企業のあらゆる業務を効率化するクラウド型の業務改善プラットフオーム「kintone(キントーン)」。案件・タスク管理や顧客管理、販売管理などあらゆる管理業務に最適なツールです。予実管理にももちろん、kintoneが活躍します。
そこで今回は、kintone上で予実管理を行うメリットや、アプリの作成手順、活用方法などをわかりやすく解説します。kintoneで予実管理を行うメリットや利用できる拡張機能、様々なサポートが受けられるkintone開発支援サービスについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
kintoneの基本機能については、下記記事にて解説しています。
▼kintoneの使い方や基本機能を紹介
予実管理で重要なこととは
「予実管理」とは、予算実績管理の略で、企業の予算と実績を管理することです。予算は達成すべき数値目標であり、組織や企業では通常、新しい年度が始まる前に収入と支出を見積もります。
予算と実績に差異がある場合は原因を分析して、改善に向けて対策します。
予実管理では、月次・年次の売り上げや仕入れ、経費、利益などの数値を入力した予実管理表を使って比較分析を行います。
予実管理表の作成には、Excelなどの表計算ソフトやクラウド型の予実管理ツールが多く用いられていますが、企業経営に関わる重要な業務のため、予算と実績データを正確に把握することが重要です。
また、予実管理を実行する際は、課題の洗い出しを必ず行うようにしましょう。予算と実績に乖離がある場合、何かしらの問題や改善点があるはずです。それを見出し、適切な目標を設定した上で経営につなげていくことが重要なポイントとなります。
さらに、予実管理はリアルタイムで実行することが大切です。月末にまとめて集計するのではなく、なるべくリアルタイムで分析・検証することが求められます。
変化が激しいビジネスの流れに後れをとらないためにも、適切な予実管理と問題解決・改善の繰り返しを行いましょう。

kintoneで予実管理を行うメリット
kintoneで予実管理を行うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを5つ紹介します。
1.より正確な予実管理の実現
kintoneには集計機能があり、フォームに売り上げや経費を入力するだけで自動に集計を行い、予実管理表に反映します。計算式を手入力したり、表を作成したりする必要がなく、コピー&ペーストで編集できるためヒューマンエラーの防止にも役立ちます。
また、アプリの変更履歴は自動的に記録され、「誤ったデータで上書きを繰り返してしまった」というようなトラブルが発生しても、すぐに元の正しい状態に戻せます。
関連記事をご用意しております。
▼kintone計算式の設定|使い方・関数一覧・利用シーンを紹介
2.アプリ作成の自由度が高い
kintoneなら、自社の予実管理に最適なオリジナルアプリが簡単に作成できます。必要な項目(フィールド)を選択してドラッグ&ドロップで並べていくだけで、イメージ通りのアプリが完成します。システム構築の知識や経験は必要ありません。
アプリ作成の方法は他にも、無料で提供されているサンプルアプリを利用したり、Excelを読み込ませてアプリ化したりなど、複数の方法から選択できます。
kintoneアプリの作成方法やサンプルアプリについて、詳細は下記記事をご覧ください。
▼kintoneのアプリとは? 作成方法やサンプルを解説
▼kintoneのアプリは無料で使える? おすすめのサンプルアプリをご紹介
3.データをリアルタイムに確認・共有できる
kintoneは、膨大な業務データを蓄積するための「データベース」としても有用です。予実管理だけでなく、在庫管理や顧客管理など様々な管理業務に活用できます。
クラウドサービスのため、各種デバイスからアクセス可能で、業務に必要な情報をリアルタイムに場所を問わず確認・共有できます。
なお、kintoneにはアクセス制限機能があり、データ共有の際に閲覧や編集の可否を設定できるようになっています。
その他、kintoneのセキュリティ機能については、下記記事にて解説しています。
▼kintoneのセキュリティは安心? 製品の各種機能と設定を解説
4.他のkintoneアプリや外部ツールと連携可能
アプリ間のデータ連携や拡張機能が豊富で柔軟な使い方ができるのもkintoneの特長です。
「ルックアップ」や「関連レコード一覧表示」といったアプリ同士でデータの連携が行える機能があります。予実管理アプリを作成したら、案件管理アプリや顧客管理アプリなどと紐づけるとよいでしょう。データ入力が効率的で手間を削減できます。
詳細は下記記事にて解説しています。
