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2023.02.28

ITアウトソーシングのメリット・デメリット、注目される背景や導入ポイントを解説

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ヘルプデスク

目次

様々な業界や企業で導入されているITアウトソーシング。「自社にデジタル人材がいない」「IT業務に社内のリソースを割けない」などお悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

ITに精通した外部企業に業務を委託(アウトソーシング)することは、自社のコア業務に集中できるだけでなく、これまで社内になかった知見や技術をもたらし、さらなるビジネスの発展も期待できると評判です。

本記事では、ITアウトソーシングサービスをより効率的に活用するために、概要からメリット・デメリット、導入ポイントについて解説します。

時間をかけず 社内ITヘルプデスクを 楽にアウトソースする方法

ITアウトソーシングとは業務委託

ITアウトソーシングとは、組織のITに関する業務を外部企業に委託することを指します。別名「ITO(Information Technology Outsourcing:インフォーメーション・テクノロジー・アウトソーシング)」とも呼ばれます。

近年、様々なクラウドサービスの誕生により、最新技術やサービスを積極的に利用することは組織の生産性向上のために必須であると考えられています。
その一方で、クラウドサービスを導入するためには社内の環境構築やIT整備、さらにクラウドサービスの機能について深く理解することが必要であり、それらに対応できるIT人材の確保に難航している組織も多いようです。

そこで、自社のIT業務を専門企業(ベンダー会社)にアウトソーシングして、IT分野の運用にかかるコストを削減するだけでなく、自社のコア業務に人的リソースを充て、さらなる企業発展やビジネス展開を目指す組織が増えてきています。

次項では、ITアウトソーシングの主な形態について解説します。

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▼情シス業務はアウトソーシングできる? 対応範囲や委託先の選定ポイントを解説

ITアウトソーシング(ITO:IT Outsourcing)

フルアウトソーシング

フルアウトソーシングとは、IT業務の一部だけをアウトソーシングするのではなく、業務のすべてをアウトソーシングする形態のことです。

開発するシステムを企画から要件定義、開発作業、テスト・実装を経て、運用作業まで一貫したすべてのIT業務を外部委託として依頼することが可能です。
もちろん、システムの企画までは自社で行い、その後の工程はすべて外部に任せるというように、どこからアウトソーシングするかは自由に選べますので、外部企業との事前打ち合わせでアウトソーシングする業務内容をしっかりとすり合わせるとよいでしょう。

運用アウトソーシング

運用アウトソーシングとは、サーバーやクラウド、OSなどシステムのITインフラ部分の運用を委託することを指します。

コストをかけて導入したITシステムを、自社で使いこなせずに形骸化してしまっているケースもあるのではないでしょうか。
形式的には稼働しているものの、実際はだれも使用していないITシステムがあったり、バージョンアップやメンテナンス作業に手が回らずセキュリティ上のリスクを抱えていたりするケースなど、IT運用のみをアウトソーシングすることで、運用作業の技術的な問題を解消します。

ホスティング

ホスティングとは、外部企業のサーバーやストレージを活用し、IT運用・保守などの業務を委託することです。

自社でサーバーを設定している組織も多いですが、メンテナンス面でも問題や障害が発生した際の対応で、一時的にサーバーを停止しなければなりません。そうすると、自社サービス自体も停止することになり、停止している時間は組織にとっては損失となります。
そこで外部のサーバーを借りることで、自社でサーバーを管理・保守するコストを削減するとともに、安定したITの運用体制を継続するためにホスティングを採用している組織も増えてきているようです。

ハウジング

ハウジングとは、自社が用意したサーバーや通信機器を外部企業のデータセンターなどに間借りすることをいいます。
前項のホスティングとは逆に、自社がサーバーをはじめとした機器を用意し、外部企業に預ける形態です。

サーバーの所有権は自社にありますが、機器の管理や保守、メンテナンス・トラブル対応などは預け先の外部企業に一任するケースが多いようです。

ヘルプデスク

顧客からの電話やメールでの問い合わせに対し、サポート対応を任せることをヘルプデスクといいます。コールセンターのアウトソーシングも、ヘルプデスクのひとつです。

例えば、社内のPCやシステムが動作しない際の社員からの問い合わせ対応や障害・不具合対応など、一般的に自社の情シス部門が担当となっていますが、それらを外部の専門業者に任せることで情シス部門はコア業務に専念でき、業務効率や生産性の向上を目指せます。

