kintone は便利な標準機能を備えていますが、これだけでは物足りないと感じている部分が帳票出力ではないでしょうか。
標準で出力機能はあるものの、画面と同じレイアウトでしか出力されないため、自社フォーマットの帳票印刷ができない、複数の帳票をまとめて印刷できないなど、できることには限界があります。
本記事では、それらを解消できるプラグインをご紹介します。kintone の帳票出力でお困りの方はぜひご参考ください。
kintone 帳票プラグインで押さえておきたいこと
kintone の帳票プラグインは複数あります。それらの中から帳票プラグインを選ぶ際の基準として、押さえておくべき点を解説します。
- 一括印刷ができるか
- 画像ファイルを読み込めるか
- 1アプリで複数の帳票を出力できるか
- テーブル(表)の内容を出力できるか
- アップロード可能な書式か
一括印刷ができるか
効率よく業務を行うためには一括印刷の機能は欠かせません。kintone に登録したレコードから一括して帳票印刷、もしくはPDFといったデータに変換できるかどうかは確認すべき機能となるでしょう。
「月次の請求書発行業務が大変で負担を減らしたい」というような課題を感じている組織は、一括印刷機能を備えているプラグインをおすすめします。
画像ファイルを読み込めるか
押印が必要な帳票はいまだ多いようですが、kintone 上で押印処理が可能になれば効率化できそうです。これを実現するには、電子印鑑を画像ファイルとして読み込めるかどうかが重要となります。
紙に出力した後にわざわざ押印するという手間を省くためにも、画像ファイルを読み込めるプラグインを選ぶと良いでしょう。
1アプリで複数の帳票を出力できるか
レイアウトの異なる帳票を数種類印刷しなければならない場合、まず、ひとつのアプリですべて出力できるか確認しましょう。アプリでは帳票のレイアウトが異なるとうまく出力できないケースがあるからです。
こんな場合は複数の帳票を出力できるプラグインがあれば、レイアウトが違っても問題なく出力できます。
テーブル(表)の内容を出力できるか
テーブル(表)機能でわかりやすく情報を記載している帳票も多いのではないでしょうか。
テーブルの情報が読み込まれ、レイアウト通り出力できるかどうかも重要な点になるため、判断基準のひとつとしましょう。
アップロード可能な書式か
自社で使用している帳票ファイルが、アップロードできる形式か確認しましょう。アップロード可能なファイル形式は各プラグインでわずかに異なっています。
せっかくプラグインを入れたのに、使っている帳票ファイルをアップロードできない、ということがないように、事前にアップロード可能なファイル形式と自社の帳票ファイル形式が一致しているか確認しておくと良いでしょう。
kintone で帳票出力できる3つの有料プラグイン
ここで、代表的な帳票プラグインを3つ紹介します。どれも有料となりますが、十分な機能を満たしているプラグインです。
1.プリントクリエイター
プリントクリエイターは、トヨクモ株式会社が提供する kintone 連携帳票出力サービスです。
kintone 内にある情報を参照し、見積書などの帳票の作成・出力が可能。また、使用している既存PDFファイルをアップロードすれば、マウスの操作のみで自由に作成できます。
料金プランは以下の通りです。
- ライトコース:6,000円
- スタンダードコース:9,000円
- プレミアムコース:14,000円
※すべて月額費用。年間契約時は5%割引
プリントクリエイターのメリット
プリントクリエイターのメリットとして、PDF出力に特化したサービスであることが挙げられます。
いつも使っている帳票のPDFデータをアップロードし、kintone アプリに登録されている“どの項目”を“どこに表示させるか”を配置して設定します。出力の際も kintone 上にある情報を Excel や Word にわざわざ移し替える必要がなく、プリントクリエイター内で情報の記入、帳票の出力まで完結するため、作業効率がUPするでしょう。
また、他のトヨクモ製品との相性も抜群で、フォームブリッジや kViewer といった製品と連携することで、プリントクリエイターの活用の幅が広がります。
kViewer についてどんなことができるのか、こちらをぜひご参考ください。
プリントクリエイターのデメリット
プリントクリエイターは外部連携サービスのため、別途ログインが必要となり、それが手間だと感じる方もいるかもしれません。
また先述した3つの料金プランでそれぞれ利用できる機能は異なります。例えば、複数件のPDFを一括で出力するにはプレミアムプランを契約する必要があるため、高度で便利な機能になるほど高額となります。
2.RepotoneU(レポトンユー)
RepotoneU は、株式会社ソウルウェアが提供する帳票プラグインです。kintone で管理している請求書、各種報告書などのあらゆるデータをPDFや Excel 形式の帳票に出力できます。
料金プランは以下の通りです。
- RepotoneU Excel:200,000円(初期費用)
- RepotoneU PDF:98,000円(初期費用)
- RepotoneU Pro:15,000円/月額
※RepotoneU PDF/Excel は買い切り型。
RepotoneU のメリット
RepotoneU PDF/Excel が買い切りプラン・初期費用のみで使用できるのは大きなメリットでしょう。ランニングコストがかからないため、なにかと膨大になりがちなプラグインの月額費用を抑えられます。
