サイボウズ社が提供する kintone とサイボウズ Office。どちらも組織内のスケジュールや業務、情報を管理しやすく、低コストで導入できるクラウドITソリューションです。そのため、リモートワークでの生産性アップや業務の効率化にはどちらがいいか悩む現場もあるでしょう。
実のところ両者は、厳密には役割と性格が異なっています。kintone はITプラットフォーム、一方、サイボウズ Office はグループウェアという役割です。ただし最近ではできることや機能性で重なる点も多く、両者のすみ分けがアバウトになりつつあります。
そこで、kintone とサイボウズ Office の役割、特長や機能性を紹介、比較しながら、それぞれ導入にマッチする企業のタイプや環境について解説します。
kintone とサイボウズ Office、どんなことができるの?
kintone とサイボウズ Office はいずれもクラウドで導入可能なサービスのため、利用スタートまで時間や手間が比較的かからないメリットがあります。
ここから、両者の役割と、特筆すべき特長や機能などを解説します。
kintone はこんな機能・特長がある!
kintone は、様々な業種・業務で活用できる汎用性とデータベース機能が高いITプラットフォームです。ITプラットフォームとは、アプリやシステムなどを動かすための基盤となる機器やソフトウェア、サービスのこと。様々なアプリやソフトウェアを動かすベースが kintone というイメージです。
似ているサービスに Microsoft 365 などがあります。類似サービスについてさらに詳しい記事もご用意しています。
▼kintone の競合製品5つの機能を徹底比較
kintone は組織内のデータ管理、コミュニケーションや情報共有機能はもとより、ワークフロー(申請業務)としても活用しやすく、連携できる外部サービスや基幹システムも多いため、業務効率が格段に上がると好評です。
kintone には大きく分けて、次の4つの基本機能があります。
- アプリ作成
- コミュニケーション機能
- 拡張機能(スタンダードコースのみ)
- 管理機能
中でも kintone 最大の特長は、標準機能で業務に必要なアプリをいとも簡単に現場で作成できる点です。kintone に標準搭載されている100以上もあるサンプルアプリをそのまま使うもよし。また、様々なアプリのパーツをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけの簡単操作で、技術系の専門知識はほとんど必要なく、誰にでも独自のアプリを作ることもできます。
さらに kintone の詳しい機能や特長について知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
▼kintone でできること・できないことは何? 導入メリット・デメリットも解説
▼kintone(キントーン)の使い方|基本機能・活用法は?
サイボウズ Office はこんな機能・特長がある!
サイボウズ Office は、多くの機能がワンパッケージで提供されるグループウェアです。グループウェアとは組織内の情報共有やコミュニケーションを円滑にする、メール、スケジュール管理、ビジネスチャット、ストレージなどの機能を備えたソフトウェアのことです。サイボウズ Office に似たグループウェアとして、Google Workspace があります。
利用コストが1ユーザーあたり月額500円と低く、IT環境に割く資金が限られる中小企業の導入が多いようです。
サイボウズ Office は主に次のような機能があります。
搭載機能 |
内容 |
トップページ |
その日の予定や、自分宛の連絡・申請などをまとめて確認できる |
スケジュール管理 |
個人とメンバーの予定管理と共有が可能 |
掲示板 |
全ユーザーへの情報発信が可能。ユーザー同士の意見交換も |
ファイル管理 |
共有はもちろん、ファイルのバージョン管理もできる |
メッセージ |
大事なやりとりが埋もれないようにする機能がある |
メール |
サイボウズ Office にログイン可能ならいつどこでも利用できる |
ワークフロー |
申請・決裁を簡単に電子化。スマホからも可能 |
報告書 |
商談報告や議事録など、あらゆる文書をフォーマットにして共有。アドレス帳との連携で、顧客ごとに以前の報告内容の確認も可能 |
アドレス帳 |
連絡先の一元管理が可能。担当変更などによる引き継ぎもスムーズ |
電話メモ |
外出中・離席中のメンバーへ簡単に伝言を送ることが可能 |
プロジェクト管理 |
タスクごとに掲示板を立てて一元管理。チャートで進捗管理も可 |
ToDoリスト |
メールや掲示板から直接ToDoリストに登録でき、対応漏れを防ぐ |
タイムカード |
ログイン時間と連動して勤怠管理できる |
カスタムアプリ* |
標準機能にはないアプリを作成、カスタマイズできる |
*プレミアムコースのみの機能
kintone とサイボウズ Office の違いは?
