サイボウズ社が提供している kintone(キントーン) はクラウド型の業務改善プラットフォームです。専門的なIT知識がなくとも自社に合ったアプリやフォームの作成、データ管理の一元化を行えるため、多くの企業で利用されています。しかし、Excel(エクセル)で行っている顧客情報管理や案件進行管理・日報や経費精算のような既存の帳票業務をどのように kintone に移行すればいいかお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで、kintone と Excel の連携はどのように行えるのか、連携によるメリット・デメリット、さらに Excel 連携のための主なアドインやプラグイン3選を紹介します。
kintone と Excel は連携できる?
kintone は専門的なIT知識がなくても、グラフィカルに業務アプリの作成もできるクラウドツールです。
kintone に Excel ファイルを読み込めば、Webブラウザ上で編集・共有・管理ができるので、「手元の Excel をアプリにしたい」「Excel で管理していた帳票データを kintone に移行したい」といった要望も実現できます。
また、後ほど紹介しますが、kintone のプラグインを利用して、 kintone 上で編集したファイルを Excel 形式で出力することも可能です。
ところで、普段から帳票など資料作成で Excel を利用している企業では、誰かが Excel ファイルを編集しているため編集できない、Excel ファイルが重くて開けないなどのトラブルが発生しがちではないでしょうか。kintone を利用すれば、こういった Excel 関連の様々なトラブルも解決できます。
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kintone と Excel を連携するメリット
kintone の Excel 連携を活用すると様々なメリットが得られます。主なメリットとしては以下の3点があります。
- Excel で管理していた様々なデータを連携、一元管理できる
- 複数人で編集・共有・管理が可能になる
- コミュニケーション機能があり生産性が上がる
kintone で Excel ファイルを読み込めば、kintone 上で様々なデータを一覧で見られるようになります。どれが最新のファイルかわからない、誰が管理しているかわからないファイルも kintone 上で管理すれば、最新版やファイルの担当者情報を明確にし、一元管理が可能です。登録データをすべて検索できるので、必要なデータをすぐに見つけることができます。また、複数人で編集・共有・管理ができるため、誰かが編集しているから編集できない、誰がどのような更新をしたかがわからないという問題も解決します。
加えて、kintone 上にはコミュニケーションスペースを作成する機能も搭載されているため、コミュニケーションをとりながら Excel データの編集・共有・管理が可能です。同じプロジェクト内やチーム内で連携して作業を行うことで、業務を効率化し、生産性アップにつながるでしょう。
kintone と Excel を連携するデメリット
kintone と Excel を連携すると様々なメリットが得られる一方で、注意すべきデメリットも存在します。主なデメリットとしては以下2点が挙げられます。
- 利用規模が大きくなるとコストがかさみやすい
- 高度な連携を行うのには専門的なIT知識が必要
kintone はユーザー数ごとの月額課金です。ユーザー数が多くなりすぎるとランニングコストが高くなってしまう点には注意しましょう。また、プラグインの利用には費用がかかるものも多くあります。プラグインを利用すれば便利になるのは確かですが、費用対効果を見極めたうえで利用するようにしましょう。
kintone は誰でも簡単に業務アプリを作成できる点が大きなメリットですが、やはり高度なシステム連携などを行うためには専門的なIT知識が必要になる場合もあります。
また、簡単にアプリ作成ができるからといって、アプリを乱立させると実際の業務で使えないアプリが多数生まれることにもなりかねません。業務とうまく連携できるアプリを作成するためには、適宜プラグインや支援サービスの利用も検討するとよいでしょう。ただし、前述した通りコスト面もふまえた検討が必要です。
kintone と Excel の連携事例
kintone の Excel 連携にはメリット・デメリットそれぞれありますが、具体的にどのように活用するのがよいのでしょうか。アウトソーシングやクラウドなどのITサービス事業を展開しているN社の事例を紹介します。
N社では、社員が顧客先で作業をするときに、交通費や出張申請・出張清算伝票、出張報告書などを Excel 伝票で入力し、印刷・捺印後にまたPDFでデータ化し、本社にデータをメールで送付という流れで申請業務などを行っていました。しかし、このオペレーションには無駄が多く、メール送付というセキュリティ面でのリスクも課題となっていました。
