情シス運用サポートBlog

2023.09.20

Oracle Cloud(オラクルクラウド)とAWSを徹底比較! それぞれのサービスの特長や違いを解説

関連サービス
ITインフラ構築

目次

クラウドサービスの中で広く知られ、シェアが高いのは「AWS(Amazon Web Service)」です。2022年10月にデジタル庁よりガバメント・クラウドのサービスに選定された「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」も、昨今では注目を集めています。

本記事では、OCIを含むクラウドサービスであるOracle Cloud(オラクルクラウド)とAWSを比較し、それぞれの特長や違いについて解説します。

OCIサーバーで 解放された時間・ 人的リソースが 新たな価値を生む

Oracle CloudとAWS、それぞれの特長

オラクル社のOracle Cloudとアマゾン社のAWSは、どちらもクラウドサービスです。
そもそもクラウドサービスとは何でしょうか。また、この2つはどのような特長があるのか解説します。

そもそもクラウドとは

クラウドとは、インターネットを経由して様々なサービスを提供する形態のことをいいます。
従来では、ソフトウェアを利用する場合、自分でPCとソフトウェアパッケージを購入した上で、ソフトウェアをインストールし使用を開始する、という流れが一般的でした。今では、インターネット上のクラウドサービスに登録・契約し、ブラウザ上でソフトウェアを利用する形態が主流となっています。

クラウドサービスには、主にソフトウェアを提供する「SaaS(Software as a Service)」、開発環境のプラットフォームを提供する「PaaS(Platform as a Service)」、インフラを提供する「IaaS(Infrastructure as a Service)」の3種類があります。

クラウドの大きなメリットは「サービスに登録すればすぐ利用できる」という点にあります。かつてはサーバーを構築するのにも機器の購入から始め、実際にサーバーを使えるようになるのに時間がかかっていました。しかし、クラウドであればブラウザ上で操作するだけで、すぐに仮想サーバーを使うことができます。
さらに、クラウドはリソースを柔軟に利用できるメリットもあります。
例えば、イベントやキャンペーンなどでユーザーのアクセス数が集中する際に、一時的にリソースを増強して対応することが可能です。
このように、クラウドであればソフトウェアだけでなく環境やインフラまで、インターネット経由で対応できます。

クラウドに対して、サーバーやネットワーク、ソフトウェアを自分で調達しシステムを運用する形態を「オンプレミス」と呼びます。
今やビジネスにおいて、変化の激しい市場に対応するためにクラウドは重要なサービスです。クラウドの普及に伴い、オンプレミスからクラウドへ多くの組織が移行を進めています。

移行する際の判断基準や、特徴について、以下の記事で詳しく紹介しています。気になる方はこちらも併せてご覧ください。
▼オンプレミスからクラウドへ。移行する判断基準、手順は? 注意点とメリット・デメリットも解説
▼オンプレミスとクラウドって何が違うの? 移行の特徴も解説

Oracle Cloudの特長

Oracle Cloudの特長として、大きく4つに分け、解説します。

  • クラウドへの移行が容易
    オラクル社は、大規模システムで利用されるデータベース「Oracle Database」や、アプリケーションサーバー「Oracle Weblogic Server」など、多くのソフトウェアを提供しています。
    このようなソフトウェアが、そのままクラウド上でも動作するようにクラウド技術が設計されているため、大規模システムでもスムーズな移行が可能です。
  • 高いコストパフォーマンス
    Oracle Cloudは、コストパフォーマンスが非常に高いクラウドサービスです。他社のクラウドサービスと比較しても高性能で、大容量のリソースを非常に安く利用できます。
  • セキュリティツールのほとんどが無償提供
    Oracle Cloudのセキュリティツールは、サービスの一部として無料提供されています。そのため、構築段階からセキュリティを考慮した設計が可能です。
  • ハイブリッドクラウドの完全なサポート
    ハイブリッドクラウドとは、オンプレミスとクラウド両方を利用してシステムを構築する戦略のことです。Oracle Cloudは、ハイブリッドクラウドにも対応しています。
    例えば、Oracle Cloudの機能すべてをクライアントのデータセンターに展開できる「OCI Exadata Cloud@Custemer」や「OCI Dedicated Region」、ネットワークが切断していても利用できる「Oracle Roving Edge Infrastructure」といったサービスがあります。

