kintone(キントーン)はノンプログラミングで開発できるプラットフォームです。
ドラッグ&ドロップで直感的・視覚的に行うローコード・ノーコード開発から、JavaScriptを使用したカスタマイズ開発や、自社独自のアプリ開発など柔軟に対応できます。
kintoneをすでに導入している方や、これから導入をお考えの方が抱えている「kintoneの開発は自社でできるのか?」の疑問に、本記事で解決策をご紹介します。
kintone開発を自社で行うメリット・デメリット、また開発を行う際のポイントなど、ぜひお役立てください。
kintoneでできること、ライセンス・料金体系など、kintoneの基本を知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。
▼kintoneでできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
▼kintoneライセンス別の料金や特徴一覧
kintone開発を自社で行うメリット
kintone開発を自社で行うメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 自社の社員が開発者として行うため、コストがかからない
- 社内で開発のノウハウが蓄積される
- 業務に対する理解が深いため、業務に適切な開発ができる
詳しくみていきましょう。
自社の社員が開発者として行うため、コストがかからない
自社の社員で開発を行えば、外部のシステム開発会社などに依頼する必要はなく、その分コストはかかりません。
開発規模にもよりますが、システム開発の外注となると5~50万ほどかかることが想定され、気軽に外注化できない組織も多いのではないでしょうか。
金額が大きくなればなるほど、社内稟議を通し、上長・上司に承認をもらう必要があります。外部の開発会社に依頼するのも容易ではなく、手間や時間がかかります。
自社開発ではその大きなコストは削減できるため、社員の給与以外の費用はかからず、kintoneの開発を行えます。コスト面で不安がある方は、自社開発がおすすめです。
社内で開発のノウハウが蓄積される
社内で開発のノウハウが蓄積されることは、組織にとって非常に価値のあることです。
蓄積されたノウハウをもって今後もさらなる業務改善のための開発を続けられ、またその知識・経験を他のメンバーへ共有したり教育したりすることが可能です。
そのような内製化を行えるレベルまで達すると、組織としても大きな成長といえるのではないでしょうか。
自社開発にて蓄積されたノウハウは、マニュアルや社内ガイドなど形に残るものとして作成しておくと、今後より効果を発揮するものになるでしょう。
業務に対する理解が深いため、業務に適切な開発ができる
当然のことながら、現場の課題を深く理解しているのは現場の人間、自社の社員であるため、どのような業務改善を行えば課題解決に導けるかイメージしやすいのではないでしょうか。
これを外部に正確に伝えようとしても一度では上手く伝えられず、理解してもらうために詳細な資料をまとめたり、現場に実際に来てもらったりといった手間が必要です。
そういった情報伝達・認識合わせは、社内のメンバー同士であれば比較的容易であるため、業務改善を行うためにどんな開発が必要なのか、適切な答えを導き出せるメリットがあります。
kintone開発を自社で行うデメリット
一方で、kintone自社開発のデメリットとして、下記3つの点が挙げられます。
- 開発作業に慣れるまでに時間がかかる
- 高度な開発には専門知識が必要
- コア業務との兼務
次項で詳しく解説していきます。
開発作業に慣れるまでに時間がかかる
すでに社内にプログラミング知識を有したプログラマーやエンジニアがいれば問題ありませんが、開発経験が乏しい人だと開発作業に慣れるまでに時間がかかることは避けられません。
時には専門用語やプログラミング言語を逐一調べたり、マニュアルやkintone公式サイトの開発操作手順を参考にしながら作業したりと、通常の開発作業に比べて時間がかかってしまいます。
もちろん、作業を続ければ慣れていくため、いずれは解決される点ではありますが、初めて開発作業を行う人、開発に苦手意識がある人など、初めのうちは時間がかかることもあるかもしれません。
高度な開発には専門知識が必要
例えば、複雑な工程をたどるシステム設定や、ユーザーが選択する条件によって動作が変わるといった高度な開発には、それなりの専門知識を要します。
また「在庫管理アプリ」「顧客管理アプリ」など、kintoneの複数アプリを連携させ、データの一元管理化を行うにもカスタマイズ開発が必要です。
システムやサービスの構築・開発経験のある方なら手馴れていると思いますが、非エンジニアであれば対応方法だけでなく、システムの設計・管理や不具合が起きたときの解消方法など導き出すのも困難かと思われます。
自社で高度な開発を行うことになりそうだと予測できたら、対応するメンバーの選定も重要となります。
どれほど高度で難しいものなのかをしっかり理解した上で、自社で本当に開発するのか、少し開発クオリティのレベルを落とすのか、外部に依頼するのか、など決定しましょう。
コア業務との兼務
コア業務と兼務してkintone開発作業を行う場合、コア業務への支障や開発作業に十分に時間を割けられないことを理解しなくてはなりません。
コア業務の実施時間を落とすことになれば、組織として生産性の低下や利益損失につながる可能性が考えられます。加えて、開発作業が中途半端になってしまうという恐れもあります。
また兼務となれば、任せられた社員の心理的負担も気にかけましょう。できる人につい仕事を任せてしまいがちですが、負担に感じていないか、残業が多くなっていないかなど気遣い、時にはサポートするような姿勢が必要だといえます。
kintone開発を自社で行うときのポイント
kintoneの開発を自社で行う際のポイントや注意点を解説します。事前に準備するものもありますので、ぜひご参考ください。
既存データの見直し
これまで社内で使用してきた紙の書類やExcelを、そのままkintoneへと生き写ししないことをおすすめします。
kintoneには、テーブル(表)、関連コードといった単一のもので表現されるデータ構造以上に便利でわかりやすく表現できる機能があります。
