ITの進歩により、私用でもビジネスでも、クラウドの活用が当たり前の時代になりました。
特にビジネスでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的に、クラウドを活用する企業も多くなっています。クラウドサービスの種類も幅広く、従来はオンプレミス一択だったアプリケーションさえ提供する、クラウドサービスもあります。
しかし、企業がDXを目的にクラウド活用をする場合、やみくもに「業務のクラウド化」はおすすめできません。自社にとって何を、どのようにクラウド化すべきか検討することが重要なのです。
そこで本記事では、企業のクラウド活用事例とともに、クラウド活用のメリットやポイントについて解説します。
DX推進に欠かせないクラウド活用
企業の規模を問わず、クラウドをうまく活用していくことはDX推進の重要なポイントです。
そこで、まずはDXでのクラウド活用の概要について解説します。
DXは単なるIT化やデジタル化ではない
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、2004年、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授らによって「ITの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことと定義されました。
つまりDXとは、ITやデジタルを活用し組織や社会、ビジネスの仕組みそのものを変革することを指すのです。単にIT化やデジタル化しただけでは、DXの実現とはなりません。
また、経済産業省では、IT専門調査会社のIDC Japan株式会社の定義を引用し、DXを下記のように定義しています。
「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革をけん引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアル両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」
出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」
例えば、従来の紙媒体をPDF化する、セミナーを対面ではなくオンライン環境で構築することは、DXの本質ではありません。紙媒体をPDF化することで経費精算を効率化する、さらに新しい精算方法へ移行し、古いやり方を撤廃するまで実現して、はじめてDXといえるのです。
▼クラウド導入で解決できる課題、クラウド導入後に注意すべき課題
クラウド活用で企業のDX化は進む
DX推進を目的に、クラウドサービスを活用する企業も増加傾向にあります。
総務省の「通信利用動向調査」では、クラウドサービスの利用について44.9%が「全社的に利用している」、27.3%が「一部の事業者または部門で利用している」と回答。いずれも前年比で増加しています。
また、クラウドサービスを導入している企業のうち、33.8%が「非常に効果があった」、55.3%が「ある程度効果があった」と回答しました。クラウドサービスを導入した企業では、ビジネス上で何らかの成果を上げている事例が多いことがわかります。
そこで、クラウドを活用して、DX推進に成功した企業事例を3つ紹介します。
クラウド活用によるDX推進事例1:IoTによる働き方の改革を実現
飲料メーカーの工場では、クラウド型情報活用プラットフォームを導入し、工場の設備やカメラ、各種制御システムから情報を収集、蓄積し生産状況を可視化。
これにより、工程間の情報連携の自動化、レポートの作成業務の削減、効率的な作業順序への組み換えを可能とし、省力化、品質向上による働き方改革を成功させました。
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ITインフラの最適解はクラウドか? オンプレミスか?
クラウド活用によるDX推進事例2:情報資産をデータレイクへ集約し、クラウド活用が浸透
生活用品メーカーでは、AI・データを起点とした意思決定とビジネス変革を実現するクラウド型ビッグデータ分析基盤を導入。
データレイクに集約した情報資産を分析、蓄積し最適なツールに組み入れて提供することで、社内全体へのクラウドの活用浸透や、データサイエンスに関するナレッジ蓄積につなげました。
クラウド活用によるDX推進事例3:「利便性とセキュリティはトレードオフ」から脱却
金融事業者では、利便性とセキュリティリスクがトレードオフというクラウド利用のイメージを持っていました。この考えから脱却するため、パブリッククラウドの導入検討から運用管理まで一元的に支援するサービスを活用。
この支援サービスにより、クラウド利用のセキュリティ・ガバナンスを構築し、セキュリティ基盤の機能を常にアップデートし、最新の脅威に対応できる環境を実現しました。
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▼クラウドサービスの利用はセキュリティが不安? 効果的なセキュリティ対策とは
▼セキュリティクラウドとは? その重要性や導入メリット、注意点などをわかりやすく解説
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サーバーのクラウド化で、更改・保守運用業務を大きく削減
クラウド活用のメリットとポイント
クラウドの活用は、企業の課題解決にもつながります。企業のクラウド活用で得られるメリットとポイントを解説します。
クラウド活用のメリット
クラウド活用では、次のようなメリットが得られます。
- 運用コストの大幅削減
- 業務効率の向上
- セキュリティ向上と自社負担を軽減
