kintoneの「アプリ」をご存じでしょうか。kintoneは、業務システムのことをアプリと呼び、アプリは簡単なマウス操作で誰でも作成できます。豊富なアプリの中から、業務や業種など目的に適したアプリの活用が可能です。
本記事では、kintoneアプリの作成方法や種類、人気のアプリなど紹介します。
kintoneを導入したばかりでアプリを作成したことがない、そもそもどのようなアプリがあるのかわからないという方、業務の効率化を図りたいと考えている方の参考になれば幸いです。
kintoneの詳細は、下記記事をご覧ください。
▼kintoneでできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
「kintone」とは業務アプリ作成ツール
kintone(キントーン)は、サイボウズ社が提供する業務改善プラットフォームです。手軽にビジネスアプリを作成できるクラウドツールで、業務効率と生産性の向上を図れます。
kintoneは、プログラミングの知識がなくとも手軽にアプリを作成できるため、外部に業務アプリの開発を委託する手間やコストがかからない点も魅力のひとつ。他にも、アプリ上にデータを蓄積し検索できるデータベース機能があり、膨大なデータの管理にも活用できます。
また、kintoneはコミュニケーションツールとしても最適です。チーム単位でコミュニケーションを行えるため、部内の情報共有はもちろん、社外の人との連絡手段としても活用できるのです。
kintoneの基本的な機能については、以下の通りです。
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コミュニケーション
業務を円滑に進めるため、以下のようなコミュニケーション機能があります。- スペース
「スペース」は、チームや部門単位でコミュニケーションや情報共有を行う機能です。話題ごとにスペース内でスレッドを分けることで、混乱せず話題に沿ったやり取りが可能になります。プロジェクトに合わせて用途やメンバーを自由に作成できるため、便利な機能といえるでしょう。 - ゲストスペース
「ゲストスペース」は、顧客や取引先といった社外のユーザーをゲストとして招待できる機能です。ゲストは招待されたスペースの情報しか閲覧できないため、情報漏えいのリスク低減につながります。 - ピープル
「ピープル」は、ユーザーのプロフィールを確認したりDMを送信したりすることが可能です。ユーザー同士で自由に書き込みも行えます。
- スペース
- 拡張機能
kintoneには豊富な拡張機能(プラグイン)があります。機能を拡張すれば、より自社環境に最適なアプリへと作り変えることが可能です。
プラグインは、JavaScriptやCSSファイルを読み込んでカスタマイズすることで、使いやすさが格段にアップします。他にも「外部サービス連携」という拡張機能があり、APIを利用して外部のクラウドサービスとの連携ができるため、活用の幅が広がるでしょう。
- アプリ
最も特長的なkintoneの機能といえるのが「アプリ」です。業務やプロジェクトに合わせた業務システムを自由かつ手軽に構築できます。データの蓄積・一覧・検索ができるだけでなく、アプリに蓄積したデータに対してコミュニケーションも可能です。
kintoneでは、こうした3つの機能により効率化が進み、業務を円滑に進めることができます。
また、アプリを作成する際に便利な機能も多数備わっています。
アプリに登録するデータ(=レコード)は、簡単に追加したり、再利用したりすることが可能です。指定したアプリにレコードのデータを転記できる「アプリアクション」機能や、複数レコードをまとめて登録する「一括登録・一括更新」機能など、新しいアプリを作成する場合や大量のデータを更新する場合も安心な機能が用意されています。
アプリアクション機能について、詳しい操作手順はこちらをご参考にしてください。
アプリで業務をスムーズに
kintoneのアプリは、ノンプログラミングで簡単に作成できるため、顧客管理や在庫管理、日報の作成など、あらゆる日々の管理業務のデータベースとして活用できます。プログラミングの知識を習得する手間や、システムの構築を外部に委託する必要もなく、円滑な業務遂行を目指せます。
また、kintoneアプリには「プロセス管理」機能があり、申請・承認業務といった複数人で行うワークフローを設定することが可能です。
kintoneにアクセスできる環境があれば、時間や場所を選ばず申請・承認が行えるため、業務の効率化を実現します。また、各申請内容は、レコード一覧画面から進捗を確認でき、見落としや対応漏れを防げるでしょう。申請・承認業務が多い組織にも、kintoneは最適なツールです。
