kintone(キントーン)は、様々な業種・業務で使える汎用性の高い業務効率を上げるプラットフォームサービスです。とはいえ、kintone はできることばかりではなく、できないこともあります。事前に kintone の特徴を把握しておかないと、導入後に「やりたい業務を kintone に組み込めない」といったトラブルが生じるかもしれません。
この記事では、kintone ができること・できないことや、具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。kintone 導入を検討している方は、ぜひご一読ください。
kintone の仕組み
kintone は、「アプリ」と呼ばれる業務システムを組み合わせて作る仕組みです。必要なアプリのみを導入すれば、自社の業務を最適化できます。あらかじめ様々な業務に合うアプリのひな型として用意されている「サンプルアプリ」を選んだり、部署や業種別のサンプルアプリをまとめた「パッケージ」を使ったり、構築方法は自由です。
kintone のアプリは、「データベース」と「コミュニケーション」を標準機能として備えています。データベース機能は、データの蓄積や一覧表示、検索、集計、管理が可能です。一方のコミュニケーション機能は、ひとつひとつのデータにコメントや指示を書き込めます。全てのアプリにどちらの機能も実装されているため、kintone に業務を集約して、業務効率のアップが期待できるでしょう。
kintone ができること・得意なこと4つ
kintone ができること・得意なことは、主に次の4つに分けられます。
- 業務アプリの作成・仕様変更
- 外部サービス連携
- グループウェア機能
- マルチデバイス対応
具体的に解説します。
1. 業務アプリの作成・仕様変更
kintone は、独自アプリの作成や仕様変更に対応しています。方法は簡単で、アプリ作成画面から必要な項目をドラッグ&ドロップで設定するだけです。「アプリ作成は難しい・苦手」と感じる方でも、直感的な操作によってオリジナルアプリを作りたいように作れます。
他にもデータの管理状況や用途に応じて、次の手法などでアプリの作成が可能です。
- Excel やCSVファイルを読み込む
- 他のアプリを再利用して新たに作る
- JavaScriptによるカスタマイズ
▼JavaScriptによるカスタマイズでできることの詳細はこちらもぜひご覧ください
https://biz.techvan.co.jp/tech-kintone/blog/000072.html#index-5
2. 外部サービス連携
プラグイン(拡張機能)による外部サービスとの連携は、kintone の得意分野です。kintone とAPI連携できるクラウドサービスは多く、100種類以上のプラグインがあります。メール送信システムや、販売管理サービスなどの多様な外部サービスに対応しています。
ただし、kintone の外部連携プラグインは有料利用が一般的ですので、導入前に利用コストを試算しておきましょう。コストはかかりますが、現在利用中の外部サービスと連携すれば、kintone 上で情報を一元管理化し、業務改善につながります。
3. グループウェア機能
kintone は、情報共有やコミュニケーションなどのグループウェア機能が充実しています。経費の申請・承認、顧客・案件進捗の管理といった素早い情報共有が可能です。グループウェア機能には次のようなものがあります。
- データに紐づけたコメント、メンション
- リマインド通知
- チーム単位でチャットができるスペース機能
- スペース内で話題を分けられるスレッド機能
さらに、上記のスペースには社外の人も参加できる「ゲストスペース」が実装されています。社内外を問わず円滑なやりとりが実現できるでしょう。
4. マルチデバイス対応
マルチデバイスに対応している点も、kintone の強みです。kintone の使用には、PCやスマホ、タブレットなどの端末による制約を受けません。WebブラウザやOSなどの動作環境を満たしていれば、様々なデバイスからアクセスできます。
スマホ・タブレットはWebブラウザからの利用だけでなく、モバイル専用アプリも用意されています。iOS・Androidのどちらにも対応していますので、OSの違いによる制限もありません。
kintone ができないこと・苦手なこと2つ
kintone は、利便性の高いソリューションです。しかし、以下2つのようにできないこと・苦手なこともあります。
