情シス運用サポートBlog

2023.02.28

サービスデスク業務とヘルプデスク業務との違いとは?

関連サービス
ヘルプデスク

目次

企業におけるヘルプデスク業務は、IT関連のトラブルに関する問い合わせや修理の対応を担当する非常に重要な役割を担っています。一方で、ヘルプデスクと似た意味の言葉も多く、その違いについて深く理解をしていないビジネスマンも少なくありません。
この記事では、ヘルプデスクと似ている言葉のひとつであるサービスデスクを取り上げ、ヘルプデスクとの違いを解説しながら、二つのソリューションが持つ特長、それぞれが抱える課題についてまとめています。

属人化を解消! ヘルプデスク業務の品質、 業務効率が上がったワケ

サービスデスクの役割と業務内容

製品やサービスに関する問い合わせに応対する窓口となる業務に、サービスデスクやヘルプデスクといったものがあります。ここではまず、サービスデスクの役割と業務内容について説明いたします。

サービスデスクとは

システムの利用方法や不具合や社員からの問い合わせや各種申請に対応する窓口のことをサービスデスクといいます。サービスデスクの役割は、ユーザーがビジネスを行う上で影響を及ぼすあらゆるトラブルの解消です。例えば「PCが動かない」「VPNの接続方法がわからない」などのITインフラの不具合から、「TV会議用のビジネスライセンスを申請したい」「メールが受信できない」といったITシステム全般に関する問い合わせなど多岐にわたります。

サービスデスクには大きく以下の4つの種類があります。

名称
ローカルサービスデスク ユーザーと同じ、もしくは近い場所にサービスデスクにおける部署を設置。大企業などで日本各地の営業所があった場合、その営業所単位に対応要員を配置する。物理的な距離が近いため、現地確認による迅速な対応が可能だが、人員リソースがそれだけ必要となる
中央サービスデスク 担当者を同じ場所(地理的)に集めてサービスデスクを設ける。ローカルサービスデスクとは違い、営業所ごとではなく本社に部署を置き、対応要員を配置するイメージ。現地対応ができないことによる対応遅れなどのデメリットがあるが、人員を集約できるため運営コスト削減・情報共有がしやすい
バーチャルサービスデスク 担当者は各地に点在しているものの擬似的に同一の組織としてサービスデスク機能を提供する。2020年以降の新型コロナの流行によるリモートワークの推進により、バーチャルオフィスなどを活用し、在宅による対応を行うなど、この様式をとる会社も増えてきている
フォロー・ザ・サン 本社と時差の異なる国にサービスデスク拠点を設置。両者間でシフトを組み24時間365日対応可能な態勢を敷く。グローバル企業での採用が一般的であるが、それ自体をサービスとして提供する企業も存在する

 以前は、情報システム部にユーザーが足を運んで質問したり、故障した機械を見てもらったりというスタイルが一般的でしたが、現在は、電話やメール、チャットボットをはじめとした専用ツールの普及によって企業の特色ごとに様々な形態のサービスデスクが存在しています。

ITIL®におけるサービスデスクとは

「サービスデスク」という言葉自体は、ITIL®と呼ばれるITサービスマネジメントの成功パターンを体系化したガイドラインで使われ、浸透するようになりました。

ITILにおいて、サービスデスクは顧客に対して単一窓口を提供し、インシデントのコントロールを行うものとされており、サービスデスクが支えるプロセスはインシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理など多岐にわたり、他のプロセスとの連携をスムーズに行うことがサービスデスクを成功させるポイントとなるといわれています。

サービスデスクが抱える課題

重要な役割を担うサービスデスクですが、近年様々な課題があるため設置について見直す企業も増えています。

情報集約における課題

サービスデスクは様々な業務を担当していることもあり、問い合わせにおける情報の管理が重要です。特に寄せられる問い合わせデータが煩雑で1か所に集約されなくなると、クレーム処理やリスク分析などが曖昧になり、顧客対応もその場しのぎになりがちです。そのため過去のデータも含めて分析・集約できるように組織を作る必要があり、その運営コストが課題となるケースがあります。