プロセス管理機能については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneのプロセス管理で条件分岐があるワークフローを設定
管理権限を持つユーザーであれば、作成済みのアプリを複製し再利用する形で、新しいアプリを作成できます。作成したアプリを削除したり、削除後13日以内であればアプリを復旧したりすることも可能です。
アプリの複製(コピー)については下記の関連記事をご覧ください。
▼kintoneのアプリコピーはできる! 再利用のポイントを紹介

アプリの主な作成方法・手段
プログラミングの知識を必要とせず、ローコード・ノーコードでアプリを作成できるのがkintoneの魅力です。
以下では、アプリの主な作り方と手段を紹介します。
1.ドラッグ&ドロップでアプリの作成・カスタマイズ
フィールドタイプから、アプリで管理したいフィールドをドラッグ&ドロップの操作で配置していきます。
- kintoneポータル画面(トップ画面)の「アプリ」にある[+]ボタンをクリック
- kintoneアプリストア画面で、[はじめから作成]をクリック
- 新しいアプリのフォーム設定画面が表示される
- アプリ名を入力。また、アプリアイコンをクリックすると、アイコンを変更可能
- 左のフィールド一覧から、配置したいフィールドをドラッグ&ドロップ
- すべてのフィールドを配置し終えたら、画面左上にある[フォームを保存]をクリック
- 画面右上にある[アプリを公開]をクリック
アプリの設定を変更する際は、レコード一覧画面の右上にある歯車アイコンから設定を変更できます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
2.ExcelやCSVのファイルを読み込む
手元にあるExcelやCSVファイルを読み込ませ、アプリの作成が可能です。ファイル内のデータをアプリにインポートできます。
Excelでは同時に更新できない、管理しているデータが点在し二重入力が発生するなど、管理に限界があるケースもあるでしょう。しかし、アプリ化してクラウド上で管理することで、最新の情報を共有できたり情報が可視化されたりするため、格段にデータ管理しやすくなります。
- kintoneポータル画面の「アプリ」にある[+]をクリック
- kintoneアプリストア画面の[Excelを読み込んで作成]をクリック
- 画面右下[作成を開始する]をクリック
- チェック項目を確認し、チェックを入れた後[アップロードに進む]をクリック
- 「Excelファイルをアップロードする」にある[参照]ボタンをクリックし、参照するExcelファイルを選択
- 「データ範囲(Excel内)の指定」画面に移り変わったら、kintoneに読み込むデータの範囲を指定
- 「プレビューを確認する」にて、プレビュー表示の先頭行に、項目名(フィールド名)が表示されていることを確認する
- 「アプリの作成を開始する」にて、自動選択されたフィールドタイプに問題ないか確認する
フィールドタイプはExcelファイルの先頭100行のデータを基に、おすすめのものが自動的に反映されています。 - Excel項目で読み込む必要がないものがあれば、フィールドタイプで「(この列を無視する)」を選択
- 画面右下の[作成]をクリック
- 読み込みが完了したら、ポータル画面から作成されたアプリを確認
アプリ名やアイコン、フィールドの配置などは設定画面から変更が可能です。詳しくはこちらのページをご覧ください。
3.100種類以上あるサンプルアプリを利用する
アプリのひな形である無料のテンプレートを「サンプルアプリ」といいます。サンプルアプリを用意しているアプリストアには、業務や業種ごとにサンプルアプリが100種類以上も用意されています。
サンプルアプリはすぐに使用できるため、そのまま使ったりデザインを変更したりして、自社に合うようにカスタマイズすることも可能です。一からのアプリ開発に不安がある方は、アプリテンプレートを使用してカスタマイズするのもよいでしょう。
サンプルアプリについて、関連記事をご用意しております。
▼kintoneのアプリは無料で使える? おすすめのサンプルアプリをご紹介
次章にて、アプリストアの使い方について詳しく解説します。
アプリストアの使い方
アプリストアは、kintoneアカウントを持っているユーザーが利用できます。
豊富なサンプルアプリの中から用途や目的に合うテンプレートを選択して、アプリの作成が可能です。ストアページ内から、以下の2つの手段で探せます。
