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2023.11.14

ネットワーク監視とは? 監視対象機器やツールの選び方を解説

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目次

リモートワークの普及やオンラインコミュニケーションが増えたことで、データ通信量も増加しました。ITシステムやサービスを提供している企業にとって、ネットワーク障害は経営や社会的信用に大きな影響を与えるため、常にネットワークに問題がないか、関連機器を監視することが大切です。

しかし、ネットワークの正常稼働を維持するため、監視は24時間365日必要であり、その監視業務を遂行する情報システム部門にとって大きな負担となっているのではないでしょうか。

そこで今回は、ネットワーク監視ツールを導入するメリットについて解説します。ネットワーク監視ツールの選び方についてもまとめました。

トラブルは最小限に! サーバー、ネットワーク 管理を最適化するポイント

ネットワーク監視とは何か?

IT環境の高度化にとって、ネットワークは絶対に欠かせないインフラとなりました。
このため、ビジネスの継続性を担保する上で、ネットワーク監視は非常に重要なタスクとなっています。

ネットワーク監視とは具体的に、ネットワーク上にある機器を監視することを指します。
ネットワーク障害は、組織に大きな影響を与えます。
ネットワークに障害が起こると、ビジネスや組織運営に欠かせないシステムやサービスは停止する可能性が高くなります。
また、リモートワークには、社内システムへ接続するネットワークは欠かせず、万が一、ネットワークに問題が発生した場合、業務は中断せざるを得なくなるでしょう。

ネットワーク障害を避けるため、ネットワーク監視を実施すれば、障害の予兆にいち早く気付くことが可能です。
ネットワーク障害が引き起こされるとき、機器の故障や破損などの物理的な問題をはじめ、人的ミスやトラフィックの増大、不正アクセスなど様々な原因があります。

これらを未然に防ぎ、正常な稼働を維持するためにも、ネットワーク監視が重要なのです。

さらに詳しくはこちらの関連記事もご覧ください。
▼ネットワーク監視で障害発生のリスク回避! その方法とは?

ネットワーク監視の対象機器

ネットワーク監視の対象機器には、PCやルーター以外にサーバー機器も含まれます。ここでは、以下のネットワーク監視の対象機器と監視する項目について解説します。

  • PCやスマホなどの端末機器
  • サーバー
  • ネットワークプリンター
  • ルーター
  • スイッチ(スイッチングHUB)
  • UPS(無停電電源装置)

PCやスマホなどの端末機器

社員に配布するPCやスマホなどの端末機器は、社内のファイルサーバーやメールサーバーにネットワークを介してアクセスするため、セキュリティ面での監視が必要です。組織によっては数百台のデバイス管理が必要となるため、適切な管理体制を整えなければなりません。

また、社員の社用スマホやタブレットなどの端末を一括して管理・監視することを「モバイルデバイス管理」といいます。「Mobile Device Management」の頭文字を取って「MDM」とも呼ばれており、紛失・盗難時の情報漏えいやウイルス感染を防ぐためにモバイルデバイス管理の重要度も高まってきました。

端末機器の監視項目として、OS・アプリケーションのバージョン管理やハードディスクの動作などを確認しましょう。

サーバー

サーバーはハードウェアやミドルウェア、OS、アプリケーションなどで構成されており、障害が発生すると経営に大きな損失を与えます。企業の信用度低下にもつながるため、サーバー監視は重要な役割のひとつです。

サーバー監視は主に、Ping監視・HTTP監視・プロセス監視の3種類があります。これらの監視方法を組み合わせることで、サーバーの稼働状況や機器の状態を把握し、障害やトラブルを早期に発見できるのです。
監視項目として、サーバー機器の動作やハードウェアの温度などを確認しましょう。

サーバー監視について、下記記事で詳細を解説していますので、こちらもご参考にしてください。
▼サーバーの死活監視とは? 監視の種類と実施方法を解説

ネットワークプリンター

ネットワーク上にあるプリンターも監視対象の機器のひとつです。
プリンターの印刷ログを監視することで、情報漏えいの早期発見、過剰な印刷を把握できます。過剰な印刷に気付き、無駄な出力を抑えられれば、印刷紙の経費削減につながるでしょう。

監視項目として、印刷ログやメモリの異常、プリンター機器の動作などを確認しましょう。

ルーター

ルーターが機能しなくなると業務の大半が停止してしまうため、ルーターの障害には素早く対応できるようにリアルタイムの監視が必要です。

しかし、ルーターが正常に稼働しているかどうかの監視だけでは不十分だといえます。
通信遅延を把握するためにもトラフィック(一定時間にネットワークを流れるデータ量)の監視を行いましょう。その他、パケットロスやCPU使用率、温度なども監視項目として確認することをおすすめします。

スイッチ(スイッチングHUB)