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介
▼kintoneのアプリ間連携を活用して業務効率化を実現しよう
また、kintoneのアプリは、プラグインによる機能拡張や、外部クラウドサービスとのAPI連携にも対応しています。より自社の予実管理業務を効率化させるアプリを構築できるでしょう。
例えば、API連携により外部の販売管理システムから売り上げの実績を取り込み、アプリ上で予実管理と結合させて予実差異を算出する、などの便利な活用方法もあります。
5.クラウド型で時間と場所を問わずアクセスできる
kintoneはクラウドサービスのため、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでもアクセスできます。外出先や現場でも予実管理に必要な情報を確認したり、kintoneアプリにはコメント機能があるため業務連絡に対してリアルタイムに返信したりすることも可能です。
管理会計の数値に関わるすべての人がリアルタイムなデータを確認できるプラットフォームとして、kintoneは役立ちます。
予実管理アプリの作成方法
kintoneでは、以下の方法でアプリを作成できます。
- アプリストアのサンプルアプリを利用する
- ドラッグ&ドロップでイチから作成する
- ExcelやCSVファイルから読み込む
- 作成済みのアプリをコピーする
予実管理に使えるサンプルアプリとして「予算・実績管理」があります。サンプルアプリとは、いわゆるアプリのひな型・テンプレートで、お使いのkintoneに追加すればそのまますぐに使い始められます。元々の設定やデザインを変更して、使いやすい仕様にカスタマイズすることも可能です。
アプリのコピー方法については、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのアプリコピーはできる! 再利用のポイントを紹介
次章より、予算・実績管理アプリについて詳細を説明します。

予算・実績管理アプリの活用方法
予算・実績管理アプリは、開発者向けコミュニティ「cybozu.com developer network」で公開されているJavaScriptのサンプルコードを読み込むことで、予算と実績の差異と達成率の集計表を作れるようになります。「カスタマイズビュー」という機能を利用し、ひとつの集計表にデータをまとめられるため、複数のアプリをいちいち開いて確認したり、手動で集計したりする手間を省くことが可能です。
JavaScriptのサンプルコードについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
以下の手順に沿って、まずはアプリストアから「予算・実績管理」アプリを追加します。
- kintoneアプリストアで「予算・実績管理」を選択。「予算管理」と「実績管理」の2つのアプリが自動作成される
- 予算管理アプリに、予算や拠点などの情報を登録する
- 実績管理アプリに、拠点ごとの売り上げや日付、担当者名などを登録する
- 開発者向けコミュニティ「cybozu.com developer network」で無料公開されている、JavaScriptサンプルコードを読み込ませる
- 予算と実績の差異や達成率を表示する予実管理アプリが完成
なお、JavaScriptのカスタマイズは「スタンダードコース」以上の契約が必要です。ライトコースではJavaScriptカスタマイズを利用できませんのでご注意ください。
各プランの詳細は、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
予算・実績管理アプリの特徴
予実管理アプリには「拠点」「予算」「実績」「差異」「達成率」の項目があり、集計データを一覧表で確認できます。必要なレコードを絞り込んで表示したり、グラフ化して売り上げの推移などを分析したりすることも可能です。
一覧表の見方は、予算に対して実績が到達していない場合は差異がマイナスとなり、数値が赤字で表示されます。達成率の項目を見れば、各拠点の達成状況や課題が容易に把握できます。このようなわかりやすい表示機能も特徴といえます。
便利なプラグイン機能に注目!
kintoneプラグインは無料・有料のものがそれぞれ提供されていますが、有料版は問い合わせサポートや自動アップデートに対応しているため、安心して利用することができるでしょう。
ここでは、kintoneの予実管理に役立つプラグインを紹介します。
kintoneのプラグイン機能における詳細は以下にて解説をしております。
▼【2024年11月】無料版kintoneプラグインのおすすめをご紹介!
