自社業務に合わせたシステムを簡単に開発し、Web上でデータを一元管理できるクラウドサービス「kintone」。営業支援システム(SFA)として使えるアプリをまとめた「営業支援(SFA)パック」を使えば、営業データの一元管理、情報共有が可能です。
本記事では、kintone で構築する営業支援システムについて、その特長やメリット・デメリットをご紹介します。
kintone とは? 実現できることを紹介
サイボウズ社が提供するクラウドサービス
「kintone」は、サイボウズ社が提供するクラウドサービスです。データベースプラットフォームであり、社内で別々に管理されているデータを kintone というひとつのツールに集約することで、社内の情報共有がスムーズになり業務の効率化が図れます。
また業種や場所、人数によらず誰でも簡単に利用でき、業務に役立つアプリを開発できます。kintone で開発したアプリのデータもすべてデータベースにて一元管理されるため、異なる kintone のアプリから利用してもデータの共有が容易に行えます。複数拠点で利用すれば、離れた拠点のデータもリアルタイムに状況を確認することが可能です。顧客情報や案件情報などの業務管理のほか、議事録や作業依頼などのコミュニケーションのためのアプリもあり、自社の業務内容やフローに合わせて必要なアプリを組み合わせて使えるのが特長といえるでしょう。
業種問わず様々な業務のデータを共有・一元管理して業務を効率化できるため、多くの企業で利用されています。
kintone の詳細な紹介はこちらもご覧ください。
▼kintone の評判や口コミは? メリットや特長を類似製品と比較
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、ITインフラやソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービスのことです。ITインフラを利用するサービスをIaaS(Infrastructure as a Service)、ソフトウェアを利用するサービスをSaaS(Software as a Service)とも呼びます。例えば、オフィスソフトである「Microsoft 365」もSaaSのひとつです。
今までは、ソフトウェアを利用する場合はパッケージを購入し、パソコンにインストールする必要がありました。クラウドサービスはインターネットに接続できれば利用できる他、以下のような特長があります。
- 社内に専用の機器を準備する必要がない
- 安価かつ短期間で導入できる
- PCだけでなくスマホ・タブレットなどから外出先からでも利用できる
- 常に最新の環境へとアップデートされるためメンテナンスが不要
- 利用者が増えても柔軟にリソースの追加が可能
業務アプリケーションもクラウドサービスを利用する企業が増えています。総務省の調査によると2020年時点で企業の約65%がクラウドサービスを利用していました。
kintone の特長とは? 3つポイントを解説
あらゆる業種に対応
kintone は20,000社以上の導入実績を持ち、特定の業種に偏らず金融、教育、医療など数多くの業種で利用されています。また、業務支援ツールとして営業、顧客サービス、総務、マーケティングなど様々な部署で幅広く活用されています。
アプリはPCだけでなくスマホやタブレットでも利用できるため、時間や場所を選ばず使用できる点も特長です。
システム構築が容易
業務システムを構築するには専門知識やノウハウをもったエンジニアが必要となり、SIerなど外注に頼るケースもあるでしょう。
kintone はクラウドサービスのため短期間で導入できるだけでなく、「ドラッグ&ドロップ」「エクセルを読み込む」「サンプルアプリから選ぶ」といった簡単な作業・操作だけで、誰でも簡単にシステムを構築できます。そのため、外注せずともコストや時間を抑えられます。
優れた柔軟性と拡張性
kintone はSFAとしての機能以外にも多くの用途に使えるアプリが用意されています。アプリに対してプラグインやJavaSciriptによるカスタマイズができるため、既存のアプリをベースに、より自社業務に合わせる場合に便利です。さらにアプリは、 Excel ファイルやCSVファイルを読み込んだり、ドラッグ&ドロップで項目を並べたりするという簡単な作業だけでアプリを作ることも可能です。
また外部サービスとも連携することで、データを最大限活用できます。例えば、自社で利用している顧客情報管理サービスと連携すれば、kintone のアプリで顧客情報のデータを活用でき、業務効率化につながります。
営業支援システム(SFA)で求められる機能
kintone を営業支援システム(SFA)として使うためには、まず求められる機能を把握しておく必要があります。営業支援システム(SFA)で求められる機能は主に4つあります。
1.顧客管理
