SFA(Sales Force Automation:営業管理ツール)や業務改善ツールを検討する際、候補になりやすい「Salesforce(セールスフォース)」と「kintone(キントーン)」。細かな違いがあるため、どちらにすべきか悩まれている企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Salesforceとkintoneの基本知識や違い、検討ポイントなどを具体的に解説します。自社の業務内容や課題に合うツールを選択するための参考になれば幸いです。
Salesforceからkintoneに移行した事例について、下記資料にて解説しています。併せてご参考にしてください。
【事例】Salesforceからkintoneへ移行。費用対効果を高めるSFAをkintoneで自由に構築
Salesforceとkintone
Salesforce(セールスフォース)とkintone(キントーン)は、どちらも著名なクラウドツールです。様々な業種で広く活用されており、双方とも「企業の課題や問題点に対し、柔軟に組み合わせて拡張できるプラットフォーム」という共通点があります。
まずは、両者がどのようなツールなのか、基礎知識をご紹介します。
Salesforce
Salesforce(セールスフォース)は、セールスフォース・ジャパン社が提供している統合CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)プラットフォームです。
顧客との接点を軸として、課題や成果を可視化する機能がそろっていることが特長です。営業活動やマーケティング支援、顧客管理、コマースなど、業務内容や課題に応じた機能を取捨選択できます。
また、AI(人工知能)が生成するツールを利用すれば、顧客満足度を向上させるサービスを提供できるでしょう。
Salesforceは、領域ごとに製品が展開されています。
- Marketing Cloud
各種データを統合し、顧客ごとに全体像プロファイルを作成します。顧客との関係をより深めることを実現するプラットフォームです。また、生成AIを利用して、見込み客の関心を得るようなメッセージを作成できます。 - Sales Cloud
AIを搭載したCRMで、生産性の向上を実現します。セールスに関わる全ての業務とワークフローを自動化し、迅速で効果的な営業活動へと導きます。Sales GPTを利用し、お客様情報の要約を生成したり、営業電話の内容を記録したりすることが可能です。 - Service Cloud
カスタマーサポート業務を効率化し、顧客満足度を高めながらコスト削減も実現するプラットフォームです。業務を自動化することで、顧客対応にあてる時間を増やします。また、AIが生成したツールを利用し、顧客ごとの個別対応が可能で、顧客満足度を高めることに寄与します。
kintone
kintone(キントーン)は、サイボウズ社が提供している業務改善プラットフォームです。業務アプリをローコード・ノーコードで作成可能なため、非エンジニアでも業務のシステム化を実現できることが特長のひとつです。
業界・業種を問わず、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、脱Excel化を目的とし、多くの企業で導入されています。
kintoneはデータベースとしても活用できるため、組織や部署内に点在しているデータの一元管理化を実現します。近年、ビジネスにおいて重要視されている「ビッグデータ」の活用でも、kintoneは大きな効果を発揮するツールです。
また、kintoneは拡張性の柔軟さも人気の理由のひとつだといえます。
JavaScript/CSSを用いたカスタマイズやプラグイン(拡張機能)の導入により、標準機能からさらに便利な機能に作り替えることが可能です。また、API(application Programming Interface)の活用により、外部サービスとの連携も可能なため、外部サービスに蓄積された情報をkintoneへ一元化することもできます。
下記記事にて、kintoneの詳細を解説しています。併せてご覧ください。
▼kintoneでできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
▼kintoneでJavaScriptを活用し、さらなる業務改善へ!
Salesforceとkintoneの共通するポイント
Salesforce(セールスフォース)とkintone(キントーン)の主な共通点としては、次の3つが挙げられます。
- SFA/CRMとして導入検討・比較されることが多い
- カスタマイズ性の高さ
- スマホやタブレットから使用できる
次項より、詳細を説明します。
1.SFA/CRMとして導入検討・比較されることが多い
どちらもSFA/CRM導入の検討対象に挙げられることが多いようです。
Salesforceは、クラウド型の営業支援(SFA)・顧客管理(CRM)システムであり、企業と顧客をつなぐことを軸としています。多機能・高性能なツールのため、日本のみならず世界中で高い人気を誇っています。
一方で、kintoneは、標準機能ではSFA/CRMの機能がないため、アプリやプラグインを活用してSFA/CRMを構築します。
SFA関連のアプリが用意されており、例えば「営業支援パック」では顧客情報と紐づけて案件情報や商談履歴を蓄積・活用することが可能です。また、CRMで活用できるプラグインも多数提供されています。
kintoneの顧客管理について、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneで顧客管理をするメリットや方法は? 注意点も詳しく解説
2.カスタマイズ性が高い
Salesforceとkintoneは、どちらも自社の業務や部署に合わせてカスタマイズが可能です。柔軟なカスタマイズ性は両者の大きな魅力です。
Salesforceは、マーケティングや営業、コマースなど部署ごとに使える多彩なツールが用意されているため、カスタマイズを行わなくても要望に沿ったシステムを導入できます。各ツールの機能を理解した上で、自社独自のシステムにカスタマイズしましょう。
kintoneでは、日報やプロジェクト管理、受発注管理など業務内容や課題に応じ、必要なアプリの作成ができます。アプリのひな型となる「サンプルアプリ」から必要なアプリを追加すれば、すぐに利用し始められます。
kintoneのサンプルアプリについて、下記記事も併せてご覧ください。
▼kintoneのアプリは無料で使える? おすすめのサンプルアプリをご紹介
どちらもJavaScript/CSSを使用した複雑なカスタマイズについては、プログラミングの知識が必要となります。これまでJavaScriptを触ったことがない・コードの内容を理解できないという方では、カスタマイズは難しいでしょう。
3.スマホやタブレットから使用できる