スイッチ(スイッチングHUB)は集線装置の機能を持ち、LAN・光ケーブルを介して特定の相手(宛先が指定された)のみにデータを転送することが可能です。その仕組みは、不要なデータが通信回線を流れることを防ぎ、ネットワーク全体の性能向上につながります

社内のスイッチが機能しなくなると業務に大きな支障をきたすため、スイッチ監視は重要です。スイッチの各ポート(LANケーブルの出口)を監視することで、接続が切れたり誤ってつないだりした機器の早期発見が可能となります。
監視項目として、各LANポートの死活、機器の停止、トラフィック使用率、パケットロス、CPU使用率、温度などを確認するとよいでしょう。

UPS(無停電電源装置)

UPS(無停電電源装置)は停電が起きたときに、電力を一定時間供給する装置です。「Uninterruptible Power Supply」の頭文字をとってUPSと呼ばれています。
停電が発生すると電源供給が停止し、ハードウェアの損傷やデータの損失を招きますが、UPSを設置すればUPSから電力を供給できるため、安全にシャットダウンが行えます

UPSが必要となるのは停電時ですが、現在の日本で長時間停電に遭遇することはまれのように感じるかもしれません。しかし、停電の中には0.02秒~2秒の短時間の電圧低下が発生する「瞬低(瞬時電圧低下)」や、1分未満の停電「瞬停(瞬時停電)」も含まれ、瞬低や瞬停であれば地域によってはかなり頻繁に遭遇しているといえるのです。
そのため、精密な機器やデータを扱う組織においてUPSは必要不可欠であり、常時監視を行わなければなりません。
監視項目として、UPSの状態や電圧変動を確認しましょう。

ネットワーク監視の主な方法

ネットワーク監視の方法には「死活監視」や「ハードウェア監視」などいくつか種類があります。それぞれ簡単に解説します。

死活監視

死活監視とは、サーバーやルーターなどの機器が正常に動いているのか継続的に確認し、機器の異常を速やかに検知することを目的に行います。正常に動いているかどうかは、ツールを使って自動で調べます。

代表的な死活監視の方法に「Ping監視」がありますが、これは監視対象に定期的に応答を求めるPingコマンドを送り続け、応答がないと異常が発生したと判断する方法です。

ハードウェア状態監視

ハードウェア状態監視は、ネットワーク上に接続されているすべての機器のリソースを監視し、ハードウェアの異常や障害を早期に検知することを目的に行います。

電源やバッテリー、メモリなどの物理コンポーネントには、温度や電圧などのステータスの変化を検出するハードウェアセンサーが内蔵されていますが、ハードウェア監視ではセンサーからの情報を収集し、ハードウェアステータスを把握できるよう可視化。これにより、ハードウェア機器の状態やハードウェアに関連するネットワークへの影響を素早く察知することが可能です。

関連記事を用意しております。ぜひ、ご参考にしてください。
▼システムやサーバーの【ハードウェア障害】原因や対策を解説

トラフィック監視

トラフィック監視は、ネットワーク回線の通信容量を把握することを目的に行います。
サーバーや周辺機器のトラフィックが増加すると、ネットワーク混雑により通信速度の低下がみられる場合があります。

そのため、トラフィック監視ではデータ量やその平均値、ピーク値などを監視することでトラブルの前兆を検知したり、通信速度低下の原因を調査したりします。

パケット監視

パケット監視では、ネットワーク機器を通過する通信パケットを収集・分析します。主に、トラフィック分析やセキュリティ対策を目的に行われるようです。
基本的に「パケットキャプチャ」と呼ばれる手法でツールを活用して監視します。パケットには、通信の送信元・宛先、プロトコル情報などが含まれ、収集したパケット自体はネットワーク機器やアプリケーションの障害原因の証跡としても利用されます。

SNMPトラップ監視

SNMPトラップ監視は、サーバーやルーターなどの対象機器から通知された信号の有無を確認する方法です。
SNMPとは「Simple Network Management Protocol」の略称で、TCP/IPネットワーク環境の監視・管理を担うプロトコルのひとつです。トラップとは異常を検知したときに、イベントを通知することをいいます。したがってSNMPトラップとは、SNMPで監視した内容をイベントとして通知することを示します。

監視できる内容としては、トラフィックやリソース、パフォーマンス、CPUやメモリの使用率など様々あります。
障害発生時に、ネットワークにつながっているどの機器でどのような障害が発生しているのか、ネットワークを切り分けることで原因を追究できますが、この切り分けにSNMPトラップが重要な役割を果たすのです。

ログ監視

ログ監視は、対象機器で行われたログを監視する方法です。
ログは、決められた記述形式で指定された期間・フォルダにテキスト形式のファイルとして保存されます。「いつ、誰が、何をしたか」「いつ、どこで、何が起きたか」などをログから把握することが可能です。
ログ監視には「イベントログ監視」と「ログファイル監視」の2種類があります。これらの監視方法を組み合わせることで、システムの安定運用とセキュリティ監査を実現します。

