kintone(キントーン)で請求書作成から管理ができる? 活用方法を解説

  • kintoneでの業務改善をご検討の方

請求業務は閑散期・繁忙期の違いこそあれ、毎月発生する経理の定型業務です。定型業務とはいえ、ミスがないよう慎重に行う必要があり、対応にかかる手間は少なくないでしょう。

そこで、kintone(キントーン)を利用して請求書の作成・発行・管理を行う方法を解説します。kintoneで請求業務を行うメリット・デメリットやおすすめプラグイン、活用ポイントなども紹介しています。ぜひ請求業務の効率化や楽で正確な請求業務のルール化を目指してみてください。

kintoneの使い方や基本機能については、下記記事をご覧ください。
▼kintone(キントーン)の仕組みとは? 使い方や機能について徹底解説!

請求書の作成業務における問題点

請求書の作成や管理において、どのような問題が発生しやすいでしょうか。主に、以下の2つが挙げられるでしょう。

  • 請求書の作成に手間と時間がかかる
  • 請求書の管理が煩雑になりやすい

取引先が多くなるほど、請求書の作成業務には手間と時間がかかります。帳簿を参照して合計金額を算出したり、最新の取引先の情報(住所・担当者名など)を調べてから記入したりなど、それだけでも負担となるでしょう。
さらに、手作業での入力となると、誤字や入力漏れなどヒューマンエラーは付き物です。請求金額を間違えて送ってしまうと、企業間での信用問題にもつながりかねません。

また、請求書や契約書、領収書などは「証憑書類」に該当し、法律によって一定期間の保存が義務付けられています。2024年1月1日から電子帳簿保存法において、電子取引でのデータ保存が完全義務化となり、請求書のデータとして保存しなければなりません。請求書を適切に管理できていないと「保存場所がわからない」「過去の請求書を参照できない」といった問題が発生します。
請求書の保存場所の可視性を高めるためにも、検索機能のあるデータベースシステムの構築が求められています。

紙やExcel(エクセル)を使って請求書を作成している組織は未だ多いようですが、請求書作成・管理サービスを導入することで、業務の効率化やヒューマンエラーの防止、適切な管理につながります。請求書作成業務が多い組織こそ、請求管理クラウドサービスを導入して業務改善を目指しましょう。

kintoneで請求書作成を行う5つのメリット

kintoneを活用した請求書作成には、様々なメリットがあります。ここでは主なメリットを4つ紹介します。

  • 簡単に請求書が作成できる
  • 請求書のメール送付まで完結できる
  • 請求業務のプロセスを見える化できる
  •  プロジェクトやチーム内でコミュニケーションがとれる

1. 簡単に請求書が作成できる

まずは、kintoneに「請求書を作成するアプリ」を作ります。請求書作成アプリの各フィールドに情報を入力するだけで、簡単に請求書の作成・発行が可能です。発行した請求書のデータは「レコード」として保存されるため、過去のデータを検索したり参照したりすることもできます。

さらに、kintoneには、アプリ間の連携を可能にする機能があります。
例えば「ルックアップ」機能では、請求書に取引先の情報を記入する際、すべての顧客情報を登録してある「顧客マスタ」アプリから該当のデータを参照して自動で反映します。ワンクリックで反映できるため、入力の二度手間をなくせます。
kintoneのアプリには、このようにアプリ間を連携して、データ入力を効率化させる便利な機能があるのです。

ルックアップについては、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介

2.請求書のメール送付まで完結できる

kintoneで作成した請求書を取引先に送る際、kintone上で直接メールを送信できたら便利ではないでしょうか。標準機能ではメールの作成・送信機能はありませんが、kintoneのカスタマイズやプラグインの導入で実現できます。

請求書はkintoneで作成してPDFに発行し、他のメールソフトで送付する、という方法でも十分に請求書作成業務は行えます。しかし、業務で利用するツールは1つに集約したほうが業務はさらに効率化するでしょう。
取引先へのメール送付まで一貫してkintoneで行いたい場合は、メールソフトとの連携や専用プラグインの導入を検討してみましょう。