- kintone 自体に本格的な会計システムはない
- 大容量データの保管には向いていない
詳しい理由を見ていきましょう。
1. kintone 自体に本格的な会計システムはない
kintone は多くの作業をシステム化できますが、あくまでプラットフォームです。専門サービスのような特化した機能はなく、中でも会計システムとしての機能は豊富ではありません。例えば、会計ソフトに多い下記機能は、kintone 単独での利用は未対応です。
- OCRを使ったレシート読み取り機能
- 金融機関と連携した帳簿の自動仕訳、AI学習
- 電子帳簿保存法への対応
これらの機能を使うためにはプラグインによる外部サービスとの連携が必須のため、別途料金が発生します。kintone に本格的な会計機能をつけるには、有料の外部連携が前提となる点を理解しておきましょう。
2. 大容量データの保管には向いていない
kintone で保管できるデータ容量は多くなく、ディスク容量の上限は1ユーザーにつき5GBまでです。上限を超えると通知メールが届き、一定期間を超えても対応しないと利用を停止される場合があります。
また、添付ファイルの容量制限は1GBです。kintone に蓄積する情報は業務で用いるデータにとどめ、大容量データの保存・共有はオンラインストレージやファイル転送サービスの利用をおすすめします。
kintone を導入するメリット3つ
kintone を導入すると、次の3つのメリットを得られます。
- スムーズな情報共有
- 利用する場所や時間を問わない
- 導入・運用サポートが充実
順番に説明します。
1. スムーズな情報共有
kintone は、情報共有に役立つ機能が豊富です。スペース機能を用いれば、スピーディーな情報確認とコミュニケーションを行えます。データに対して直接アドバイスや質問などのコメントをつけられるため、他のツールを介する必要がありません。
また、データの全文検索にも対応しています。アプリのデータ、スペースの投稿、ユーザープロフィールから検索結果が表示され、必要な情報へすぐにたどり着けます。検索範囲の絞り込みも可能です。kintone を活用すれば、情報の共有・確認・管理がスムーズになるでしょう。
2. 利用する場所や時間を問わない
kintone はクラウドサービスですので、利用する場所や時間を問いません。マルチデバイスに対応しており、端末の制限もなく使えます。外出先や自宅、移動中にシステムへアクセスできるので、いつ・どんな場所でも承認・申請作業が可能となります。
さらに、リモートワークへの移行も容易になります。在宅勤務を導入する際の課題として、タスク管理やコミュニケーションの難しさがあります。そうした課題を解決する手段に「ICTツールの導入」がありますが、kintone があれば対応可能です。ICTツールの中心となるコミュニケーションツールや、進捗管理・情報共有に役立つアプリを備えているからです。どこでも利用できる kintone は、柔軟な働き方の実現手段として活躍します。
3. 導入・運用サポートが充実
kintone ならではのメリットとして挙げられるのが、充実したサポート態勢です。専門スタッフによる「導入相談カフェ」や各種セミナーを用意しており、導入前からの支援態勢が整っています。導入相談カフェの利用は、各拠点への来店またはオンラインのWeb会議から選択可能です。
他にも、kintone オフィシャルパートナーへの相談窓口が用意されています。アプリの設計・開発、導入環境の構築、運用定着支援などの依頼が可能です。様々な角度からサポートを受けられるため、IT関連のノウハウが少ない会社でも安心して kintone を導入できます。
kintone を導入するデメリットと対策3つ
kintone はメリットばかりではなく、次のような3つのデメリットも存在します。
- アプリの乱立
- 有料プラグインの費用負担
- 不適切な設計によるリスク
それぞれ、対策方法と併せて紹介します。
1. アプリの乱立
kintone は簡単にアプリを作れるため、アプリが乱立する恐れがあります。例えば、案件・進捗管理などの情報を扱うアプリを、いくつも作ってしまい混乱するかもしれません。管理ツールが乱立すると使い勝手が悪くなり、業務効率の悪化や伝達ミス、入力漏れが生じるリスクが高まります。
kintone のアプリはむやみに量産せず、担当者に任せることが大切です。あるいは、アプリ作成の全体ルールを作って周知徹底しましょう。必要なアプリのみをそろえ、kintone 導入による業務改善を期待できます。