- サイジングの最適化
- シームレスな働き方をサポート
詳しく解説します。
運用コストの大幅削減
システムを自社で開発する場合、サーバーの設置やネットワーク設備の料金、ソフトウェア開発費用、開発者や管理者の人件費といったコストが発生します。しかし、クラウドを活用することで、オンプレミスよりも大幅に開発コストを削減可能です。
また、クラウドならシステム運用後も業務ごとに柔軟な変更が可能で、運用コストもオンプレミス環境より安価となる傾向があります。
業務効率の向上
クラウドサービスは、ネット環境とデバイスがあれば利用できます。PCだけでなくモバイルでも利用可能で、デバイスを問わず、業務の効率化につながります。
セキュリティ向上と自社負担を軽減
多くのクラウドサービスでは、堅固なセキュリティ機能と管理を提供しています。セキュリティ機能が常に最新の状態にアップデートされているため、自社でセキュリティ運用を行う手間が省け、コストも削減可能です。
サイジングの最適化
クラウドの導入は、サイジングの最適化にもつながります。リソースの追加や削除、変更をオンデマンドで行えるため、「アクセスが急増時にサーバーを増やし障害を防ぐ」「ピーク後にサーバーを減らす」ことが可能で、過剰投資を防ぎ、サイジングの最適化を実現します。
シームレスな働き方をサポート
クラウドを導入することで、オフィス以外の場でも業務が可能となります。リモートワークの実現をはじめとしたシームレスな働き方にも対応しやすく、働き方改革の実現にもつながります。
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▼オンプレミスからクラウド移行するメリットとは? 判断基準や手順、デメリットなど幅広く解説
クラウド活用を最大化するポイント
クラウドの活用を検討しても「どのサービスを選べばよいかわからない」「導入後、なかなか定着しない」といった課題が見えてくることがあります。組織がクラウド活用のメリットを最大化するために、覚えておきたいポイントをご紹介します。
- クラウド活用の目的を明確にする
- クラウドサービスの違いを把握する
- スモールスタートで運用を試す
- サポートの充実度などサービスの情報を確認する
- ソリューションサービスを最大限活用する
それぞれについて、詳しく解説します。
クラウド活用の目的を明確にする
クラウドサービスは、提供事業者ごとに機能や強みが異なります。まずはクラウド活用の目的を明確にし、目的に合うサービスを選ぶことが不可欠です。
DX推進のためにクラウド活用を検討する場合は、ただIT化やデジタル化ではなく、クラウド活用を通じて、組織改革や働き方改革などが実現できるサービスを選ぶことも重要でしょう。
クラウドサービスの違いを把握する
クラウドサービスは、大きく分けて3つあります。
1つめがサーバー、ストレージ、ネットワークなど、ITシステムの基盤となるインフラそのものを提供する「Infrastructure as a Service(IaaS)」。
2つめが、ネットワークを通じてアプリケーションの開発と実行環境を提供する「Platform as a Service(PaaS)」。
3つめが、オフィスソフトやグループウェアなどのアプリケーション機能がネットワークを通して提供される「Software as a Service(SaaS)」です。
これら3つの違いを把握すれば、自社の課題や目的に応じたクラウドサービスを適切に選択できるでしょう。
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▼SaaS、クラウドとは? IaaS、PaaSとの違いやサービス、メリットを解説
スモールスタートで運用を試す
クラウドサービスは、必要に応じてオプションで別の機能を追加する、上位プランに移行するなどができる高い柔軟性が特長です。
そこで、まずは最低限の機能やスペックが搭載されたプランからスモールスタートしましょう。
活用度合いを把握してから本格導入すれば、最小限のコストで運用でき、導入後も定着しやすくなります。
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▼クラウド運用の費用はどのくらい? オンプレミスとの比較、クラウドサービス同士の比較も
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スモールスタートのクラウド移行で、オンプレミス脱却を実現
サポートの充実度などサービスの情報を確認する
クラウドサービスは、導入後のサポートやマニュアルなどを提供している事業者が多いことが特徴です。導入後の定着や運用に不安がある場合には、ユーザー向けのサポートやマニュアルが充実しているサービスを選びましょう。
ソリューションサービスを最大限活用する
「どのクラウドサービスを選べばよいかわからない」など、クラウドの導入や活用に課題がある場合には、ソリューションサービスを利用する方法があります。この活用により、クラウドインフラやセキュリティ、アプリケーションなどの分野ごとにおすすめのクラウドサービスの提案や導入のためのコンサルティングを受けられます。
クラウドの導入判断ができない、運用が円滑に進まない場合などは、ソリューションサービスの活用を検討してみましょう。
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▼クラウドプラットフォーム5つを徹底比較! AWS/GCP/Azure/OCI/IBM
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失敗しないパブリッククラウドの選び方。AWS/Azure/OCIの3つを徹底比較
テクバンのクラウド関連サービスとは?
