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2023.03.30

サーバー監視ツールとは? 導入メリットや比較ポイントを徹底解説

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目次

様々な種類の機器がネットワークに接続されていることが当たり前となった昨今、あらゆる仕事を平常通り行うためにはITシステムを常時稼働しておく必要があります。そのためには障害や不具合をいかに素早く検知できるような社内体制が求められます。

特に、ハードウェアやミドルウェア、OS、アプリケーションなど複数の要素で構成されているサーバーは、システムの根幹を支える重要な役割を担っています。
サーバーに障害が発生すると、業務停止や販売機会の損失、顧客の信頼度低下などにつながる可能性があるため、正常に稼働しているか常に監視しておく必要があります。

そこで欠かせないのが、監視ツールの活用です。監視ツールを活用すれば、サーバーやネットワーク機器に何か異常が発生した際にアラートで知らせてくれるため、安定したサーバー環境を構築することができます。

この記事では、サーバー監視の役割やツールの種類、それぞれの特徴などを解説しながら、監視ツールの選定のポイントをまとめてご紹介します。

トラブルは最小限に! サーバー、ネットワーク 管理を最適化するポイント

サーバー監視ツールとは?

サーバーの運用監視は、ツールで自動化が可能です。
サーバー監視ツールは、定期的にネットワーク機器やサーバーの稼働情報を取得し、 サービスレベルで正しく稼働しているかを監視することができます。
管理画面上でグラフやマップなどに可視化して、効率良く管理が可能です。監視員を常駐させるといったこともなく、監視業務を楽にします。

サービスの停止やダウンを検出すると管理者に通知してくれる仕組みで、 業務やサービスの停止や影響を最小限に抑えるために役立ちます。
CPUやメモリの使用率を確認することで、負荷が高まった場合でも正常稼働が可能かどうかを見通すことができ、将来の安定稼働を担保するためにも利用するべきツールといえるでしょう。

監視項目の例としては以下のものが挙げられます。

  • 死活監視
  • ポートレスポンス監視
  • 各種リソースの使用率
  • サーバー内のプロセス監視(Webプロセス・メールプロセス・DNSプロセスなど)

監視ツールによって、低レベルのサービス監視から高レベルなものまで多様な種類があるため、それぞれの特長を把握することが重要です。

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ネットワーク監視・サーバー監視・アプリ監視の違いとは

サーバー監視という言葉に似たものとして、ネットワーク監視、アプリ監視があります。それぞれ異なる監視対象を持ち、異なる監視方法が必要です。

ネットワーク監視は、ネットワーク上で通信が正常に行われているかを監視することです。ネットワーク監視ツールは、ネットワーク上のトラフィックを監視し、ネットワークの帯域幅やパケットロス、ネットワーク機器の負荷状況などを分析し、問題が発生した場合には警告や通知を行います。

アプリ監視は、アプリケーションの動作状況を監視することです。アプリ監視ツールは、アプリケーションが正常に動作しているかどうかを監視し、エラーや障害が発生した場合にはアラートや通知を行います。また、アプリケーションの性能をモニタリングし、ユーザーの体感速度や応答時間などを分析し、問題が発生している場合には原因の特定と解決に役立てます。

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無償・有償の違いによる分類

サーバー監視ツールは、無償か有償かで分類することが可能です。
無償のOSSが数多く存在しますが、有償のSaaS製品なども増えてきました。 それぞれについて解説します。

OSS

OSSは、任意のコミュニティによって開発されている無償版ツールの総称であり、オープンソースのサーバー監視ツールを指します。OSSを利用する場合、機能拡張のためのプラグインが豊富であり、自由にソースコードを閲覧・変更することができるため、ユーザーにとっては柔軟性が高く、カスタマイズ性があるというのが利点でしょう。また、多くの場合、無料で利用できるため、低コストでの導入も可能です。

しかし、OSSの監視サーバーの構築・設定・運用には一定の知識や技術力が必要になります。また専門知識をもった人員の確保が不可欠であり、その点が課題となることがあるでしょう。

代表的なOSSのサーバー監視ツールとして、Zabbix Nagios などが挙げられます。

有償ツール

有償ツールは、特定のベンダーが開発した有料のサーバー監視ツールを指します。これらのツールには、ベンダーからのサポートが受けられるという利点があり、初期設定の手間が大幅に削減できます。また、一部の有償ツールでは、設定や運用作業が自動化されているため、より効率的な監視業務を行うことができます。

有償ツールは、AWS などの特定のクラウドサーバーベンダーのみに対応する「特定ベンダー型」と、複数のサーバーベンダーに対応する「マルチベンダー型」に分類できます。特定ベンダー型のツールは、そのベンダーのサーバーに特化した機能を提供することが多いため、ベンダーが明確である環境では適しています。

