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2023.04.28

障害対応フローはどうすべき? システム障害対処に必要な業務やスキルを解説

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目次

システムやサーバー、ネットワークには、軽微なトラブルからビジネスに大きな影響を与える深刻な問題まで、様々な障害が起きる可能性があります。こういった障害の多くは突発的に発生するため、あらかじめ障害対応の手順を策定しておかなければなりません。状況を正確に把握し、原因を特定して速やかに収束、復旧させることにつながるからです。

そこで本記事では、障害対応とは何か、その流れや迅速に対処するために必要なスキルや環境、そしてトラブルを未然に防ぐ取り組みについて解説します。あわてることなく、正しく素早く障害を解消するための参考にしてください。

トラブルは最小限に! サーバー、ネットワーク 管理を最適化するポイント

障害対応とは?

障害対応とは、システムやサーバー、ネットワークに何らかの問題が発生した場合に、原因を調査し、復旧させるための作業全体を指します。一般的に運用保守を担う部署が対処しています。
まず、業務影響を最小限に抑えるため、障害対応は迅速に正しく行うことが求められます。このため、復旧に必要な情報を正確に収集し、障害を収束させ、再発を防ぐ改善策まで講じる必要があります。予期せぬ障害に対応するためには、障害時の復旧方法や対応手順をあらかじめ準備しておくことが重要です。

特に顧客に提供しているサービスに障害が起きてしまった場合には、サービスの停止時間を極力短くし、確実な復旧につなげなければなりません。

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▼適切なインシデント管理とは? 問題点や解決策を解説

障害検知の方法は?

障害が起きてから対応を迅速に行わなければならないことは言うまでもありません。しかし、システム障害を未然に食い止める意味でも、障害の兆候を早期に検知することが重要です。
一般的に、障害検知には、監視システムの導入やログ解析、アラート機能の設定などが有効です。また、定期的な監視や異常を検知するための設定変更など、障害検知のための取り組みを継続的に行うとよいでしょう。

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障害対応の業務フローとは?

障害発生時には、影響を最小限に抑えるために迅速な対応が必要です。そのためには、関係者が素早く適切に行動できるよう、事前に障害対応フローを整備しておくことが重要です。迅速な対応を実現するため、障害対応は次のようなフローを整備することが望ましいといえます。

  1. 事象確認
  2. 関連部門への連絡
  3. 影響範囲の調査
  4. 障害原因の調査
  5. 復旧作業
  6. 事後対応

では障害対応フローの内容を具体的に紹介します。

1.事象確認

障害が発生したとき、検知ツールのアラートやユーザーからの苦情から、事象を確認します。
この時点で詳細な調査を行うことは初動対応の遅延につながるため、重要な点に絞って確認を行います。確認するポイントは、障害の対象、発生している事象、発生時刻、障害レポートの発生元、障害レベルなどが挙げられます。

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2.関係部門への一次連絡

次に、あらかじめ決められたルールに従って関係部門へ連絡します。これは詳細情報よりも、迅速な報告が優先されます。特に1分1秒を争う緊急度の高い障害が起きた場合、スムーズにエスカレーションする必要があります。
ただし、誤った情報を伝えたり、あいまいな報告を行ったりすることは避けなければなりません。不明な点がある場合はその事実を正確に伝えましょう。

また、断片的な情報を伝えることで混乱を招く場合もあるため、報告内容は適切にまとめ、確認中、調査中といった情報のステータスについても伝えるようにしましょう。

3.影響範囲の調査

関係部門への一次連絡後、利用者や業務への影響範囲を調査。障害の影響範囲を把握し、迅速かつ適切な対応を行うための態勢を決定します。
影響範囲の調査では具体的に次のような点を確認することが一般的です。

  • 障害が発生した箇所の確認
    障害が発生したシステムやアプリケーションなどを特定し、その周辺部分でも問題がないか確認する
  • 業務影響の調査
    システム障害がユーザーや業務にどのような影響を与えるかを調査し、緊急度や対応態勢の決定につなげる
  • 他システムとの関連性の確認
    障害が発生したシステムと連携や関係する他のシステムがあれば、そのシステムに影響がないか確認する
  • 外部向けのサービス提供の確認
    データベースやサーバーへの接続に障害が起きている場合、外部向けサービスの提供にどのような問題が生じているかチェックする

4.障害原因の調査

次に、システム障害の原因を特定するための調査・分析を行います。問題が発生したシステムやサービスのログファイルや監視データを調べ、障害が起こった原因を突き止めます。
しかし、ログやシステムの各種レポートを調べても原因を特定できない場合は、まず過去の類似する障害を確認し、仮説をリストアップして検証を繰り返し、原因を絞り込みます。関係者が集まって意見を出し合い、ホワイトボードなどを使って事象を可視化することが有効です。

5.復旧作業

障害対応の最優先事項は、業務やサービスへの影響を最小限に抑えることです。このため、原因が究明できない場合は、業務やサービスを継続できるよう、まず暫定対応を行うことになります。
ただし、多くの場合、本番環境で復旧作業を行うことになるため、慎重に実施する必要があります。例えば、複数人でクロスチェックしながら作業し、バックアップを取り、作業ログを記録するといった態勢で行うことが挙げられるでしょう。

