kintoneは標準機能でも業務を効率化させる機能を備えていますが、これだけでは物足りないと感じられる業務が”帳票出力”ではないでしょうか。
標準で出力機能はあるものの、画面と同じレイアウトでしか出力されないため、自社フォーマットの帳票印刷ができない、複数の帳票をまとめて印刷できないなど制限があります。
本記事では、それらの問題を解消できるプラグインをご紹介します。kintoneの帳票出力でお困りの方は、ぜひご参考にしてください。
kintoneの基本機能や使い方については、下記記事をご覧ください。
▼kintoneの使い方や基本機能を紹介
kintoneの標準機能で帳票を出力するには?
kintoneアプリにはシンプルな印刷機能があるため、それを利用して帳票を出力できます。出力手順は以下の通りです。
- 任意の帳票レコードの詳細画面を開き、画面右上にある「・・・」から[レコードを印刷]をクリック
- 表示された印刷プレビュー画面を確認し、左上にある[印刷する]ボタンをクリック
- 印刷実行画面に遷移し、出力を実行する
帳票のデザインは、そのままレコード詳細画面が印刷されるようなイメージです。レイアウト調整ができない・自社のフォーマットを使えない・複数の帳票を一括で印刷できないといったデメリットがあります。
そのため、kintoneで帳票出力を行う際は、便利なプラグインの導入がおすすめです。
kintone帳票プラグインで押さえておきたいこと
kintoneの帳票プラグインは複数あります。それらの中から帳票プラグインを選ぶ際の基準として、押さえておくべき点を解説します。
- 一括印刷ができるか
- 画像ファイルを読み込めるか
- ひとつのアプリで複数のレイアウトの帳票を出力できるか
- テーブル(表)の内容を出力できるか
- アップロード可能な書式か
一括印刷ができるか
効率よく業務を行うためには帳票の一括印刷の機能は欠かせません。kintoneアプリに登録した複数レコードを一括して帳票印刷、もしくはPDFやExcel(エクセル)などのデータに変換できるかどうかは確認すべき機能となるでしょう。
「月次の請求書発行業務が大変で負担を減らしたい」というような課題を感じている組織は、一括印刷機能を備えているプラグインをおすすめします。
画像ファイルを読み込めるか
押印が必要な帳票はいまだ多いようですが、kintone上で押印処理が可能になれば効率化できそうです。これを実現するには、電子印鑑を画像ファイルとして読み込めるかどうかが重要となります。
紙に出力した後にわざわざ押印するという手間を省くためにも、画像ファイルを読み込めるプラグインを選ぶと良いでしょう。

ひとつのアプリで複数のレイアウトの帳票を出力できるか
帳票は、契約書や請求書、納品書など様々なレイアウトが存在します。
レイアウトの異なる帳票を数種類印刷しなければならない場合、ひとつのアプリですべて出力できるか確認しましょう。kintoneアプリでは帳票のレイアウトが異なるとうまく出力できないケースがあるからです。
複数のレイアウトの帳票を出力できるプラグインを選びましょう。
テーブル(表)の内容を出力できるか
テーブル(表)機能でわかりやすく情報を記載している帳票も多いのではないでしょうか。
テーブルの情報が読み込まれ、レイアウト通り出力できるかどうかも重要な点になるため、判断基準のひとつとしましょう。
テーブルの詳細について、下記記事にて解説しています。
▼kintoneのテーブル(表)とは? 機能のメリット・デメリットや活用方法を紹介
アップロード可能な書式か
自社で使用している帳票ファイルが、アップロードできる形式か確認しましょう。アップロード可能なファイル形式は、各プラグインでわずかに異なっています。
「せっかくプラグインを入れたのに使っている帳票ファイルをアップロードできない」ということがないように、事前にアップロード可能なファイル形式と自社の帳票ファイル形式が一致しているか確認しておくと良いでしょう。
kintoneで帳票出力できる3つの有料プラグイン
ここで、代表的な帳票プラグインを3つ紹介します。どれも有料となりますが、十分な機能を満たしているプラグインです。
1.プリントクリエイター
プリントクリエイターは、トヨクモ株式会社が提供するkintone連携帳票出力ツールです。
kintone内にある情報を参照し、見積書などの帳票の作成・出力が可能。また、使用している既存PDFファイルをアップロードすれば、マウス操作のみで自由に作成できます。帳票は、ワンクリックで個別・一括出力を行う手動の方法と、時間指定・レコード更新時に自動で出力を行う方法があります。帳票作成業務を効率化できるでしょう。
さらに、電子署名法に対応した電子契約機能も備えています。契約者とオンラインですべて締結できる仕組みのため、契約業務をラクにします。
料金プランは以下の通りです(すべて税別)。
ライト | スタンダード | プレミアム | プロフェッショナル |
月額¥7,000 年額¥84,000 |
月額¥12,000 年額¥144,000 |
月額¥18,000 年額¥216,000 |
月額¥30,000 年額¥360,000 |
初期費用と解約費用は無料です。kintone1環境につき、1契約で利用できます。30日間の無料トライアルが利用できるため、まずはそちらで使用感を確かめてみるとよいでしょう。
プリントクリエイターの詳細について、下記記事にて解説しています。
▼プリントクリエイターでkintoneの帳票印刷をラクにしよう!
