kintone(キントーン)はライセンスによって料金や利用できる機能・オプションが異なります。kintoneを導入しようとお考えの方は、まずは各ライセンスの特徴を理解した上で最適な選択をしましょう。
ビジネスユーザー向けである標準ライセンス「ライトコース」「スタンダードコース」、そして2024年秋から新たに追加された「ワイドコース」の3つについて解説し、その他のライセンスについては重要な点を抜粋してご紹介します。
関連記事をご用意しておりますので、こちらも併せてご参考にしてください。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
kintoneで業務改善
サイボウズ株式会社が提供するkintone(キントーン)は、業務課題を解決しながら円滑なコミュニケーションを実現するビジネスプラットフォームです。
顧客・案件管理やタスク管理、勤怠管理など様々な業務改革を実現できます。
また、kintoneを業務プラットフォームにすれば、各種データの一元管理が可能です。社内に散在しているデータを集約することで、業務全体の可視化や多角的な視点でデータ分析を行え、生産性の向上を期待できます。
kintoneについて解説した関連記事をご用意しております。
▼kintoneのアカウントは使いまわし不可! 情報共有する方法とは?
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主な機能
kintoneを理解する上で、大切なポイントは2つあります。
ポイント1. アプリ
kintoneにおける「アプリ」とは、kintone上で活用可能な業務システムを示します。
例えば、顧客管理アプリを追加すると、顧客案件ごとの受注確度や金額などをデータベース化できます。また、商品管理と顧客管理のアプリ内にあるデータを紐づけて自動で表示させることも可能です。
複数アプリで蓄積したデータは、自動集計して様々な形式でグラフ化できるため、データ分析結果から業務改善や生産性アップにつなげられます。
アプリ開発については、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneのアプリ開発|方法や外注のメリット、ポイントも紹介!
▼kintone(キントーン)のアプリ作成例が知りたい! 使い方やサンプルアプリを紹介

ポイント2. コミュニケーション
以下の通り、kintoneは豊富なコミュニケーション機能を備えています。
- スペース:業務上のやり取りを集約する場
- スレッド:テーマごとに分けたコミュニケーションスペース
- アプリのコメント:アプリに集約した各データに対し、コメント形式でやり取りできる
- メンション:特定の相手にメッセージを送信する機能
- 個人メッセージ:1対1でのメッセージのやり取り
その他kintoneでは、ExcelやCSVなど既存データからの簡単なアプリ化や、プラグインや外部サービス連携を使った機能拡張(スタンダードコース以上)など、便利な機能がそろっています。
kintoneの標準ライセンス
標準ライセンスは、ビジネスで活用されるライセンスです。まず、3つある標準ライセンスのプランと主な機能をご紹介します。
下記は標準ライセンスの3つのプラン「ライトコース」「スタンダードコース」「ワイドコース」をまとめた早見表です。
ライトコース | スタンダードコース | ワイドコース | |
月額料金/1ユーザー | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
外部サービスとの連携、プラグインや拡張機能の利用 | × | ○ | ○ |
アプリ数の上限 | 200個 | 1,000個 | 3,000個 |
スペース数の上限 | 100個 | 500個 | 1,000個 |
ディスク容量 | 5GB×ユーザー数 | ||
サポート | メール・電話・チャットによるサポート | ||
言語設定 | 日本語・英語・簡体字・繁体字・スペイン語 | ||
スマホアプリ | 対応 | ||
ゲストユーザー価格/1ユーザー | 月額700円 | 月額1,440円 | |
ゲストスペース数の上限 | 100個 | 500個 | |
セキュアアクセス/1ユーザー | 月額250円 | ||
ディスク増設/10GB | 月額1,000円 |
上記はすべて税抜き価格となります。
1ユーザー単位で契約でき、1か月ごとに契約更新が可能です。単月契約での月額サービスと、単年契約の年額サービスからお選びいただけますが、月額・年額はサービスごとに一律で指定し、ユーザーごとに選択はできませんので、ご注意ください。
