現在、企業や組織では自社サーバーを所有・管理をする「オンプレミス」から、事業者が提供しているITサービスをインターネット経由で利用する「クラウド」への移行が進んでいます。
中でも「クラウドゲートウェイ」サービスは、安全性が高く、快適にクラウドサービスへの接続を可能にし、多くの組織で導入されているのです。
本記事では、NTT東日本が提供するクラウドゲートウェイサービスの特長やメリットをわかりやすく解説します。
クラウドゲートウェイとは
ゲートウェイ(Gateway)は「玄関」や「入口」を指す言葉ですが、IT業界でのゲートウェイとは、プロトコルの異なるネットワーク同士の接続を可能にするシステムのことをいいます。
例えば、「社内ネットワークと社外ネットワーク」や「VoIP(Voice over Internet Protocol)とアナログ電話回線」など、通信手段が異なるネットワーク同士では本来、直接的な通信はできません。しかし、ゲートウェイを中継すれば、プロトコルの変換が行われ、相互間の円滑な通信が可能となります。
ゲートウェイはルーターのように機器を設置して使用するものがありますが、近年では様々なITシステムのクラウドサービスが提供されていることから、ゲートウェイに関してもクラウド型のものが普及しています。
また、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、Oracle Cloud、Google Cloudなどのパブリッククラウド(クラウドサービスの事業者が、構築した環境を他の利用者と共同利用するクラウドサービスのこと)を一元管理するために、クラウドゲートウェイは最適です。クラウドゲートウェイであれば、オンプレミスとは異なり、別途機材を用意する必要もなく、導入・運用コストの削減が期待できます。さらに、高いセキュリティ性やネットワークの高速化なども大きな魅力です。
AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloudについては、下記の関連記事もぜひご覧ください。
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NTT東日本のクラウドゲートウェイサービス
NTT東日本が提供する「クラウドゲートウェイシリーズ」では、フレッツ光やフレッツ・VPNを利用して、AWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドに接続できます。
インターネットを介さずに閉域ネットワークに接続できるため、顧客情報や機密情報の流出・漏えいが防げるのです。
クラウドゲートウェイサービスには次の3種類が用意されています。
- クラウドゲートウェイアプリパッケージ
- クラウドゲートウェイクロスコネクト
- クラウドゲートウェイサーバーホスティング
それぞれのサービスの特長を、次項より解説します。
クラウドゲートウェイアプリパッケージ
「クラウドゲートウェイアプリパッケージ」は、NTT東日本が提供するフレッツ光回線からフレッツ網を利用して、AWSにダイレクトにアクセスできるサービスです。
フレッツ網は閉域網で利用できるため、インターネットとは完全に分離して接続し、高いセキュリティ性が担保されます。さらに、自社で設定した回線以外からの接続をシャットアウトする「回線認証機能」で不正な接続を排除できるため、安全な接続環境を構築できるのです。
また、帯域不足による通信速度の遅延というトラブルも少なく、業務の生産性向上につながるでしょう。例えば、繁忙期でトラフィックが一時的に増え大容量のデータ送信が必要な場合でも、ストレスなくスムーズな通信を行えるのです。
他のクラウドサービスであれば、クラウド事業者や通信キャリア会社との契約、データセンターの確保など、個別に対応が必要です。しかし、クラウドゲートウェイアプリパッケージはNTT東日本やNTT西日本、各コラボ事業者が提供するフレッツ光回線の契約があれば、ワンストップでサービスを利用できます。導入の際、スムーズに利用を開始でき、運用開始後も管理がしやすくなるでしょう。
クラウドゲートウェイクロスコネクト
「クラウドゲートウェイクロスコネクト」は、AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloudなどの複数のパブリッククラウドや、NTT東日本のデータセンターと安全な閉域ネットワークとの接続機能を提供するサービスです。
