自社業務に合わせたシステムを簡単に開発し、Web上でデータを一元管理できるクラウドサービス「kintone(キントーン)」。
営業支援システム(SFA)として使えるアプリをまとめた「営業支援パック」を使えば、営業管理に加えデータの一元管理と情報共有が可能です。
本記事では、kintoneで構築する営業支援システム(SFA)について、その特長やメリット・デメリット、活用事例などをご紹介します。kintoneをSFAとして導入したいとお考えの方や、既存SFAからの移行を検討している方のお役に立てば幸いです。
kintoneはクラウドサービスのひとつ
kintoneは、サイボウズ社が提供するクラウドサービスです。
クラウドサービスとは、ITインフラやソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービスのことを指します。ITインフラを利用するサービスをIaaS(Infrastructure as a Service)、ソフトウェアを利用するサービスをSaaS(Software as a Service)とも呼びます。
例えば、オフィスソフトである「Microsoft 365」もSaaSのひとつです。
今までは、ソフトウェアを利用する場合はパッケージを購入し、PCにインストールする必要がありました。クラウドサービスはインターネットに接続できれば利用できる他、以下のような特長があります。
- 社内に専用の機器を準備する必要がない
- 安価かつ短期間で導入できる
- PCだけでなくスマホ・タブレットなどから外出先からでも利用できる
- 常に最新の環境へとアップデートされるためメンテナンスが不要
- 利用者が増えても柔軟にリソースの追加が可能
業務アプリケーションもクラウドサービスを利用する企業が増えています。総務省の調査によると、2024年時点で日本企業の約8割がクラウドサービスを利用していたことがわかっています。
kintoneでは、「アプリ」と呼ばれる業務システムを作成し、アプリにデータを登録して部署内で共有したり、プロセス管理機能を設定してkintone上で申請・承認業務を行ったりなど、データベースプラットフォームとして活用できます。社内で別々に管理されているデータをkintoneに集約することで、情報共有がスムーズになり業務の効率化が図れます。
kintoneの詳細な紹介はこちらもご覧ください。
▼【2025年】kintoneの評判や口コミは? メリットや特徴を類似製品と比較
kintoneの特長
kintoneの特長として、以下の3つが挙げられます。
- あらゆる業種に対応
- システム構築が容易
- 優れた柔軟性と拡張性
kintoneは30,000社以上の導入実績を持ち(2025年現在)、特定の業種に偏らず金融、教育、医療など数多くの業界で利用されています。また、業務支援ツールとして、営業・顧客サービス・総務・マーケティングなど様々な部署で幅広く活用されています。
一般的に、業務システムを構築するには専門知識やノウハウをもったエンジニアが必要となり、SIer(System Integrator:システムインテグレーター)など外注に頼るケースもあるでしょう。
しかし、kintoneは短期間で導入できるだけでなく「ドラッグ&ドロップ」「エクセルを読み込む」「サンプルアプリから選ぶ」といった簡単な操作だけで、誰でも簡単にアプリを構築できる点も魅力のひとつです。外注に頼らず、コストや時間を抑えられます。
また、kintoneは、SFAとしての機能以外にも多くの用途に使えるアプリが用意されています。アプリに対してプラグイン(拡張機能)の導入やJavaScriptによるカスタマイズが行えるため、既存アプリをベースにして自社独自の機能を追加できます。
kintoneは外部サービスとも連携することで、データを最大限活用できます。例えば、自社で利用している顧客情報管理サービス(CRM)と連携すれば、kintoneのアプリでも顧客データを活用でき、業務効率化につながるでしょう。
kintoneのおすすめ機能
kintoneのおすすめ機能は、以下の3つです。
- ポータル機能
- 管理機能
- 外部連携機能
コミュニケーションツールは、メールやSNS、ビジネスチャットツールなどがありますが、複数人といろいろな案件についてやり取りをする中で、必要な情報が散在してしまう場合があります。
kintoneでは、情報の共有や日々のコミュニケーションの場を1か所に集約した「ポータル機能」を搭載しています。メンバーの投稿の検索も可能で、やりとりの漏れなどを防ぐのに役立ち、業務効率向上につながるでしょう。
また、主要な顧客・案件情報、営業活動履歴などを確実に管理できるよう、kintoneには様々な「管理機能」が搭載されています。
