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2024.12.18

リモートデスクトップの何が危険? セキュリティリスクから企業を守る対策を徹底解説

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ハイブリッドワークの普及に伴い、リモートデスクトップは多くの企業にとって不可欠となりました。しかし、その利便性とは裏腹に、サイバー攻撃の標的となるリスクも高まっています。

本記事では、リモートデスクトップに潜むセキュリティリスクをわかりやすく解説し、多要素認証やゼロトラストセキュリティといった具体的な対策のポイントまで、企業を守るための実践的な情報を紹介します。

リモートデスクトップのセキュリティリスクと企業への影響

リモートデスクトップの普及によって、場所を選ばずに業務を行うことができるようになりましたが、その利便性ゆえにセキュリティリスクも高まっています。
特に企業においては、機密情報の漏洩や不正アクセスによる業務停止といった深刻な事態につながる可能性があり、対策は喫緊の課題です。
リモートデスクトップ経由で情報漏洩が発生する主な原因をまとめます。

原因 想定されるリスク 企業への影響
脆弱なパスワード設定やパスワードの使い回し 不正アクセスを招きやすい 顧客情報、財務データ、知的財産などの漏洩、信用失墜、法的責任
ファイアウォールやVPNなどのネットワークセキュリティの脆弱性 マルウェア感染など、外部からの不正アクセスを受けやすい データ改ざん、情報窃取、システム障害・停止、業務中断、サービス停止、ビジネス機会の損失
フィッシング攻撃 偽のログイン画面などを用いて、IDやパスワードを詐取される可能性 不正アクセス、情報漏洩、システム乗っ取り
内部不正 従業員による悪意のあるアクセスやデータ持ち出し 情報漏洩、業務妨害、企業の信用失墜

これらのリスクは、企業の評判や信用を著しく損ない、多大な経済的損失をもたらす可能性があります。
次章では、特にリモートデスクトップで陥りやすい3つの落とし穴について紹介します。

リモートデスクトップの3つの落とし穴

リモートデスクトップの3つの落とし穴について解説します。

1.脆弱なパスワード設定のリスク

リモートデスクトップへのアクセスは、パスワードが第一の防衛線です。しかし、単純すぎるパスワードやパスワードの使い回しは、容易に推測・突破される危険性が高く、不正アクセスを誘発する大きなリスクとなります。
攻撃者は、総当たり攻撃(Brute-force attack:ブルートフォースアタック)や辞書攻撃(Dictionary Attack:ディクショナリーアタック)を用いて、パスワードを解読しようと試みるからです。

2.不正アクセス

攻撃者は常にリモートデスクトップへの不正アクセスを試し、重要データの窃取をねらっています。さらには、システムへのマルウェア感染、さらにはランサムウェア攻撃も目論んでおり、これらを防止するには、適切なセキュリティ対策が必要不可欠なのです。

3.エンドポイントの脆弱性

エンドポイントとは、従業員が日常的に使用するPCやモバイル端末、サーバーなどが当てはまり、サイバー攻撃者の主要な標的となっています。特に、リモートデスクトップの普及に伴い、セキュリティ対策が脆弱なエンドポイントへの攻撃リスクは日々高まっているのです。

リモートデスクトップセキュリティの次世代対策

リモートデスクトップへの攻撃が高度化する中、従来の対策だけでは不十分です。そこで、次世代技術を活用したセキュリティ強化策を解説します。

パスワードレス認証のメリットと導入方法

従来のリモートデスクトップアクセスは、パスワードに依存した認証システムが主流でした。しかし、パスワードの漏洩や再利用によるセキュリティリスクは依然として高く、より安全な認証方法が求められています。
そこで注目されているのが、パスワードレス認証です。

パスワードレス認証は、パスワードを使用せずにユーザーを認証する方法です。具体的には、生体認証(指紋認証、顔認証)、FIDO2などのセキュリティキー、ワンタイムパスワードなどを利用します。これらによって、パスワードの盗難や推測による不正アクセスを効果的に防ぐことができます。

認証方法 メリット デメリット 導入方法
生体認証 高いセキュリティ、利便性向上 プライバシーへの配慮が必要 デバイスへの対応、ソフトウェアの導入
セキュリティキー(FIDO2) 高いセキュリティ、パスワード漏洩リスク軽減 初期費用、ユーザー教育が必要 FIDO2対応のセキュリティキー、認証システムの導入
ワンタイムパスワード パスワード再利用リスク軽減、多要素認証との連携 システム連携が必要 OTP(ワンタイムパスワード)生成アプリ、認証システムとの連携設定