- 部署で探す
部署ごとにサンプルアプリがカテゴリ分けされています。例えば、以下のような業務で分けられており、担当者が所属する部署に適したアプリを選べます。詳しくはこちらから。- 営業・セールス
- 顧客サービス・サポート
- 広報・マーケティング
- 開発・品質保証
- 情報システム
- 業種で探す
サンプルアプリは「業種」からも探せます。以下のような業種で分けられており、自社の業種から最適なアプリを素早く探すことが可能です。詳しくはこちらから。- 製造業
- 卸売業・小売業
- 情報通信業
- 建設業
サンプルアプリの追加手順については、こちらのページをご参照ください。
人気のサンプルアプリ
ここからは、アプリストアにある人気のサンプルアプリを紹介します。人気なだけあり、幅広い企業の業務に対応した使いやすいものばかりです。
申請アプリ
- 出張申請
出張前の申請や交通費などの立替金が発生した際に利用するアプリです。社外からも申請・承認できるため、申請から決裁のスピードが向上します。
- タイムカード
日々の出勤・退勤時刻や勤怠に関する申請、管理が行えるアプリです。勤務時間の自動算出や、ICカードをタッチして自動打刻できます。
さらにスマホから申請や承認作業を行えるため、外出先でもスムーズに打刻できます。

- 交通費申請
交通費申請の際に利用するアプリです。利用した交通費を入力すると合計金額が自動計算されるため、移動の多い方には便利な機能です。
管理アプリ
- 日報
アプリ名の通り、日々の業務内容や報告内容を記載するアプリです。コメント欄にフィードバックやコメントをすることで、コミュニケーションが活性化します。
クラウドサービスは、ネットワークにつながっていれば外出先から登録や閲覧ができるため、営業や出張の多い方にも最適です。
- 顧客リスト
企業名や担当者名、連絡先など顧客情報を入力するアプリです。キーワードや企業名の検索から目的の情報にすぐにたどり着けます。
また、CSVデータの入出力ができるため、すでに利用中のデータをアプリに読み込ませたり、他のシステムにアプリのデータを読み込ませたりすることも可能です。
- 案件管理
案件ごとに、いつどのようなアクションをとったのか活動の履歴を記録できるアプリです。また、担当者別の案件数や受注の確度、売上金額の集計なども行えます。現状の確認だけでなく、別の担当者への引継ぎもこのアプリでスムーズになるでしょう。
- 社員名簿
社員の所属部署や入社日など基本的な情報をまとめているアプリです。データを蓄積するだけでなく、入社人数の推移の確認もでき、蓄積データの分析も可能です。
日報アプリについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintone日報アプリのメリットは? 見える化の事例やポイントを解説
建設業
- ヒヤリハット集
社内のヒヤリハット(一歩間違えれば重大な事故につながる出来事)をデータベース化します。
現場で起こったヒヤリハットの事例を、工場や建設現場など実作業を行っているその場ですぐに登録・共有できるのも魅力的でしょう。
また、現場別や人別など集計を独自に設定し、登録の推移を折れ線グラフなどで確認できます。
- 建築業顧客管理
物件を建築する際の各種納期や対応状況を管理できる、工務店企業用の顧客管理アプリです。顧客情報の全社共有や、どの施工業者がどのような作業をしたのかといった工事履歴の管理もできます。
納期に対してリマインド機能もあるため、対応漏れを少なくすることが可能です。
- 建物設備巡回報告書
設備点検の報告業務を効率化できる建物設備点検者に便利なアプリです。タブレットで点検業務を行えるため、紙に記入したものを改めて転記するといった手間がなくなります。
また、撮影した写真を報告書に添付できたり、入力項目をラジオボタンで選択し簡単に入力できたり、作業が効率化するでしょう。

製造業
- 製造業工程進捗管理
営業部と製造部の作業の進捗を一元管理するアプリです。工程の入力をすると次工程の担当者へ通知を飛ばせ、またスマホからも入力が可能なため、場所を問わず確認を行えます。
- 工場日報
工場内の部署ごとに作成する日報で、現場スタッフがタブレットで日報作成できます。紙や文房具を使わないため異物混入リスクを回避できたり、プロセス管理機能で上司への回覧を簡単に行えたりします。
医療・福祉業
- 問診票(内科医療機関向け)
問診票の作成・管理ができる内科医療機関向けのアプリです。患者の基本情報や患者IDで過去の問診票情報を参照したり、患者自身がタブレットで問診票の作成ができたりします。