kintone とサイボウズ Office 、それぞれの持ち味や特性をよりわかりやすくするため、一覧表で比較し、メリットやデメリットも紹介します。
kintone とサイボウズ Office を一覧比較
では kintone とサイボウズ Office のコスト面や機能性を一覧表で比較します。
|
kintone |
サイボウズ Office |
役割 |
ITプラットフォーム |
グループウェア |
サービス形態 |
クラウド |
クラウド |
初期コスト |
0円(税別)~ |
0円(税別)~ |
月額従量課金/1ユーザー*1 |
780円(税別)~ |
500円(税別)~ |
特色 |
業務に合わせたアプリ作成や外部サービスとの連携が可能 |
ビジネスに必要なIT機能がほぼそろっている |
IT知識 |
やや必要 |
不要 |
カスタマイズの自由度 |
高 |
低 |
外部サービスとの連携、拡張機能 |
〇*2 |
× |
アプリ作成 |
◎ |
△*3 |
スケジュール管理 |
〇 |
〇 |
プロジェクト・タスク管理 |
〇 |
〇 |
会議室・施設予約 |
× |
〇 |
Web会議 |
× |
× |
ワークフロー機能 |
〇 |
〇 |
データ管理 |
〇 |
〇 |
ファイル共有 |
〇 |
〇 |
レポート機能 |
〇 |
〇 |
チャット機能 |
〇 |
〇 |
掲示板機能 |
〇 |
〇 |
タイムカード機能 |
〇 |
〇 |
日報機能 |
〇 |
〇 |
Webメール機能 |
× |
〇 |
*1契約最小数は5ユーザー
*2スタンダードコースのみ
*3プレミアムコースのみ
kintone とサイボウズ Office、それぞれマッチする企業のタイプがある
kintone とサイボウズ Office のサービスを比較しました。
kintone はITの専門的知識がなくてもアプリ作成が可能で、連携できる外部サービスが多いことが特長。
一方のサイボウズ Office は利用コストが低くてもビジネスツールを過不足なくパッケージして提供されることがメリットといえそうです。
しかし、どちらが自社に合うソリューションなのか今ひとつ決め兼ねるという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、次章からそれぞれの製品にマッチすると考えられる企業の環境やタイプについて解説します。
外部連携しやすくIT専門知識がなくてもアプリを開発できる kintone:導入すべき企業のタイプは?
まず、kintone を導入すべきと考えられる企業の環境やタイプについて、具体的に解説します。
様々なツールを連携させてビジネスをしたい企業
先ほど解説したように、kintone のメリットには様々な外部サービスと連携しやすいことが挙げられます。
「社内システムと連携して効率化したい」「既存システムのデータを連携させて有効活用したい」など要望があれば、kintone とあらゆるシステム、ツールを連携させることで生産性や費用対効果も高められるでしょう。
kintone と連携できるのは次のような外部サービスです。
- Amazon
- AWS
- Dropbox
- freee
- Google 製品全般
- Microsoft 製品全般
- Okta
- Slack
- SmartHR
その他の kintone と連携可能な外部サービスはこちらでご確認ください。
社内業務を改善できる独自ツールを導入したい企業
社内の業務フローを改善する場合、新たなシステムを開発したり、ツールやソフトウェアを購入したりすることが一般的でした。
しかし、kintone の一番の特色である、IT専門知識がなくてもアプリ作成ができる機能によって、社内業務に合ったアプリが作れます。時間やコストもかからず、業務改善に大きな役割を果たしてくれるでしょう。
ITツールをパッケージ化して低コストで提供するサイボウズ Office:導入すべき企業のタイプは?
次に、サイボウズ Office を導入すべき企業の環境やタイプを紹介します。
IT化のために何をしたらいいかわからない企業
中小企業や小規模な組織の中には、SEはもとよりITに明るい人材が社内にいないという場合もあるでしょう。外部とのコミュニケーションのため、そして業務効率を上げるために「社内のIT化を進めたいが、何をどうすればいいかわからない」というときは、サイボウズ Office の導入がおすすめです。
サイボウズ Office は、使う人を管理や操作で悩ませない製品性のため、導入から運用中も安心といえます。
ヒト・モノ・カネ、時間が不足している企業
法令対処のため急いでIT化しなければならない企業やスタートアップ企業などは、IT環境を整えるヒト・モノ・カネ、時間といったリソースがそもそも不足しがち。これを救うのがサイボウズ Office です。
サイボウズ Office はビジネスに必要なあらゆるITツールがパッケージされていて、しかも1ユーザーあたり月額500円(契約は5ユーザー以上)という低コスト。クラウドサービスのため、導入スピードも速いことも大きなメリットでしょう。
kintone とサイボウズ Office の特性から最適な導入を
kintone とサイボウズ Office の特長や製品性、違いについて紹介しました。どちらも業務を効率化させるITビジネスツールですが、導入にはまずサービス内容が自社の環境とマッチするか見極めが重要です。
もし本記事を読んでも「どの製品にすればよいか選べない」という場合は、IT専門知識が豊富な業者などに相談してみることも一案です。
テクバンはそのようなお客様に寄り添う親身なサポートを行い、高い評価を得ています。ぜひ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は2023年1月時点のものです。kintone の仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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