多くの組織で書類や情報の電子化が進められていますが、そのファイルの保存場所にお困りの企業は多いのではないでしょうか。自社内でファイルサーバーを運用することになれば、対応できるIT人材の確保などコストが新たにかかります。
そこでおすすめなのが、kintone を利用して、手軽で安価にファイル管理する方法です。
本記事では、kintone のファイル管理機能のメリット・デメリットや実際の導入事例、最大限活用するポイントを紹介します。kintone のファイル管理機能で業務効率と生産性の向上を進めてみませんか。
kintone のファイル管理機能とは
サイボウズ社が提供する kintone(キントーン)は、アプリ開発の知識がなくても簡単に業務アプリを作成できる業務プラットフォームです。
アプリ作成ができるだけでなく、ファイル管理機能も kintone の標準機能のひとつです。5GB×ユーザー数のディスク容量を使ってファイル保存が可能で、ファイルごとに担当者や更新日時といった関連情報の管理ができます。いつ・誰が・どこを・どのように変更したか確認できる変更履歴管理や、編集後も任意の時点の状態に復元できるバージョン管理の機能も kintone は備えています。誤ってファイルを上書きしてしまった場合でも簡単に復元可能です。
そして検索性にも優れ、保存したファイルはファイル名だけでなく中身の情報も一括検索できます。
kintone はこのファイル管理機能以外にも、コミュニケーション機能やアクセス制限機能、外部システム連携機能などもあり、セキュリティを保ちつつ柔軟なファイル管理を実現します。
kintone のセキュリティ機能について、さらに詳しい記事をご用意しております。
▼kintone のセキュリティは安心? 製品の各種機能と設定を解説
kintone ファイル管理の4つのメリット
kintone でファイル管理する主なメリットを4つ紹介します。
1.kintone 上でファイルを一元管理できる
資料など大量の紙書類を管理している、電子ファイルの保管場所がシステムごとに分散しているなど、情報管理に問題を抱えている企業は意外と多いのではないでしょうか。
kintone では管理すべきファイルの集約が可能で、紙書類の保管スペース削減や、各システムに散逸していた情報の一元管理ができるようになります。
また、無料で利用できる kintone のサンプルアプリ「ファイル管理」には、PDFファイルの中身の全文検索機能があり、より便利な使い方ができます。
さらに kintone ではファイルの変更履歴やバージョンの管理ができます。担当者や更新日、利用ルールなどの関連情報をまとめて管理でき、管理項目も運用に合わせて柔軟に変更可能です。誤ってファイルを上書きしてしまっても任意のバージョンに復旧できるため、ヒューマンエラーもフォローします。更新差分の確認もしやすく、適切なファイル管理が行えるでしょう。
2.kintone 上でコミュニケーションスペースが作れる
kintone はファイル管理機能の他にも多彩な機能を備えています。そのうちのひとつがコミュニケーション機能です。これは、プロジェクトやタスクを進行するチームごとにスペース(場所)を作って、コミュニケーションが図れる機能です。
このコミュニケーション機能のスペースを活用すれば、誰がどのような変更を行うか、やり取りしながらファイル管理ができるようになります。その場でコミュニケーションが可能なため、ファイル管理にかかる様々な無駄を削減できるでしょう。
3.時間や場所にとらわれずアクセスできる
kintone はクラウドツールのため、インターネットにつながる環境さえあれば、時間や場所にとらわれずに利用可能です。在宅勤務やリモートワークをしている方や、営業職など外勤が多い部署でも、kintone は利用しやすいでしょう。
もちろんアクセス制限やユーザーの多要素認証(MFA)など、kintone にはセキュリティ機能も充実しているため、社外からも安心して利用ができます。
4.外部システムとの連携が柔軟
kintone のライセンスプランのうち、スタンダードコースでは外部システムとの連携が柔軟に行えます。Office 製品や Slack など、多くの企業で利用しているアプリやシステムとのリンクが可能です。
例えば Slack と連携すると、チャットでやり取りしたファイルを自動で kintone に保存し、チャット上に情報が埋もれることを防ぎます。逆に kintone 上でファイルの更新などが行われた際に、Slack 上やメールに通知することも可能です。
外部システムとの連携にはある程度のIT知識が必要ですが、カスタマイズや外部連携によって現場に合った環境を整えることができるでしょう。
kintone は Excel と連携可能です。詳しい記事をご用意しております。
▼kintone の Excel 連携方法は? 事例や拡張機能をご紹介
kintone ファイル管理のデメリット
kintone では効率的なファイル管理が可能ですが、いくつか注意点があります。それは次の2点です。
- 保存容量に制限があり、拡張しようとするとコストがかさみやすい
- フォルダ分け(カテゴリー分け)をしないと情報が分散しやすい
kintone の標準のディスク容量はユーザー数×5GBです。ユーザーごとに5GBではなく、全体容量がユーザー数×5GBとなります。ディスク容量は10GB単位で増設することもできますが、月額1,000円/10GB(年額11,760円)のコストがかかります。テキスト、Word などのドキュメント類であればよいですが、高画質な画像や動画などを保存するとすぐに容量オーバーになってしまいます。
kintone でファイル管理を行う際には、保存するデータの種類には注意しましょう。
また、kintone の標準機能では、フラットなファイル保存スペースがあるのみです。そのため、ただ kintone 上にファイルを保存していくだけでは、捜しにくくなります。
kintone でファイル管理を行う際には、フォルダ分け(カテゴリー分け)を行い、同じプロジェクトや業務内容ごとにファイルの保存スペースを分けるようにしましょう。
kintone のプラン別の費用と機能についてご紹介しています。
▼kintone プランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
kintone でファイル管理・導入2例
kintone は、非常に安価で便利なツールです。ここからはファイル管理を行うため、kintone を導入した2社が目的以外の業務も改善したり、案件ごとだった情報管理を一元化したりといった成功事例を紹介します。