監視ツール導入のメリット

ここでは、ネットワーク監視ツールを導入するメリットをご紹介します。

下記の関連記事では、クラウド型ネットワーク監視ツールの選び方を詳しく解説しています。併せて参考にしてください。
▼クラウド型ネットワーク監視とは? 導入メリットやツールの選び方を解説

障害発生時でも業務を止めない

ネットワーク監視ツールの導入により、障害が発生する前に問題を速やかに発見することが可能です。
先述の通り、障害が起こると業務やサービスの提供が停止となり、経営や社会的信用に大きな損失を与えますが、監視ツールの導入により予兆段階で障害に気付けるため、業務を続けながら対策を取ることが可能です。業務を一瞬でも止めない姿勢が、組織の生産性向上につながるのではないでしょうか。

障害発生時に迅速な対応が可能

ネットワーク障害が発生したら、迅速な復旧対応が求められます。
ネットワーク監視ツールでは、障害が発生するまでの稼働記録を確認できるため、障害の原因を早期に突き止めることが可能です。復旧後、原因を分析して二度と障害が起こらないように対策を講じることもできるため、さらなるセキュリティレベルの向上を目指せるでしょう。

ネットワーク監視業務の効率化

ネットワーク監視にあたって、監視対象の機器が多いと監視のための設定に労力がかかります。規模が大きくなるほど負担も大きくなりますが、ネットワーク監視ツールを利用することで負担が軽減され、効率的に監視業務を行えるメリットがあります。
「担当部門の対応できる人員が限られている」「コア業務とネットワーク監視の兼務が大変だ」というような場合は、監視ツールの導入を検討するとよいでしょう。

現状の把握により適切な予算管理が可能

ネットワーク障害だけでなく、ネットワーク機器の破損・故障なども組織にとって大きな影響を与えます。
特に、様々な情報を扱うサーバーや周辺機器は維持費用がかかり、費用対効果が得られないコストはかけたくないものです。そこで、ネットワーク監視ツールで機器の状態を管理することで、適切なタイミングで増強が可能となります。不要な機器やツールの導入を減らせるため、結果的に経営コストを抑えることにつながります。

ネットワーク監視ツール選択の要点

ネットワーク監視ツールには様々なサービスがあり、それぞれ機能や特長、利用料金が異なります。
そこで、自社に合ったネットワーク監視ツールを選ぶポイントについて解説します。

関連の記事もご用意しております。
▼ネットワーク監視ソリューションの選び方|ツールとサービスを比較

  • 導入環境や監視項目
    まず、自社で監視するネットワーク機器を洗い出し、どこまでネットワーク監視をするのか確認しましょう。また、ツールの導入方法は多くがクラウド型ですが、中にはサーバーに設置するオンプレミス型のツールもあります。
    導入を検討しているサービスが自社の環境に合致しているのか確認することが大切です。

  • 導入費用・月額費用

    ネットワーク監視ツールは、継続利用により安全性を維持できます。しかし、どんなに使いやすくても、導入費用や月額費用などが予算と合わない場合、継続利用が難しくなるのではないでしょうか。

    導入したい監視ツールの候補が決まったら、提供している事業者に「希望の予算でどこまで対応してもらえるのか」ということを事前に相談し、対応してくれる事業者を選びましょう。

  • サポート体制

    ネットワーク監視には、管理者を配置するといった体制づくりも重要です。もし、専門知識を有する人材がいない、人的リソースが不足しているという場合には、サポート体制が充実している事業者を選びましょう。

    導入から運用までサポートしてくれることが多いため、監視ツールをまったく触ったことがない人でも安心して使用できるようになります。遠隔でのサポート体制や24時間365日対応可能な事業者であれば、ネットワーク障害が発生したときに迅速な対応を期待できます。

    さらに詳しい記事もご用意しております。
    ▼おすすめのネットワーク監視ツールとは? 代表的な10選と選定ポイントを紹介

ネットワーク監視はプロの支援で

ネットワーク監視の重要性や、ネットワーク機器の安定稼働がいかに組織にとって大きな役割を果たすのか、ここまで解説してきました。
監視ツールの導入も大きなメリットが得られますが、さらに高いレベルで自社のネットワーク監視を確立させるのであれば、ネットワーク監視サービスを行っている事業者に依頼するのもひとつの手です。

テクバンでは、経験豊富なITエンジニアが24時間365日体制で、お客様のシステムを常時リモート監視・運用する「システム運用マネジメント」を提供しています。オンサイト対応、機器設定変更などのオプションも利用可能です。

なにかと業務過多にある情報システム部門の負担を軽減できるため、コア業務に専念できます。土日休日のみのネットワーク監視業務の依頼など、お客様の環境やニーズに合わせた対応が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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