2. 有料プラグインの費用負担
有料プラグインを数多く導入すると、費用負担が重くなります。kintone の役割は業務プラットフォームですので、専門機能は外部サービスのほうが豊富です。そのため必要に応じてプラグインを追加することになり、当然ながらプラグインの数が増えるほどコストは増大します。
有料プラグインを追加する前に、本当に kintone と連携する必要があるのか検討しましょう。kintone に集約する必然性がない業務は、その業務だけを行う専門システム内で完結させたほうがコストの節約になります。予算の都合も考えつつ、kintone で行うと効率が上がる業務とそうでない業務を洗い出してみてください。
3. 不適切な設計によるリスク
kintone を利用する上で気を付けてほしいのが、不適切な設計によって生じるリスクです。kintone は自由にアプリ作成や無料プラグインの追加を行えますが、専門的な開発知識がないと「この状態は適切な設計なのか」を判断できません。そのため、気付かないうちに不適切な設計になってしまう可能性があります。
例えば、情報を参照できなくなったり、kintone アプリ間の連携ができなくなったりする問題が生じる可能性があります。また、追加した無料プラグインの更新・改修が行われず、ぜい弱性のリスクが生まれる恐れもあります。こうしたトラブルを回避するためには、システム全体の管理・定期メンテナンスが欠かせません。
社内にノウハウがないのであれば、kintone 公認カスタマイズサービスの開発・運用サポートがおすすめです。専門家によるアプリの仕様設計・見直し、メンテナンスを依頼できるため、より専門的に kintone をカスタマイズして使用したり、セキュリティ強化することが可能です。
kintone 導入が向いているケース・向いていないケース
ここまでの kintone の特徴をもとに、kintone 導入が向いているケース・向いていないケースを紹介します。導入検討中の方は、判断材料のひとつとしてお役立てください。
1. kintone 導入が向いているケース
kintone 導入が向いているのは、以下のいずれかに当てはまるケースです。
- 複数のシステムで行っている業務や部署間をまたぐ業務をまとめたい
- ひとつのプラットフォーム上で情報共有をしたい
- アナログや Excel 管理から脱却したい
- ランニングコストを抑えたい
kintone は、複数の業務や付随する情報共有の一元化が得意です。作業ごとに他のツールに切り替える手間が省けるため、業務全体のスピードアップが図れます。導入コストが低く、システム関連コストを削減したい場合もおすすめできます。
2. kintone 導入が向いていないケース
下記のいずれかに当てはまるのであれば、kintone 導入は不向きといえます。
- 専門システムの機能で充分足りている
- 専門システム並みの機能がほしい
- アプリの構築をしたくない、わからない
- 多数の有料プラグインが必要
kintone は様々な機能を組み合わせて使うため、そもそも多くの機能を求めていない場合はコストパフォーマンスが良くありません。反対に、専門システムと同一の機能を期待しても、kintone 単独で実現するのは困難です。有料プラグインを追加すれば、ある程度の機能を備えられますが、別途コストが生じます。
なお、向いていないケースに当てはまる場合でも、kintone のオフィシャルパートナーに相談すれば、導入時の問題を解決してくれるでしょう。お悩みの方は、相談を検討してみてはいかがでしょうか。
kintone ができること・できないことを理解した上で導入しよう
kintone はできることが多い便利なサービスですが、大容量データの保存と専門機能の単独実装は苦手としています。kintone は、できること・できないことを理解した上で導入しましょう。
導入する際は、オフィシャルパートナーに相談すると導入から運用までトータルの支援を受けられます。kintone 導入に関して不安がある方は、kintone オフィシャルパートナーであるテクバンへの問い合わせもご検討ください。
※本記事の内容は2022年5月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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