▼kintoneのプラグイン開発|必要なファイル、開発手順を紹介
krewData/メシウス社
メシウス社の「krewData」は、kintoneアプリをまたいだ集計を可能にするプラグインです。
kintoneの標準機能では、アプリ内のフィールド同士の計算は行えますが、他のアプリのフィールドとは計算することができません。例えば、予実の管理を”予算管理アプリ”と”実績管理アプリ”の2つに分けて行っている場合、予算管理アプリと実績管理アプリに入力された数値の集計が必要となりますが、標準機能では対応できないのです。
そこで、アプリをまたいだ集計が必要となるときにkrewDataはよく利用されています。集計の処理は、スケジュール実行・リアルタイム実行の2パターンから選択でき、日時を設定したり自動で処理を行ったりすることが可能です。
krewDataについて、関連記事をご用意しております。
▼krewData×kintoneで仕事効率UP! データ集計も自動化へ
予実管理プラグイン/ジョイゾー社
「予実管理プラグイン」は、kintoneアプリに登録されている予算と実績を自動計算し、縦棒グラフや表形式で表示することができるプラグインです。集計の対象とする項目は、大項目・中項目とカテゴライズできるため、商品別・営業担当者別など業務に合わせて集計可能です。
グラフの種類は、縦棒グラフ・縦棒グラフ(積み上げ)・表の3種類で、予実管理用のビューが追加されます。一度設定を行うと、レコードの追加や更新があるたびに自動でグラフに反映されるため、常にリアルタイムの予実を管理でき、大変便利なプラグインです。
予実管理アプリパック on kintone/アイティーフィット社
アイティーフィット社の「予実管理アプリパック on kintone」は、既存アプリから実績データを月別に集計し、粗利率や目標の差異・達成率を算出、さらにクロス集計表で参照できるアプリパックです。
集計結果は予実レポートアプリにレコードとして作成され、クロス集計表にて参照しますが、kintone標準機能にあるクロス集計表に比べ1画面に表示できる情報量が多くなっています。また、マウスオーバーで縦と横のハイライトを付け、見やすいようにガイドが表示されます。マウスを静止させるとヘッダー部分の年月が表示されるため、行数が多くなっても縦スクロースする必要はありません。
月別に集計した売上額から原価を基に、粗利額や粗利率を計算し、予実レポートアプリに月別レポートとして登録します。その他、前年の集計結果を基にした前年対比も簡単な設定で可能です。
売上目標もシンプルな操作で設定できます。目標値は、単月の目標値と開始年月と月数を指定することで設定可能です。月別に目標レコードを用意する必要はなく、また担当者別・組織別などカテゴライズした目標値の設定も可能です。
kintone開発支援サービスでアプリを最大限に
「初めての導入でアプリ作成や運用に不安がある」「プラグイン設定や外部サービスとの連携がうまくいかない」そんな悩みを解消してくれるのが、ベンダー企業の”kintone開発支援サービス”です。kintone標準機能の使い方だけでなく、他システムとの連携サポートや運用アドバイスなど、様々な導入支援が受けられます。
kintone開発支援サービスを行う会社は複数存在するため、サポート内容やコストを比較検討して、自社に最適なサービスを選びましょう。また、サイボウズ社認定のkintoneオフィシャルパートナーに依頼するとよいでしょう。幅広いノウハウや経験を培っているため、お客様の要望に最適な改善策を提案してくれるはずです。
kintoneオフィシャルパートナーについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneのパートナー企業を活用してみよう!
kintoneで効率的な予実管理を実現
この記事では、kintoneで予実管理を行うメリットやアプリの作成手順、活用方法などを紹介しました。kintoneは手軽にアプリ作成ができる使いやすいツールですが、拡張機能を利用する場合は複雑な設定が必要になり、作成の難易度がやや上がります。
アプリ作成に不安がある場合は、kintone開発支援サービスの利用を検討するのもおすすめです。オフィシャルパートナー企業であれば、確かな製品知識と豊富なサポート実績により、企業の状況ごとに最適な開発支援を行えます。
テクバンもkintoneオフィシャルパートナー企業です。kintoneの導入や運用でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事の内容は2025年6月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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