AWSの特長

次に、AWSの特長をご紹介します。

  • 利用シェアNo.1、豊富な実績
    調査会社シナジーリサーチグループ社カナリス社が発表した、2023年第1四半期時点のグローバルにおけるクラウドインフラのシェアによると、AWSは、2023年第1四半期でも世界で約3割のシェアを持ち、クラウド利用シェアNo.1のクラウドサービスです。
    また、提供されるサービスは200を超えており、サービスを組み合わせることで、あらゆるシステムをクラウド上に構築できます。
  • 政府機関も採用している、高いセキュリティ
    AWSは、政府機関や金融機関も利用しています。その理由は、高いセキュリティ水準を保っているからです。
    PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard:国際的なクレジット産業向けのデータセキュリティ基準)やCSA(Cloud Security Alliance:クラウドセキュリティアライアンス)、FIPS 140-2(Federal Information Processing Standard:米国連邦情報処理規格)など、様々なセキュリティ機関から認証・認定を得ており、高いセキュリティレベルを維持しています。
  • 値下げが頻繁に行われる
    AWSは、2006年にサービスが開始されて以降、120回を超える値下げが実施されており、頻繁に価格改定が行われています。今後も長期的に利用することで、コスト削減が期待できるかもしれません。

Oracle CloudとAWS、それぞれのメリット・デメリット

Oracle CloudとAWSの特長について説明しました。
本章では、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

Oracle Cloudのメリット・デメリット

初めに、Oracle Cloudのメリットをご紹介します。

  • 充実した無料枠
    Oracle Cloudでは、30日間無料トライアルだけでなく、容量制限があるものの期間無制限で利用できる「Oracle Cloud Always Free」サービスが提供されています。OCIの使い勝手を確認したい方におすすめのサービスです。
  • オンプレミスの既存Oracle製品を使っている場合、移行がスムーズ
    オンプレミス上で稼働しているOracle製品のソフトウェア・ライセンスを、Oracle Cloudでも利用できます。そのため、オンプレミスで保有するライセンスが無駄になりません。また、オンプレミスと同等のパフォーマンスや専有性を備えているため、クラウドでもオンプレミスと同じ使い勝手を実現できます。

以下の資料では、Oracleライセンスを有効活用した事例をご紹介しています。併せてご覧ください。
【事例】サーバーのクラウド化で、更改・保守運用業務を大きく削減。DBとOracleライセンスは継続で有効活用

次にデメリットについて解説します。

  • 他のクラウドサービスと比べて、提供サービスが少ない
    Oracle Cloudはクラウドサービスの中でも後発であるため、提供されるサービスの数は他のクラウドサービスと比較しても少ないといえるでしょう。しかし、IaaS、PaaS、SaaSすべてでサービスが提供されており、クラウド上でシステムを構築するための必要なサービスはそろっています。
  • 技術情報が少ない
    AWSと比べると利用者も少ないこともあり、書籍や公開されている技術情報も少ない点が挙げられます。基本的に、公式ドキュメントやサポートから技術情報を得る必要があります。

AWSのメリット・デメリット

続いて、AWSのメリットを紹介します。

  • サービスが豊富、高い柔軟性と拡張性
    AWSの大きなメリットとして、サービスが豊富に提供されていることが挙げられます。
    基本的なITインフラはもちろん、データ分析やIoTにも対応しています。サービスを組み合わせることで複雑なシステムも構築でき、また柔軟性・拡張性にも優れています。
  • 技術情報が充実
    AWSは、ホワイトペーパーやセミナー動画が多数公開されており、他のクラウドサービスと比べて技術情報が充実しています。また、AWSは利用者が多いこともあり、多くのエンジニアが利用し、ノウハウや知識を共有しています。日本語の情報も多いため、これからクラウドサービスのスキルを身につけたいと考えている人にも、AWSは学びやすいといえるでしょう。

AWSのデメリットは、以下の通りです。

  • 提供サービスが多すぎて選定が難しい
    AWSが提供するサービスの数が多いのは利点ですが、その中から適切なサービスを選択するには、各サービスに関する知識が求められます。そのため、AWS自体にあまり詳しくない人にとっては、数が多すぎるのもデメリットだと感じられるかもしれません。
  • 利用料金がドル換算のため、見通しが立てづらい
    AWSの利用料金はドル換算となっているため、為替レートによって費用が変動します。時期によって利用料金が変わってしまうため、中・長期的に見てコストの見通しが立てにくい可能性があります。