関連記事をご用意しております。
▼「kMailer」でkintoneからメールを送信! メール連携サービスをご紹介

kintone で請求書を作成し、メール送付で完了

3. 請求業務のプロセスを見える化できる

kintoneには「プロセス管理機能」があります。プロセス管理機能を利用すれば、請求業務において「作成中」「送付済み」「処理済み」「データ集計済み」などといった、ステータスの管理が可能です。
プロセスを見える化することで、タスクの抜け漏れ防止や進捗状況の把握など、円滑な業務の進行につながります。kintoneで請求業務を行う際は、プロセス管理機能も併せて使用して効率化を目指しましょう。

下記記事にて、kintoneのプロセス管理について紹介しています。ぜひご参考にしてください。
▼kintoneのプロセス管理|ワークフローの設定例を紹介

kintone ならプロセス管理で進捗状況が見える化!

4. プロジェクトやチーム内でコミュニケーションがとれる

kintoneは、コミュニケーション機能も充実しています。レコード詳細画面からチャット形式でコメントを残すことができ、データに紐づいた連絡や相談が可能です。
また、「スペース」と呼ばれるkintone上で指定された参加メンバーのみがアクセスできる空間があります。自由に参加メンバーや利用アプリを選べるため、kintoneアプリ内のデータを活用しながら社内情報共有やコミュニケーションが図れます。
同じ業務を行っているチームメンバー内だけでなく、協力会社など外部への一斉連絡も可能なため、外部連携やコミュニケーションの場として有効でしょう。

メンションやコメント機能を使って、特定の相手に漏れなく情報共有ができます。スペース内をナレッジの共有や掲示板として活用するのも良いでしょう。

関連記事をご用意しております。
▼kintoneのスペースをカスタマイズする方法とは?

kintoneで請求書作成を行う3つのデメリット

kintoneで請求書作成業務を行えば様々なメリットが得られることを解説しましたが、一方で、3つのデメリット・注意点も存在します。

  • プラグインの導入にはコストがかかる
  • メール自動送信などの高度機能にはIT知識が必要
  • 既存の業務から移行するための時間がかかる

1. プラグインの導入にはコストがかかる

無料で利用できる便利なプラグインも存在する一方、法人向けのプラグインは有償が多いようです。便利だからと、あれもこれもとプラグインを追加した場合、思わぬコスト増で負担が大きくなる可能性があります。

特に、請求書の”印刷”となるとkintoneの標準機能では十分に行えない問題点があります。レコード詳細画面からレコード内容を印刷することはできますが、あくまで画面をそのまま印刷するイメージです。
請求書や見積書といった帳票形式には適していないため、請求書の印刷が必要な場合は、プラグインの導入をおすすめします。

プラグインを利用する際は、コストパフォーマンスをしっかりと見極めた上で、必要なものに絞って利用しましょう。
また、プラグインの利用には「スタンダードコース」以上の契約が必要です。一番低額のライトコースをご契約の方は、プラグインを利用できないためご注意ください。
各プランの詳細については、下記記事にて解説しています。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!

有料プラグインの増加でコストが増加

2. メール自動送信などの高度機能にはIT知識が必要

kintoneは、IT部門でない社員でも簡単にアプリの作成を行えることが最大のメリットですが、メールの自動送信などシステムと高度に連携する仕様を組み込む場合には、プログラミングに関するIT知識が必要です。

例えば、メールの自動送信には、メーラーやメールサーバーの設定が必要になります。プラグインで簡単に設定できるケースもありますが、どのような流れでメールが送信されるのかシステム側を理解していなければ、メールの誤送信など思わぬインシデントに発展する恐れもあります。
IT知識に不安がある状態で高度なシステム連携を行う場合には、ベンダー企業の支援サービスの利用も検討しましょう。

3. 既存の業務から移行するための時間がかかる

既存の業務をkintoneに移行する際には、少なからず業務フローの変更や社員への利用方法のレクチャーなどが発生します。一気に業務の移行を開始すると、社員の混乱を招き、業務の停滞も懸念されます。

そのため、少しずつ時間をかけて移行していくようにしましょう。また、移行期間内は業務効率が落ちることを見越し、業務の閑散期などを狙っての移行がおすすめです。研修会などを行うことで、社員のIT教育の向上にもつながります。社員が後で振り返れるように、操作に関するマニュアルを作成することも有効です。

