リモートワークが増えている昨今、社員の業務進捗を管理する日報の重要性はさらに高まっています。
これまで、Excelをはじめとする単体のデータで日報を管理していてローカルアクセスのみの運用になっている、フォーマットが統一されておらずモバイル環境での閲覧も考慮していなかった、リモートワークの日報管理ができないと、お困りの企業も多いのではないでしょうか。
そこで、kintoneの日報アプリの特徴やメリット・デメリット、導入事例や活用ポイントを紹介します。これを機会に、日報の管理方法を見直してみてはいかがでしょうか。
kintoneの日報アプリとは
kintoneは、サイボウズ社が提供するクラウド型業務改善ツールです。kintoneでは、業務システムのことを「アプリ」と呼んでいますが、ITの専門知識なしでも簡単にアプリを作成できる点が大きな特長です。
kintoneでよく利用されているアプリのひとつに「日報アプリ」があります。
kintoneの日報アプリは、報告内容のフォーマットをベースに業務に合わせ、ドラッグ&ドロップの簡単操作で作成できます。業務や部署によって報告内容を変えたい場合にも、柔軟に対応できるでしょう。
日報アプリから登録した情報はレコードとして保存され、一覧で表示されます。メンバー全員の日報を一目で把握できるため、案件の進捗状況やメンバーの活動内容を確認できます。
ネット接続環境さえあればどこからでも入力が可能です。コメント機能も備えているため、報告された日報に対するフィードバックも簡単です。
また、プラグインを活用して様々な業務と連携できます。
kintone日報アプリの3つの特長
kintoneの日報アプリには様々な特長があります。ここでは主な特長を3つ紹介します。
1.幅広い業務で活用可能
前章でも紹介しましたが、kintoneの日報アプリは、報告内容を柔軟にカスタマイズできます。
部署や業務内容によって報告内容が異なるのはもちろん、現場によって日報で管理する情報が異なる場合も多いのではないでしょうか。
kintoneの日報アプリは目的や内容に合わせて柔軟に対応でき、実際に社労業務や営業活動、訪問看護など様々な分野・業種の企業で活用されている実績があります。
例えば、運送業において、ドライバーがその日の運転記録を上司に報告する場合、「運転日報アプリ」が便利です。
ドライバーは休憩時間を利用してスマホやタブレットから運転の記録を登録できます。また、提出された運転日報は、kintone上で「申請・承認」を行えるため、紙面上で上司のサインをもらう必要がありません。
運転日報について詳しくはこちら
2.レポート機能やリマインド通知などの機能が充実
kintoneの日報アプリは、日報の管理に有効な機能を多数備えています。例えば、日々の活動状況をグラフで可視化できるレポート機能や、タスクの抜け漏れを防止するリマインド機能などです。
日報を毎日入力していても、データとして管理できず、その日限りのフィードバックしか行えないと、日報管理の効果は半減します。
kintoneの日報アプリでは簡単にデータ集計ができるため、日報を基に分析・業務改善にもつながります。
また、リマインド通知機能を利用すれば、今後のスケジュールやタスク漏れを防止でき、スケジュール管理アプリとしても活用できるでしょう。
3.外部システムとの連携も柔軟に対応
kintoneのビジネス向けの2つのプランのうち、スタンダードコースでは、多数の外部システムと連携可能です。
例えば、「Slack」などのチャットシステムやメールと連携させれば、日報の入力やコメントがあった際に通知します。逆に、チャットシステムに投稿した内容をkintone上に保存もできます。
また、対応した顧客の情報を顧客管理システムと連携する、外勤における交通費や出張申請をシステムと連携する、といったことも可能です。日々の日報を様々な業務に活用できるようになります。
カスタマーサポートサービスである「Zendesk」とkintoneを連携することで、入力作業を削減し、カスタマーサポート運用を効率化させます。kintoneで登録された顧客情報を自動的にZendeskに反映されたり、サポートデータと業務データをまとめて分析したレポートを作成できたりと、様々なメリットがあります。
Zendeskには、「チケット」というエンドユーザーとの会話を記録できる機能があるため、これに日報アプリに登録した情報を連動させ、対応履歴として管理することが可能です。
日報アプリの4つのメリット
kintoneの日報アプリは、企業の規模を問わず、様々な業種で導入されています。