パスワードレス認証の導入にあたっては、セキュリティレベル、コスト、ユーザーの利便性などを考慮し、自社の環境に最適な方法を選択することが重要です。導入前に十分なテストを実施し、スムーズな運用を実現しましょう。

テクバンではパスワードレス認証を備えたセキュリティソリューションの導入支援を行っております。リモートデスクトップのセキュリティ対策について懸念をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。
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●パスワードレス認証を備える各種ソリューションの導入支援メニューのご案内
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Exticの導入事例資料もご用意しております。ぜひお役立てください。

▶Okta導入支援
ID管理の効率化も実現できるOktaの資料もラインアップ。ぜひご活用ください。

アクセス管理の自動化と効率化

リモートデスクトップへのアクセス管理は、セキュリティ確保において非常に重要です。従来は、手動によるアクセス許可や権限設定が一般的でしたが、現在は自動化による効率化とセキュリティ強化が求められています。

アクセス管理の自動化は、ID管理システムやアクセス制御システムなどを活用することで実現できます。これらのシステムにより、ユーザーの追加や削除、権限の変更などを自動化し、人為的なミスによるセキュリティリスクを低減します。さらに、アクセスログの自動記録・分析機能により、不正アクセスの検知やセキュリティ監査も効率化できます。

自動化機能 メリット 導入内容
ユーザーアカウント管理 管理コスト削減、人為的ミス削減 ID管理システム、SSO(シングルサインオン)システムの導入
アクセス権限 セキュリティポリシーの厳格化、運用効率向上 アクセス制御システム、RBAC(ロールベースアクセス制御)の導入
アクセスログの自動記録・分析 不正アクセス検知、セキュリティ監査の効率化 セキュリティ情報イベント管理(SIEM)システムの導入

アクセス管理の自動化・効率化は、セキュリティ強化だけでなく、管理コストの削減や運用効率の向上にもつながります。導入にあたっては、システムの選定、導入、運用、そして定期的な見直しを適切に行うことが重要です。
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ゼロトラストセキュリティモデルによるリモートデスクトップ保護

リモートデスクトップ環境におけるセキュリティ対策として近年注目されているのが、ゼロトラストセキュリティモデルです。
従来のセキュリティモデルが「社内ネットワーク内は安全」という暗黙の前提に基づいていたのに対し、ゼロトラストは「一切のアクセスを信頼せず、常に検証する」というアプローチを取ります。これは、リモートワークの増加やクラウドサービスの利用拡大といった、現代のIT環境の変化に対応するための革新的な考え方といえるでしょう。
ゼロトラストセキュリティについてさらに詳しくはこちらの記事でも解説しています。
▼ゼロトラストネットワークとは? 従来型セキュリティモデルとの違いを解説

ゼロトラストセキュリティの概念とメリット

ゼロトラストセキュリティのメリットは多岐にわたります。まず、最大のメリットはセキュリティの強化です。社内ネットワークへの侵入を許してしまう従来型セキュリティとは異なり、内部からの脅威や外部からの攻撃に対して強固な防御力を発揮します。
さらに、アクセス制御の高度化により、必要なユーザーやデバイスのみが、必要な情報やリソースにアクセスできるようになります。そのため、情報漏洩リスクを最小限に抑えることが可能です。

また、ゼロトラストは業務効率の向上にも貢献します。アクセス制御が厳格化されることで、不正アクセスによるシステムダウンやデータ損失のリスクが軽減され、業務中断による損失を回避できます。さらに、柔軟なアクセス制御により、場所やデバイスを選ばずに安全に業務を行うことが可能になります。
従来型セキュリティとゼロトラストセキュリティの比較をまとめました。

従来型セキュリティ ゼロトラストセキュリティ
社内ネットワーク内は安全という前提 すべてのアクセスを信頼しない
境界型のセキュリティ対策が中心 デバイス、ユーザー、アプリケーションを個別に認証・認可
内部からの脅威への対策が不十分な場合が多い 内部からの脅威にも効果的な対策が可能
柔軟性に欠ける場合が多い 場所やデバイスを選ばない柔軟なアクセスが可能