サービスの形態は多様にあるため、ヘルプデスクのサービス企業にどんなことができるのか、どこまで対応してもらえるのかなど、一度相談してみるのもよいでしょう。

テクバンのヘルプデスクサービスについては、こちらから。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
社内問い合わせを削減する方法とは? 業務効率化へつなげるポイントを解説

常駐サービス

外部企業のメンバーが自社に常駐し、ITに関する技術的なサポートを受ける形態を常駐サービスといいます。

新システムの開発作業からシステム上の問題解決など、自社のメンバーに代わって対応します。企業によっては、より効果的な運用や安定した保守体制を提案するといった、コンサルティングサービスを提供しているケースもあるようです。

ITアウトソーシングが注目される背景

ITアウトソーシングが注目される背景には、どのような要因があるのでしょうか。
その前に、日本のIT市場の規模について、簡単に説明します。

日本のITサービス市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を一時受けたものの、その後市場全体としては順調に回復しています。2022年以降も堅調に推移し、2026年には6兆7,410億円になる見通しです。

2021年は、リモートワークを前提としたITサービス事業者のビジネスプロセスが定着し、前年にコロナウイルスの影響を受けた商談やプロジェクト、ITサービスの正常化が進みました。さらに、既存システムの刷新・更新やDX関連の需要がプロジェクトベース市場の成長を牽引したようです。

国内ITサービス市場支出額予測:2021年~2026年 出典:「国内ITサービス市場予測を発表
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ49649322

このような市場の動きの中で、ITアウトソーシングが注目されるようになった以下の3つの背景について、次項より詳しく解説します。

  • 労働人口の減少のため
  • コア業務の効率化を目指すため
  • 自社の強みに特化するため

労働人口の減少のため

少子高齢化によって労働人口が減少し、慢性的な人材不足の問題を抱えている日本企業では、様々な領域でITアウトソーシングが活用されています。
大・中小企業や業界に区別なく人材不足は顕在化しており、積極的に外的リソースを利用することで、人材不足を解決しようと多くの組織が試みているようです。

新たな人材確保にかけるコストより、ITアウトソーシングにコストをかける方が組織にとっては費用対効果が得られるケースもあるため、ITアウトソーシングの活用は進んでいるのです。

労働人口の減少による慢性的な人材不足や、IT人材の採用難のため、ITアウトソーシングの需要が高まっている

コア業務の効率化を目指すため

専門的な知識や技術が必要とされるIT業務は、そこに携わる人材の育成や管理にも相応の時間とコストがかかります。
IT分野に精通している人材がいない組織では、自社の発展に直接関わるようなコア業務ではない分野にコストをかけざるを得ない状況となり、組織全体の業務効率が低下してしまうでしょう。

そこでIT領域の業務を専門企業に外部委託することで、社内業務の効率化やコア業務への集中を図ろうとする企業が増えてきています。

自社の強みに特化するため

前項で解説したコア業務への集中によって、自社の強みをより特化させる狙いもあります。

企業の管理部門で行われていた総務事務や人事、給与計算や労務関係の業務などを専門企業に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が注目されています。BPOの導入でコア業務に集中できる体制を整え、自社の強みを活かしたビジネス展開を経営戦略として取り入れているようです。

BPOについて、下記記事にて詳細を解説しています。ぜひ、ご参考ください。
▼BPOとは? アウトソーシングとの違いや導入ポイントなどを解説

ITアウトソーシングが効果的な業務

アウトソーシングは様々な業務に対応できますが、特に「IT・運用保守・Web」部門で利用されることが多いようです。

情報システムの管理や顧客情報のクラウド管理、ビッグデータやBI(ビジネス・インテリジェンス)など、多様多種のテクノロジーの導入・活用が欠かせない現在において、IT・運用保守・Web部門におけるビジネススピードは急速しています。
そのような背景から、IT関連でのアウトソーシングサービスを提供している企業も多く、各企業は様々な要求に応えられるよう日々最新情報と技術を習得しています。

トレンドサイクルの流れが速いIT関連の業務と、システムの運用・管理業務はアウトソーシングして専門家に任せるのが効果的でしょう。
IT業務を兼務して行う組織も多いですが、一度コア業務とノンコア業務を見直し、ITアウトソーシングの導入を検討することをおすすめします。

ITアウトソーシングのメリット

ITアウトソーシングのメリットについて解説します。メリットとして次に3つが挙げられます。

  • コア業務への集中
  • 専門性の高いプロへ依頼できる
  • システムのガバナンス強化

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼情シス代行を解説! そのメリットと注意点とは?

