業務改善ツールであるkintoneには、様々なアプリが用意されています。それらを使用することで業務の効率化や生産性の向上につながりますが、kintoneのアプリは無料で使用できるのか、気になる方もいるかと思います。
本記事では、kintoneのアプリが無料で使用できるのかについて解説し、おすすめアプリやアプリの作り方を紹介します。
kintone(キントーン)はアプリを追加して使用する
kintoneでの「アプリ」とは、仕事・業務の数だけ追加できる業務システムのことをいいます。
kintoneの最大の特長は、アプリを誰でも簡単に作成でき、作成したアプリをその日から使用できる点です。すでに用意されているアプリもあるためそのまま使用したり、自社の業務に沿ってカスタマイズしたり、と自由に活用できます。
アプリ作成機能の他に、データを蓄積・一覧・検索できるデータベース機能と、業務を円滑に進めるコミュニケーション機能もあります。これらの機能を駆使することで、業務改善を実現できるのです。
kintoneのアプリについて、下記記事にて詳細を解説しています。併せてご参考ください。
▼kintoneのアプリとは? 作成方法やサンプルを解説
kintoneアプリの追加は無料でできる?
kintoneにはたくさんのアプリが用意されていますが、それらを追加すること自体には別途料金はかからず、無料で追加できます。
しかし、契約しているコースによって追加できるアプリ数の上限が異なります。次項より詳しく解説します。
契約コースによって追加できるアプリ数が異なる
kintoneは2つのコースを用意しており、コースによって追加できるアプリ数が決められています。
1ユーザー月額1,500円である「スタンダードコース」は1,000個までアプリを追加できます。
1ユーザー月額780円の「ライトコース」は200個までです。
金額だけ見ればライトコースの方が安いですが、ライトコースは外部サービスとの連携やプラグイン(拡張機能)が利用できません。さらに、スペース(プロジェクトやタスクを進行する際に必要なやり取りを集約する「場」のこと)数では、スタンダードコースは500個まで、ライトコースは100個までと差があります。
外部サービス連携を利用しない、従業員数50未満である、という場合であればライトコースで賄えるかと思いますが、kintoneを業務システムの主力ツールとするならば、スタンダードコースの方が適しているといえるでしょう。
スタンダードコース・ライトコースについて下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
kintoneのサンプルアプリの見つけ方
kintoneには「サンプルアプリ」というアプリのひな型が無料で用意されています。そのまま使ってもよいですし、デザインや設定を変更して使うこともできます。
サンプルアプリは、「部署から探す」「業種から探す」の2通りでカテゴライズされています。
部署から探す
「部署から探す」では、以下の項目に沿ってアプリが分類されています。
- 営業・セールス
- 顧客サービス・サポート業務
- 総務・人事
- 調達・購買
- 情報システム
- 開発・品質保証
- 広報・マーケティング
- 法務・知財
- 部門共通
- その他
一例として、営業・セールス/顧客サービス・サポート業務/総務・人事の中から、おすすめのアプリをピックアップして紹介します。
営業・セールスにおすすめのアプリ
営業・セールスにおすすめのアプリ「顧客リスト」は、会社名・担当者名・連絡先などお客様の情報を登録するアプリです。
キーワード検索や地域などの条件での絞り込みが可能なため、必要な情報がすぐに確認できます。また、csv形式のデータの入出力が可能であり、Excelで管理していた顧客情報を一括で読み込めたり、他システムへのデータ移行もスムーズに行えたりします。
マスターデータとして他のアプリと連携できます。「案件管理」「問い合わせ管理」などのアプリと連携させ、顧客情報と紐付けることで、情報の一元管理を実現します。
顧客サービス・サポート業務におすすめのアプリ
顧客サービス・サポート業務におすすめのアプリ「問い合わせ管理」は、お客様からのお問い合わせ内容・対応履歴を記録するアプリです。
対応状況をグラフ化し、未完了の案件をすぐに把握できます。対応履歴が蓄積されることで、ノウハウが共有され、また対応方法に困ったときはコメント欄で相談できるなど、コミュニケーション機能も備えています。
総務・人事におすすめのアプリ
総務・人事におすすめのアプリ「ワークフロー(社内申請管理)パック」は、交通費申請/出張申請/物品購入申請の3種類の申請フォームをまとめたアプリです。
申請の工程は、社内フローに合わせて自由に設計できる他、組織改編などで申請工程が変更になる場合でも柔軟に修正可能です。
また、通知機能もあり、自分が承認者となっている場合は通知がきます。利用中のEメールに別途通知メールを受信できるよう設定も可能なため、処理漏れを防ぐことにつながります。
業種から探す
「業務から探す」では、以下項目のアプリがあります。
- 製造業
- 卸売業・小売業
- 情報通信業
- 建設業
- 医療・福祉
- 士業・コンサル業
- 不動産業・物品賃貸業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 教育・学習支援業
- 生活関連サービス業・娯楽業
- 金融業・保険業
- 運輸業・郵便業
こちらでは、製造業・建設業の中から、おすすめのアプリをピックアップして紹介します。
製造業におすすめのアプリ
製造業におすすめのアプリ「材料データ資料管理」は、材料毎の図面、品質基準書、QC工程図、信頼性試験結果などの資料を一元管理できるアプリです。
材料に関する品質や図面データを一元管理し、また材料の材料名・設計品名・担当者情報なども紐付けて管理できるため、トラブル発生時にも迅速に資料へアクセスできます。
仕様改定があった際、改定後の資料とメモを同時に残すことが可能です。それに加え、変更日時が自動で記録されるため、変更点をスムーズに確認し管理できます。