リモートデスクトップ環境へのゼロトラスト適用方法

リモートデスクトップ環境にゼロトラストセキュリティを適用するには、いくつかのステップがあります。

認証対策

まず、多要素認証(MFA)の導入は必須です。ユーザー名とパスワードに加え、ワンタイムパスワードや生体認証などを組み合わせることで、不正アクセスを効果的に阻止できます。
多要素認証の種類とそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。

多要素認証の種類 メリット デメリット
ワンタイムパスワード 手軽に導入できる、コストが低い パスワード管理アプリが必要。一時的なネットワーク接続障害の影響を受けやすい
生体認証 利便性が高い、パスワードを覚える必要がない デバイス依存性が高い。精度に限界がある
セキュリティキー セキュリティレベルが非常に高く、フィッシング攻撃に強い コストが高い。紛失リスクがある

デバイス対策

次に、デバイスのセキュリティ対策を徹底しましょう。エンドポイントセキュリティソフトウェアの導入や、OSやアプリケーションのアップデートを常に最新の状態に保つことが重要です。
さらに、アクセス制御リスト(ACL)などを活用して、ユーザーやデバイスごとのアクセス権限を細かく設定する必要があります。具体的な対策としては、以下が挙げられます。

対策 内容
最新のOSとソフトウェア 脆弱性の修正パッチを適用することで、既知の脆弱性を突いた攻撃を防ぐ
ウイルス対策ソフト マルウェア感染を防ぐ。常に最新の状態に更新し、定期的なスキャンを実行
EDR(Endpoint Detection and Response)

高度な脅威を検知し、対応する
EDRについてさらに詳しくは、こちら。
▼EDRとは? 概要、従来対策との違い、導入のポイントなどを解説

アクセス制御 ユーザーアカウントの権限を最小限に制限することで、マルウェアによる被害を最小限に抑える。管理者権限での作業は必要最小限に留める
定期的なバックアップ ランサムウェア攻撃などによるデータ損失から復旧するために、定期的にデータのバックアップを行う

ネットワーク対策

さらに、ネットワークセキュリティ対策も不可欠です。ファイアウォールやVPNなどの導入により、外部からの不正アクセスを遮断しましょう。また、ネットワークトラフィックの監視やログ管理を行うことで、セキュリティインシデントの早期検知に役立ちます。次の対策が有効です。

対策 内容
ファイアウォール ファイアウォールにより不正なアクセスを遮断。リモートデスクトップに使用するポート(通常は3389番ポート)へのアクセスを制限することで、外部からの不正な接続をブロック。ポート番号の変更も効果的
VPN(仮想プライベートネットワーク) 暗号化された通信経路を構築することで、通信内容を傍受されるリスクを軽減。リモートデスクトップ接続は、必ずVPNを経由するように設定
侵入検知・防御システム(IDS/IPS) ネットワークトラフィックを監視し、不正な活動を検知・阻止
IPアドレス制限 特定のIPアドレスからのみリモートデスクトップ接続を許可することで、不正アクセスを制限できる
ログイン試行回数制限 不正なログイン試行を繰り返す攻撃(ブルートフォースアタック)を防ぐ

これらの対策に加え、継続的なセキュリティ監査を実施し、セキュリティポリシーの定期的な見直しを行うことが重要です。ゼロトラストセキュリティは、一度設定すれば終わりではなく、常に進化する脅威に対応していくための継続的な取り組みが必要です。

ゼロトラストセキュリティ製品のおすすめ5選

ゼロトラストセキュリティを実現するための製品は数多く存在します。ここでは、代表的な製品を5つ紹介します。

製品名 主な機能 特徴
Okta ID管理、シングルサインオン(SSO)、多要素認証(MFA) 柔軟な拡張性と高い利便性、7,000以上のアプリと連携可能
Zscaler Zero Trust Exchange アプリケーション単位のアクセス制御、AIによる脅威検知 ネットワークではなくアプリケーションごとにアクセスルールを設定
CrowdStrike Falcon エンドポイント検知・対応(EDR)、脅威インテリジェンス 高度なエンドポイントセキュリティ、リアルタイムの脅威検知
Palo Alto Networks Prisma Access クラウドセキュリティ、ネットワークセキュリティ、データ保護 包括的なセキュリティソリューション、クラウドとオンプレミスの統合
Microsoft Azure AD ID管理、アクセス制御、シングルサインオン(SSO) エンタープライズ向けの信頼性の高いソリューション、Microsoft 365との統合