それぞれのデータ管理において、個々のExcelファイルでまとめる方法もありますが、kintoneであらゆる情報を管理することで、関連する情報の紐づけやデータ分析にも役立ちます。データ管理において、セキュリティ対策は必須ですが、情報を閲覧できる人を制限する「アクセス管理」、データの変更履歴を追うための「変更履歴」など、社内のセキュリティ対策に役立てられる機能も充実しています。
kintoneは、MA(マーケティングオートメーション)ツールやファイル管理サービスなど、外部のクラウドサービスとも連携が可能です。
すでにクラウドサービスを利用している場合は、外部連携機能を利用することで、スムーズなデータ連携を実現できます。

SFAで求められる4つの機能について
kintoneをSFAとして使うためには、まず求められる機能を把握しておく必要があります。
SFAで求められる機能は主に4つあります。
1.顧客管理
SFAとして必ず求められる機能に、企業情報・名刺情報といった基本的な顧客情報や商談活動履歴などを管理できることが挙げられます。
kintoneでは、顧客に関するあらゆる情報をひとつのアプリで一元管理できます。さらに、kintoneは名刺管理システムとの連携も可能なため、例えば名刺管理システムに登録されている顧客情報をボタンひとつでkintoneアプリにも一括登録できます。
kintoneの名刺管理については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneで名刺管理|アプリやプラグイン連携を紹介
2.案件進捗管理
各営業担当者が抱える案件の進捗状況や、予実状況の管理もSFAとして必要な機能です。複数の営業担当者の受注に向けた確度や契約における金額などを共有し、常に進捗状況を確認できることが望ましい状態です。
kintoneであればスマホやタブレットを使って、時間や場所を問わず案件進捗状況を確認できるため、迅速な情報確認・共有に役立ちます。
3.分析・集計機能
蓄積したデータを集計して分析し、今後の営業活動に生かすことが大切です。そのため、各データの紐づけやグラフ作成機能、データを可視化できる機能が求められます。
データの紐づけには、kintoneのルックアップ・関連レコード一覧表示機能などが便利です。手入力の手間や入力ミスを防ぐ機能で、入力作業の効率化を図れます。
関連記事をご用意しております。
▼kintone計算式の設定|使い方・関数一覧・利用シーンを紹介
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介
4.レポート出力
営業活動で必要な見積書、注文書などの帳票出力や、分析結果をレポート出力する機能も必要です。
kintoneに登録された情報を基に、見積書や注文書を一度Excelに入力し直してから先方に提出するのには、少し手間と時間がかかります。そのため、帳票・レポートの出力までSFAで完結できると便利でしょう。
kintoneでの見積書作成について、関連記事をご用意しております。
▼kintoneで見積書作成~印刷まで一気通貫できる方法|おすすめプラグインはコレ!
kintoneの営業支援パック
kintoneには、営業支援に役立つアプリを集めた「営業支援パック」が用意されています。営業支援パックは、案件管理アプリ・顧客管理アプリ・活動履歴アプリで構成されており、それぞれのアプリ同士で連携可能です。
標準設定に機能を加えて、入力項目を追加したり、グラフ機能や通知機能などを活用したりすることもできます。
例えば、顧客情報に紐づいて案件を管理し、各案件の進捗は案件管理アプリから一覧で確認することが可能です。また、それぞれの案件に対して、行動履歴アプリでいつ・どのようなアクションを行ったのかを記録します。
その他、請求書の発行については、別途請求書管理アプリを作成し、顧客管理・案件管理と紐づけます。専用のプラグインを導入すれば、請求書の発行~先方への送付まで一連の工程をkintoneで完結できるようになるため、顧客とのやり取りにおいても円滑に進めることが可能です。
このように、複数のアプリを連携して一連の営業活動データを有効活用し、業務効率化を実現します。
実際のkintone機能について、こちらもご覧ください。
▼kintoneで請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
▼kintoneで売上管理を効率化! アプリの作成方法や便利機能を紹介〜データのグラフ化などの機能も解説〜

kintoneをSFAとして導入するメリット
kintoneをSFAとして導入するメリットについて、以下の3つが挙げられます。
- シンプルなUIで誰でも使いやすい
- 自由にカスタマイズできる
- 安価に利用できる
次項より、詳細を解説します。
シンプルなUIで誰でも使いやすい