また、30日間の無料お試し期間も設けられています。試用期間が終了後、自動的に課金されることはありませんが、終了日の翌日から30日後にkintoneのデータは自動的に消去されます。試用期間に登録したデータを引き継ぎたい場合は、30日以内に発注(購入)することをおすすめします。
発注方法については、こちらのページをご参考にしてください。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneのディスク容量オーバーを回避する方法
ライトコース
kintoneのライトコースは、スタンダードコースに比べ、機能制限があるライセンスです。
外部サービスとの連携やプラグインの利用ができない、使えるアプリ数とスペース数が少ないなどの代わりに、月額料金は1,000円(1ユーザー当たり)と割安になっています。
また、自社のkintoneユーザー以外のメンバーがゲストとして参加できるゲストスペース数も、スタンダードコースと比べ少なくなっています。取引先や協力会社など、やり取りする数が多くなる場合、ライトコースでは不足するかもしれません。
アプリの使用や情報の登録・管理など単純な使い方をする場合のみ、ライトコースを契約するといいでしょう。
スタンダードコース
スタンダードコースは使えるアプリ数の上限は1,000個、スペース数の上限は500個と使える機能が広がるライセンスです。企業規模や業種にかかわらず、kintoneで業務の改善を行えるでしょう。
また、JavaScript/CSSによる開発・カスタマイズ、プラグイン(拡張機能)や外部サービス連携もスタンダードコースから利用できます。kintoneは初期機能でも十分に業務改善を実現するツールですが、さらに業務効率化や生産性向上を目指すには、それらの活用は不可欠です。業務改善を目的にkintoneを導入する企業・組織には、スタンダードコースの契約がおすすめです。
先述した30日間の無料トライアルは、機能性が高いスタンダードコースで試すことができます。
スタンダードコースや無料お試し期間について詳しい解説は、下記記事にて掲載しています。
▼kintoneのスタンダードコースとは? 他のコースとの違いを解説
▼kintoneをお試し期間で使用してみよう!
ワイドコース
ワイドコースは、エンタープライズ企業での利用を目的に新設されたコースです。大規模利用に特化しており、kintone利用数が1,000名以上いる場合は、ワイドコースがおすすめです。
他のコースとの違いは料金やアプリ上限数などだけではありません。大規模利用向け機能として、ポータル(トップ画面)表示を強化する機能や、プロセス管理機能を強化するプラグイン、アプリの分析機能などを備えています。
関連記事をご用意しております。
▼kintoneのプロセス管理|基本設定とワークフローの設定例
拡張機能はスタンダードコース以上から
kintoneの魅力のひとつが拡張性の高さです。プラグインや外部サービスとの連携、API・JavaScriptでカスタマイズすることで、より効率的に業務を進められます。
以下がkintoneの拡張機能の例です。
- 帳票出力システムとの連携:kintoneのデータをわかりやすい帳票に出力
- 名刺管理システムとの連携:名刺管理システムの顧客データをkintoneに自動出力
- MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携:営業部門との見込み顧客開拓などの連携の自動化
- カレンダープラグイン:kintoneで高度なスケジュール管理を実現
拡張機能はパッケージ化されているため、kintoneアプリにインストールすればプログラミング不要ですぐに利用できます。手軽に機能を拡張できる点が魅力のひとつです。
ただし、ライトコースでは利用できないため、拡張機能を使用したい場合はスタンダードコース以上を契約しましょう。
この他にも、拡張機能の活用方法は多様にあります。
拡張機能について、こちらの資料にて解説していますので、ぜひダウンロードしてみてください。
kintone拡張機能活用術
また、下記記事にて便利なプラグインを紹介しています。併せてご参考にしてください。
▼kintoneで名刺管理|アプリやプラグイン連携を紹介
▼kintoneで請求書作成から管理ができる? 活用ポイントを紹介
▼kintoneの顧客・案件管理|営業活動に役立つ機能を紹介
▼kintoneのカレンダー表示機能|便利なプラグインも紹介

kintoneのチーム応援ライセンス
kintoneの「チーム応援ライセンス」とは、NPO法人や任意団体などの団体向けに提供される特別ライセンスです。
チーム応援ライセンスの要件を満たせば、年間9,900円(900ユーザー)でスタンダードコースを利用できます。一般的なスタンダードコース(年間21,600円/1ユーザー当たり)と比較すると、お得に利用できます。
