サイボウズ株式会社が提供する「kintone」は、業務に合ったアプリを簡単な操作で自由に作成でき、アプリ内でのコミュニケーションやデータ管理の一元化も可能な業務改善プラットフォームです。
連携機能が豊富なkintoneは、外部のシステムやソフト、アプリをつなぐ司令塔になります。例えば、名刺管理アプリと連携すれば、煩雑な名刺情報の入力業務や検索が効率よく実施できます。
そこで本記事では、kintoneで名刺管理を行うための方法を紹介します。名刺管理ツールの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
kintoneの基本機能について、下記記事にて解説しています。
▼kintoneの使い方や基本機能を紹介
kintoneで名刺管理を行うメリット
kintoneでは、アプリを開発して名刺管理を行うことも、外部サービスの名刺管理ソフトと連携してデータを活用することも可能です。kintoneで名刺管理を行うと、以下のようなメリットが得られます。
- 営業担当者それぞれで管理していた顧客データを、会社全体で共有可能
- スマホで撮影した写真から、名刺情報を取り込むことが可能
- 外部の名刺管理ソフトと連携し、データの紐付けや管理を実現
これにより、名刺情報の入力工数削減や、データの共有・有効活用による営業力アップが期待できます。紙の名刺のまま管理するといったアナログな方法を運用している組織は、ぜひkintoneを使って、名刺の「データ化」をおすすめします。
名刺管理ソフトを選ぶときのポイント3つ
名刺管理ソフトを選ぶ際のポイントについて解説します。名刺管理を行えるソフトはkintone以外にも多数ありますが、主に見るべき点は以下の3つです。
- ソフトの導入形態
名刺管理ソフトの導入形態は、自社内にパッケージをインストールするオンプレミス型と、クラウドサービスを利用するクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型は自社内のみで利用できますが、データも自社内で管理できるためセキュリティの面で安心です。一方のクラウド型は、インターネットに接続できればどこでも利用できる利便性の高さが魅力です。自社にあった導入形態を選択しましょう。 - 取り込みデータの精度
名刺管理ソフトは、主に次のような機能があります。- 名刺を撮影し、データとして取り込む機能
- AI(人工知能)やOCR(光学的文字認識)などの機能
- 外部オペレーターによるデータ入力機能
名刺管理ソフトを利用しても、取り込んだデータの精度が悪ければ使い勝手が悪くなります。データを取り込む際の機能や精度を確認しておきましょう。
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コストパフォーマンス
費用はソフトによって異なり、また同じソフトにおいても導入形態や管理できる名刺の枚数など、条件によって複数の料金が設定されている場合があります。また、オンプレミス型の多くは買い切りとなりますが、クラウド型は月額や年額のランニングコストが発生します。
事前に利用ユーザー数や管理する名刺枚数など必要なリソースを確認し、コストパフォーマンスの良いソフトを選びましょう。
kintoneで名刺管理アプリを作成
kintone では、アプリストアで名刺管理ができるサンプルアプリと呼ばれるアプリを追加できるのはもちろん、自社に合わせた名刺管理アプリを作成することも可能です。ここでは、簡単に名刺管理アプリを作成する流れをご紹介します。
1.登録する項目を選定
名刺管理アプリに登録する項目(フィールド)を決めます。例えば、以下のような項目が考えられます。
- 会社名
- 所属部署
- 役職
- 氏名
- 郵便番号・住所
- 電話番号
- FAX番号
- メールアドレス
- 会社URL
- 名刺交換日
- 自社担当営業
- 名刺画像
- 備考
2.kintoneでアプリを作成
ドラッグ&ドロップで項目を配置し、フィールドの種類(日付型、文字列型など)を設定することで簡単にアプリが作成できます。名刺交換日は日付型、会社名・所属部署・役職・氏名は文字列型など、適切なフィールドを設定すると入力の際にスムーズです。メールアドレスにリンク項目を設定すると、リンクをクリックするだけですぐにメールを送信できるため便利です。
アプリの作成方法について、下記記事にて解説しています。