人材における課題

サービスデスクを担当できる人材は、それなりのITリテラシー、技術、ノウハウなどを持っていることが前提です。そのため体制によっては、人件費が割高になる場合があります。また、そもそも人的リソースが必要な業務であるにもかかわらず、採用が思うように進まず、リソース確保自体が課題となっている企業も多くあります。さらに、サポート品質を向上するための教育コストもかかります。このように、人材に関する課題において、サービスデスク設置を見直す企業も増えています。

サービスデスクとヘルプデスクの違いとは

ここまで紹介してきたサービスデスクの業務と同じ業務と捉えられがちなのがヘルプデスクの業務です。サービスデスクとヘルプデスクのもっとも大きな違いは、対応範囲の広さです。

サービスデスクの対応範囲は、あらゆる問い合わせやITサービスへの要望の窓口からクローズするまでとなります。非常に多くの業務を担う、いわば企業の基幹的な総合窓口でもあり、もしサービスデスクで解決できない場合でも、能動的に別の部隊へエスカレーションしながら解決案を模索し、ユーザーに報告していきます。

一方、ヘルプデスクの業務範囲はユーザーへの初期対応までとなります。専門外の問い合わせは他部門へ引き継ぎ、それ以降の対応はユーザーと他部門とのやり取りになります

このようにサービスデスクとヘルプデスクの業務には対応範囲に決定的な違いがあります。サービスデスクの業務の方が、対応業務は広く、FAQの公開や、対応状況や内容の蓄積・管理、ナレッジを共有・活用、業務で使用するツールの新機能の周知など能動的な情報発信が必要です。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
サポートデスクとは? 設置するメリットと運営を効率化するポイントを解説

サービスデスクとヘルプデスクの違い

ヘルプデスクの業務内容と役割

サービスデスクより対応範囲が狭いヘルプデスクですが、その分スピード感をもって対応することができるという長所もあります。ここではより詳しくヘルプデスクの業務内容について解説していきます。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
社内ヘルプデスクとは? メリット、業務課題と効率化する方法のヒントを紹介

ヘルプデスクの業務内容

ヘルプデスクの業務は、大きく社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの2つに分けられます。
社内ヘルプデスクの場合、自社従業員からの問い合わせに対して対応を行う仕事です。特に情報システム部門に設置されるケースが多く、例えばPCの不具合に対する対応や、ネットワークの構築における相談などに対応するのが主な役割です。
一方、社外ヘルプデスクの場合は社外からの問い合わせやトラブルに対応します。例えば自社製品に対する顧客からの問い合わせに回答したり、クレームやトラブルに対応したりするのがメイン業務となります。この場合、コールセンター業務がヘルプデスクの役割を担っていたり、ヘルプデスク部門がコールセンターの役割をもっていたりする企業も少なくありません。

社内ヘルプデスクの役割

ここでは社内ヘルプデスクのみに焦点を当て、その役割と設置のメリットを解説します。

社内ヘルプデスクの役割は社内環境の整備といえるでしょう。例えば社内ヘルプデスクが配置されていない組織では、PCの不具合などがあった問い合わせ先が存在しないために自分でトラブルを解決しなければならず、解決までに長い時間がかかる可能性があります。また、最新のセキュリティ状態の維持なども、社員各自で対応する必要がありますが、適切な対応を行わずに思わぬセキュリティインシデントを引き起こすかもしれません。

社内ヘルプデスクを設置することで、このような業務の窓口を一本化することができます。これにより、社内のさまざまな機器に関する情報を把握しながら、整備することによって、労働環境の改善につながっていきます。さらに企業全体や売上アップ、社員満足度の向上などにも寄与します。

社内ヘルプデスクが抱える課題

社内ヘルプデスクを設置すると業務効率化といったメリットが期待できる一方でいくつかの課題が生じることもあります。ここでは、社内ヘルプデスクによくある課題を3つご紹介します。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
社内ヘルプデスクが抱える課題と問い合わせ対応を業務効率化する方法

担当者の業務負担が重くなりやすい

社内ヘルプデスクにおいて、担当者は社内のあらゆる部門からの問い合わせを一手に引き受けることになります。そのため、企業規模に応じて適切な人数の担当者が必要です。
企業規模が大きく、社内ヘルプデスク自体にある程度まとまったリソースを確保して組織化されているのであれば十分に対応は可能でしょう。
しかし、実際は社内ヘルプデスクの業務を担う情報システム部門が1~2人でヘルプデスクを受けもっていたり、情報システム部門がそもそもなく総務部門といった別のバックオフィス系部署がメイン業務の傍らでヘルプデスクを兼任していたりすることも少なくありません。
このような運用の場合、担当者の業務負担が重くなりやすいという課題があります。