プリントクリエイターのメリット・デメリット
プリントクリエイターのメリットとして、PDF出力に特化したサービスであることが挙げられます。いつも使っている帳票のPDFデータをアップロードし、kintoneアプリに登録されている“どの項目”を“どこに表示させるか”を配置して設定します。
出力の際も、kintone上にある情報をExcelやWordにわざわざ移し替える必要がなく、プリントクリエイター内で情報の記入・帳票の出力まで完結するため、作業効率がUPするでしょう。
また、他のトヨクモ製品との相性も抜群で、フォームブリッジやkViewerといった製品と連携することで、プリントクリエイターの活用の幅が広がります。kViewerについてどんなことができるのか、こちらのページをぜひご参考にしてください。
kViewerについて、関連記事をご用意しております。
▼kintone連携サービス「kViewer」でできることや活用例を紹介
一方、プリントクリエイターは外部連携サービスのため、別途ログインが必要となり、それが手間だと感じる方もいるかもしれません。
また、先述した4つの料金プランでそれぞれ利用できる機能は異なります。例えば、複数件のPDFを一括で出力するにはプレミアムプラン以上を契約する必要があるため、高度で便利な機能になるほど高額となります。
2.レポトン
レポトンは、株式会社ソウルウェアが提供する帳票プラグインです。kintoneで管理している請求書、各種報告書などのあらゆるデータをワンクリックでPDFやExcel形式の帳票に出力できます。
個別・一括出力機能や、kintoneアプリのレコード一覧画面から顧客リストや名簿、営業の月報などを作成できる機能があります。また、作成した帳票データは、自動でファイル名を生成し保存されるため「誤ってデータを消してしまった」といったミスを防げるでしょう。その他、AI設定サポート機能などを備えています。
料金プランは以下の通りです。
レポトンPro | レポトンPDF | レポトンExcel | |
サブスク | 月額¥22,000 | ー | ー |
買い切り | ー | ¥220,000 | ¥220,000 |
kintoneドメイン単位での契約のため、利用人数の上限はありません。30日間の無料トライアルが設けられています。
レポトンのメリット・デメリット
レポトンPDF/Excelが買い切りプラン・初期費用のみで使用できるのは大きなメリットでしょう。ランニングコストがかからないため、なにかと膨大になりがちなプラグインの月額費用を抑えられます。
また、マウスのみで簡単に操作できる点も強みです。帳票のイメージ上で、データを差し込みたい位置をマウスで選択するという簡単な操作で帳票のレイアウトを組めます。
一括出力、一覧出力といった便利な機能はPro版にある機能のため、月額契約が必要です。その他、複数ページの帳票出力機能もPro版のみとなり、レポトンPDF/Excelの機能だけでは物足りなさを感じるかもしれません。
3.ドキュトーン
ドキュトーンは、株式会社オプロが提供する帳票出力プラグインです。請求書や納品書、賃貸契約書、品質管理表などあらゆる帳票に対応しています。
ドキュトーンは、kintoneの各アプリに登録されているデータをOfficeファイルに動的に反映し、帳票を出力します。Officeアドオンを使って自由にテンプレートを作成できるため、外注コストをかけずに内製化も可能。
帳票の個別・一括出力や複数レイアウトの出力が可能です。また、申請業務の状況やデータの内容に応じ、ボタンの表示/非表示を設定できます。
料金プランは以下の通りです。
月額/1ユーザー | ¥1,180 (最小契約ユーザー数:10名) |
契約は12か月の年間契約となり、支払いは一括払いとなります。ライセンスを発行した翌月末まで無料トライアルを利用できます。
ドキュトーンのメリット・デメリット
リーズナブルな価格設定のため、導入のしやすさはドキュトーンの魅力として挙げられます。また、他製品にはないWord、Excel、PowerPoint出力はとても便利な機能ではないでしょうか。現在使っている帳票ファイルもそのまま使用できます。その他、帳票の複数枚登録が可能です。
一方で、PDFへ直接出力はできないため、Wordなどに一度出力してからPDFへの変換が必要となります。また、一部設定がややこしく使い慣れるまでに操作が難しいという声が挙がっているようです。使いやすさ・操作のしやすさでいえば、他のプラグインには劣るかもしれません。

kintone帳票有料プラグインの比較