1.コア業務への集中

ITアウトソーシングの最大のメリットは、組織全体が本来注力すべきコア業務に人材や時間を投下できることです。
多くの企業では、業務ツールの日々の不具合対応や問い合わせ・運用保守といったノンコア業務に、従業員は稼働時間を割かねばならず、経営戦略につながるようなシステムの企画設計や改善提案に手が回らないといった課題を抱えています。

そこで、組織の売り上げとは直接関係しないノンコア業務を委託することにより、コア業務に集中できる体制を整備できます。

また、ノンコア業務に充てていた時間を最新の技術やノウハウ習得の時間に充てるなど、社員のさらなるスキルアップも期待できるでしょう。
IT業界は常に進歩しているため、日々の情報収集や定期的な情報のアップデートは欠かせません。社員が新たな情報を得ることで、事業強化やビジネス発展につなげられるのではないでしょうか。

関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼ヘルプデスクは外注できる? アウトソーシングのメリットやデメリットを解説

2.専門性の高いプロへ依頼できる

ITアウトソーシングサービスを提供している多くの企業は、ITの各分野に精通した専門家を有しています。

テクノロジーは日々アップデートされますが、その内容をひとつひとつ把握したり、最新技術を学習し続けたりして実際の業務に生かすとなると、莫大な労力や時間を要するでしょう。
そこで、委託先の専門性の高い人材を活用することで、最新技術やサービス・ITの仕組みなどを、迅速に事業成長へ反映できるのです。

3.システムのガバナンス強化

高度なレベルの知識・技術を有している企業にITアウトソーシングを委託するため、ITシステムのガバナンスが強化でき、障害・エラーなどのリスク軽減につながるでしょう。

適切なITの利用がビジネス成長を左右する傾向にある昨今、適切なシステムガバナンスを構築することも重要です。しかし、IT専門企業でもない限り、IT人材確保の問題やリスク管理での課題は付きまといます。

そこで、自社のIT業務を丸ごと専門企業に委託することで、自社システム全体のガバナンスを強化させ、運用・保守業務における負担やリスクを大きく減らすことも実現できます。それは結果として、コスト削減にもつながるのです。

システムガバナンスの強化により、障害・エラーのリスクを低減できます。

ITアウトソーシングのデメリット

一方で、ITアウトソーシングのデメリットも存在しています。以下の3つについて見ていきましょう。

  • 想定以上のコストがかかる可能性もある
  • セキュリティリスクの懸念
  • 自社にノウハウが蓄積されづらい

1.想定以上のコストがかかる可能性もある

自社の状況を明確に把握した上で適切なサービスを提供してくれる委託先を選択しなければ、結果として余計なコストがかかってしまう恐れもあります。
委託先の担当者との打ち合わせや、問題把握のための調査なども経費として請求されるのが一般的です。この辺りのコストも考慮して、アウトソーシングの費用対効果を事前に考えておくとよいでしょう。

また、「なんとなくこれくらいの費用でできるだろう」と予想していても、委託先から提出された見積もり金額が、想定を上回ることも多々あります。
サービス・見積もり内容に間違いはないかどうか、不要な部分はないかどうか、しっかりと見極めることが大切です。その上で、委託先企業の選定にも相応の時間がかかることも考慮して、全体のコストを把握しておきましょう。

2.セキュリティリスクの懸念

自社の機密情報を扱う人員が増えれば増えるほど、情報漏えいなどセキュリティリスクは高まります。委託先の企業でもセキュリティ面での対策は施されているはずですが、自社が定めるセキュリティレベルと相違があった場合、注意が必要です。

仮にアウトソーシング委託先のメンバーが情報漏えいしてしまった場合、責任を負うのは委託先の企業であったとしても、社会的信用を失うのは委託元の自社となり、その損失は莫大なものとなるでしょう。

それを防ぐためにも、委託先のセキュリティ対策を確認すること、自社のセキュリティ体制を見直すことが必要です。

3.自社にノウハウが蓄積されづらい

特にフルアウトソーシングを活用すると、社内にIT関連の技術やノウハウが蓄積されないといった問題が発生します。自社のシステム関連を担当するメンバーにもノウハウが浸透せず、技術の習得やITリテラシーの向上は見込めないでしょう。