請求書作成アプリの作成手順と必要なアプリ

kintoneで請求書を作成するには、請求書作成アプリとその他に必要となるアプリがあります。それぞれ解説していきます。

請求書作成アプリの作り方

アプリの作り方は、3つの方法があります。

  • 一から自分で作る
  • サンプルアプリを利用する
  • ExcelやCSVファイルを読み込む

アプリはドラッグ&ドロップの簡単操作で作成できます。請求書に必要な項目を入力するためのフィールドを選択します。フィールドは「文字列」「日付」「ラジオボタン」などを選べますが、請求書の作成には「テーブル」フィールドが便利です。フィールドの種類については、こちらのページをご参考にしてください。
テーブルフィールドについては、下記記事にて解説しています。
▼kintoneのテーブル(表)とは? 機能のメリット・デメリットや活用方法を紹介

アプリのひな型である「サンプルアプリ」が無料で提供されており、アプリストアから必要なアプリを選んで追加できます。そのまま使うことも、一部設定を変更して使うこともできるため、請求書作成アプリに使えそうなサンプルアプリを探してみてもよいでしょう。

もしExcelで請求書を作成しているならば、そのExcelファイルをkintoneに読み込んでアプリを作ることも可能です。フィールド名(項目名)とフィールドタイプを選択し直せば、簡単にアプリを作成できます。

アプリの作成方法について詳細を確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。
▼kintoneのアプリは初心者でも作成できる? 外注を活用するメリットとは
▼kintone(キントーン)のアプリ作成例が知りたい! 使い方やサンプルアプリを紹介

請求書作成アプリのフィールド

請求書作成アプリには、以下のようなフィールドを設定するとよいでしょう。必要に応じて追加・削除してください。

  • 請求日
  • 登録番号(インボイス事業者)
  • 取引先名
  • 総売上額(税別・税込)/総消費税額
  • 入金額
  • 繰越金額
  • 今回の請求金額
  • 請求明細テーブル

これらの項目を、次項で説明する各アプリからルックアップで参照し、請求書作成アプリに自動で反映するように設定する仕組みです。

請求書の作成に必要なアプリ

先述したルックアップ機能を使って、請求書に必要な情報を記載するために、その他のアプリからデータを参照します。
請求書に必要なアプリは以下の通りです。

顧客管理アプリ

請求書の締め日と顧客情報を紐づけるため、顧客管理アプリでは、「締め日」の登録を行う。

売上管理アプリ

売上管理アプリでは、日々の売上を登録。この情報が請求書の請求明細として転記される。
売上管理アプリに、顧客情報と紐づけるためのルックアップ、明細登録を行うテーブル、テーブル内の数値を計算する項目の3つを設定。

入金管理アプリ

入金管理アプリでは、取引先からの入金情報を登録。入金日・入金額に加え、ルックアップで顧客情報を取得。

kintoneの請求書作成プラグイン3選

ここでは、以下4つのプラグインと連携サービスをピックアップし、機能や費用などを紹介します。

  • レポトン
  • プリントクリエイター
  • BtoBプラットフォーム 請求書× kintone
  • メイクリープス

レポトン

ソウルウェア社から提供されている「レポトン」は、ワンクリックでkintoneのデータから帳票を出力できるプラグインです。PDFやExcelファイルで生成します。

ご利用中の請求書や見積書などのテンプレートをアップロードし、請求書のデータの出力箇所をレポトン上で選択します。その後、kintoneのアプリとレポトンを紐づけ設定完了です。簡単なマウス操作で対応できるため、初めての方もすぐに使いこなせるでしょう。
複数社分の請求書を一括で出力できる機能や、アプリのレコード一覧画面から顧客リストや名簿、月報などを作成する機能もあります。

レポトンはサブスクと買い切り制の料金体系です。

レポトン
(サブスク)
レポトンPDF
(買い切り)
レポトンExcel
(買い切り)
料金 月額22,000円 220,000円 220,000円
出力形式 PDF/Excel PDF Excel
一覧出力 × ×
一括出力 × ×
AI設定サポート × ×
外部連携 × ×