これらの機能を活用せず、既存データを基にkintoneの開発を進めていくと、将来的にアプリの拡張やプラグインのカスタマイズ開発の際に障害となってしまう可能性が高まります。
まずはkintoneの機能を十分に理解した上で、kintoneへ移行する Excelといったデータの構造を見直しましょう。
kintoneとExcelの連携方法については、下記記事をご参考ください。
▼kintoneのExcel連携方法は? 事例や拡張機能をご紹介
プラグインに頼りすぎない
拡張機能「プラグイン」は無料で公開されており自由に使用できますが、あまりにも入れすぎるとプラグイン同士の競合を起きてしまいます。
そうなると、動作が遅くなったりkintoneが動かなくなってしまったりという障害が発生する恐れがあります。
様々なkintoneのベンダー会社がプラグインをリリースしていますが、機能的に重複したものも多く存在しているため、必要なプラグインの選定が必要です。
便利だからとあれこれプラグインに頼りすぎると思わぬ問題につながりかねません。プラグインを入れる際は注意しましょう。
kintoneプラグインについて下記記事にて解説しています。ぜひ、ご参考ください。
▼kintone(キントーン)プラグインのおすすめをご紹介!【無料プラグイン】
▼kintoneのプラグイン開発|必要なファイル、開発手順を紹介
社内のたくさんの人の意見を聞く
組織によっては、kintoneの開発作業を一人で行っている組織も多いようです。
作業自体は一人になるかもしれませんが、作業の途中で悩んだり、どのような開発を行えば業務改善につながるのか迷ったりしたら、社内の誰かに相談するようにしましょう。
会話の中で問題解決につながるヒントやアイデアが見つかるかもしれません。担当者は、積極的に社内のメンバーとコミュニケーションを図ることで、よりよいkintoneの開発へと進められるはずです。
それでも社内で解決できない場合は、サイボウズ社が公開している「cybozu developer network」を利用するのも有効でしょう。
ディベロッパー同士が課題を解決し合えるオープンなコミュニティで、プログラムやシステム開発についてディベロッパーに質問することができます。
kintoneパートナー企業に外注すべきケース
ここまで自社でkintone開発を行うことを前提に紹介してきましたが、時にはプロの手を借りることも必要となるでしょう。しかし、自社or外注の判断は存外難しいものです。
どのような状況になったらkintoneのパートナー企業に外注すべきか、次項にて解説していきます。
実装までに時間がない
kintoneへシステム実装までに時間が十分に確保できない場合は、外注をおすすめします。
仮に開発まで終わったとしても、その後のテスト検証や不具合解消まで行う必要があり、そこまで考慮したスケジュールの確保が不可欠です。
社内で時間を割けられず早急な実装を希望する場合は、kintoneパートナー企業に依頼する方がメリットは大きいでしょう。
早急な対応となると、若干上乗せ料金の見積もりとなる可能性がありますが、パートナー企業が対応する以上、成果物は確実で適切なものが期待できるため、実装まで安心して任せられるといえます。
kintoneへの実装希望日から逆算して、社内で開発するか、外注にするか決めるのもひとつの手です。
JavaScriptなどプログラミングの知識が必要な開発
JavaScriptに精通しているメンバーであれば問題ありませんが、複雑なコードや条件分けなど、プログラミングの一定の知識・経験が必要となります。
コードはWeb上にいくつも公開されていますが、読み解くことができない非エンジニア者がやろうとすると、難しいと感じるのではないでしょうか。
初歩的なJavaScriptのカスタマイズであればマニュアル等見ながら対応できますが、難易度が上がるものは有識者にお任せした方が有効です。
下記記事にて、入門的なJavaScript活用を紹介しています。こちらもぜひ、ご参考ください。
▼kintoneでのJavaScript活用!カスタマイズでさらなる業務改善
外部システムとの連携
kintoneは、外部システムとの連携を比較的容易に行えるサービスではありますが、簡単なものを除いて外部システムとの連携を実現したい場合は、パートナー企業に相談するのが良いでしょう。
ベンダー企業が提供しているクラウドサーバー上のソフトウェアを、インターネット経由でユーザーが利用できるサービスを「SaaS(Software as a Service)」といいますが、SaaS同士であれば各サービスの仕様をよく理解した上で、kintoneとの連携が必要となります。
それぞれの仕様をよく理解できないと不具合や障害発生につながりかねません。プロにお任せするのが確実でしょう。
また、社内のデータベースとkintoneを連携させたい場合、セキュリティ面での考慮が重要です。
kintoneパートナー企業であれば、セキュリティ対策は大前提に外部システムの連携を実現した実績があるはずなので、そのような際はパートナー企業に相談することをおすすめします。
kintoneのセキュリティについて、下記記事にて解説しています。併せてご参考ください。
▼kintoneのセキュリティは安心? 製品の各種機能と設定を解説
kintone開発の事例を参考に
kintoneの開発について、自社で行うか、外部に依頼するかを解説してきました。
これから実際にkintoneの開発を検討している、kintoneの開発を行うことが決まったという方は、kintoneパートナー企業が紹介している事例や実績を参考にしてみるのはいかがでしょうか。業務改善へのシステム開発が、自社でできるかどうか判断材料となるでしょう。
テクバンでは、kintone開発支援を行っており、システム開発だけでなくコンサルティングや運用・サポートを行っております。
「業務改善のためkintoneの開発が必要なのはわかっているけれど、何から行えばよいかわからない」「社内で対応しきれない部分だけ対応してほしい」などお客様のご要望に柔軟に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
※本記事の内容は2023年1月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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