業務改善プラットフォームである「kintone」は標準機能だけでも十分に効果を発揮するツールですが、プラグイン(拡張機能)を使うことで、さらに便利な機能を追加できます。
特に、帳票作成業務においては標準機能だけではうまく出力できず、企業間で扱うビジネスレベルに対応できていないといえるでしょう。
この欠点を補い、帳票作成を効率化できると人気のプラグインが「プリントクリエイター」です。本記事ではプリントクリエイターの概要に加え、プリントクリエイターの「アプリ連携」機能について紹介します。
プリントクリエイターとは
トヨクモ社が提供するプリントクリエイターは、kintoneアプリに登録された社名や金額などの取引情報を引用し、直感的なマウス操作で簡単に帳票を作成できるプラグインです。帳票に掲載する情報を自動で反映したり、帳票のレイアウトをドラッグ&ドロップで自由に設定したりすることが可能です。
プリントクリエイターを適用させたkintoneアプリに「出力」ボタンが設置されるため、ワンクリックで簡単にPDFファイルとして帳票を表示します。見積書や納品書、契約書など様々な帳票形式に対応しており、プルダウンの切り替えで簡単にそれぞれ出力可能です。
kintone内のあらゆる情報をExcelやWordなどへ手動で転記する必要がなくなるため、帳票作成業務の効率化を実現するでしょう。
プリントクリエイターについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼プリントクリエイターでkintoneの帳票印刷をラクにしよう!
主な機能
プリントクリエイターの主な機能として、以下の3つが挙げられます。
- 帳票作成
- 見た目の設定
- 他サービスとの連携
帳票作成機能では、PDFの個別・一括出力やkintoneアプリの一覧画面の出力に加え、宛名ラベルの印刷、QRコード・バーコードの自動生成、レコードの添付ファイルフィールドへPDFの自動保存などの機能があります。また、PDFを出力したログ情報は90日間保存されるため、出力履歴を振り返ることが可能です。指定した時間に出力・保存を行う機能もあり、毎月のルーティン業務を自動化します。
見た目の設定では、1ミリ単位で用紙サイズを変更したり、テーブルの項目数に応じて自動で出力ページを増やしたり、テーブルに表示させる項目の条件を設定できるといった機能があります。
プリントクリエイターは、トヨクモ社が提供する他のサービスとの連携が柔軟で、例えば「フォームブリッジ」と連携させることで、外部ユーザーが入力した情報を利用して帳票を作成できます。
まずは、フォームブリッジで見積り受付依頼フォームを作成し、Web上でユーザーに入力してもらいます。すべての項目の入力が完了したら「見積書をダウンロード」ボタンを画面上に表示し、PDFファイルを確認できるようになります。プログラミングなしでこれらの仕組みを構築できるため、トヨクモ社のサービス同士を連携し、さらなる業務効率化を実現します。
フォームブリッジについて、下記記事でも紹介していますので併せてご覧ください。
▼「フォームブリッジ」でkintoneを拡張! 特長や使い方を紹介
料金体系
プリントクリエイターは、初期費用と解約費用が不要です。kintoneのドメイン1つにつき、プリントクリエイターは1つの契約で済み、利用ユーザー数に制限はありません。
下記の価格はすべて税抜きです。
ライト | スタンダード | プレミアム | プロフェッショナル | |
月額 | 6,000円 | 9,000円 | 14,000円 | 30,000円 |
年額 | 68,400円 | 102,600円 | 159,600円 | 342,000円 |
30日間の無料お試し期間が設けられており、プロフェッショナルコースを利用できます。コースによって利用できる機能が異なるため、必要な帳票機能を洗い出した上で適切なコースを選びましょう。
プリントクリエイターを利用するには、kintone「スタンダードコース」の契約が必要です。スタンダードコースの詳細は、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneのスタンダードコースとは? 機能や月額料金、ライトコースとの違いを解説
2024年11月より、トヨクモ社サービスの価格改定が行われる予定です。上記価格は変更されますので、詳しくはプレスリリースの価格改定に関するご案内をご確認ください。
プリントクリエイターのアプリ連携とは
プリントクリエイターのアプリ連携機能とは、kintoneの「関連レコード一覧」と同様に、設定した条件に一致するレコードを取得・出力できます。別アプリの情報や同一アプリ内にある別レコードの情報を取得して出力したいときに便利です。
この機能はプレミアムコース以上でご利用可能です。
関連レコードについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintone「関連レコード一覧」の便利な使い道は? 設定方法も解説
使用例①別アプリでの連携
プリントクリエイターは、紐づけているアプリとは別のアプリから情報を取得できます。例えば、見積書に担当者の電子印鑑が必要になる際に、この機能が役立ちます。
あらかじめ従業員の電子印鑑をkintoneに登録しておき、プリントクリエイターで「印鑑付き帳票」の形式を作成。担当者を選択すると、その従業員の電子印鑑が帳票に自動で表示されるようになります。さらに電子印鑑は複数表示可能なため、社長・部長・担当者の押印欄を並べるといったレイアウトで設定できます。
使用例②同一アプリでの連携