また、kintoneから問診票の情報をCSV出力し、別の医療情報システムへ取り込むことも可能です。
- 訪問介護記録
介護に要した時間や利用者の履歴など、訪問介護の記録を残すアプリです。利用者ごとに訪問介護の履歴が可視化されているため、引き継ぎの効率化やサービスの向上が実現できます。
また、タブレットを使ってスタッフが訪問先の現場から利用者の情報をリアルタイムで記入でき、情報の正確性や精度を高めることにつながります。
サンプルアプリパック
アプリバックとは、複数のアプリがひとつにパッケージ化されたものです。kintoneには以下のアプリパックが用意されています。
- 営業支援パック
パック内容:案件管理、顧客管理、活動履歴
営業支援(SFA)に使えるアプリをパッケージ化しています。企業名や連絡先といった顧客情報と関連付けて、案件情報や商談履歴などを1画面で確認可能です。
現状の確認・引き継ぎがスムーズに行えたり、案件の進捗状況の確認や売り上げを分析できたりします。
- 人事労務パック
構成アプリ:従業員名簿、人事評定管理、配属・異動管理
従業員情報や評定情報、異動履歴の管理人事総務部門で役立つサンプルアプリがパッケージ化されています。従業員の情報を一元管理し、情報をわかりやすいグラフで可視化して分析コストを削減可能です。
さらに、それぞれのアプリ間を連携する機能もあるため、業務効率の向上を見込めます。
- ワークフロー(社内申請管理パック)
パック内容:交通費申請、出張申請、物品購入申請
会社で使用する3つの申請フォームをパッケージ化しています。
企業の環境に合わせて申請経路を自由に設計できるため、組織変更があっても都度申請経路の修正が可能です。承認者に設定された人には通知が飛び、社外からもアクセスできるため、申請から決裁までのスピードが従来よりも格段にアップするでしょう。
kintoneアプリの開発・カスタマイズ
kintoneアプリは、開発・カスタマイズすることで、さらに便利な機能を追加できます。自社独自のシステムを構築できるため、標準機能では補えない部分を開発・カスタマイズで解決します。
kintoneの開発・カスタマイズ方法は、以下の3つがあります。
- JavaScript/CSS
JavaScript/CSSによる開発・カスタマイズです。プログラミング言語の知識を要するため、初心者では少しハードルが高いかもしれません。機能を拡充させたいアプリに、JavaScript/CSSファイルを適用させます。 - プラグイン
プラグインとは、インストールするだけで機能を拡張できる追加プログラムのことをいいます。各ベンダー会社から様々なプラグインが提供されています。無料・有料とありますが、有料版の方が問い合わせサポートや自動アップデートに対応しているため、安心して利用できるでしょう。 - 外部サービス連携
kintoneアプリと外部クラウドサービスを連携させて、情報の一元管理化が可能です。外部サービスに蓄積された情報を基に、kintoneでデータ分析を行うこともできます。
社内に対応できるエンジニアがいれば問題ありませんが、いない場合はベンダー会社への依頼がおすすめです。
アプリ開発・カスタマイズについて、下記記事にて解説しています。
▼kintoneのアプリ開発|方法や外注のメリット、ポイントも紹介!
▼kintoneでアプリ開発するには? 費用や開発方法について解説
また、これらの開発・カスタマイズを行うには「スタンダードコース」以上の契約が必要です。各プランの詳細は、下記記事をご覧ください。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
kintoneのアプリを使いこなそう
アプリを利用することは、業務システム開発の時間やコストを大幅に削減し、手軽に企業全体の業務改善を期待できるでしょう。本記事を参考に、アナログな作業を行っている場合は、kintoneへの移行・アプリ化を検討してみてください。
アプリの作成が難しい、不安があるという場合は、kintoneのアプリ開発や運用支援サービスを利用するのもひとつの手です。
サイボウズのオフィシャルパートナーであるテクバンでは、幅広いサポートの提供が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事の内容は2025年5月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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