また、マウスのみで簡単に操作できる点も強みです。帳票のイメージ上で、データを差し込みたい位置をマウスで選択するという簡単な操作で帳票のレイアウトを組めます。
RepotoneU のデメリット
一括出力、一覧出力といった便利な機能はPro版にある機能のため、月額契約が必要です。その他、複数ページの帳票出力機能もPro版のみとなり、RepotoneU PDF/Excel の機能だけでは物足りなさを感じるかもしれません。
3.ドキュトーン
ドキュトーンは、株式会社オプロが提供する帳票出力プラグインです。Word、Excel、PowerPoint 出力に対応し、他の製品に比べ安価なサービスとなっています。
料金プランは以下の通りです。
- 1ID 980円/月額(最低利用契約数5ID~)
※年間契約のみ
ドキュトーンのメリット
リーズナブルな価格設定のため、導入のしやすさはドキュトーンのメリットとして挙げられます。
また他製品にはない Word、Excel、PowerPoint 出力はとても便利な機能ではないでしょうか。現在使っている帳票ファイルもそのまま使用できます。
その他、帳票の複数枚登録が可能です。
ドキュトーンのデメリット
PDFへ直接出力はできないため、Word などに一度出力してからPDFへの変換が必要となります。また、一部設定がややこしく使い慣れるまでに操作が難しいという声が挙がっているようです。使いやすさ・操作のしやすさでいえば、他のプラグインには劣るようです。
他のプラグインでは可能な一括出力もドキュトーンでは対応不可となっています。
kintone 帳票有料プラグインの比較
前項で紹介した3つのプラグインを比較検討しやすいよう、表にしてまとめてみました。
|
プリントクリエイター |
RepotoneU |
ドキュトーン |
月額費用 |
|
以下、買い切り型(初期費用)
|
980円 |
アップロード可能な書式 |
PDFのみ |
Excel、PDF |
Word、Excel、PowerPoint |
複数枚出力 |
○(プレミアムのみ) |
○(Pro版のみ) |
○ |
一括出力 |
○(プレミアムのみ) |
○(Pro版のみ) |
× |
個別出力 |
○ |
○ |
○ |
画像出力 |
○ |
○ |
○ |
テーブル出力 |
○ |
○ |
○ |
出力上限 |
個別:無制限 一括:月10,000枚(プレミアムのみ) |
個別・一括:月10,000枚(RepotoneU PDF/Excel は上限なし) |
無制限 (個別のみ) |
ポイント |
トヨクモ社他製品との相性が良く連携が容易 |
買い切りプランもあるため、ランニングコストをカットできる |
契約利用者数は5名からで、安価な料金 |
上記を踏まえ、それぞれのプラグインがおすすめのケースを解説します。
プリントクリエイターがおすすめのケース
帳票出力が PDFのみで十分な場合、プリントクリエイターがおすすめでしょう。プリントクリエイターは PDF に特化したサービスで、簡単操作でレイアウトを組むことができます。
また、プリントクリエイターはトヨクモ社の他製品と連携することで、請求書を作成し、1か月分の合計請求を算出、その後、請求書が発行されたら自動でメール送信するという一連の作業工程も自動化できます。より効率的な業務改善を目指す場合にも、プリントクリエイターがおすすめです。
RepotoneU がおすすめのケース
ランニングコストを抑えたい場合は、RepotoneU PDF/Excel がおすすめです。初期導入費用のみのため、手軽に始めたい方にはぴったりです。
また、RepotoneU は他社製品との連携も可能です。電子印鑑GMOサインと連携してシームレスに契約締結したり、krewData と連携して毎月の定型業務を自動化したり、様々な活用方法があります。
krewData についての詳細は、こちらをご参考ください。
ドキュトーンがおすすめのケース
PDF への出力は不要で、Word、Excel、PowerPoint の出力がそれぞれ必要な場合はドキュトーンが良いでしょう。どの形式にするかプルダウンで簡単に選べるため、各形式への出力も容易です。
また、できるだけ月額費用を抑えたい場合にもドキュトーンがおすすめです。安価で、ある程度の機能を満たしていれば問題ない、という際にはドキュトーン導入を検討してはいかがでしょうか。
プラグインを使用して、kintone で便利に帳票出力しよう
代表的な帳票プラグインをご紹介しました。各プラグインで機能が異なる部分があるため、まずは社内の帳票作成作業の中で“必要な機能”“外せない作業”を洗い出し、それらを満たすプラグインを選定することをおすすめします。
3つとも無料お試し期間が設けられているため、ひとまずトライアルで使ってみてから検討するのも良い方法でしょう。
また、請求書の作成方法について下記記事で解説しています。こちらも併せてご参考ください。
▼kintone で請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
本記事で紹介したポイントを押さえ、帳票出力の効率化につながれば幸いです。
※本記事の内容は2023年1月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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