上記表でご紹介したCrowdStrike(クラウドストライク)、Okta(オクタ)について解説した資料をご用意しております。ご検討の一助にお役立てください。
【お役立ち資料】CrowdStrikeで実現する高レベルのセキュリティ対策

【お役立ち資料】ゼロトラストのはじめの一歩はID管理! Oktaで組織防衛とID管理の効率化を実現する

これらの製品は、それぞれ特徴が異なるため、自社の環境やニーズに最適な製品を選択することが重要です。導入前に十分な検証を行うことをおすすめします。
テクバンへ相談してみる

安全なリモートワーク環境構築はプロに相談

ここまで、リモートデスクトップのセキュリティリスクと、その対策について詳しく解説してきました。多要素認証やVPN、ゼロトラストセキュリティなど、様々な対策を講じて、安全なリモートワーク環境を構築することは可能です。しかし、これらの対策を効果的に組み合わせ、自社に最適なセキュリティ体制を構築するには、専門的な知識と経験が必要です。

さらにセキュリティ対策は、導入しただけで効果があるわけではありません。適切な設定、運用、そして定期的な見直しと更新が不可欠です。特に、急速に進化するサイバー攻撃の手口に対応するためには、常に最新の技術動向を把握し、対策をアップデートしていく必要があります。

そこでおすすめしたいのが、セキュリティ対策の専門家の活用です。中でもセキュリティソリューションの導入支援のノウハウと実績豊富なテクバンも検討候補のひとつに加えてはいかがでしょうか。

テクバンのメリット 具体的な内容
ワンストップソリューション リモートデスクトップ環境の構築から、セキュリティ対策の導入、運用、保守まで、ワンストップでサポート。多様なベンダー製品の選定から導入、設定、運用までを包括的に支援することで、お客様の負担を軽減
専門性の高い技術力 長年の経験と実績を持つセキュリティの専門家が、お客様のニーズに最適なセキュリティ対策をご提案。最新技術への対応はもちろん、お客様のビジネス状況を踏まえた上で、費用対効果の高いソリューションをご提供
24時間365日のサポート体制 万が一、セキュリティインシデントが発生した場合でも、24時間365日体制で迅速に対応可能(*)。緊急時だけでなく、日々の運用に関するご相談にも柔軟に対応することで、安心・安全なリモートワーク環境を維持
柔軟な対応力 お客様の規模や業種、セキュリティレベルに合わせた柔軟な対応が可能。大企業から中小企業まで、様々な規模のお客様のニーズに対応できる体制を整える
費用対効果の高い提案 お客様の予算とニーズを考慮した上で、最適なソリューションをご提案。無駄のないコストで、効果的なセキュリティ対策を実現

*ご契約内容に準じます。

テクバンは、お客様のビジネスを支える安全で信頼できるリモートワーク環境構築のパートナーとして、最適なソリューションを提供します。リモートデスクトップセキュリティでお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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強固なリモートデスクトップセキュリティでビジネスを守る

本記事では、リモートデスクトップのセキュリティリスクと、これに対処する効果的な対策について解説しました。脆弱なパスワード設定、ネットワークへの不正アクセス、エンドポイントの脆弱性といった3つの落とし穴を理解し、多要素認証、ネットワークセキュリティ対策、エンドポイントセキュリティ対策などを導入することで、これらのリスクは大幅に軽減できるでしょう。

さらに、企業では、パスワードレス認証やアクセス管理の自動化・効率化も重要な要素となります。特に、ゼロトラストセキュリティモデルの導入は、高度なセキュリティ対策として注目されており、本記事ではその概念、メリット、適用方法、そしておすすめ製品も紹介しました。これらのセキュリティ対策を実施し、常に安全なリモートワーク環境を維持しましょう。

もしも、自社だけで安全なリモートワーク環境の構築に不安がある場合は、専門家への相談を検討することをおすすめします。テクバンは、ワンストップで安全なリモートワーク環境構築を支援いたします。まずはお気軽に資料請求・お問い合わせください。
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