ITアウトソーシングを導入した際は、システムの運用保守の仕方や対応方法を記録として残し、そこから社内にノウハウを蓄積されるよう事前に体制を整えておくことが大切です。

ITアウトソーシング導入時のポイント

ITアウトソーシングを導入する際のポイントを説明します。主に以下の4点となります。

  • 委託先企業の実績・サービス内容を確認
  • セキュリティ・コンプライアンス体制の整備
  • 現状課題の把握と要件定義
  • 運用設計の確認

それぞれ詳しく解説していきます。

アウトソーシング企業の実績・サービス内容を確認

まず委託したいと考えている企業の実績やサービス内容などをHPなどで確認することが大切です。十分な実績を掲載している企業は、一定の信頼を置けると考えてよいでしょう。

しかし、HPに掲載されている内容と自社で依頼したい内容がかけ離れてしまっていては元も子もありません。
取り扱っているサービス内容についてしっかりと確認を行い、委託先企業の選定段階で打ち合わせの時間を設け、具体的な提供サービスについて説明してもらうのもひとつの手段です。複数社打ち合わせをした後、見積もりをもってどこに委託するのか選定するのもおすすめです。

セキュリティ・コンプライアンス体制の整備

先述した通り、外部のメンバーが自社の機密情報を扱う業務もある場合は、セキュリティリスクが高まるため、自社のセキュリティ・コンプライアンス体制の整備をおすすめします。外部メンバーにセキュリティテストを行ったり、セキュリティリスクに関する研修の時間を設けたりするのも有効的でしょう。

社員個人のセキュリティ意識を高めることに加え、組織としてセキュリティリスク削減への活動に取り組むことが大切です。

現状課題の把握と要件定義

自社の現状課題を把握しておくことも重要な点です。
人的リソースが足りていない業務は何か、コア業務に充てる時間を増やすために削減したいノンコア業務はどこかなど、委託する業務を決めていくために、まずは課題把握を明確に行います。そして課題が明確化したら、委託後の自社での目標・ゴールを定めましょう。
将来的には内製化するために、短期的にITアウトソーシングを活用しノウハウを蓄積する、など事前に決めることが大切です。

課題と目標の設定を行ったら、要件定義を行い、導入に向けた具体的なスケジュールやコストを決定していくとよいでしょう。

運用設計の確認

委託先企業の選定が決まったら、運用設計についても話し合いましょう。
運用設計とは、作業フロー図や作業手順書、業務マニュアルといったドキュメントを作成することです。運用設計がしっかりと施されていないと、スムーズな導入は難しくなります。

適切な運用設計を行うことで、導入後も適した人材の配置・業務体制を整えられるため、結果としてそのことが業務効率化や生産性向上につながります。
運用設計を自社で行うのか、委託先が行うのか、事前に決めておくことをおすすめします。

ITアウトソーシングならテクバンへ

ITアウトソーシングサービスのメリットやデメリット、導入する際のポイントなどについて理解していただいたところで、実際に選定することになった場合、どう探したらいいのでしょうか。

まずは委託先候補のひとつとして、テクバンへご相談してはいかがでしょうか。
テクバンでは、マルチベンダーならではのスペシャリストが在籍し、組織のIT業務を強力にサポートしています。

例えば、社内SE業務支援サービスでは、システム構築/運用保守など情シス部門が担当する様々な業務にご対応。負担軽減に加え、組織の課題や要望を柔軟にサポートしています。業務改善の提案力にも自信があります。
テクバンのITアウトソーシングサービスとは?

テクバンとはどんな会社?

効果的なITアウトソーシングにしよう

本記事では、ITアウトソーシングの概要から導入のメリット・デメリット、導入ポイントについて解説しました。これから導入を考えている方や、興味を持つ方などのお役に立てれば幸いです。

ITアウトソーシングを導入することで、「注力すべきコア業務に専念できる」「専門性の高いプロに業務委託ができる」といったメリットがあります。しかしその反面、業務範囲や業務レベルを事前に取り決めること、さらにセキュリティに関する双方の意識が揃っていないと、思わぬトラブルを招く恐れもあります。

導入時と運用時の注意点を十分に理解した上で導入することが、効果的なITアウトソーシングの導入となるでしょう。

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