▼kintoneのアプリとは? 作成方法やサンプルを解説
また、kintoneにはアプリ間のデータを連携させる便利な機能があります。
例えば「ルックアップ」は、他のアプリに登録しているデータをワンクリックで自動的に取得し、フィールドに反映する機能です、入力の手間が省け、誤入力といったヒューマンエラーを防ぐことにもつながります。
取引先のすべての情報を登録している「顧客マスタ」アプリがあれば、名刺管理アプリの「会社名」フィールドにルックアップの設定を行い、顧客マスタアプリから参照して自動で情報を取得する仕組みです。手入力する情報はなるべく少ない方が好ましいため、ルックアップは積極的に利用したい機能です。
ルックアップ機能の詳細については、下記記事をご覧ください。
▼kintoneのルックアップ機能とは? 使い方や利用メリットを紹介
その他のアプリ間連携機能について、詳細を解説していますので、併せてご参考にしてください。
▼kintoneのアプリ間連携を活用して業務効率化を実現しよう
3.プラグインなどで機能拡張
kintoneにはアプリの機能を拡張させる「プラグイン」が提供されています。標準機能では物足りない…と感じたら、プラグインの導入を検討しましょう。
例えば、エムソリューションズ社の「検索拡張プラグイン」を名刺管理アプリに適用させると、レコード一覧画面に検索窓が設置され、迅速に検索処理を行うことができます。会社名や氏名で検索できるようになるため、名刺管理アプリの利便性が高まるでしょう。
プラグインの導入は、kintoneの「スタンダードコース」以上の契約が必要です。一番低額のライトコースではプラグインを利用できないため、ご注意ください。
各プランの詳細は、下記記事をご参考にしてください。
▼kintoneプランの選び方は? 機能・月額料金を比較、解説!
上記3つのステップで十分利用できる名刺管理アプリが完成です。次章では、名刺管理アプリに役立つプラグインをご紹介します。
名刺管理プラグイン①AI名刺解析プラグイン
ノベルワークス社の「AI名刺解析プラグイン」は、スマホで撮影した画像をAIによるOCR解析機能で電子データ化し、kintoneの該当フィールドに直接登録するプラグインです。専用のスキャナーは不要で、すぐに使い始められます。
100枚の名刺を読み込み、対応項目にいくつ正しく登録できたか検証したところ、平均正答率95%を記録し、非常に高い解析精度をもつプラグインだといえるでしょう。
価格は以下の通りです(すべて税込)。
月額 | 買い切り |
¥22,000 |
追加ショット:¥330(100ショット) ※月500ショットまでのプランの場合、購入ショット数の制限あり |
¥11,0000 |
30日間の無料トライアルも設けられているため、まずはこちらを利用して使用感・操作感を確認してみるとよいでしょう。
名刺管理プラグイン②kViewer
トヨクモ社の「kViewer」は、kintone内の情報を外部に公開できるプラグインです。通常、kintoneアカウントを持っているユーザーにしかkintoneの情報は閲覧・共有できませんが、kViewerを使えば外部ユーザーも見られるようになります。
この機能を利用し、自身のオンライン名刺を作成できます。
kintoneに登録した情報が、kViewerでWebページのように表示されます。写真を載せたりレイアウトを工夫したりすれば、よりその人の”人となり”がわかるはずです。取引先との商談前に、オンライン名刺としてkViewerで作成したページを共有して、自分のことを知ってもらいましょう。
価格は以下の通りです(すべて税別)。
ライト | スタンダード | プレミアム | プロフェッショナル | エンタープライズ | |
月額 | ¥7,000 | ¥12,000 | ¥18,000 | ¥30,000 | ¥50,000 |
年額 | ¥84,000 | ¥144,000 | ¥216,000 | ¥360,000 | ¥600,000 |
初期費用は無料で、kintone1環境につき1契約でOK。30日間の無料トライアルが設けられています。
kViewerの詳細について、下記記事にて紹介しています。
▼kintone連携サービス「kViewer」でできることや活用例を紹介
名刺管理プラグイン③Sansan with kintone