どのプランも明細・単票出力は可能ですが、一部機能に制限があります。レポトンPDF・レポトンExcelは、あくまで出力機能に特化したプランのため、最小限で利用したい方にはおすすめです。
30日間の無料トライアルを利用できますので、まずはトライアルで使用感を確認してみるとよいでしょう。

プリントクリエイター

トヨクモ社の「プリントクリエイター」は、kintoneアプリ内の情報を引用して帳票を作成・出力できるプラグインです。
現在使用している書類のフォーマットをそのまま利用し、マウス操作で帳票のレイアウトが簡単に作成できます。画像やQRコード、バーコードなどを設置することも可能です。

また、kintoneからワンクリックで出力でき、個別で出力/一括で出力するか選択できます。出力できる形式は、単一ページ・複数ページ・自由なサイズなどがあります。時間指定・レコードの更新など、自動で出力することも可能です。

料金形態は4つのプランが用意されています。初期費用は無料で、kintone1環境につき1契約でOKです。(※すべて税別)

ライト スタンダード プレミアム プロフェッショナル

月額 ¥7,000

年額 ¥84,000

月額 ¥12,000

年額 ¥144,000

月額 ¥18,000

年額 ¥216,000

月額 ¥30,000

年額 ¥360,000

プリントクリエイターについて、詳細は下記記事にて解説しています。
▼プリントクリエイターとkintoneアプリの連携について解説

BtoBプラットフォーム 請求書×kintone

BtoBプラットフォーム請求書」は、請求書の受け取り・発行を電子化する請求書発行・受取システムです。kintoneとの連携が可能で、ワンクリックで請求書の作成と受取業務を行えます。会計・販売管理システムとも連携できるため、データの一元管理化を実現します。

請求書の発行時には、kintoneに入力したデータがBtoBプラットフォーム請求書に連携され、自動で請求書を発行されます。逆に請求書の受取時には、BtoBプラットフォーム請求書からkintoneにデータが連携されるため、再入力の手間は必要ありません。

利用料金は、初期費用と月額費用で構成されます。法人契約・個人事業主どちらも契約可能です。請求書の発行・受取だけであれば無料で利用できますが、請求書の通数やオプションに応じて月額費用が異なります。
公式サイトでは詳細の金額は明示されていませんので、興味のある方はこちらのページから資料をダウンロード、または直接問い合わせてみるとよいでしょう。

メイクリープス

メイクリープス」は、請求書業務を効率化する請求管理クラウドサービスです。テンプレートへの入力で請求書や見積書、納品書などの書類に簡単に作成でき、他の書類への変換もワンクリックで完了します。

また、承認フローの設定やメンバーの操作権限の管理が可能です。社外にいてもメイクリープスにアクセスできる環境があれば、クラウド上からいつでも承認でき、業務がより効率的に進みます。承認フローを設定すれば、誤送信の防止にもつながり、メンバーごとに作業の制限をかけられるため、セキュリティ強化も期待できます。

企業規模に合わせた料金プランが用意されています。(※すべて税別)

無料プラン 個人プラン 法人プラン エンタープライズプラン
月額 ¥0 ¥1,000 ¥1,300 ¥33,000
取引先の上限 3社 10社 従量課金・上限なし 無制限
ユーザー上限 1人 3人 従量課金・上限なし 無制限
対応書類 請求書・見積書 すべて すべて すべて
メール送信・郵送
電子帳簿保存法対応 ×
承認フロー × ×

30日間のトライアル期間が設けられており、すべての機能を利用できます。

kintoneで請求業務を効率化

今回は、kintoneを利用して請求書の作成・発行・管理を行う方法を解説しました。IT知識がなくても簡単に請求書作成アプリを作成して、情報を入力するだけで簡単に請求書を作成できます。また、請求書の発行やメール送信、請求業務のプロセス管理、案件管理、請求書のデータ集計などが可能で、プラグインを利用すれば自動化が実現します。

プラグインの選定に迷ったら、kintoneオフィシャルパートナーに相談してみることをおすすめします。幅広いノウハウと実績を持ったエンジニアがお客様の課題への解決策を導き出し、最適なプラグインを提案します。
テクバンもkintoneオフィシャルパートナーです。お困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

kintone 支援サービスのイメージ画像

※本記事の内容は2025年10月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。

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