では、なぜkintoneの日報アプリは人気なのでしょうか。ここでは、kintoneの日報アプリを利用する4つのメリットを紹介します。
1.業務の見える化ができる
kintoneの日報アプリは、レポート機能を活用して簡単に日報データの集計ができ、業務の見える化を実現します。
Excelなどの単体データや、フォーマットがきちんと考慮されていないファイルで日報管理を行っていた企業では、人によって報告内容がバラバラで日報がわかりにくい、簡単に集計できないという問題が多く発生しているでしょう。
そこで、kintoneを利用すれば、統一したフォーマットで日報の内容を一元管理できるようになり、それを基にレポート機能を使ってデータの集計も可能です。
日報を「営業活動」として集計・分析すれば、効果的な営業活動につなげられるでしょう。
日報アプリに情報を登録する際、取引先や対応案件の情報も入力が必要であれば、「ルックアップ」機能を使いましょう。ルックアップは、他のアプリに登録された情報を取得できる機能です。
入力の手間を省けるため、ぜひ積極的に使ってみてください。
ルックアップ機能の詳細については、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介
2.コミュニケーションの場として活用可能
登録された日報に直接コメントできることに加え、搭載されているメンション機能やコミュニケーションスペースの作成機能によって、効率的なコミュニケーションを行えるようになっています。
一つひとつの報告に対してコメントができるため、スピーディーな情報共有にも向いています。
コミュニケーションの場もkintoneに集約させれば、大幅な生産性向上効果を狙えるでしょう。
kintoneのスペース機能について、関連記事をご用意しております。
▼kintoneのスペースをカスタマイズする方法とは?
3.外勤やリモートワークに対応
kintoneはクラウドサービスのため、インターネットにつながる環境さえあれば、時間や場所に縛られずに日報アプリへアクセス可能です。
営業や現場作業員、訪問看護など社外で働く社員が多い企業でも使いやすく、リモートワークの増加にも対応できます。
kintone以外にも日報管理アプリは様々ありますが、低コストで汎用性の高い日報管理アプリを作成できる点が、kintoneの日報アプリの魅力のひとつです。
また、出退勤時間の管理をkintoneの勤怠管理システムで行っている場合は、kintone上で日報の入力と退勤記録も可能です。社員のスムーズな退勤処理を実現するでしょう。
kintoneでの勤怠管理について詳しくはこちらから。
▼kintoneで勤怠管理するメリットは? 導入手順やアプリの例も紹介
4.高いセキュリティ性
kintoneはクラウドサービスであるため、情報漏えいを気にして導入をためらっているという方も多いのではないでしょうか。しかし、kintoneを含むサイボウズ社のクラウド製品は、高いセキュリティレベルを誇ります。
具体的には、2要素認証や接続IPアドレス制限、アクティビティログによる不正アクセス・ログイン対策や送受信および保存データの暗号化などです。
加えて、第三者機関の監査を定期的に実施していたり、外部の有識者との協力態勢を構築していたりと、日頃のセキュリティ対策が徹底されています。
これらの対策から、kintoneは政府認定クラウドサービスにもなっているため、安心して利用ができるでしょう。
kintoneのセキュリティ機能について、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのセキュリティは安心? 製品の各種機能と設定を解説
日報アプリのデメリット
kintoneの日報アプリは、非常に便利で多くの企業でも利用されていますが、一部では使いにくいという声もあるようです。
ここでは、kintoneの日報アプリのデメリットを2つ紹介します。
1.PCとスマホでは操作に違いがある
kintoneはPC版にもモバイル版にも対応していますが、PC版とモバイル版ではUI(ユーザーインターフェース)が異なるため、一部の操作がモバイル版では実施しにくいという声がありました。
例えば、モバイル版のUIは、スマホから日報の入力や閲覧などは問題ありませんが、日報の報告内容のカスタマイズがしにくいようです。
日報アプリを含めkintoneを利用する際には、モバイル版は入力や閲覧をメインで行い、アプリの開発やカスタマイズはPCを利用するというように使い分けましょう。
2.情報が分散しやすい
kintoneで日報を管理するようになると、利用ユーザーが増えるほど、kintone上に多数の情報が集積されます。