kintoneは、あらゆる業種・業務で扱えるシンプルな画面構成な上、簡単操作で利用できる使いやすさが特長です。
特に、営業活動では、外出先でも必要な情報をスピーディーに登録・確認することが重要となるため、kintoneは適しているといえます。
また、使いづらいツールは導入後、社内に浸透されず結局使用していないということになりかねないため、kintoneアプリの使いやすさは大きなメリットなるでしょう。
自由にカスタマイズできる
kintoneはアプリを自由にカスタマイズできます。プラグインによる機能追加を簡単に行えるだけでなく、JavaScript/CSSが利用できればより自由度の高いカスタマイズが可能です。
アプリ操作に慣れていない営業担当者から、様々な要望に対する柔軟な対応を求められる場合もあるでしょう。しかし、プラグインは適用させるアプリの設定画面からインストールを行うだけの簡単な操作で実行でき、開発コストも必要ありません。コストと手間をかけることなく機能を拡張できる点は、大きな魅力のひとつです。
自社特有の業務に合わせて機能を変更する場合は、JavaScript/CSSのカスタマイズが必要になります。
安価に利用できる
kintoneは、他のSFAと比較して安価な料金体系である点も見逃せません。
SFA業界トップのシェアを誇るセールスフォース社が提供する「SalesCloud」では、1ユーザー当たり月額19,800円であるのに対し、kintoneでは1ユーザー当たり月額1,800円(スタンダードコース)です。
Salesforceとの比較については、下記記事をご覧ください。
▼Salesforceとkintoneどちらを選ぶ? おすすめの利用シーンも解説
利用ユーザー数が多いほど、この差は顕著です。そのため、スモールスタートではじめたいスタートアップ企業にとって、kintoneは少ない投資で利用できます。kintoneは「安価で」「扱いやすく」「自由度が高い」という特長から、SFAとして導入しやすいツールのひとつだといえるでしょう。
kintoneの料金体系はこちらをご確認ください。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
▼kintoneを使うには? ライセンス別の料金や特徴一覧
▼kintoneのスタンダードコースとは? 他のコースとの違いを解説
kintoneをSFAとして導入するデメリット
一方、以下のようなデメリットも存在するため、事前に把握しておきましょう。
- 高度な分析は困難な場合も
- カスタマイズにはある程度の知識が必要
高度な分析は困難な場合も
例えば、kintoneでは、顧客情報や案件情報と紐づけた「売上管理」を行えます。ただし、それらのデータを活用して高度な分析を行おうとしても、標準機能ではアプリ間にまたがる計算は行えず、十分な分析ができない場合もあります。
そのような高度な分析を行う場合は、他のクラウドサービスとのAPI連携、もしくは開発・カスタマイズ、プラグインの導入が必要です。
kintoneのAPI連携について、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのAPI機能で外部システムと連携する
開発・カスタマイズにはある程度の知識が必要
kintoneは、ITスキルを持つエンジニアでなくても簡単にアプリを作成できる一方で、複雑な開発・カスタマイズを行うにはJavaScript/CSSファイルを扱うため、プログラミングの知識が必要です。
また、業務に合わせてアプリを改修するには、業務環境やワークフローなどを細かく把握しておかなければなりません。プログラミングの知識だけでなく、ビジネスにおける多角的な視点が求められます。
アプリを安定して運用するには、プログラミング知識を有した専任の担当者を配置することも検討した方がよいでしょう。
kintoneのSFA活用事例を紹介
ここでは、kintoneのSFA活用事例を紹介します。
Salesforceからkintoneに移行し、抱えていた課題を解消した事例について下記資料にてまとめていますので、ぜひダウンロードしてみてください。
【事例】Salesforceからkintoneへ移行。費用対効果を高めるSFAをkintoneで自由に構築
「kintoneへのSFA乗り換えでコスト削減に成功」予備校運営 A社
A社にはシステム部門がなかったため、営業部門主導でSFAの導入・運用を行っていました。
手探りの運用だったこともあり、従来のSFAは運用コストがかさむわりに機能の10%も使いこなせない状況でした。
そこで、kintoneに乗り換えたことにより、簡単操作でシステムを扱えるようになり運用コストも大幅に削減。 また、コストを削減によって、新たにワークフローソフトも導入できました。
稟議書や出張申請、指示書など、年間数万枚にもおよぶ帳票を電子化し、劇的な業務改善を実現したのです。