一方、複数のベンダーのサーバーが混在する環境では、マルチベンダー型のツールを活用することで、より幅広い範囲のサーバー監視が可能になり、監視業務の標準化も容易になります。

エージェントの有無による分類

監視ツールは、エージェントのインストールが必要か否かによって「エージェント型」と「エージェントレス型」にも分類できます。エージェントとは、「監視対象にインストールするソフトウェア」のことで、代表的なエージェントとして「SNMPエージェント」などが有名です。また、エージェントが収集した情報を管理し、可視化する「マネジャー」というソフトウェアとセットで活用されるのがほとんどです。

エージェント型のメリットは、監視対象にエージェントをインストールすることで、詳細な情報を収集することができる点です。また、収集した情報をリアルタイムで送信できるため、迅速な障害対応が可能になります。一方、エージェントをインストールする必要があり、管理対象が増えることで運用コストが上がることがデメリットとして挙げられるでしょう。

エージェントのインストールが必要ないエージェントレス型では監視対象にソフトウェアをインストールする必要がなく、運用コストを低減することができる点がメリットとして挙げられます。また、インストール作業が不要なため、導入が容易です。ただし、監視対象から収集できる情報には制限があり、詳細な情報を収集することができない場合もあるので注意が必要です。

サーバー監視ツールのメリット

ここまでサーバー監視ツールにおける概要を解説しました。次に、サーバー監視ツールにおける導入のメリットを3つの視点で解説します。

エンジニアの負担軽減

サーバー監視は大変手間のかかる作業ですが、サーバー監視ツールを導入することで、監視作業を自動化することができます。これにより、担当エンジニアの負担を軽減することが可能です。ツールを活用せずアナログで監視する場合、24時間365日体制で対応しなければならず、夜勤スタッフを求人するといったこともあったようです。

例えば、ECサイトなどでは、利用者がいつでもサービスを利用できる状態を維持しなければならず、サーバー監視だけでなく、アプリケーションやネットワークなどの監視も必要です。
このような状況で、エンジニアのみに監視を任せるのは無理があるといえるでしょう。また、サーバーにかかる負荷の状況も監視できるため、エンジニアは監視に時間を費やすことなく、他の業務に集中できるようになります。

エンジニアの負担軽減を実現

障害の早期発見につながる

サーバー監視ツールを導入すると、障害が発生した瞬間に通知を受け取ることができます。この機能によって、サーバーダウンなどのトラブルをすぐに察知し、対処することができます。通知方法には、メールやチャット、音声通知などがあり、エンジニアが迅速に対応できるように工夫されています。

インターネットを介した業務において、サーバーダウンは重大な問題です。障害にすぐに気付けないと、被害が拡大したり、二次被害につながったりと 復旧作業に時間がかかってしまうことになります。

近年では、収集した様々なデータを基に、将来の動きを予測してアラートをあげるツールも登場しています。
サーバー監視ツールを設置することで、障害を早期に発見し、迅速な復旧対応が可能です。トラブルを回避し、安定したサービスを提供するために、サーバー監視ツールの設置をおすすめします。

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外部からの攻撃などを監視にも有効

サーバー監視ツールは、サーバーの正常動作だけでなく、外部からのサイバー攻撃やウイルスに対しても監視できます。攻撃や不正アクセスが起こると、企業の信頼度やイメージに悪影響を与え、個人情報漏えいの損害賠償にも多額の金額がかかるリスクがあります。

しかし、監視ツールを導入することで、問題が発生した場合に早期に発見・対処が可能となり、未然に問題を防止できます。

外部からの攻撃などを監視にも有効

サーバー監視ツールのデメリット

メリットと合わせて、導入におけるデメリットも存在します。一番のデメリットはサーバーに負荷がかかることでしょう。

サーバー監視ツールの導入によってエンジニアの負担が減る反面、監視対象を増やしすぎることによるデメリットも存在します。また監視対象を増やしすぎると、サーバーに負荷がかかるだけでなく、コストの負担も大きくなるため、必要な対象を見極めることが大切です。サーバーにかかる負荷も考慮し、バランスを見ながら監視する箇所を増やすことが重要です。

サーバー負荷の原因に

サーバー監視ツールの比較ポイント

サーバー監視ツールは多種多様にその種類があるため、その選定に時間がかかる場合もあります。またメリットとデメリットが存在するため、導入には慎重になることでしょう。ここでは、選定の際に最低限重視すべきポイントについて4点ご説明します。

1.サーバーの監視対象の範囲

まず、所有しているサーバーを一元管理(統合監視)できるかどうかが、重要な比較ポイントとなります。クラウド環境や複数のパブリッククラウドを活用している場合でも、全体を監視できるかどうかをチェックする必要があります。また、仮想環境やコンテナを利用している場合は、それらが監視対象となっているかどうかも確認が必要です。