属人化に陥りやすい

属人化に陥りやすいことも、社内ヘルプデスクの課題のひとつといえます。社内ヘルプデスクの業務において、社内で導入されているあらゆるシステムに精通している必要があります。またその範囲はサーバーやネットワーク、ソフトウェアやハードウェア、セキュリティなど多岐にわたります。そのため専門的な知識が必要な問い合わせが来ると、その分野に特化したスキルやノウハウをもった人が集中的に対応を行うことになりやすく、業務の属人化が進みがちです。

さらに属人化した状態でその専門知識をもった人材が休暇を取ったり急に退職してしまったりすると、途端にスムーズな対応が難しくなり、社内ヘルプデスク業務が滞ってしまうリスクがあります。

属人化に陥りやすい

適切な人員配置・業務配分が難しい

社内ヘルプデスクの業務は決まったタイミングでの業務ではありません。何らかのトラブルがあった時に必要な業務といえます。そのためヘルプデスク側は「いつ問い合わせが入るかわからない」という状態で待機し続けることになります。
また「〇時から業務を進めよう」と思っていても、そのような場合に限って違うトラブル対応に追われるというのが往々にしてあります。

これでは業務を効率的に進めるのが難しいでしょう。企業によっては「普段は問い合わせが来ない」ことを理由に人員を少なめに配置する、または採用に消極的な場合もあり、このような人員配置が慢性化すると早急に解決しなければならないトラブルにスムーズな対応ができず、業務に重大な支障が生じてしまうかもしれません。

社内ヘルプデスクをアウトソースする

前段に述べた課題の解決策として、社内ヘルプデスクをアウトソースする企業が増えています。社内ヘルプデスクをアウトソースすることで様々なメリットを得ることができます。

まず、社内ヘルプデスク業務だけを切り出して、その部分をアウトソースすれば、社内ヘルプデスクを担当していた部門がよりコア業務に専念できるようになります。情シス部門であれば重要度の高い社内インフラの刷新や、その検討といったより専門性の高い業務に取り組むことができます。さらにアウトソースを利用すれば、即戦力で社内ヘルプデスク業務を担当できる人材に業務を委託するので、新たな従業員の教育コストや採用コストといったコストの削減につながります。このため、従来、社内の人材で行ってきた品質より高い成果をあげることも可能でしょう。さらに繁忙期だけ委託するといったニーズごとにフレキシブルな対応も依頼できるので、適切な人員配置・柔軟な業務配分を実現します。

社内ヘルプデスクのアウトソーシングについては、以下のブログ記事でも紹介しておりますので、ぜひご参考いただければと思います。
▼ヘルプデスクのアウトソーシング、外注先選定のポイントは? メリット・デメリットも解説
▼ヘルプデスクサービス選びのポイントは? 導入メリットやサービス内容を解説

社内ヘルプデスクの改善にアウトソーシングを活用

テクバンのヘルプデスクアウトソーシングのご紹介

テクバンでは、社内ヘルプデスク業務のアウトソースを請け負っております。

  • アルバイト、社歴の浅い社員が多い、不安定な部内リソース
  • 少数で社歴が長い社員に業務が集中する
  • 教育する時間も取れず、属人化を解消できない

これらの現場で勅撰しやすい課題に対して、弊社が担当したヘルプデスク業務のアウトソーシングにおける事例についても掲載しております。併せてご確認ください。
【事例】属人化していたヘルプデスク業務。品質・業務効率ともに向上

サービスデスク業務とヘルプデスクの違いを理解しよう

今回、サービスデスクとヘルプデスクの違いについて解説しました。2つの業務は似ているようで、対応範囲も異なるため区別して理解しておくべきといえるでしょう。またサービスデスク、ヘルプデスクもどちらも業務における課題はありますので、その課題をどう解決していくかが重要です。社内ヘルプデスク業務であれば、アウトソースの活用は有効であるといえるので一度ご検討いただき、費用を含めご相談いただければと思います。

お気軽に
ご相談ください