「kintoneをSFAツールとして活用」製造業向けメディア運営 B社
業務プロセスや必要となる機能が日々変化していく中で、既存システムでは機能面が追いつかず、開発・カスタマイズを都度開発会社に依頼する状況が続いていたB社。
そのような状況を解決しようと、柔軟に変更できる業務システムを求めていました。
kintoneを導入したところ、営業担当者でも手軽にアプリを作成できる点に魅力を感じたとのことです。また、要件変更により機能の追加が必要になった際も、プラグインの導入ですぐに機能を拡張できることから、従来のSFAにはない柔軟さによって効率的な運用を実現しました。
「営業支援システムを構築し新規開拓数2倍以上を実現」印刷物企画・制作 C社
C社の営業部門は、顧客・案件情報を個人で管理しており、管理方法もバラバラであったため、正確な案件情報や進捗状況の把握が困難な状態でした。
kintoneでSFAを構築したことにより、各個人で管理していた顧客・案件情報をすべてkintoneに集約。そのため、リアルタイムで案件の進捗状況を把握できるようになりました。また、情報の一元管理化により、他のメンバーが持っていた顧客情報を知ることができるため、アップセル・クロスセルなど適切な営業活動にもつながりました。
業務の効率化が進んだことで新規顧客開拓に力を入れられるようになり、新規開拓数では2倍以上の増加を達成できたようです。
kintoneにおけるSFA製品の紹介
ここでは、kintoneで使えるSFAについて、以下2つの製品を紹介します。
- NICE営業物語 on kintone
- アルテマブルー
「NICE営業物語 on kintone」はシステムズナカシマ社が提供するクラウド型SFA・営業支援システムです。
営業担当者の活動を共有して、商談の進捗管理や売上・利益の見込み管理などが行えます。自社の営業スタイルに合わせて必要な機能を選択し利用できます。また、業種・業務に特化したテンプレートも用意されているため、導入後すぐに運用を開始できる点が魅力です。
キャノンエスキースシステム社が提供する名刺管理サービス「アルテマブルー」は、①取り込む②整頓する③使うの3つのステップで活用できるように、基本機能のみのシンプルな構成が魅力のツールです。取り込んだ情報を基に、人脈マップの可視化や営業日報の作成、メールの送信など、営業活動の効率化をサポートする機能があります。
kintoneとの連携も柔軟で、スムーズに名刺データの連携が行えるため、顧客情報を一元管理できます。
テクバンの”KOREYOI” on kintone
テクバンでは、必要十分な機能に絞り、要件変更に伴う機能の追加にも柔軟に対応できる「”KOREYOI” on kintone」を提供しています。
一般的なSFAは多機能なため、すべての機能を上手く使いこなせなかったり、高額なランニングコストが負担になっていたりといった問題が発生しがちです。"KOREYOI" on kintoneであれば、メイン機能は取引先管理・商談管理・活動管理・ダッシュボード機能に絞り、料金体系は初期費用300,000円+kintoneのスタンダードコース利用料+プラグイン利用料と、他のSFAと比べ安価なランニングコストで利用することができます。
”KOREYOI” on kintoneの導入により、抱えていた問題を解消した事例について、資料をご用意しております。こちらも併せてご参考にしてください。
【事例】❝KOREYOI❞ on kintoneで始めるコスト削減とSFA機能のカスタマイズ
kintoneのSFAで業務を効率化しよう
kintoneはカスタマイズの自由度も高く、あらゆる業種に柔軟に対応しているため、SFAとして利用するのも最適なツールです。
「業務に合うSFAが見つからない」「柔軟にカスタマイズできる業務システムがほしい」とお悩みの人は、kintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。30日間すべての機能が利用できる無料期間もぜひお試しください。様々な機能を試すことで、新しい発見ができるはずです。
無料お試し期間については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneをお試し期間で使用してみよう!
※本記事の内容は2025年3月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
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テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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