「kintoneはアプリを開発できるサービスというのはなんとなく知っているけど、実際にアプリ開発するってどういうこと?」と疑問に思う方も少なくありません。
本記事では、自社開発でできる範囲や実際のアプリの作成方法、どのようなアプリを作成できるのか事例を含めて、詳しく解説いたします。
kintoneのアプリ開発における「どうやって作成するの?」「自社で完結する?」「外注した方がいい?」などの疑問にお答えします。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneをさらに便利に! 自社で開発するメリット・デメリットについて解説
kintoneとはどのようなツールか?
サイボウズ社が提供しているkintoneは、働き方改革を推進するサービスとして、近年CMや電車広告などでも注目されています。
kintoneの基本的な機能
kintoneとはビジネスアプリを作成できるクラウドサービスです。プログラミングの知識がなくても、業務に必要なアプリを簡単に作成できます。
また、様々な情報をひとつにして、業務の見える化や一元管理を可能にする業務改善プラットフォームでもあります。作成したアプリのデータは全てkintone上で管理できるため、探したいデータを素早く見つけることや、集まった情報を即時共有することが可能です。
その他、レポート機能やワークフロー機能など業務を効率化し、生産性を高める様々なサービスが含まれています。
kintoneでできること、できないこと
kintoneでできることは主に以下の3つです。
- 業務アプリの作成
- 外部サービス連携
- グループウェア機能
前述の通り、業務アプリを簡単に作成できる他、様々な外部サービスとの連携が可能です。kintoneには100種類以上のプラグインがあり、アプリ間や他のクラウドサービスとのデータ連携ができます。
また、チーム単位でチャットができるスペース機能をはじめ、グループウェア機能も充実しており、情報共有やコミュニケーションツールとしても活用できます。
外部連携やスペースについて、関連記事をご用意しております。
▼kintoneのAPI機能で外部システムと連携する
▼kintoneのスペースをカスタマイズする方法とは?
一方、kintoneでできないことは主に以下の2つです。
- 本格的な会計システムはない
- 大容量データの保管ができない
kintoneは基本的な業務をシステム化することはできますが、専門分野に特化した機能までは含まれておりません。特に,、会計システムとしての機能は多くなく、会計アプリで人気のOCR(光学的文字認識)を使ったレシート読み取り機能をアプリに組み込む場合は、プラグインによる有料の外部サービスとの連携が必要になります。
また、kintoneのディスク容量の上限は、サイボウズ社が提供するGaroonやメールワイズなど、kintoneを含むcybozu.comのサービスの「契約ユーザー数×5GB」となっています。ユーザー数が少ない組織の場合、大容量のデータを保管できないでしょう。
関連記事をご用意しておりますので、併せてご覧ください。
▼kintoneでできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
▼kintoneのディスク容量オーバーを回避する方法
kintoneでアプリを自社開発するメリット
kintoneでアプリを自社開発するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 開発コストの削減
- ノーコードで簡単に作れる
- 社内にノウハウが蓄積する
外部のシステム開発会社に依頼する場合、企画からリリースまで、エンジニアの人件費の他、機材や設備にかかる費用、開発にかかる光熱費、打ち合わせや検収よってかかる社内コストなど様々な費用がかかります。
しかし、自社開発であれば、人件費だけなので開発コストを抑えられます。さらに、スケジュール調整や仕様が変更となった場合でも、費用をかけずに柔軟に対応できるでしょう。
またkintoneは、アプリ作成画面であらかじめ用意されたパーツをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけで作成できるノーコードツールです。
プログラミング知識のない入門者でも、簡単な操作でアプリ開発ができます。また、アプリ作成だけでなく、修正や追加も容易に行えます。
kintoneアプリについて、下記記事もご参考にしてください。
▼kintoneのアプリは無料で使える? おすすめのサンプルアプリをご紹介