日報は業務内容を入力するため、より膨大なデータが溜まっていくでしょう。その際に、データの保存先をきちんとルール化しておかなければ、kintone上にバラバラな情報が混合して保存されてしまい、マネジメント層が確認する手間が増えるというデメリットが生まれます。
日報の保存場所を業務内容などでフォルダ分け(カテゴリ分け)しておき、それぞれのマネジメント層に必要な情報が届き、分散しないよう注意しましょう。
kintone日報アプリの見える化事例
では、実際の現場でkintoneの日報アプリはどのように活用されているのでしょうか。社会保険労務士事務所を運営するA社の事例を紹介します。
A社では、kintone導入前まで、各担当に割り当てられた業務の進捗や顧客への対応実績がブラックボックス化している状況でした。
そこで、業務効率化と収益性向上を図るためkintoneを導入。日報アプリを活用して、各担当の業務量や対応実績の可視化を行いました。
結果として、各担当者への最適なタスク分担の実現や顧客案件ごとに割り当てるリソースの最適化ができました。
導入当初に想定していた業務の可視化と効率化にとどまらず、顧客サービスへのクオリティー向上にもつながり、収益アップのための指針としての効果も得られるようになりました。
日報アプリの活用ポイント
導入事例でも紹介しましたが、kintoneの日報アプリをうまく活用すれば、単なる業務可視化、効率化にとどまらず業務のクオリティー向上や収益性アップにもつながります。
ここでは、kintoneの日報アプリをうまく活用するためのポイントを3つまとめます。
1.日報の投稿・保管ルールを整備する
日報は日々業務内容が入力されるため、投稿内容や添付ファイルの保管ルールをきちんと整備しておくことが重要です。
ルール整備が不十分だと、業務改善に必要な情報が得られない、日報の報告内容の確認に時間がかかりすぎる、データの集計ができないなどといったトラブルが発生します。日報の投稿・保管ルールを整備し、各社員に徹底してもらいましょう。
また、日報アプリは一度作成したからといって、それが最適なものではない場合もあります。
報告内容に過不足がある場合には、適宜フォーマットへの項目追加・見直しを行い、定期的に日報アプリの改善を図るとよいでしょう。
2.日報にフィードバックを行う
社員が書いた日報には必ずフィードバックを行いましょう。
フィードバックが行われない状況が続くと、日報の入力自体が形骸化し意味をなさなくなってしまいます。kintoneはコミュニケーションをサポートする様々な機能を備えているため、うまく活用しましょう。
フィードバックのポイントとしては、日報とは別に定期的に集計データをもとにした振り返りを行うことです。日々の業務では点でしか見えなくても、データとして蓄積すれば線となって業務改善のためのポイントが見えてきます。日々の日報へのレスポンスとは別に、定期的なデータとしてのフィードバックも行いましょう。
3.適切なアクセス権設定を行う
日報の中には、社員同士や顧客との関係における問題や細かい業務情報などが記載されることもあります。業務に関連する社員内においては、日報はオープンにしておいたほうが様々なレスポンスを得られますが、業務に関係ないメンバーからも閲覧できてしまうと、トラブルに発展するおそれがあります。
情報漏えいにもつながりかねないため、日報の保存先には適切なアクセス権設定を行い、関連する社員だけが日報を閲覧できるようにしておきましょう。
kintoneの日報アプリで業務効率化
今回は、kintoneの日報アプリの特徴やメリット・デメリット、導入事例や活用ポイントを紹介しました。
kintoneの日報アプリの大きな特長は、カスタマイズが柔軟で幅広い業務で活用可能な点、レポート機能やリマインド通知などの機能が充実している点、外部システムとの連携が柔軟な点です。
kintoneの日報アプリは、コストを抑えて大きな成果を得られる非常に便利なツールです。ぜひ、本記事を参考に、kintoneの日報アプリを導入し、業務の可視化や効率化、生産性向上を図ってください。
kintoneのカスタマイズについて詳しくはこちらをご参考にしてください。
▼kintoneのカスタマイズ|初心者向けの方法は?
▼kintoneでどこまでできる? タスク管理のメリットとおすすめプラグインを紹介
▼kintoneでシフト管理をする4つの方法
※本記事の内容は2022年6月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
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