建設業
建設業におすすめのアプリ「ヒヤリハット集」は、社内独自のヒヤリハットを簡単にデータベース化できるアプリです。
クラウドでの管理・閲覧のため、各工場や建設現場など、どこでも登録や検索ができます。
それに加え、現場に合わせたヒヤリハットの入力画面をカスタマイズ可能です。ヒヤリハットが発生したら現場のメンバーが入力し、上級者がそれを確認の上、レベル分けを行うなど、ヒヤリハットの運用を自由に決められます。
入力内容の集計化も可能なため、ヒヤリハットが多い現場や工場、原因となってしまったメンバーをグラフ化してわかりやすく確認できます。
kintoneの建設業での使い方について、下記記事にて詳細を解説しています。併せてご参考ください。
▼kintoneで建設業の課題を解決! 導入メリットや業務に役立つ機能を紹介
kintoneのアプリの作り方
kintoneのアプリは、kintoneユーザーであれば自由に作成可能です。
3つの作成方法について、次項より解説します。
サンプルアプリから選ぶ
前章で紹介したサンプルアプリ使用する方法です。
サンプルアプリはそのまま使用することに加え、アプリのひな型としてカスタマイズも可能となります。
業務内容や自社の環境によってはサンプルアプリをデフォルトのまま使うには少し不便になることもあるかもしれません。そんな時は、サンプルアプリをカスタマイズして自社の業務に適合するアプリに作り替えることができます。
Excel・csvファイルを読み込む
手元にあるExcelやcsvファイルを読み込んで、アプリを作成できます。ファイル内のデータをkintoneのアプリに自動的にインポートします。
Excelを社内サーバーで管理していると、複数人で同時編集できない、ファイルを開かないと中身のデータがわからない、どのファイルが最新版なのかわからない、といった問題を抱えがちです。しかし、kintoneに集約しアプリ化することで、これらの問題を解決します。データ管理の負担が軽減される他、業務効率化へとつながるでしょう。
ドラッグ&ドロップで作成
アプリ作成画面からドラッグ&ドロップの簡単操作で、アプリを作成できます。
アプリ名を入力し、「フィールド」から文字列(1行)/リッチエディター/ラジオボタン/日付などを選び、右側の画面にドラッグ&ドロップするだけです。
kintoneアプリ作成画面を体験できるページが用意されているため、こちらで操作を練習すると作成のイメージがつかめるでしょう。
kintoneアプリ作成画面
モバイル版もアプリは無料で使える?
モバイル版でもkintoneにアクセスしてアプリを使うことは可能です。モバイル使用にも別途料金はかからないため、無料で使用できます。通知の確認や書き込みなどPC版と同様の操作を行えます。
モバイル版からkintoneを使うには、以下の2通りがあります。
- モバイルのWebブラウザからアクセス
- モバイル用アプリを利用
モバイルのWebブラウザからアクセス
iOS SafariまたはAndroid Chromeからkintoneにアクセス可能です。いずれも最新版のWebブラウザで動作保証しています。
Webブラウザを起動し、URL欄に利用中のkintoneのURLを入力すると、モバイル用に最適化されたkintoneへアクセスします。
社内のkintoneセキュリティ環境によっては、事前に設定が必要なケースもあるでしょう。iOS SafariおよびAndroid ChromeでURLを入力してエラーが表示される場合は、クライアント証明書のインストールといった、利用環境の設定が必要です。
モバイル用アプリを利用
モバイルアプリを使って、kintoneにアクセスできます。
App StoreまたはGoogle Playでアプリをダウンロードしてください。こちらのダウンロードも無料です。
モバイルアプリのインストールを実行して、サブドメインやログイン名などを設定すれば利用できます。モバイルアプリではプッシュ通知を受け取れるため、チームメンバーからの連絡やワークフローの通知をすばやく確認できるメリットがあります。
モバイル版のアプリでできないこと
しかし、PCでできることすべてがモバイル版でできるわけではありません。一部機能にモバイル版での制限があるため、注意が必要です。
モバイル版のアプリでできないことは、以下の通りです。
- アプリの作成、および設定画面の操作
- レコード一覧でのテーブルフィールドと添付ファイルフィールドの表示
- ルックアップフィールドのデータ取得時に、絞り込み条件やソート条件を変更する操作
- 絞り込み条件を保存し、新しく一覧を作成する操作
- レコードコメントの投稿日時をタップし、そのコメントのリンクへ遷移する操作
- 変更履歴で、レコードを過去のバージョンに戻す操作
- レコードの集計条件の指定
- 表・クロス集計表、および定期レポートの表示
- グラフの要素をクリックし、該当するレコードを絞り込んだ一覧画面に移動する操作
- 集計結果のcsvファイルへの書き出し
- 集計結果の埋め込み用タグの取得
- 装飾付きの文字の入力
※リッチエディターフィールドには、プレーンテキスト(装飾のないテキスト)のみ入力できます
kintoneアプリを無料で活用して、コスト削減へ
kintoneアプリは自社の業務を効率化させる業務システムです。業務システムを一から開発するとなると莫大な時間とコストを要しますが、kintoneであれば時間をかけずに低価格でアプリを作成できます。
なるべくコストをかけたくないのであれば、kintoneのサンプルアプリを活用したり、アプリをカスタマイズしたりして利用することをおすすめします。
kintoneのアプリを上手に活用し、コスト削減と自社の業務効率化と生産性向上へとつなげましょう。
※本記事の内容は2023年7月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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