ネットワーク監視ツールは、ネットワークを利用した業務やWebサイト運営、サービスの提供などを行う企業にとって欠かせないツールです。ネットワーク監視ツールを活用することで、稼働状況を可視化して異常発生時には迅速な対応が可能となるだけでなく、ネットワーク障害を予兆段階で自動的に察知することもできます。
この記事では、いくつかのネットワーク監視ツール・ソフトウェアをピックアップしてご紹介するとともに、記事の最後では活用いただける導入ソリューションも紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
ネットワーク監視ツールの役割
ネットワーク監視ツールの役割は、社内のビジネス環境に欠かせないネットワーク上の異常を検知し、またはトラブルの予兆を察知して、ユーザーに警告や通知を発することです。
ネットワーク監視の重要性とネットワーク監視ツール
ネットワーク監視ツールは、社内業務で使用しているネットワークや、自社サービス提供の基盤にしているネットワークなど、万が一にも障害が起こってしまうと大きな問題となりかねない重要なネットワークに対して、常に正常性を保っているかどうかの監視を行います。
ネットワーク監視を行うことによって、ネットワーク異常や通信の損失などが起こった際に早期発見が可能です。異常が起きてしまうことが許されない業種などでは、トラブルや不具合の予兆を察知する目的が大きいといえます。
ネットワーク監視のメリットとデメリットについては、以下記事もぜひ参考にしてください。
▼ネットワーク監視で障害発生のリスク回避! その方法とは?
ネットワーク監視の方法
ネットワーク監視には、pingを使ってネットワーク機器やサーバーなどが動いているか否かを監視する死活監視と、CPUやストレージなどのリソースの稼働状態を監視する状態監視、ネットワーク上のデータ量などを監視するトラフィック監視などがあります。
ネットワーク監視の対象となる機器については、以下記事もぜひ参考にしてください。
▼ネットワーク監視とは? 対象の機器やツール導入のメリット、選び方を解説
「ネットワーク監視ツール」と「サーバー監視ツール」は異なる?
ネットワーク監視ツールとサーバー監視ツールは異なる用途で使われるため別物です。
そもそもネットワーク監視とサーバー監視では何が違うのかを見ておきましょう。ネットワーク監視がネットワーク機器やサーバー、ソフトウェアなどからなるネットワークシステムを監視するのに対し、サーバー監視は文字どおりサーバーの監視です。
ネットワーク監視では、前述の死活監視や状態監視、トラフィック監視などを行います。サーバー監視で行われるのは、主にサーバーが正常であることを通知する正常監視と異常を通知する異常監視です。
それぞれの用途に適したツールとして、ネットワーク監視ツールとサーバー監視ツールが存在するわけですが、実際には両方の機能を備えている監視ツールも数多くあります。
サーバー監視ツールについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▼サーバー監視ツールとは? 導入メリットや比較ポイントを徹底解説
ネットワーク監視ツール選びのポイント
ネットワーク監視ツールを選ぶ際には、以下のポイントを押さえておきます。
目的にあった機能をもつツールを選ぶ
ネットワーク監視ツール選びでは、自社が行う監視内容、目的に適したツールを選ぶことが重要です。システムが正常に動いているかどうかを監視したいのか、ネットワークの状況を監視したいのか、リソース監視にするのはどうかなどを検討することで、選ぶべきツールのタイプが絞られてきます。
自社の監視規模にあったツールを選ぶ
死活監視か状態管理か、それともトラフィック管理かといった目的に加え、自社の監視規模を考慮することも重要です。大規模なネットワークに小規模向けのツールを選んでしまうと不足が生じます。とはいえ、大は小を兼ねるとして実際の規模よりも大規模向けすぎるツールを選ぶとコスト面で無駄が生じるため、適切に選びましょう。
また、ネット監視ツールの中には、「100デバイス以上から」という監視するデバイス数の条件があるツールも存在するため注意が必要です。
カスタマイズ性が高いツールを選ぶ
ツールの導入時には基本機能だけで十分と感じていても、運用する中で別の機能が欲しくなる可能性があります。その度に購入し直すのは好ましくないでしょう。必要最低限のツールを選ぶよりも、カスタマイズ性が高いツールを選んでおくことで、ニーズが増えても対応できる可能性が高くなります。
アラート通知手段が豊富なものを選ぶ
異常を検知したときのアラート通知手段が豊富なツールを選ぶことが、円滑なネットワーク監視につながります。限られた通知手段がうまく機能しない場合、アラートに気付かないおそれがあるためです。通知手段には、メールやチャットツール、自動音声による電話連絡などがあります。
導入の容易さや、導入後の運用管理のしやすさで選ぶ
どんなに優秀なツールでも、導入が難しかったり、運用が面倒だったりすると期待通りの効果を得られないかもしれません。導入しやすく運用管理に余計な手間がかからないツール選びが重要です。自社ではうまく導入できない、導入後への不安があるといった場合には、導入支援ソリューションを活用することも選択肢に入ります。
ネットワーク監視ツールを選ぶ際のポイントについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
▼ネットワーク監視ソリューションの選び方|ツールとサービスを比較
代表的なネットワーク監視ツールをご紹介
ここでは数あるネットワーク監視ツールの中から、代表的なツールをピックアップしてご紹介します。体験版のダウンロードが可能なツールもあり、使い勝手のチェックが可能です。
Nagios Core(Nagios Enterprises)
Nagios Coreはネットワーク監視ツールとしてもサーバー監視ツールとしても、無料で使えるオープンソースのツールです。Nagios Coreは自由度が比較的高く、いろいろ触りながら試したいといったニーズに適しているといえるでしょう。
ツールネットワーク監視では、監視のためのソフトウェアを監視対象機器にインストールするエージェント監視と、ソフトウェアのインストールを必要としないエージェントレス監視があり、Nagios Coreはどちらにも対応できます。
- 主な機能
リソース監視
ログ監視
障害通知 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
Pandora FMS(Pandora FMS Team)
Pandora FMSはオープンソースの無料ネットワーク監視ツールで、サーバー監視にも使える統合型ツールです。エージェント監視にもエージェントレス監視にも対応しています。視覚的に判断しやすいユーザーインターフェースが特長で、機能も豊富です。