閉域ネットワークから各種クラウドサービスに接続する際に必要な通信回線や機器などがセットになっているため、事前の設計や構築は不要です。
クラウドゲートウェイクロスコネクトには、「共用型」と「帯域確保型」の2種類が用意されています。
共用型は、クラウドサービスに接続する回線を複数の利用者と共用し「ベストエフォート型」を採用することで、リーズナブルな価格設定を実現しています。ベストエフォート型とは、通信速度の保証はないものの最大限の努力をして通信速度を速める仕組みです。
コストを抑えて安全にクラウドサービスを利用したい組織におすすめです。
帯域確保型は、組織側が指定した帯域を確保した上で、安全な閉域ネットワークでクラウドサービスに接続でき、最大10Gbpsの速度で広帯域での通信が可能です。帯域確保型は組織側の閉域ネットワーク回線を、NTT東日本が指定する場所(東京)まで敷設する必要がある点に注意しましょう。
クラウドゲートウェイサーバーホスティング
「クラウドゲートウェイサーバーホスティング」は、社内システム構築に必要なサーバやストレージ、ミドルウェアなどのクラウドIaaS(Infrastructure as a Service)と閉域ネットワークサービスとの相互接続を実現するサービスです。
データセンターの契約・設置は不要なため、初期コストが抑えられます。
クラウドIaaSを一元管理でき、複数の拠点があっても運用がしやすい点もメリットです。また万が一、システム障害などのトラブル発生時、自動的に別の物理基盤に切り替わる「オートフェイルオーバー機能」により、正常稼働を維持します。
その他、統合行政ネットワークや学術情報ネットワークなどの情報ネットワークにも接続でき、幅広い活用での実績があります。
クラウドゲートウェイ導入は難しい?
近年、多くの組織がITインフラのクラウド化を進めていますが、いくつかの課題もあるのが現状です。クラウドゲートウェイを導入する上で注意したい点やサポートサービスについてご紹介します。
クラウド化の注意点
社内システムをクラウド化すれば、サーバーやソフトウェア、各種機器などを自社で用意するオンプレミスよりもコストは大幅に抑えられます。
しかし、クラウドでは自社の業務や規模に応じたカスタマイズが難しい面があります。クラウドゲートウェイは、幅広い業態に対応しているものの、あくまでもパッケージ化された製品の範囲内でしか利用できません。製品を選ぶ時は、自社に合ったサービスかどうかを慎重に検討しましょう。
また、クラウド化を検討する際、クラウドネットワーク運用に適した人的リソースの確保も大切です。オンプレミスに比べて、クラウドサービス自体が比較的新しいサービスといえるため、最新の知識・技術や設計力を持った、いわゆる「クラウド人材」が不可欠でしょう。
クラウド化の課題については、下記関連記事もご覧ください。
▼クラウド化で生じるネットワーク運用の課題とは? 各ケースにおける解決策も紹介
Techvan Cloud Gatewayのご紹介
クラウドゲートウェイの導入で、セキュアな通信環境を実現できますが、上記で紹介したクラウド化の課題があるように、せっかくの便利なサービスもうまく運用できない可能性があります。
自社で解決できない場合、クラウドゲートウェイを導入して円滑に運用していくためには、専門業者に依頼するのもひとつの手です。クラウドサービスに関する実績があり、信頼できるソリューションサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Techvan Cloud Gatewayでは、クラウドゲートウェイクロスコネクトを利用する企業向けにサポートを行っています。
導入時のサポートから運用開始後のトラブルに至るまで、お客様のご要望に沿って幅広く対応。強固なセキュリティを確保し、高速で安心な通信を維持します。また、網内が冗長化されているため、障害発生時も24時間365日の保守対応を実施しています。
テクバンは、多くのクラウドサービスを手がけているマルチベンダーならではの手厚いサービスを誇っています。ぜひご検討ください。
クラウドゲートウェイを利用して安全なネットワークを構築しよう!
クラウドゲートウェイは、様々なクラウドサービスの普及に伴い、その重要性が増しています。利便性はもちろんのこと、閉域ネットワークを利用した安全性の高い回線や低コストで導入できる点など、ぜひ導入したいサービスです。
クラウドゲートウェイサービスを利用して、安全なネットワークを構築しましょう。