原因が特定され、暫定対応を施した後は恒久対応に移ります。恒久対応は、まず作業計画や作業手順を作成して進めます。
恒久対応も本番環境で実施することが多いため、復旧作業が与える影響を確認できない場合は、実施の判断基準をあらかじめ関係者とすり合わせする必要があります。これには事前にログ採取方法やデータのバックアップ方法といった基本操作手順を準備するといいでしょう。緊急時にあわてることなくスムーズに作業を進められます。

6.事後対応・再発防止

障害対応が完了したら、事後対応として関係者に報告書を提出します。
報告内容は障害の概要、時系列の事象説明、業務の影響範囲、暫定対応と恒久対応の実施内容、障害原因と対策、再発防止、そして障害分析が含まれます。障害分析には、「なぜなぜ分析」がよく使われます。
「なぜなぜ分析」とは、問題事象の本当の原因を探るための手法として知られ、直接原因だけではなく背後にある根本原因を抽出するために、「なぜ?」を繰り返し問いかけます。通常、5回の「なぜ」を繰り返すことで、根本的な原因を特定できるとされています。

また、障害対応の過程で得た技術的な知見やノウハウは、将来のトラブルに対するナレッジの蓄積や対応力向上につながるため、報告書に含めることはもちろん、関係部門への共有が重要です。

障害を防ぐには?

ここまで障害対応フローについて説明してきましたが、そもそも障害が起きないよう未然に防ぐ方策を講じることが最も重要です。そこで、障害を防ぐために有効な方法について解説します。

障害を最小限に抑えるための参考資料をご用意しております。ぜひダウンロードしてご覧ください。
万が一のトラブルを最小限に! サーバー、ネットワーク管理を最適化するポイント

メンテナンスの実施

定期的にシステムや機器の点検を行い、必要に応じて修理や交換をすることで不具合を未然に防ぎ、機器やシステムの寿命を延ばせます。また、バージョンの古いシステムや機器はぜい弱性が高いため、更新やアップグレードを定期的に行い、最新の状態を保つことも重要です。

障害対応専用のサーバーの準備

システムやデータに障害が発生した場合に備え、定期的なバックアップを行い、障害対応専用のサーバーを準備することが有効です。そして、万が一の障害発生時には迅速な復旧ができるよう、バックアップデータを定期的に検証しておく必要があります。

クラウドサービスの活用

障害を回避するための手段として、クラウドサービスの活用があります。
クラウドサービスは、サービス提供者が運営するリソースや機能をインターネットで利用できる仕組みのため、自社で障害対応など保守の必要がなく、複数の仮想サーバーを利用できるメリットがあります。

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▼クラウド監視とは? オンプレミスとの違いやメリット、運用負荷を軽減するポイントを解説

モニタリングする

サーバーやシステムを常時モニタリングすることは、障害を回避する対策として有効です。モニタリングには死活監視、トラフィック監視、ハードウェア監視の3つのタイプがあります。
実施には運用監視システムを導入したり、モニタリングをアウトソーシングしたりするなどの方法があります。24時間の監視が可能なため、障害を未然に防ぐことが期待できます。

死活監視についての記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼サーバーの死活監視とは? 監視の種類と実施方法を解説

障害対応フローを迅速化するポイント

障害対応を迅速に行うためにはポイントがあります。この点について解説します。

事前に運用ルールを明確化する

障害発生時に対応するための手順や担当者の役割、連絡先などを明確にしておくなど、事前に運用ルールを明確化することで、迅速かつ適切な対応ができるようになります。また、責任の所在も明確になるため、判断を至急に下さなければならない場合にも有効です。

適切なコミュニケーション

障害発生時にはスムーズに連携、コミュニケーションすることが求められます。例えば、チャットツールやメール、電話などのコミュニケーション手段を事前に決め、関係者全員が把握しておくべきでしょう。
また、円滑なコミュニケーションができないと情報共有が滞り、さらなるミスの誘発にもつながりかねないため、相手の立場に立って的確に伝えるといった、互いに丁寧なコミュニケーションに努めることが重要です。

障害対応をアウトソーシングする組織も多い

障害発生という緊急事態に対応するには、経験とIT専門知識、コミュニケーションスキルを備えたエンジニアが必要です。しかし、IT人材が不足している今、自社で対応するには限界があるといえます。
そのため、最近では障害対応を含めた運用保守をアウトソーシングする組織も多くなっています。

テクバンでは、経験豊富なプロの視点で最も効率的な運用・監視体制を構築、障害対応まで一貫したサポートを行っています。障害対応のリソース確保に悩む組織の方はぜひご相談ください
テクバンのインフラ運用保守/監視/障害支援とは?

障害対応フローの事前整備・確認は防災訓練と同様

障害対応フローについてご紹介してきました。システムやサーバー、ネットワークに生じる障害は、ビジネスに深刻な影響を与えることがあるため、事前準備と正しい対処フローの整備が重要です。
障害対応フローの事前整備・確認は、防災訓練と同様です。障害発生を想定して、トラブルが生じたときにどう行動し対処するか、シミュレーションをしながら準備することが大切なのです。

また、障害を未然に防ぐためには、日頃から保守面に注意を払い、予防措置を講じることが必要です。
本記事を参考に、自社の事業やサービスに影響を与えないよう、障害対応フローの事前整備は確実に行いましょう。
ただし、自社でこれらの整備が行えない、不安を覚えているという方は、テクバンに一度ご相談することをおすすめします。テクバンが提案する組織に最適な障害対応の方法を確認してみてはいかがでしょうか
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