サイボウズ社が提供するkintone(キントーン)は、あらゆるビジネスにおいて効率化を実現するプラットフォームです。
企業間のやりとりで頻繁に発生する見積りや請求関連の業務で、IT活用できます。
しかし、帳票出力の際に標準機能のままでは上手くできない部分があります。
今回は、その課題を解決するプラグイン「プリントクリエイター」について、機能は使用の注意点などを解説をいたします。
kintoneの印刷機能とその課題
kintoneは、紙やExcelなど社内に点在する様々なデータをクラウド上にデータベース化・一元管理化できる便利なツールです。
しかし、標準機能には制限があり、その1つとして挙げられるのが「帳票出力機能」です。
kintoneの標準機能では、レコード(アプリの各フィールドに入力した情報を1つにまとめたもの)を印刷することは可能です。
しかし、これはレコードの詳細画面をそのまま印刷するようなイメージであり、取引先向けの見積書・請求書・注文書・納品書/受領書・契約書といった帳票形式の印刷には向いていません。
これを解消するためには、JavaScriptのカスタマイズを行えば、kintoneでも単票の帳票を作成することが可能になります。
しかし、JavaScriptを扱える技術者が必要であること、「複数レコードを一括で印刷したい」「1ページ目と2ページ目で配置を変えたい」などといった難易度の高いカスタマイズはできないため、あまりおすすめできません。
プリントクリエイターで帳票印刷
kintoneは標準機能だけではなく、プラグインを用いた拡張機能も併せて使うことで、ユーザーにとってより便利なツールへと変貌するのが特長です。
プラグインには帳票出力に適したものもあり、これを用いることで、体裁が整った帳票を印刷可能です。
今回はその中でも代表的な「プリントクリエイター」についてご紹介します。
プリントクリエイターの料金体系
トヨクモ社が提供するプリントクリエイターは、マウスだけの直感的な操作で、kintone上に登録している宛名や金額などの情報から簡単に帳票作成できるプラグインです。面倒なデータの転記や入力作業も不要で、手間を減らします。
料金プランは以下の通り(税抜き)となりますが、30日間のお試し無料期間でプロフェッショナルコースを利用できます。
料金 |
ライト |
スタンダード |
プレミアム |
プロフェッショナル |
月額 |
6,000円 |
9,000円 |
14,000円 |
30,000円 |
年額 |
68,400円 |
102,600円 |
159,600円 |
342,000円 |
kintoneのドメイン1つにつき、プリントクリエイターを1つ契約する必要があります。ユーザー数は特に関係ありません。
ライトコースでも個別出力は無制限のため、簡単な帳票の出力であればライトコースで十分といえますが、それ以外のコースは一括出力に対応していたり、テーブル取り込み機能が用意されていたりと、使用できる機能が異なります。
まずは無料でプロフェッショナルコースをお試しして、費用対効果を鑑み、自社に合ったコースを見極めることをおすすめします。
無料お試しのお申し込みはこちらから。
プリントクリエイターの特長①帳票作成
プリントクリエイターの一番の特長は、PDF出力に特化したサービスであることでしょう。帳票作成機能として、以下の代表的な機能を備えています。
- PDFでの個別・一括出力
- kintone一覧出力(※プレミアムコース以上)
- 宛名ラベルの出力(※プレミアムコース以上)
- レコードへの自動保存(※プレミアムコース以上)
- アプリ連携機能(※プレミアムコース以上)
kintone上で出力ボタンを押すだけで、kintoneのレコード情報を見積書や請求書の形に出力できます。また、kintoneのレコード一覧画面にて、絞り込んでいる条件に応じて複数のレコード情報を出力することも、一覧の情報をそのまま出力することも可能です。
PDFでの一括出力機能は、プレミアムコース以上の契約が必要で、最大月に10,000枚出力可能です。
kintoneの添付ファイルフィールドにPDFファイルを直接保存できる機能があります。使用方法については、こちらをご覧ください。
プリントクリエイターのアプリ連携機能とは、kintoneの「関連レコード一覧」と似た機能で、設定した条件に一致したレコードを取得して出力できます。
別アプリに登録している情報や、同一アプリ内の他のレコード情報を取得したい場合に便利です。詳しくはこちらをご覧ください。
プリントクリエイターの特長②見た目の設定
プリントクリエイターは、帳票の見た目を柔軟に設定できるメリットがあります。
- 複数のレイアウトを登録可能
- 用紙サイズの変更
- テーブル行数の条件分岐(※プレミアムコース以上)
- 帳票初期選択機能(※プレミアムコース以上)
プルダウンから出力したい帳票の形式を切り替えるだけで、1つのレコードから見積書や請求書を出力できます。また、出力用紙はA4からはがきなど既定のサイズもありますが、1mm単位で自由にサイズを設定可能です。
テーブル行数の条件分岐とは、kintoneアプリのレコードごとのテーブル行数によって、出力する帳票を自動選択して出力する機能です。1ページで収まらないテーブル行数があるレコードでは、あらかじめ設定した2ページ目以降の帳票を自動出力します。
kintoneアプリでテーブル機能を使用している際に活用できます。
帳票初期選択機能とは、フィールド値によって出力ボタン横のプルダウンに表示する帳票の初期値を設定する機能です。レコード詳細画面のみ対応しており、レコード一覧画面での出力ボタン横のプルダウンの初期値は設定できません。
フィールド値によって自動的にプルダウンの項目が反映される便利機能です。
プリントクリエイターの特長③他サービスとの連携