SFAとして必ず求められる機能として、企業情報や名刺情報といった基本的な顧客情報や商談活動履歴などを管理できることが挙げられます。kintone ではあらゆる情報をひとつのデータベースで一元管理するだけでなく、名刺管理システムとの連携も可能なため、顧客情報管理として最適です。
2.案件進捗管理
各営業担当者が抱える案件の進捗状況、予実状況の管理もSFAとして必要な機能です。複数の営業担当者の受注に向けた確度や契約における金額などを共有し、常に進捗状況を確認できることが望ましい状態です。kintone であれば、スマホやタブレットなど、どこでも確認できるため、時間や場所を問わず案件進捗状況を確認できます。
3.分析・集計機能
蓄積したデータを集計して分析し、今後の営業活動に生かすことが大切です。そのため、SFAとしてグラフを作る機能や見やすい情報を表示する機能が求められます。
4.レポート出力
営業活動で必要な見積書、注文書などの帳票出力や、分析結果をレポート出力する機能です。顧客への見積書、注文書提出には欠かせません。
kintone の営業支援(SFA)パック
kintone には、営業支援に役立つアプリを集めた「営業支援(SFA)パック」が用意されています。営業支援(SFA)パックは「案件情報」「顧客情報」で構成されており、またそれぞれのアプリで連携も可能です。
例えば、顧客情報に紐づいて案件情報を管理し、案件の進捗管理は行動履歴管理で行います。また請求書の発行といった業務には顧客との取引に欠かせない機能も充実しています。このように、複数のアプリを連携して一連の営業活動データを有効活用し、業務効率化を実現します。
kintone では営業支援(SFA)パックを使うことで、営業支援に役立つ機能をスムーズに導入できます。
実際の kintone の機能についてはこちらもご覧ください。
▼kintone で請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
▼kintone で売上管理を効率化! アプリの作成方法や便利機能を紹介〜データのグラフ化などの機能も解説〜
kintone をSFAとして導入するメリットとは
シンプルなUIで誰でも使いやすい
kintone はあらゆる業種、あらゆる仕事でも扱えるシンプルな画面構成な上、簡単操作で利用できる使いやすさが特長です。特に営業活動では外出先で必要な情報をスピーディーに登録・確認する必要です。また使いづらいツールは導入後に使われず、社内に浸透しないということもあるため、アプリの使いやすさは大きなメリットです。
自由にカスタマイズできる
kintone はアプリを自由にカスタマイズできます。プラグインによる機能追加を簡単に行えるだけでなく、JavaScriptが利用できればより自由度の高いカスタマイズが可能です。
特にアプリ操作に慣れていない営業担当者からの様々な要望に対する柔軟な対応を求められる場合もあるでしょう。kintone であれば、プラグインを追加するなども簡単操作で実現でき、カスタマイズに必要なコストも抑えられます。
他にも自社特有の業務に合わせて変更する場合でも、柔軟に対応できます。
安価に利用できる
kintone は他のSFAと比較して安価である点も見逃せません。SFA業界トップのシェアを誇るセールスフォース社が提供するSFAサービス「SalesCloud」では1ユーザー当たり月額19,800円(税込)であるのに対し、kintone では1ユーザー当たり月額1,650円(税込)です。利用ユーザー数が多いほど、この差は顕著です。そのためスモールスタートではじめたいスタートアップ企業でも少ない投資で利用できます。
これらから、kintone は「安価で」「扱いやすく」「自由度が高い」というメリットが挙げられ、導入しやすい点が特長です。
kintone の料金体系はこちらをご確認ください。
▼kintone プランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
▼kintoneライセンス別の料金や特長一覧
▼kintoneのスタンダードコースとは? 機能や月額料金、ライトコースとの違いを解説
kintone をSFAとして導入するデメリットとは
高度な分析は困難な場合も
kintone では、顧客情報や案件情報と紐づけた売上管理を行えます。ただし、それらのデータを活用して高度な分析を行おうとしても、関数や機能が対応しておらず、分析できない場合もあります。
そのような高度な分析を行う場合は他のツールとのAPI連携、もしくはカスタマイズを行う必要があるため、必要とする分析が対応しているか確認するとよいでしょう。
カスタマイズにはある程度の知識が必要
kintone は、ITスキルを持つエンジニアでなくても簡単にアプリを作成できます。しかし複雑なカスタマイズを行う際には、JavaScriptをはじめとしたプログラミングの知識が必要です。また、顧客の業務に合わせてアプリを改修するには、業務フローなど細かく把握しておかなければなりません。