さらに、アプリを自社開発をすることで開発担当者の経験値が上がり、スキルアップにつながります。社内に知見やノウハウ・マニュアルが蓄積されていくことで、新たなアプリ開発に生かせるでしょう。
世界的にDX人材の不足が深刻化する中、こうした自社開発を繰り返すことで、自然と会社のデジタル人材の育成を期待できます。
自社開発する際のポイント
kintoneでアプリを自社開発する際には、以下の3つの点に注意が必要です。
- データ構造をよく理解する
- プラグインは使いすぎない
- アプリの乱立を防ぐ
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.データ構造をよく理解する
kintoneのデータ構造は、ExcelやMicrosoft Accessなどとは異なります。
例えば、これまで使用していたExcelをアプリ化する場合、そのまま移行するのではなく「テーブルはどうするのか」「ルックアップや関連レコードといった機能をどう生かすか」などを整理し、データを最適化しなければなりません。
これらをよく理解せず開発すると、将来的にアプリを拡張する際に、大幅な修正や見直しの工数をとられる恐れがあるため、注意が必要です。
Excelの連携方法や関連レコードについて、解説記事をご用意しております。ぜひご確認ください。
▼kintoneのExcel連携方法は? 事例や拡張機能をご紹介
▼kintone「関連レコード一覧」の便利な使い道は? 設定方法も解説
2.プラグインは使いすぎない
kintoneの標準機能でできることには限りがあります。その際、プラグインを使うことで様々な機能を拡張できますが、プラグインは入れすぎに注意が必要です。
プラグインを利用するには「スタンダードコース」での契約が必要です。
ひとつのアプリにつき20個までプラグインを入れられますが、あまり多くのプラグインを入れすぎるとプラグイン同士が干渉し合い、正常な動作をしなくなる可能性があります。
kintoneには無料と有料含めて様々なプラグインが毎年リリースされていますが、機能が重複していないか、本当に必要な機能かをよく検討する必要があります。
プラグインについて、詳しい記事はこちら。
▼【2024年】無料版kintoneプラグインのおすすめをご紹介!
▼kintoneのプラグイン開発|必要なファイル、開発手順を紹介
スタンダードコースについて、詳しい記事はこちら。
▼kintoneのスタンダードコースとは? 機能や月額料金、ライトコースとの違いを解説
3.アプリの乱立を防ぐ
kintoneは誰でも簡単にアプリを作れることがメリットですが、社内でアプリを作りすぎて、管理しきれなくなるケースも少なくありません。
一度、アプリ開発がうまくいくと、次々にアプリを作成してしまいがちです。結果として「各アプリでデータが連携できていない」「似たようなアプリができて、どれを利用すればいいかわからない」などの事態に陥ります。
アプリ開発をする際は、目的やアプリを使用する人を明確にし、将来的に実現したい業務イメージを想定しておくことが大切です。
また、むやみな乱立を防ぐために権限や作成ルールをあらかじめ整理しておく必要があります。
アプリの乱立を防ぐ資料をご用意しております。ぜひダウンロードして、ご参考にしてください。
kintoneアプリの乱立を防ぎ効率的に活用
kintoneでアプリを自社開発する方法
kintoneでアプリを自社開発する方法は、主に以下の3つです。
- アプリをはじめから作成する
- サンプルアプリから作成する
- カスタマイズして作成する
それぞれの方法について、詳しく解説します。
アプリをはじめから作成する
作成画面からパーツを組み合わせて、作成します。
-
kintoneのトップページの「アプリ」欄にあるプラスボタン[∔]アイコンをクリックします。
出典:「アプリをはじめから作成する」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/create_app/tutorial.html -
[はじめから作成]をクリックします。
出典:「アプリをはじめから作成する」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/create_app/tutorial.html -
新しいアプリの作成画面が表示されるので、まずは任意のアプリ名を入力します。
出典:「アプリをはじめから作成する」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/create_app/tutorial.html -