プリントクリエイターは、他のクラウドサービスとの連携が可能なため、以下のような機能を備えています。
- フォーム送信での自動出力
- Webページ上での出力
例えば、同じトヨクモ社製品の「フォームブリッジ」とプリントクリエイターを連携させれば、Webフォームから入力・送信した内容をPDFに反映させ、送信完了画面にて帳票としてダウンロードできるようになります。
「Webフォームで入力した情報をそのまま活用し、帳票形式で出力する」という機能です。
また「kViewer」と連携すれば、kintoneアカウントがなくてもWeb上の情報をそのままPDF出力できます。
例えば、「商品ページを公開し、このページをユーザーにカタログとしてダウンロードしてもらいたい」「入館手続きの際に入力してもらった情報を入館証として発行したい」という際に活用できます。
トヨクモ社のkintone連携サービス「Toyokumo kintoneApp認証」を利用すれば、一度のログインで複数のページをまたいで利用でき、双方向での情報共有において必要となる複雑なシステムを簡単に構築します。
「お客様自身に請求情報・発注内容を確認してほしい」「予約照会ページから申込者自身で変更・キャンセルをしてほしい」といったシステムをノーコードで構築できます。
多方に情報共有を行っている際は、Toyokumo kintoneApp認証でkintoneの活用の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
プリントクリエイター利用時の注意点
プリントクリエイターはPDFへの出力に特化しているため、ExcelやWordへの出力ができない点が大きな欠点といえるでしょう。
そのため帳票の出力後に手軽に修正が行えず、修正するには、kintoneのレコードを修正し、再度出力する必要があります。
プリントクリエイターは、ライト・スタンダード・プレミアム・プロフェッショナルの4つのコースで、使用できる機能の数が大きく異なります。導入の際は、自社にとってどの機能が必要なのかをしっかりと洗い出した上でコースを選定しましょう。
また、プリントクリエイターは外部連携サービスのため、別途ログインが必要です。この点を手間だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、このようなデメリット以上に「今まで使っていた帳票と同じデザインを活用できる」という点は大きな魅力といえるため、帳票出力にお悩みであればおすすめのプラグインであるといえます。
帳票プラグイン導入時のポイント
kintoneの帳票プラグインはプリントクリエイター以外にも複数存在します。ここでは帳票プラグインを選ぶ際の基準として、押さえておくべき点をいくつか紹介します。
- プラグインの導入にはスタンダードコースの契約が必要
- 一括印刷機能はあるか
- 電子印鑑として画像ファイルを読み込めるか
次項より、詳細を解説します。
プラグインの導入にはスタンダードコースの契約が必要
まず、大前提としてプラグインを使用する際には、kintoneのスタンダードコースを契約する必要があります。
現在契約しているプランがライトコースの場合は、プランアップを検討するのがよいでしょう。
kintoneのプランについて、下記記事にて詳細を解説しています。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
一括印刷機能はあるか
効率よく業務を行うためには、一括印刷の機能は欠かせません。取引相手や帳票の数が多くなるほど、一括印刷機能はぜひ取り入れたい機能のひとつです。
「月次の請求書発行業務が大変で負担を減らしたい」といった課題があるのであれば、一括印刷機能を備えているプラグインの活用がおすすめです。
電子印鑑として画像ファイルを読み込めるか
kintone上で電子印鑑の押印を取り入れたい場合、帳票プラグインに画像ファイルの読み込み機能がなければなりません。
押印が必要な帳票はいまだ多いため、画像を読み込める帳票プラグインを選ぶとkintone上で押印処理が可能になります。
紙に出力した後にわざわざ押印するという手間が省け、リモートワークや外出先でも対応できるため、効率化につながるでしょう。
このように帳票プラグインを導入する際は、実際の業務を一度整理した上で、現状に一番則した製品を選ぶことがポイントといえます。
その他帳票出力プラグインを選ぶ上でのポイントや、プリントクリエイター以外の製品については、以下の記事でも紹介しておりますので、こちらも併せてご確認下さい。
▼kintoneで帳票出力! 便利なプラグインの紹介と機能比較
kintoneプラグインで帳票印刷を簡略化
代表的な帳票プラグインである「プリントクリエイター」をご紹介しました。
プリントクリエイターは、自社で利用している請求書や見積書といった帳票のPDFファイルをアップロードするという特長のため、新たなフォーマットを作る手間を省くことが可能です。
各プランで機能が異なりますが、30日間はプレミアムコースを利用できるので、もし今まで使っていた帳票をそのまま流用したいという要望があれば、まずは試してみるのをおすすめします。
また、請求書の作成方法について下記記事で解説しています。こちらも併せてご参考くださいにしてください。
▼kintoneで請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
プラグインをうまく活用し、帳票出力の効率化を目指しましょう。
※本記事の内容は2023年3月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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