チーム応援ライセンスの利用要件は下記の通りです。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 活動目的が明確
- 代表者が存在し、情報管理の責任者が明確
- 特定の法人の傘下もしくは管理下にない
- 財務状態が適切に管理されている
- 事例取材や調査への協力などに同意できる
対象は、学校PTAや学生や社会人サークル、ボランティア団体、自治体などいわゆる非営利で活動する団体です。
自治会での事例
自治会でやるべき業務が多く、悩んでいたある地域の総務部長。役員の大半が本業を抱えているため、作業時間の都合をつけることが難しい状態でした。
「サイボウズOffice」を導入し、いったんは課題を解決しましたが、総務部長は続けて、kintoneの導入も進めました。
サイボウズOfficeとkintoneの大きな違いは、上限ユーザー数です。自治会の世帯数を考えると、上限数300ユーザーのサイボウズ Officeでは、全世帯への情報配信などに対応できませんでした。
そこで、上限数900ユーザーのkintoneを導入すれば、全世帯がkintoneを利用できるため、ユーザー数制限の問題を解消しました。そして、災害発生時の一斉メール配信や各世帯情報の効率的な把握などが可能となったのです。
kintone開発者ライセンス
kintone開発者ライセンスとは、kintone APIを使用したkintoneアプリ開発者向けのライセンスです。運用目的では利用できません。
開発者ライセンスを取得すれば、kintoneでのシステム構築・運用を行う際に、運用変更やカスタマイズが与える影響を事前テストする環境が提供されます。主なサービス内容は以下の通りです。
- 目的:kintone APIを使った開発
- プラン:スタンダードコース
- ユーザー数上限:5
- 提供期間:対象サービスの利用開始日から1年後の月末まで
「cybozu developer network」のメンバー登録をし、「開発者ライセンスを申し込む」ボタンより開発者ライセンスを申し込めます。
kintoneの開発やAPIについて、関連記事をご用意しております。
▼kintoneをさらに便利に! 自社で開発するメリット・デメリットについて解説
▼kintoneのAPI機能で外部システムと連携する

その他のライセンス
ここまでビジネス向けのライセンスについて解説しました。その他に「アカデミック/ガバメントライセンス」があります。
アカデミックライセンスでは以下の団体が対象です。
- 学校教育法で定められた幼稚園・小学校・中学校・特別支援学校などの各種学校
- 教員の研修を目的に地方自治体が設置した教育センター・教育研究所
- 厚生労働省認可の保育園・乳児園
ガバメントライセンスの対象は、以下の団体です。
- 中央省庁
- 地方自治体
- 独立行政法人
- 公益法人
- 特別認可法人
- 公的医療機関
- 社会福祉法人
- 国会・裁判所・消防警察組織 等の機関
- 全国の商工会・商工会連合会・および商工会議所
- 公社
- 全国の中小企業団体中央会
料金体系は以下の通りになります。(※税抜き価格)
ライトコース | スタンダードコース |
月額 600円/1ユーザー | 月額 1,080円/1ユーザー |
年額 7,200円/1ユーザー | 年額 12,960円/1ユーザー |
クラウド版Garoonでも使用可能で、10ユーザーから契約できます。アカデミック/ガバメントライセンス対象団体への該当可否を事前に確認したい場合は、省庁・自治体様専用のご相談窓口より問い合わせ可能です。
自社に適切なライセンスを選ぼう
ビジネスで活用可能な各コースの大きな違いは、料金と拡張機能の有無です。効率化したい業務の範囲と予算を明確にし、適切なライセンスを選びましょう。
まずはスタンダードコースの30日間無料のお試し期間に申し込み、実際に利用しながらライセンスの検討をしてもよいでしょう。自社での利用目的やそれぞれコースの価格などを踏まえながら、適切なライセンスを選んでください。
また、kintoneの競合製品としてよく挙げられるSalesforceとの違いについて、下記記事にてまとめています。こちらもぜひご参考にしてください。
▼Salesforceとkintoneどちらを選ぶ? おすすめの利用シーンも解説
※本記事の内容は2025年1月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更することがあります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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