「Sansan with kintone」は、TAMSAN PTE LTD社が提供するプラグインです。Sansanに登録された名刺データをkintoneへ一括登録し、Sansanとkintoneのデータの紐づけを行うことで、より効率的な顧客管理や営業管理を実現できます。
Sansanとは、企業データベースを標準搭載し、営業・マーケティング活動を支援する営業DXサービスです。業界・業種問わず10,000社(2025年6月時点)の利用実績を誇り、法人向けの名刺管理サービスにおいて市場シェアNo.1のツールだといえるでしょう。
全社的な人脈の一元管理や共有できる名刺管理機能だけでなく、顧客との接点にかかわらず豊富な企業情報から照らし合わせることで、新規にアプローチする市場や企業を見つけ出し、営業を強化することが可能です。
Sansanとkintoneで顧客情報が二重管理になってしまっている課題を、このプラグインで解決できます。ワンクリックでSansanとkintoneのデータ連携が可能で、豊富なデータ連携オプションにより、異なるアプリ構成であっても対応可能です。
料金プランは、以下の通りです(税別)。
年額 | ¥50,000 |
初期費用なし、1つの契約につき1つのサブドメインで利用可能です。14日間の無料トライアルを利用できます。
名刺管理プラグイン④ホットプロファイル for kintone
「ホットプロファイル for kintone」は、ホットプロファイルに蓄積された様々な顧客情報を活用して、kintoneへ最新の顧客情報を新規で登録したり、自動で更新したりできるようになるプラグインです。データクレンジング機能で、ホットプロファイルに登録された情報は自動で名寄せされ、常に最新の状態を保ちます。名刺情報にはない企業属性情報(業種や従業員数など)も自動付与され、顧客情報と一緒にkintoneへ自動反映されます。
ホットプロファイルは、新規開拓・名刺管理(顧客管理)・営業支援(SFA)の3つの領域をオールインワンで導入できる、クラウド型名刺管理・営業支援ツールです。顧客情報管理の基盤を作り、顧客情報を生かした営業活動を導き出します。
ホットプロファイル for kintoneの料金については、ハンモック社へ直接お問い合わせください。
名刺管理プラグイン⑤アルテマブルー for kintone
キヤノンエスキースシステム社の「アルテマブルー for kintone」は、名刺管理サービス「アルテマブルー」の名刺情報をkintone上に展開するためのSFAソリューションです。名刺情報は、アルテマブルーからデータを選択して、連携アクションを実行しkintoneアプリに取り込みます。
アルテマブルー for kintone連携オプションとして、4つの無料テンプレートが提供されており、取引先担当者管理・会社管理・案件管理・コンタクト管理のアプリが利用できます。そのため、これからSFAやCRMを始めたい方にとって気軽に利用できるでしょう。
アルテマブルーは名刺管理だけでなく、人脈のマップによる可視化や営業日報の作成など、営業活動を支援する機能を豊富に備えています。kintone以外にも、Microsoft Dynamics 365とも連携でき、データ運用のしやすさを重視した名刺管理を行うことが可能です。
アルテマブルー for kintoneの料金については、キヤノンエスキースシステム社に直接お問い合わせください。
kintoneで効率よく名刺管理しよう
kintoneでは、オリジナルの名刺管理アプリを作成できるだけでなく、外部の名刺管理サービスと連携して、最大限データ活用することが可能です。それまで名刺情報の入力業務でかかっていた時間や必要な情報を探す手間を低減し、営業活動を効率よく行えるようになります。
「名刺管理を効率化したい」「顧客管理や営業管理とデータ連携させ、効率的なデータ活用を行いたい」と考えている方は、ぜひkintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は2025年6月時点のものです。kintoneの仕様や利用環境は変更する場合があります。
開発支援承ります
テクバンではkintoneの開発支援を受け付けております。日々の運用でお困りの方は以下より弊社サービスをご覧ください。
また、kintoneの標準機能に加えて、拡張機能であるプラグインを利用することで kintoneの活用の幅がより広がります。プラグイン選定から導入までサポートいたします。
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