画面左側の項目(フィールド)から配置したいパーツを右側にドラッグ&ドロップします。
出典:「アプリをはじめから作成する」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/create_app/tutorial.html -
4の作業を繰り返し、入力欄の配置が完了したら、画面左上の[フォームを保存]をクリックして、フォームを保存します。画面右上の[アプリを公開]をクリックすると、作成したアプリが公開され、対象のユーザーも使用できるようになります。
出典:「アプリをはじめから作成する」kintoneヘルプ
https://jp.cybozu.help/k/ja/user/create_app/tutorial.html
kintoneのアプリ作成を体験できるWebページがあります。こちらでまずは体験してみるのもよいでしょう。
kintoneアプリ作成画面
サンプルアプリから作成する
前項「アプリをはじめから作成する」のようにゼロから作成しなくても「サンプルアプリ」というアプリのひな形(テンプレート)を利用してアプリを作成することも可能です。
kintoneでは、あらかじめ部署・業種別に100以上のサンプルアプリが多数提供されています。そのまま使うことも可能であり、デザインや設定をカスタマイズして作成することもできます。
サンプルアプリについて詳しくはこちらをご覧ください。
カスタマイズして作成する
お手持ちのExcelやCSVファイルを読み込んでアプリを作成することもできます。
より自社の業務に合ったアプリを開発するなら、APIやJavaScript、プラグインを活用するとよいでしょう。
APIを使って基幹システムと連携させ、より詳細なデータと紐づけることや、JavaScriptで細かい設定や動作を組み込むことも可能です。
無料のプラグインを利用すれば、開発コストを抑えて機能を拡張できます。
kintoneのアプリ開発例
kintoneを使って実際にどのようなアプリを作成できるのか、サンプルアプリを活用して作成したアプリの作成例をご紹介します。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneのアプリ作成例が知りたい! 使い方やおすすめを紹介
名刺管理アプリを作成する
kintoneには名刺管理ができるサンプルアプリが用意されており、簡単に自社に合った名刺管理アプリを作成できます。
「会社名」「所属部署」「役職」「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「名刺交換日」「自社営業担当者」など登録したい項目を決め、作成画面からドラッグ&ドロップで項目を配置します。名刺交換日は日付型、会社名・所属部署・役職・氏名は文字列型など、適切なデータ型を選択し、保存・公開するだけで完成です。
必要であればプラグインを使うことで、データ入力をより効率化できます。スマホで撮影した画像をAI(人工知能)によるOCR解析機能で電子データ化する「Ai名刺解析プラグイン」などがおすすめです。
名刺管理アプリについて詳しい記事はこちら。
▼kintoneで名刺管理|アプリやプラグイン連携を紹介
勤怠管理アプリを作成する
アプリストアから「タイムカード」のサンプルアプリを追加し、承認者・出勤時刻・退勤時刻を設定するだけで完成します。
申請日時記録が故意に変更されないよう、アクセス権を設定するのもおすすめです。
勤怠管理アプリや総務・人事関連業務アプリについて、詳しい記事はこちら。
▼kintoneで勤怠管理するメリットは? 導入手順やアプリの例も紹介
▼kintone(キントーン)で経費精算業務をシステム化する方法を解説
▼kintoneの在庫管理アプリ|総務・人事におすすめのサンプルアプリを紹介
顧客管理アプリを作成する
現在、Excelや紙で顧客管理をしている場合、アプリ化を行うことで常に最新情報に更新されるとともに、担当者や進捗状況の可視化や、一元管理による業務効率化の実現など多くのメリットを得られます。
kintoneには「営業支援(SFA)パック」「顧客サポートパック」など、顧客管理に適したパッケージが用意されています。顧客情報と紐づけて、商談履歴や案件の詳細をまとめて管理できます。
顧客管理やSFA関連のアプリなどについて、詳しい記事はこちら。
▼kintoneで顧客管理をするメリットや方法は? 注意点も詳しく解説
▼kintoneで構築する営業支援システム(SFA)とは?