OCIとAWSのサービス/コストの比較

本章では、Oracle Cloud製品のOCIとAWSを「サービス」と「コスト」の観点から比較します。
サービスについては、どちらも数多く提供されているため、ここでは一部のサービスを抜粋してご紹介します。

サービスの比較

まずは、コンピュート・サービスの比較です。コンピュート・サービスとは、サーバーを提供するサービスのことです。仮想マシンのほか、ベアメタル(物理マシン)を提供し、サーバーを占有できるサービスもあります。

OCI AWS
マルチテナント仮想マシン Vitual Machines Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)

次に紹介するストレージ・サービスには、主にオブジェクト・ストレージ/ブロック・ストレージ/ファイル・ストレージの選定が重要となります。

OCI AWS
オブジェクト・ストレージ Object Storage Amazon Simple Storage Service(S3)
ブロック・ストレージ Block Volumes Amazon Elastic Block Store(EBS)
ファイル・ストレージ File Storage Amazon Elastic File System

ネットワーク、及びエッジ・サービスについては、以下の通りです。

OCI AWS
仮想ネットワーク Virtual Cloud Network Amazon Virtual Private Cloud
サイト間接続 サイト間VPN AWS VPN
DNS、及びクエリー管理 Amazon Route 53
トラフィック・ロード・バランサー Flexible Load Balancing AWS Elastic Load Balancing
電子メール配信サービス Email Delivery Amazon Simple Email Service(SES)
DDoS保護 Layer 7 DDoS保護 AWS Shield

管理サービスでは、監視やログ確認など、各コンポーネントの稼働状況を確認する機能を提供します。

OCI AWS
監視 Monitoring Amazon CloudWatch
ロギング Logging Amazon CloudWatch Logs

コストの比較

各クラウドサービスの見積ツールを使用し、以下3つのサービスについてコストを算出しました。以下の価格は、2023年8月下旬時点での価格です。

OCI AWS
コンピュート・サービス 74.81USD/月
(2OCPU 32GBメモリ100GBストレージ)
206.78USD/月
(4vCPU 32GBメモリ100GBストレージ)
ストレージ・サービス 25.24USD/月 25.60USD/月
仮想ネットワーク 0ドル(10TBまで無料) 116.74USD/月

なお、テクバンではMicrosoft Azureも含めて比較資料を提供しています。ご興味がある方は、こちらからダウンロードしてください。
失敗しないパブリッククラウドの選び方。AWS/Azure/OCIの3つを徹底比較

テクバンのクラウド導入支援サービス

テクバンでは、Oracle Cloud・AWSどちらも導入支援サービスを提供しています。クラウドの導入をご検討の方は、ぜひご参考ください。

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援

多くのクラウドサービスではサービスによって仕様が異なるため、オンプレミスからクラウドへ移行することに不安を感じる人も少なくありません。しかし、OCIであればオンプレミスと同等の環境をクラウドで実現できます。

テクバンでは、OCIの特長を生かし、オンプレミスからの移行計画策定や、ハイブリッドクラウドの導入なども含め、幅広いサポートが可能です。
また、構築から運用だけでなく、導入後の問題対応もワンストップでサポートいたします。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援サービス

Amazon Web Services(AWS)導入支援サービス

AWSは200以上のサービスがあるため「どのサービスを利用すればよいのかわからない」「どういう設計をすれば可用性やパフォーマンスを確保できるのか教えてほしい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

テクバンが提供するAWS導入支援サービスでは、AWSに関する幅広いノウハウを基に、お客様のご要望に応じ最適な環境をご提案します。また、構築から運用、導入までワンストップでサポートを行います。
AWSの導入、またはAWSを含めたハイブリッドクラウドをご検討の方は、お気軽にご連絡ください。
Amazon Web Services(AWS)導入支援サービス

自社のシステムにあったクラウドサービスを導入しよう

本記事では、Oracle CloudとAWSのメリット・デメリットを解説しつつ、サービスの比較についてご紹介しました。クラウドサービスを導入する際は、自社にあったサービスを選択することが最も重要です。

例えば、Oracle Databaseをはじめ、すでにオンプレミスでOracle製品を使用している場合は、Oracle Cloudの方が移行がスムーズでしょう。逆に、現在のシステムをクラウドで構築する際にOracle Cloudではサービスが足りない場合は、AWSを検討すると実現できる可能性があります。

テクバンでは、クラウドの導入支援をはじめ、ハイブリッドクラウドについても実績とノウハウを持っています。クラウドの導入をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お気軽に
ご相談ください