同一アプリ内の別レコードを取得し、一覧形式で出力する際に、この機能を活用します。例えば取得条件で担当者を指定すると、この担当者に紐づく特定のレコードのみを抽出して帳票に一覧表示します。担当者を変更すれば、新たな担当者のレコードが自動で取得されるため、帳票出力もラクに行えるでしょう。
アプリ連携の設定
ここでは、プリントクリエイターのアプリ連携の設定方法について紹介します。
まずはプリントクリエイターを始める準備から説明しますので、下記手順に沿って始めてみてください。
プリントクリエイターを始める準備
初めての方はプリントクリエイターの無料トライアルに申し込みましょう。その後「トヨクモプリントクリエイター無料お試し開始のご案内」というメールが届くため、メール本文のURLをクリックしToyokumo kintoneAppにログインします。ログインまでできたら以下の手順に沿って進めてみてください。
- サービス一覧画面を開き、プリントクリエイターの[開く]ボタンをクリックする
- 「kintone接続設定」にて、プリントクリエイターと接続するkintoneのURLを入力
- 事前にkintoneでIPアドレスを制限している場合は、cybozu.comのセキュリティ設定を行う
プリントクリエイターのIPアドレスを許可するか、Basic認証を設定してください。プリントクリエイターのIPアドレスは「54.65.228.178」「13.113.164.23」の2つです。 - セキュリティ設定が完了したら[登録]ボタンをクリックし、画面右上にある[+]ボタンからkintoneアプリの登録を行う
プリントクリエイターを使用したいアプリのURLを入力します。URLを入力したら「APIトークン生成はこちら」というリンクが表示されるため、クリックします。 - APIトークン生成画面にて、[生成する]ボタンをクリックし、APIトークンを生成。その後、[保存]ボタンをクリックし、[アプリを更新]まで行う
- プリントクリエイターのアプリ登録画面に戻り、生成したAPIトークンを入力
アプリ名は自動で入力されますが、変更することも可能です。右下の[次へ]ボタンをクリックしてください。 - プリントクリエイターのJavaScriptファイルをアプリにアップロード
JavaScriptの設定方法については、こちらのページをご覧ください。 - [+書類を作成]ボタンをクリックし、書類を作成できるようになれば設定完了
画面左上に表示されているkintoneアプリのURLをクリックし、レコード詳細画面に出力ボタンが表示されていることを確認してください。
アプリ連携の設定手順
帳票出力したいアプリの登録を終えたら、以下の手順に沿って設定してください。なお、アプリ連携の連携先アプリ(情報を取得したいアプリ)をプリントクリエイターに登録する必要はありません。
- プリントクリエイターのTOP画面右上にあるハンバーガーメニューをクリックし、「アプリ連携の設定」を選択
- [+]ボタンをクリックし、アプリ連携の登録を行う
- 「アプリ連携名」「連携元アプリ」「連携先アプリのURL」を設定
アプリ連携名は、プリントクリエイターの管理画面「アプリ連携一覧」に表示される名前です。連携元アプリは、出力元として登録したアプリを選択します。連携先アプリのURLには、アプリ連携で連携先として指定するアプリのURLを入力します。 - 連携先アプリのAPIトークンに、連携先アプリで生成したAPIトークンを登録
APIトークンの生成方法については、こちらのページをご参考にしてください。 - 「レコードの取得条件」「レコードの並び順」を設定
レコードの取得条件では、どのような条件でレコードを取得するか設定します。レコードの並び順は、アプリ連携で取得レコードを出力する際の並び順になります。 - [登録]ボタンをクリックしたら連携元アプリの書類一覧へ移り、該当の書類をクリックし「フィールド」画面を開く
- アプリ連携機能で情報を取得する場合、一番左にある[アプリ連携]のプルダウン項目からレイアウトを行う
画面左側に「アプリ連携」のプルダウンが表示されますが、連携元アプリで複数のアプリ連携を行っている場合は、このプルダウンからどの設定を利用するか選びます。 - 帳票の表示枠内に出力したいフィールドを設定
PDFのレイアウトに合わせて、「表示件数」を設定します。必要に応じて、フォントや文字サイズなども設定可能です。完了したら[変更を保存]ボタンをクリックします。 - 帳票をプレビュー画面で確認し、連携先レコードの情報が反映されていれば設定完了
複数のアプリを連携先アプリとして登録したい場合は、手順2から繰り返してください。
プリントクリエイターとアプリを連携させ、帳票出力をさらにラクにしよう
プリントクリエイターのアプリ連携機能を使うと、複数アプリにまたがる情報を1つの帳票にまとめて出力できるようになります。
帳票を作る場合、何度も情報を入力していては効率が悪く、無駄な手間と時間がかかってしまうでしょう。そこで、プリントクリエイターのアプリ連携で必要な情報は自動で反映させられるため、帳票作成業務をスムーズにします。
kintoneの帳票作成でお悩み事があれば、ぜひプリントクリエイターを使ってみましょう。
その他、kintoneの便利な機能について関連記事をご用意しております。
▼kintone(キントーン)で経費精算業務をシステム化する方法を解説
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※本記事の内容は2024年8月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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