めることが可能です。

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業務代行のメリット

業務代行は委託する業務を問題なく遂行可能な人材をすぐに確保できることがメリットです。自社で欠員が出た場合、採用活動や育成に時間やコストをかけずに即戦力の確保が可能なため、社員採用と比較して大幅に固定費のコスト削減ができます。

人材派遣のメリット

急な業務への対応などで一時的に人手を増やす場合や、イベント対応など大人数のサポートが必要な場合などに対し、柔軟に人材の確保ができる点がメリットです。また、業務内容に応じて派遣してもらう期間や時間も決められ、予算に合った対応をしてもらうことも可能です。

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アウトソーシングで確認すべき契約形態の種類

業務代行、アウトソーシング、外注、BPOは外部の事業者へ発注すること全般を指しているものの、法律上の正式な契約名および形態ではありません。アウトソーシングのために契約を結ぶ場合は、業務委託契約(請負契約、準委任契約、委任契約)や人材派遣契約です。
契約締結時には業務内容や範囲が規定されていなければなりませんが、3つの業務委託契約の契約形態を決めるのは「成果」か「業務遂行」かという観点です。
この点について、発注者、受託者の両者でしっかり共通認識を持って、実際のアウトソーシング形態に合った契約を結ばなければ、法令違反になりかねません。
そこで、請負契約、委任契約、準委任契約の3つのアウトソーシングの契約形態と、人材派遣契約について解説します。

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外部委託で何を求めるのかという観点で、契約形態が決まる

請負契約

請負契約は、契約の受託者に「成果物」を求める契約です。発注者、受託者の両者間で合意・規定した成果物が完成しない限り、報酬の支払いはありません。また、作業管理や指示など、業務管理は受託者が行います。
請負契約は、成果物がはっきりしているシステム開発や経理といった業務で結ばれることが多くなっています。

準委託契約

準委任契約は、契約の受託者に「業務の遂行」を求める契約です。受託者自身が自らを管理し、自らの責任の下で業務を遂行して、作業期間が終了すると報酬が支払われます。
求められるのは「業務の遂行」なので、成果物に責任があるのは発注者となります。
準委託契約は、成果物を規定しにくいコンサルタント業務やシステム運用・保守業務で結ばれる場合が多いようです。

委任契約

準委任契約と名前が似ている契約に委任契約があります。委任契約は受託者に「法律に関する業務を委託する場合のみ」、その作業過程の責任を求めるものです。
税理士の税務業務や不動産の契約書作成、裁判の弁護など法律に関係する業務に対して結ばれる契約です。

人材派遣契約

これまで紹介した3つの業務委託契約と人材派遣契約では何が異なるのでしょうか。それは報酬が何に対して発生するかという点です。
業務委託契約では、成果物の完成や業務の遂行に対して報酬が発生するのに対して、派遣契約は業務を実施した「時間」に報酬が支払われるのです。

指揮命令は契約形態により異なる

人材派遣以外の業務委託の場合、受託事業者が従事者に業務の指揮命令を行います。成果物や業務の遂行に対して報酬が支払われるため、やり方や業務のコントロールについては受託事業者の責任の範囲となります。このため、外部委託した会社は受託事業者の従事者に対し、指示を直接出すことは「偽造請負」とみなされて法令違反になり、注意が必要です。
一方の人材派遣では、委託した会社は直接、派遣社員に業務指示します。人材派遣は従事した時間に対して報酬を支払うため、派遣されている時間内の業務のコントロール、育成は委託した会社に委ねられています。

業務委託契約は委託先が直接、従事者へ指揮命令してはいけない

アウトソーシングを成功に導く5つのポイント

アウトソーシングの代表的な方法について紹介しましたが、どの方法もアウトソーシングの効果を高めるため、導入前に行うべきポイントは同じです。そのポイントと観点を5つ紹介します。

1.事前の費用対効果の検証

アウトソーシングの効果を確実に得るには、事前に費用対効果の検証が必要です。これはアウトソーシングする業務を自社で行った場合と、外部委託した場合のコスト比較を行うことです。
委託後に想定よりコストがはね上がってしまったという事態を避けるため、この検証はしっかり行っておきましょう。

2.契約形態の確認

先ほど「アウトソーシングで確認すべき契約形態の種類」で紹介したように、アウトソーシングを依頼するとき、その契約形態は種類によって異なります。業務上、できること、できないことが微妙に違う場合もあります。契約を交わし、外部委託が始まってから「やってもらいたい業務をしてもらえない」ということのないように、事前に、契約形態を確認しておきましょう。

3.外部事業者の精査

業務を外部委託する場合は、外部の従事者も組織内の情報に触れることになるため、どうしてもそこにリスクが潜むことになります。
これまでも業務を外部委託された会社の従業員が顧客データを勝手に持ち出し紛失した、あるいは故意に持ち出し、委託元のライバル企業へ持ち込もうとしたといった事件がありました。
こういったセキュリティインシデントを避けるには、外部事業者のセキュリティ体制やコンプライアンス順守事項を確認して、信頼性やリスクを計り、委託先を選定することが重要です。

4.業務整備

業務をアウトソーシングするとき、どの業務を委託対象とするかという選定と、これまでどう行ってきたのかという現状把握は欠かせません。そしてこれらを踏まえたマニュアル作成や業務フローの整備も必要です。
また、一部業務を委託する場合、それ以外の業務の障害にならないか、関連するフローの整備も必要です。これを事前に行っておかなければ、かえって業務が非効率になってしまうなど生産性を落とすことになりかねません。

5.情報共有の仕組みの整備

アウトソーシングした場合、成果物の確認はできますが、ノウハウを確認することや、社員が業務経験を積むことは難しくなります。そのため、業務そのものがブラックボックス化してしまい、問題が発生した場合は対処が困難となります。
これを避けるためには、受託事業者、従事者と定期的にミーティングの場を設けたり、マニュアルの確認を行ったりするなど、情報共有の仕組みを整備することが大切です。

BPOや業務代行などのメリットや契約形態を把握して、費用対効果を高める外部委託を

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、業務代行など、自社業務をサポートするためのアウトソーシング方法の特徴やメリット、契約形態の種類、注意点について解説しました。
特に契約の形態や内容をよく理解しなければ、契約違反や法令違反となりかねません。あわせて外部委託時に気を付けるポイントもご紹介したため、これらに留意して、自社に合ったアウトソーシングで業務の効率化と事業成長を推進しましょう。
自社にとってどんなアウトソーシングをしたらメリットが得られるか自信がない場合は、プロに問い合わせしてみるのも一案です。テクバンも丁寧なヒアリングからBPO導入のサポートを行っております。ぜひ一度、問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

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