フィットネス事業を全国に展開するA社では、kintone 導入まで、社内のスタッフとの契約や顧客管理書類を紙媒体でアナログ管理していました。
A社はアナログ脱却のため、契約書類を整理するために契約書管理用ソフトを検討していましたが、よりコストが低い kintone を導入しました。
kintone 導入後は、kintone 上にファイル保存して、いつでもデータの検索・出力ができる状態になり、ファイルを探す手間が大幅に削減されました。
kintone を導入したのは非IT部署でしたが、kintone のグラフィカルなアプリ開発機能で契約書の管理以外にも申請書や帳票の出力や外部システムとの連携まで使いこなし、業務全体の改善につながっています。
次に短期間で kintone の機能を最大限生かす成果を上げたB社の例の紹介です。
大手の不動産会社であるB社は、kintone を導入しわずか2か月で様々なシステムを実装するに至りました。
B社では、工事の図面や各段階での写真や記録をオンラインストレージのファイル共有サーバーに施主や工程ごとに分けて管理。しかし、階層を分けていなかったこともあり、ファイル管理が煩雑になっていました。そこで施工の品質向上・業務効率化のために、もっとシンプルに記録管理ができないか模索していました。
そんな中で導入候補に挙がったのが、アプリの配布が不要で短期間で仕組み作りができる kintone です。B社は様々な施工を行っているため、現場で利用するツールは柔軟性が必要でした。kintone はその条件にマッチしており、kintone 導入によって案件ごとの情報を一元管理できるようになっています。
さらに、保存した情報を基幹システムと連携するアプリの開発も行われ、2か月という短期間ながら多くの成果を上げました。
その他に下記の記事で、kintone の活用事例をご紹介しています。
▼kintone の活用についてご紹介! 導入事例を参考に詳しく解説
kintone ファイル管理の活用ポイント
kintone でのファイル管理にはメリット・デメリットがあります。では、メリットを生かしデメリットを補うには、どのように利用すればよいのでしょうか。
kintone の導入事例も踏まえ、kintone でファイル管理を行う際の活用ポイントを3つ解説します。
1.ファイルの管理ルールを整備する
kintone でファイル管理を進める前に、ファイルの管理ルールを整備しておきましょう。ファイルの種類などによって保管先や保管ルールを整備することで、情報の分散を防止できます。
また、kintone は高度なセキュリティ対策を実施しているクラウドツールですが、企業によってはクラウド上に保存可能な情報区分などが定められている場合もあるでしょう。
社内の情報セキュリティポリシーに沿って、kintone 上に保存可能な情報の線引きをルールとして定義しておく必要があります。
2.適切なアクセス権設定を行う
ファイル管理の重要な点として、アクセス管理があります。アクセス管理が適切でなければ、情報漏えいにつながりかねません。
kintone 上でファイル管理を行う前には、ファイルやフォルダごとに適切なアクセス権設定を行い、必要なスタッフに必要な情報だけを公開するようにしましょう。
3.ファイルの容量に注意する
kintone でのファイル管理のデメリットでも前述しましたが、kintone の標準ディスク容量はユーザー数×5GBです。特定のユーザーが大量にファイルをアップロードしてしまうと、他のユーザーがファイルを保存できない状況になってしまう可能性があります。
メンバーが大量にディスク容量を消費しないよう、ディスク容量の管理を行うようにしましょう。
また、運用歴が長くなるほど、過去のファイルが kintone 上に溜まっていき、ディスク容量を圧迫する状況を引き起こします。
不要な情報は適宜、棚卸しをして容量削減を図るとともに、一定の期間が経過した過去情報は別の場所に保存する、などといったルールを決めておけば、kintone のランニングコストを抑えられるでしょう。
kintone でファイル管理して情報を一元化
kintone のファイル管理機能のメリット・デメリットや実際の導入事例、活用ポイントを紹介しました。kintone はアプリ開発に必要なIT知識がなくとも、誰でも簡単に業務アプリの作成が可能で、ファイル管理もしやすい業務プラットフォームです。
5GB×ユーザー数のディスク容量でファイル保存・管理ができる kintone では、ファイルごとに担当者や更新日時といった関連情報の管理も可能です。また、いつ・誰が・どこを・どのように変更したかがわかる変更履歴管理や、編集後でも任意の時点の状態に復元できるバージョン管理の機能もあります。
kintone によるファイル管理で実現することは、まずファイルの一元管理、そして変更履歴やバージョン管理ができる、コミュニケーションスペースの活用、さらに時間や場所に縛られないアクセス、外部システムとの柔軟な連携です。ただし、ディスク容量の制限や保存情報の分散には注意が必要です。
kintone の導入事例も踏まえ、kintone でファイル管理する際には、ファイル管理ルールの整備や適切なアクセス権設定、ディスク容量のチェックに気を付けるようにしましょう。
これらのポイントさえ押さえれば、kintone は迅速かつ低コストで導入できる非常に便利なツールです。
紙媒体でのファイル管理を改善したいとお考えでしたら、kintone の導入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。適宜導入支援サービスを利用し、操作方法やプラグイン追加などをマスターすれば、様々な業務改善にもつながるでしょう。
この他に kintone の基本情報や便利な機能をご紹介しています。ぜひご覧ください。
▼kintone でできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
▼kintoneのプロセス管理|基本設定とワークフローの設定例
※本記事の内容は2022月5月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
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また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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