- 主な機能
障害検知時の任意コマンド実行定義
イベント管理
ユーザー管理
GIS(Geographic Information System、地理情報システム)マップ - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メールまたはSMS通知
Zabbix
Zabbixは、エージェント監視とエージェントレス監視の両方に対応し、サーバー監視も行えるオープンソースの無料ネットワーク監視ツールです。グラフ表示で見やすい画面が特徴になっています。専門的知識がない場合は、有償のサポートが可能です。
- 主な機能
障害検知
Web監視
リアルタイムグラフ - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
他のツール(ntfy)を利用することでプッシュ通知が可能
ここまでご紹介した3ツールはオープンソースで利用料金がかかりませんが、自力で使いこなすためにはある程度の専門知識が必要だと考えておくべきだといえるでしょう。
次からご紹介するツールは、すべて有料のネットワーク監視ツールです。
Datadog
Datadogは有料のネットワーク監視ツールです。サーバー監視にも対応する統合型ツールとして、アプリケーションやサービスを横断する600以上にも及ぶインテグレーションで監視しています。Pro版の月額料金は、ホストごとに18.75ドルからとリーズナブルです。
- 主な機能
ログの自動収集と分析調査
リアルタイムのグラフ表示
修正作業記録 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
PagerDutyやSlack経由通知
LogicMonitor
LogicMonitorは統合監視ツールで、エージェントレス監視に対応しています。AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなど2,000以上のデバイスやサービスとの統合が特徴です。提示される料金が高いと感じるか安いと感じるかは、無料トライアルで実際の動きを確認したうえで判断できます。
- 主な機能
ITシステムの一元モニタリング
要因解析
異常検出時のアラート可否判断 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
SMS通知
チャット通知
自動音声電話通知
専用アプリ通知など
PATROL CLARICE
PATROL CLARICEはエージェントレス型のネットワーク監視・サーバー監視統合ツールです。国内で4,000社以上にも及ぶ導入実績があります。機能も豊富で、死活監視を無制限に無料で使えるなど、コスト面でも有利で操作性もよい製品です。
- 主な機能
国産で使いやすいグラフィカルユーザーインターフェース
自動化機能によるアラートメールの選別
機能カスタマイズの要望に対応 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
自動音声電話通知
Site24x7
Site24x7はわずかな時間で簡単に利用を開始できる、利用者にとって手軽で高機能な統合型ネットワーク監視・サーバー監視ツールです。世界で13,000もの累計顧客数をもっており、ベーシック監視数が上限10のSTARTERプランなら、月額2,800円(税別)で利用できます。
- 主な機能
Webサイト監視
リアルユーザー監視
ステータスページ公開 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
SMS通知
自動音声電話通知
インスタントメッセンジャー通知
RSS通知
ステータスページ通知
ブラウザ通知
プッシュ通知
System Answer G3
System Answer G3は統合型でエージェントレス型のネットワーク監視・サーバー監視ツールです。必要な情報の把握がしやすい点や、異常検出時に使える通知手段の豊富さも特徴の一つになっています。料金については問い合わせが必要です。
- 主な機能
ベースラインとトレンド分析の自動化
ユーザー指定フォーマットによるレポート自動作成
監視項目の自動設定 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
Syslogサーバー/Trapサーバー通知
Redmine/Slack/ServiceNow/Teams連携通知
Scriptによる外部ツール連携通知
SMS通知(Amazon/SNSサービスとの連携)
回転灯による視覚的通知
PRTG Network Monitor
PRTG Network Monitorは、全世界で50万以上の実績をもち、サーバー監視にも対応するネットワーク監視ツールです。エージェントレス監視で、250以上の監視設定をもっています。価格については問い合わせが必要です。
- 主な機能
フロー監視
遠隔地監視/分散監視
Syslog監視 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
SNMPトラップ
Syslogメッセージ
HTTPアクション
プログラム実行
警告灯点灯など
X-MON
X-MONは統合型のネットワーク監視・サーバー監視ツールです。監視規模や対象に応じて選べるラインナップを多数用意しています。料金の一例として、10ノードまで監視できるX-MONクラウドの10ノード版は初期費用50,000円(税別)で月額10,000円(税別)です。
- 主な機能
稼働率/稼働結果表示
監視テスト
Web改ざん監視 - 監視範囲
大規模監視対応 - アラート通知手段
メール通知
SMS通知
チャット通知
自動音声電話通知
ブラウザ通知
警告灯
※各ツールの機能などはオプション対応のものを含みます。
ネットワーク監視サービスの利用も選択肢
ここまでネットワーク監視ツールの有用性について解説しました。ただし、ツールを導入してネットワークを効果的に監視するには、一定以上の専門知識が必要となります。
ITなしでは成り立たない社会となった今、従業員に専門人材が不在でネットワーク監視が難しい場合でも、障害を防ぐことがビジネスでは求められます。そんなとき、サポートサービス(ソリューション)の活用がおすすめです。
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ネットワーク監視サービスについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
▼ネットワーク監視サービスとは? 導入メリットや選び方を解説
▼クラウド型ネットワーク監視とは? 導入メリットやツールの選び方を解説