監視対象の見極めには、まずは業務上重要なものを優先的に監視し、必要に応じて新たな監視対象を追加することが推奨されます。また、企業の成長に合わせて監視対象が増える場合は、サーバーにかかる負荷を軽減するために、例えば、監視対象を複数のサーバーに分散する、負荷のかかる時帯に監視を行わないようにするなどの負荷を軽減する方法を模索する必要があります。

2.監視項目の取得範囲

また監視対象の範囲だけでなく、取得できる監視項目も重要な比較ポイントです。サーバーの死活やリソース利用率など基本的な項目に加えて、特定サービスの稼働状況に対応しているかどうかも確認する必要があります。
例えば、Webサーバーやデータベース、仮想化ソフトウェアなどのサービスがある場合、それらの状態を監視できるかどうかをチェックしておく必要があります。

また、CPUやメモリ、ディスクなどのリソース利用率だけでなく、ネットワークトラフィックやファイアウォールのログなど、より詳細な情報を取得できるかどうかも確認することが望ましいでしょう。

3.運用の手間

運用の手間も選定する際のポイントに挙げられます。OSSを利用する場合は、自前での設定・運用が必要です。そのため、技術情報が充実しているかどうかが重要なポイントとなります。
例えば、ブログの投稿や技術ガイドの書籍、ユーザーコミュニティの充実度をチェックし、設定・運用の作業で困ったときに頼れる情報があるかどうかを確認することが大切です。

このように、運用の手間を軽減できるかどうかは、サーバー監視ツールの選択において重要なポイントとなります。

4. 通知方法

従来のメール通知やSyslogの出力、SNMPトラップの送信だけでなく、Slackなどのチャットツールからの通知機能があるかどうかも比較ポイントのひとつです。また、自動音声による電話連絡や、SMSによる携帯電話への通知があれば、異変に気づくことが早くなり、より実用的になります。

監視項目の異常検知や障害発生時には、適切なタイミングで通知されることが必要であり、通知方法にも十分に注目する必要があります。

「システム運用マネジメント」の紹介

ここまでサーバー監視ツールについての解説を行ってきましたが、サーバー監視のリソース確保、業務効率化の方法はサーバー監視ツールの導入だけではありません。ここでは最後に、テクバンが提供する「システム運用マネジメント」サービスを紹介いたします。

「システム運用マネジメント」とは

「システム運用マネジメント」は、経験豊富なテクバンのITエンジニアが、24時間365日お客様のシステムをリモートで監視・運用するサービスです。

オンプレミス・クラウド環境問わず、運用支援やトラブル対応、Q&A回答など、情報システム運用に関するあらゆる問題を遠隔でサポート。
また、お客様のニーズに合わせて、社内業務を一部または全部アウトソースするサービスも提供しています。

IT運用現場の課題である業務量とコストの不均衡、プロジェクト崩壊の危機、システム管理者への負担増などを解決し、お客様のIT運用を快適にすることを目的としています。
「お客様へ電話をするのが面倒」「平日は自分たちで対応するので土日と夜間だけ誰かに対応をお願いしたい」といったお客様の課題に合わせたサービスの提供が可能です。

導入事例は以下の資料にて閲覧することができますので、ぜひご確認ください。
【事例】柔軟なメニューで実現できた。24時間365日、有人リモート監視で 情シスの負担軽減

システム運用マネジメントの特長

システム運用マネジメントの特長は、お客様の要望にフレキシブルに対応する点にあります。

オンサイト対応や機器設定変更など、様々なオプションをご用意しており、お客様の課題やニーズに最適な運用提案を行います。また、夜間や休日のリソース不足にお困りの場合や、アウトソースしたい分野がある場合、既存ドキュメントの更新や監視報告だけをお願いしたい場合も、柔軟なプランでお客様の支援をいたします。

さらに20社以上の主要なクラウドサービスに対応しており、運用の複雑化・高度化が問題となるマルチクラウド運用も可能です。テクバンのサービスを利用することで、マルチクラウド環境の運用負荷を軽減し、クラウド利用のメリットを最大限引き出すことができます。

システム運用マネジメントの導入費用や詳細などは、お問い合わせください。
テクバンへ問い合わせる

自社に合った監視ツールを選ぼう

サーバー監視ツールには、有料サービスやOSS版のもの、IaaSベンダーが提供するものなど様々なタイプがあります。

有料版のサーバー監視ツールは、OSS版の難点である設定作業や運用作業を簡易化するものが多いです。
一方、無料で利用できるOSS版も種類が豊富で、監視項目を詳細に設定できたり、オンプレ環境とクラウド環境の両方に対応していたりと、多種多様なツールが存在しています。

また、サーバー監視ツール以外にも、サーバー運用のリソース確保における方法は存在します。
ツールに限らず、それぞれの特長を理解し、自社に合ったものを選定することが重要です。

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