ここまでご紹介したように、クラウド活用や運用に関する様々な課題をお持ちなら、ぜひテクバンにご相談ください。
テクバンでは、知識と経験豊富なスタッフがお客様の課題やニーズに合わせてサポートする、様々なクラウド関連サービスとノウハウを提供しています。
クラウドインフラ関連サービス
まず、テクバンが提供するクラウドインフラ関連サービスをご紹介します。
- 導入支援サービス
各クラウドインフラ環境の構築、社外からのリモートアクセス、システムのバックアップなど、クラウドインフラの導入からサポートまでをワンストップで支援しております。 - 運用支援サービス
クラウドインフラの24時間365日の監視サービスおよび故障対応、容量の追加やOSセキュリティパッチ適用といった諸業務まで、運用を代行しております。
導入支援、運用支援サービスについて、詳しくは以下をご確認ください。
Amazon Web Services(AWS)導入支援サービス
Amazon FSx for Windows File Server
Microsoft Azure導入支援サービス
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援 - Techvan Telework on AWS
AWS上に仮想デスクトップを構築し、リモートオフィス環境を実現するサービスです。働き方改革推進に効果的で、導入後のサポートも提供しています。
Techvan Telework on AWS - Techvan Cloud Gateway
AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloudなどのクラウドサービスをインターネット経由しない閉域ネットワークで接続し、高速で安定した通信を提供するサービスです。
Techvan Cloud Gateway - Oracle CloudインターネットVPN接続サービス
インターネットVPNを利用し、OCIとお客様の環境をセキュアに接続するサービスです。安全な接続環境を安価に実現できることがメリットです。
Oracle CloudインターネットVPN接続サービス
クラウドセキュリティ関連サービス
続いて、テクバンが提供するクラウドセキュリティ関連サービスを紹介します。
クラウドセキュリティについて詳しい記事をご用意しております。ぜひご確認ください。
▼クラウドのセキュリティリスクとその対策を解説
- クラウドセキュリティ導入支援サービス
テクバンでは、次のクラウドセキュリティサービスやプラットフォームの導入をサポートしています。
CrowdStrike Falcon
ibossクラウドプラットフォーム
VMware SASE
VMware Carbon Black Cloud(EDR)
Cato Networks SASE
Zscaler Internet Access
Zscaler Private Access(ZPA) - Techvan SASE
Techvan SASEは、お客様の課題やニーズに合わせたセキュリティソリューションを提供しております。
Techvan SASE - Techvan Security Suite
Techvan Security Suiteでは、不正アクセスやサイバー攻撃、情報漏えいのリスクなどに対抗するための総合的なセキュリティ対策を、お客様のご要望に合わせて診断から構築・導入までワンストップで提案しております。
Techvan Security Suite
クラウドセキュリティについてテクバンに相談する
クラウド活用でDX推進!
DXの概要からクラウド活用のメリットや企業事例の他、クラウド導入を成功させるポイントを解説しました。
クラウドはただ導入するだけでなく、業務の生産性向上をはじめとしたDX化を実現します。ぜひ、目的に合うサービスを選定し、効率的なクラウド環境を実現しましょう。
クラウドサービス選定や運用に課題をお持ちの場合は、ソリューションサービスを利用するのもおすすめです。
クラウド活用についてテクバンに相談する