N社は課題の解決のため kintone を導入し、Excel データを読み込み、既存データをアプリ化して各種事務伝票と連携できるようにしました。結果として、従来の電子データ→紙書類→電子データという無駄な流れがなくなり、メール送付が不要となったためセキュリティ面も改善、さらにAPIを利用した既存伝票と kintone 連携機能を駆使し、事務作業の効率化につながっています。
kintone と Excel を連携する拡張機能3選
ここでは、kintone で活用できる Excel 関連のアドイン・プラグインを3つ紹介します。
1. Excel 読み込みプラグイン
kintone で Excel ファイルを読み込む際、データの入力範囲の指定やデータフィールドの確認などが必要になります。頻繁に読み込むデータの場合、繰り返しこれらの作業を行うのは手間でしょう。「Excel 読み込みプラグイン」は、ファイルを読み込む際の設定を保存しておくことで、ファイル読み込みの省力化が図れるプラグインです。
一度保存している設定であれば、Excel ファイルをドラッグアンドドロップするだけで簡単に読み込みが可能になります。利用には1ユーザー当たり、2,000円(税抜)の月額プランか50,000円(税抜)の買い切りプランから選べます。定型業務で同じ形式のファイルを頻繁に読み込むことが多いという場合には利用を検討してみるとよいでしょう。
2. Smart at tools for kintone Excel 入力
「Smart at tools for kintone Excel 入力」は、Excel シート上のデータをkintoneレコードに取り込むプラグインです。ただ Excel ファイルを kintone に読み込むだけであれば、プラグインなしでも他のプラグインでもできますが、Smart at tools for kintone Excel 入力では複雑な計算式を含む Excel の読み込みが可能になります。
5アプリ10ユーザーまでのスタータープランは初期費用50,000円(税抜)、年額84,000円(税抜)で利用ができます。複雑な計算式が含まれる Excel を業務で利用していて、これを kintone に移行する場合におすすめです。
3. krewSheet
「krewSheet」は Excel ライクなデータ編集が実現できるプラグインです。Excel 読み込みプラグインや Smart at tools for kintone Excel 入力は Excel ファイルを読み込むためのプラグインですが、krewSheet は kintone 上で、まるで Excel を操作しているのと同じような感覚でデータ編集ができるため、Excel に登録してあるデータをコピー&ペーストで krewSheet に転記することもできます。「他のツールも使いたいけれど Excel の操作が慣れていて一番やりやすい」という方でも、無理なく“脱エクセル”を目指せるでしょう。
krewSheet は大手企業でも多数導入されており、100ユーザーまでのプランでは月額23,000円(税抜)、年額250,000円(税抜)で利用ができます。無料お試し版も用意されていますので、興味がある場合はまず無料で試してみるとよいでしょう。
kintone と Excel の連携で業務効率化
今回は、kintone と Excel の連携はどのように行えるのか、メリット・デメリットや主なプラグイン3選を紹介しました。専門的なIT知識がなくてもわかりやすい画面表示を見ながら直感的に業務アプリを作成できるクラウドツール kintone では、Excel ファイルを読み込みWebブラウザ上で編集・共有・管理ができる機能を備えています。
kintone と Excel を連携させると、Excel で管理していた様々なデータを連携し、一元管理できる、複数人で編集・共有・管理が可能になる、kintone のコミュニケーション機能により生産性が上がるといったメリットが得られます。
一方、利用規模が大きくなるとコストがかさみやすい、高度な連携を行うのには専門的なIT知識が必要というデメリットには注意が必要です。
kintone の Excel 関連プラグインとしては、Excel 読み込み用である「Excel 読み込みプラグイン」や「Smart at tools for kintone Excel 入力」、Excel に慣れ親しんだ方でも無理なくデータ編集ができ脱 Excel を図れる「krewSheet」などがあります。プラグインの利用にはコストがかかりますが、より業務効率を向上させる手段として検討してみるとよいでしょう。ぜひ、kintone と Excel の連携で業務効率化を目指してみてください。
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※本記事の内容は2022年5月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
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