前項で紹介した3つのプラグインを比較検討しやすいよう、表にしてまとめてみました。
|
プリントクリエイター |
レポトン |
ドキュトーン |
月額費用 |
|
以下、買い切り型(初期費用)
|
¥1,180 |
アップロード可能な書式 |
PDFのみ |
Excel、PDF |
Word、Excel、PowerPoint |
複数枚出力 |
○(プレミアム以上) |
○(Pro版のみ) |
○ |
一括出力 |
○(プレミアム以上) |
○(Pro版のみ) |
○ |
個別出力 |
○ |
○ |
○ |
画像出力 |
○ |
○ |
○ |
テーブル出力 |
○ |
○ |
○ |
出力上限 |
個別:無制限 一括:月10,000枚(プレミアム以上) |
個別・一括:月10,000枚 |
無制限 (個別のみ) |
ポイント |
トヨクモ社他製品との相性が良く連携が容易 |
買い切りプランもあるため、ランニングコストをカットできる |
契約利用者数は10名からで安価な料金 |
上記を踏まえ、それぞれのプラグインがおすすめのケースを解説します。
プリントクリエイターがおすすめのケース
帳票出力がPDFのみで十分な場合、プリントクリエイターがおすすめでしょう。プリントクリエイターは、PDFに特化したサービスで、簡単操作でレイアウトを組むことができます。
また、プリントクリエイターはトヨクモ社の他製品と連携することで、請求書を作成し、1か月分の合計請求を算出、その後、請求書が発行されたら自動でメール送信するという一連の作業工程も自動化できます。より効率的な業務改善を目指す場合にも、プリントクリエイターがおすすめです。

レポトンがおすすめのケース
ランニングコストを抑えたい場合は、レポトンPDF/Excelがおすすめです。初期導入費用のみのため、手軽に始めたい方にはぴったりです。
また、レポトンは他社製品との連携も可能です。電子印鑑GMOサインと連携してシームレスに契約締結したり、krewDataと連携して毎月の定型業務を自動化したり、様々な活用方法があります。
krewDataについての詳細は、こちらのページをご参考にしてください。
ドキュトーンがおすすめのケース
PDFへの出力は不要で、Word、Excel、PowerPointの出力がそれぞれ必要な場合はドキュトーンが良いでしょう。どの形式にするかプルダウンで簡単に選べるため、各形式への出力も容易です。
また、できるだけ月額費用を抑えたい場合にもドキュトーンがおすすめです。安価で、ある程度の機能を満たしていれば問題ない、という際にはドキュトーン導入を検討してはいかがでしょうか。
プラグイン利用時の注意点
kintoneプラグインを利用するには「スタンダードコース」以上の契約が必要です。一番低額のライトコースではプラグインを使用できないため、ご注意ください。
kintoneの各プランについて、下記記事にて紹介しています。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
また、複数のプラグインをアプリに適用させると、JavaScriptファイル同士が競合し、kintoneが動作しなくなる恐れがあります。複数のプラグインを導入していたり、独自のJavaScriptカスタマイズを行っていたりする場合は、必ずテスト環境で動作に問題ないことを確認してから本番環境へ反映しましょう。
kintoneが使えなくなってしまうと業務が停止し、利益損失へとつながりかねません。十分に注意しながら、プラグインを導入しましょう。
kintoneで帳票出力を効率的に
代表的な帳票プラグインをご紹介しました。各プラグインで機能が異なる部分があるため、まずは社内の帳票作成作業の中で“必要な機能”や“外せない作業”を洗い出し、それらを満たすプラグインを選定することをおすすめします。
3つとも無料お試し期間が設けられているため、ひとまずトライアルで使ってみてから検討するのも良い方法でしょう。
また、請求書の作成方法について下記記事で解説しています。こちらも併せてご参考にしてください。
▼kintoneで請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
本記事で紹介したポイントを押さえ、帳票出力の効率化につながれば幸いです。
※本記事の内容は2025年6月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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