どちらもPCだけでなく、スマホやタブレットに対応しています。
移動中や外出先でもデータを更新でき、メンバーと情報共有が可能です。リモートワークをはじめとする”柔軟な働き方”を実現するツールとしても用いられています。
また、隙間時間を活用できるため、リアルタイムに反応したり情報を更新したりすることが可能です。重要な判断を迅速に下し、ビジネススピードに後れを取りません。
Salesforceとkintoneの違い
続いて、Salesforceとkintoneの違いを3つの観点から比較してみましょう。
対応機能・目的
Salesforceは先述の通り、顧客管理に特化した機能を備えたプラットフォームです。業種や部署に適応する顧客管理をサポートすることを目的としています。
Salesforceを導入すれば、すぐに顧客管理機能を使い始められます。
一方で、kintoneは業務改善プラットフォームです。組織の手間になっている業務やアナログで時間がかかる業務を、kintoneに移行することで、業務の効率化や生産性の向上を実現することを目的としています。
Salesforceのように特定の分野に限った使い方ではなく、kintoneはあらゆる分野に適応します。そのため、kintoneは、SalesforceのようにあらかじめSFA機能が搭載されているわけではありません。前章で説明したようなアプリパックの導入やアプリを作成することで、SFAとしても活用が可能となるのです。
価格面
価格面を比較すると、kintoneのほうが低価格で導入できます。両者の価格を表にしてまとめました。
Salesforce |
kintone |
|
初期費用 |
0円 |
0円 |
月額料金 |
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※すべて税別
Salesforceは、最も安価なStarterでも1ユーザー当たり月額3,000円となり、クラウドサービスの中では比較的高額なツールかもしれません。
その点、kintoneは安価な料金体系で利用できます。しかし、JavaScript/CSSカスタマイズやプラグインの導入などはスタンダードコース以上の契約が必要となりますので、事前にkintoneで使いたい機能について洗い出しておきましょう。
費用をできる限り抑えたい方には、kintoneがおすすめです。
導入のしやすさ・難易度
両者ともクラウドサービスのため、ソフトウェアの導入やシステム構築が不要で比較的導入がしやすいです。
難易度は活用方法により異なりますが、Salesforceのほうが難易度が上がる可能性があります。Salesforceは多機能ゆえにオーバースペックになりやすいようです。必要な機能のみ限定し選択しなければ、社内に浸透しにくくなったり、コストをむだにしてしまったりと、問題が発生します。
SFA/CRMではどちらがおすすめ?
第2章にて、SFA/CRMの導入の際に両者は比較されると説明しました。ここでは、どのようなケースにどちらがおすすめか解説します。
Salesforceがおすすめな場合
Salesforceは、顧客管理や営業支援に特化した機能を使う企業に向いています。高性能なAIを各ソリューションで活用しているため、生成AIを業務に生かして、顧客管理業務における課題の解決や負担軽減を目指したいケースにも最適です。
顧客の離脱予測を分析したり、既存顧客へのアプローチを提案してくれます。
また、CRMだけでなくSFA機能も備えているため、顧客管理も含めた営業活動管理をひとつのツールで完結できるのは、使い勝手も良く、有効な使い方ができるでしょう。
マーケティング・営業活動・顧客管理・カスタマーサービスの一連の工程を想定して各製品が用意されているため、自社にとって最適な製品を活用できれば、大きな効果を発揮するはずです。
多機能・高性能なSFA/CRMツールをすぐに使い始めたい企業には、Salesforceをおすすめします。
kintoneがおすすめな場合
必要最小限の機能に絞り、ランニングコストをできる限り抑えたい方には、kintoneがおすすめです。
先述の通り、kintoneはSalesforceに比べ安価なコストで使用できます。運用していく中で機能を追加したり、新たな業務が追加になったときにシステムの仕様を変更したりしたい場合にも、kintoneはスムーズに対応できます。
SFA/CRMのツールとして、使いながらさらに便利な機能にブラッシュアップしていくことも目的としているならば、kintoneを選ぶとよいでしょう。
kintoneをSFA/CRMとして使用するには、まずはアプリの作成やプラグインの導入など、SFA/CRMとして必要な機能を構築しなければなりません。Salesforceのように機能がそろっているわけではありませんので、導入してからSFA/CRMとして使い始めるまでに時間を要することに注意してください。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneでSFA(営業支援システム)を構築するには?
導入にお困りならパートナー企業に相談
Salesforceとkintone は、企業間のやり取りから部署やチーム内での活用、効果を感じられる最適な運用まで見据えた計画が欠かせません。導入しても適切に活用できなければ、課題の解決や業務改善につながりません。
導入時の計画や適切な活用方法についてお困りの場合は、それぞれのオフィシャルパートナー企業に相談するのもひとつの方法です。
テクバンも、セールスフォース・ジャパン社とサイボウズ社から認定されたパートナー企業です。初期設定から利用定着まできめ細かくご支援し、いち早く有効なツールとして活用できるようサポートいたします。
kintoneのパートナー企業について、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのパートナー企業を活用してみよう!
SFAや業務改善ツールは自社に最適な選択を
今回ご紹介したように、Salesforceとkintoneは、特徴やコスト、機能に違いがあるため、自社に最適なほうを選択することが大切です。
どちらのツールを選択するべきか迷った際には、この記事が参考になれば幸いです。
また、テクバンではkintoneでSFAを構築する「SFA "KOREYOI" on kintone」を提供しています。必要十分な機能に絞り、ランニングコストを抑えながら業務改善やコストの最適化を実現します。
KOREYOIの導入事例について、下記資料で紹介していますので、ぜひダウンロードしてみてください。
【事例】❝KOREYOI❞ on kintoneで始めるコスト削減とSFA機能のカスタマイズ
※本記事の内容は2024年11月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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