カスタマイズしたアプリを安定して運用するには、専任の担当者を配置することも検討した方がよいでしょう。
kintone のおすすめ機能
ポータル機能
業務のコミュニケーションツールはメールやSNS、ビジネスチャットツールなどがありますが、複数人といろいろな案件についてやり取りをする中で、必要な情報が散在してしまう場合があります。
kintone では、情報の共有や日々のコミュニケーションの場を1か所に集約した「ポータル機能」を搭載しています。メンバーの投稿の検索も可能で、やりとりの漏れなどを防ぐのに役立ちます。また必要な情報を集約することで業務効率向上につながります。
管理機能
需要な顧客・案件情報、営業活動履歴を確実に管理できるよう、様々な管理機能が搭載されています。情報を閲覧できる人を制限する「アクセス管理」、データの変更履歴を追うための「変更履歴」など、社内のセキュリティ対策に役立てられる機能が充実しています。
外部連携機能
kintone はMA(マーケティングオートメーション)ツールやファイル管理サービスなど、外部のクラウドサービスとも連携が可能です。すでにクラウドサービスを利用している場合は、外部連携機能を利用することでスムーズなデータ連携を実現できます。
kintone の活用事例を紹介
「kintone へのSFA乗り換えでコスト削減に成功」予備校運営 A社
A社にはシステム部門がなかったため営業部門主導で導入・運用を行っている中、手探りの運用だったこともあり、従来のSFAシステムは運用コストがかさむわりに機能の10%も使いこなせない状況でした。
「kintone」に乗り換えたことで、簡単操作でシステムを扱えるようになり運用コストも大幅に削減。 コストを削減により、新たにワークフローソフトも導入できました。稟議書や出張申請、指示書など、年間数万枚にもおよぶ帳票を電子化し、劇的な業務改善を実現しました。
「kintone をSFAツールとして活用」製造業向けメディア運営 B社
業務プロセスや必要となる機能が日々変化していく中でシステムが追いつかず、カスタマイズを都度依頼する状況が続いていたB社。そのため、柔軟に変更できるシステムが求められていたのです。
kintone であれば、営業担当者でも気軽にアプリを作成、カスタマイズできることから、従来のSFAツールにはない手軽さ・柔軟さを感じました。
「営業支援システムを構築し新規開拓数2倍以上を実現」印刷物企画・制作 C社
営業部門は顧客や案件情報を個人で管理しており、管理方法もバラバラであったため、正確な案件情報や進捗状況の把握が困難な状態でした。
kintone で営業支援システムを構築したことにより、各個人で管理していた案件情報を集約し、リアルタイムに進捗状況を把握できるようになりました。業務効率化により新規顧客開拓に力を入れられるようになり、新規開拓数では2倍以上の増加を達成できたのです。
kintone におけるSFAテンプレート3選比較
NICE営業物語 on kintone
「NICE営業物語 on kintone」はシステムズナカシマ社が提供するクラウド型SFAテンプレートです。SFA・営業支援システム「NICE営業物語」をベースに、kintone でも利用できるようにカスタムされています。
SmartSFA powered by kintone
「SmartSFA powered by kintone」は株式会社内田洋行が提供するクラウド型SFAテンプレートです。SFAに必要な機能が初期テンプレートとして搭載されており、営業担当者もマネジャーも納得の利便性です。
アルテマブルー と kintone を組み合わせたSFAソリューション
キャノンエスキースシステム社が提供する名刺管理サービス「アルテマブルー」と組み合わせたSFAテンプレートです。IT初心者でも利用できるよう基本機能のみで構成されており、アルテマブルー との連携により顧客情報を一元管理できます。
kintone でSFAを構築して業務を効率化しよう
kintone は営業支援(SFA)パックを活用することによって、シンプルで使いやすいシステムを安価に構築できます。この構築の効果は活用事例にもある通り、業務効率を向上するだけでなく、コスト削減にも有効です。
kintone はカスタマイズの自由度も高く、あらゆる業種に柔軟に対応します。また情報を一括でできるデータベースとしてや、グループウェアとしても利用できるなど、活用できる業務範囲が広いツールでもあります。
「業務に合うシステムが見つからない」「柔軟にカスタマイズできるシステムがほしい」とお悩みの人は、kintone の導入を検討してみてはいかがでしょうか。30日間全ての機能が利用できる無料期間もぜひお試しください。様々な機能を試すことで、新しい発見ができるはずです。
※本記事の内容は2022年6月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
kintone開発支援サービス
kintoneプラグイン