▼kintoneで請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
その他、kintoneの活用例について詳しい記事はこちら。
▼kintoneの活用についてご紹介! 導入事例を参考に詳しく解説
▼kintone(キントーン)を活用してアンケート業務を効率化! 作成方法や注意点を解説
kintoneでアプリ開発を外注するメリット
ここまでご紹介した通り、kintoneはノーコードツールのため手軽にシステム開発が可能です。
しかし、社内で開発期間や人員を確保できない場合や、複雑な設定が必要な場合は、最初からプロに依頼する方が効率的です。
外注する場合のメリットについて、以下の3つが挙げられます。
- JavaScriptやAPIを使った複雑な開発ができる
- 他のアプリやシステムとの複雑な連携ができる
- 人材やリソースの確保が不要
JavaScriptのコーディングやAPI連携が必要な場合は、プロに依頼した方が迅速かつ安全性の高いアプリが作成できるでしょう。
社内に対応できる人間がいればよいですが、「あまり詳しくない」「勉強しながらやってみる」だと、意図しない挙動が起きたり、同期先に影響が出たりとトラブルとその対処に追われる可能性があります。
無理をせず、実績が豊富なプロに依頼することをおすすめします。
また、他アプリや外部ツールとの連携を行う場合、それぞれのシステムにある程度詳しくないと対応できません。
プロに依頼すれば、他システムへの影響やセキュリティリスクなどを踏まえて計画的に進めてくれるため安心です。
内製化する場合は、社内の人材がアプリ開発に多くのリソースを割く必要があります。また、開発スケジュールに遅れが生じた場合、追加の要員を直ちに調達することは非常に困難です。
外注であれば、当然社内でリソースを確保する必要はなく、納期に合わせた調整を外注先がしてくれます。開発に遅れが出てはならない場合や社内人材に余裕がない場合は、外注を検討するとよいでしょう。
テクバンのkintoneの開発支援と運用サポートとは?
外注する際の注意すべきポイント
外注を検討する場合、何を重要視するか、開発後の運用をどうするのかを明確にしておくことが大切です。ここからは、外注する際に注意すべきポイントをご紹介します。
- アプリ開発実績のある企業を選ぶ
- 開発後もサポートしてくれる企業を選ぶ
- 開発後の運用イメージを固めておく
1.アプリ開発実績のある企業を選ぶ
システム開発会社にもそれぞれ得意不得意な分野があるため、あらかじめ開発実績や導入事例などを確認しておくことが重要です。
また、システム開発自体は長年行っているものの、kintoneのアプリ開発の実績はないという会社もあります。
kintoneの開発経験がある企業であれば、より多くの知識やノウハウがあるため、安心して任せられるでしょう。
2.開発後もサポートしてくれる企業を選ぶ
業務アプリは実際に使用してみないと「使いやすさ」「見やすさ」などはわからないものです。また、数か月使ってみて「もっとこうした方が効率できる」と業務改善を見出せることもあるでしょう。
そのため、導入後も運用サポートやアプリのカスタマイズ対応があるかなど、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
ほとんどのkintoneベンダー企業は、開発に加えて運用サポートや伴走サポートを提供しています。開発後のサポートも併せて検討しておくと、よりkintoneの導入効果を高められるはずです。
3.開発後の運用イメージを固めておく
実際にアプリを開発した後の運用や業務フローのイメージが固まらない状態で外注してしまうと、社内から想定よりも使いにくいなどの声があった場合、納品後に追加の発注が必要になる恐れもあります。
あらかじめ運用イメージを明確にしておくこと、また、導入後の業務フローまでアドバイスしてくれる会社を選びましょう。
テクバンのkintone開発支援サービス
テクバンは、kintone導入前後のお客様をサポートするサイボウズ社公認のパートナー企業です。
kintoneの導入はもちろん、アプリの開発やその後の定着化・内製化支援も行います。
また、属人化を避けるための運用体制のご相談やレクチャーなども行っております。
kintoneに関するお悩みがあればぜひお気軽にご相談ください。
テクバンのkintone開発支援サービスはこちらから
アプリ開発が不安なら外注でもOK
kintoneはドラッグ&ドロップで簡単にアプリ開発が可能で、アプリのひな形やプラグインも多数提供されているため、アプリ作成が初めてでも自社開発が可能です。
しかし、リソースを確保できない場合や複雑なアプリを作成したい場合など、不安な時は外注した方が、効率がよい場合もあります。
まずは、どのようなアプリを作りたいか、誰が使うのか、そのアプリをどうやって運用していくかのイメージを固めてから、自社開発か外注かを検討することをおすすめします。
※本記事の内容は2023年1月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
kintone開発支援サービス
kintoneプラグイン