Azureネットワークセキュリティグループ(NSG)は、Azure環境における脅威対策の重要な要素の一つです。適切に設定することで、企業のITインフラを安全かつ効率化し、ビジネスの継続性を高めます。
本記事では、ネットワークセキュリティグループの基本的な機能や設定方法、メリットについて詳しく解説します。
Azureネットワークセキュリティグループとは?
Azureネットワークセキュリティグループは、Microsoft Azure上で仮想ネットワーク(VNet)内のトラフィック(通信)を制御するセキュリティツールです。Azure環境のセキュリティ管理を効率化し、安全性を向上させるために欠かせません。
Azureネットワークセキュリティグループではセキュリティ規則(ルール)の追加や削除をリアルタイムに行えるため、柔軟かつ効率的にセキュリティ管理できます。企業のセキュリティポリシーを反映した管理を実現します。
Microsoft Azureについて詳しくはこちらをご覧ください。
▼Azureとはどんなサービス? 基本から運用のメリットまで初心者にもわかりやすく徹底解説
Microsoft Azureについて
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Azureネットワークセキュリティグループの特徴
Azureネットワークセキュリティグループの特徴について、さらに詳しく解説します。
- ネットワーク全体のセキュリティを強化する
Azureネットワークセキュリティグループは、特定のIPアドレス、ポート番号、プロトコルなどに基づいて通信をフィルタリングし、ネットワーク全体のセキュリティを強化します。 - 柔軟なセキュリティ構成が可能
Azureネットワークセキュリティグループは、仮想マシン(VM)やサブネット単位でセキュリティ規則(ルール)を適用できるため、柔軟なセキュリティ構成が可能です。ビジネス要件やセキュリティポリシーに応じたカスタマイズが容易となっています。
また、企業の成長に伴うネットワークの拡大にも柔軟に対応できるよう設計されており、変化の多い環境でも安定したセキュリティを確保できます。 - 監視機能とトラブルシューティングが容易
Azure Network WatcherやAzureネットワークセキュリティグループフローログと連携し、トラフィック(通信)分析やセキュリティ監視ができます。ログデータを活用することで、セキュリティインシデントの迅速な対応やトラフィック(通信)の最適化が可能です。 - ゼロトラスト戦略を担う要素
ゼロトラストセキュリティモデルの心臓部ともいえる重要な要素であるAzureネットワークセキュリティグループは、Azureの他のセキュリティ機能と連携することで、全体のセキュリティポリシーの一貫性を保ちつつ、運用の効率化を図ります。例えば、Azure Security Centerと組み合わせれば、潜在的なセキュリティの脅威を迅速に検知し、最適な防御策を講じることが可能です。常に最新のセキュリティ標準を維持しつつ、リソースを最適化します。 - 管理しやすい
AzureネットワークセキュリティグループはAzureポータルで、直感的に管理可能です。監査ログにより、セキュリティの監視やトラブルシューティングをサポート。セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能です。
Azureネットワークセキュリティグループの設定方法
Azureネットワークセキュリティグループでのセキュリティ規則(ルール)の設定は、ネットワークトラフィック(通信)をコントロールして、未承認のアクセスを防ぐ重要なステップです。インバウンド(受信)とアウトバウンド(送信)のトラフィック(通信)に対して、それぞれ規則(ルール)を設定できます。設定はAzureポータルで行います。
規則(ルール)設定では、必要なトラフィック(通信)だけが通過できるようにするため、まず特定のIPアドレス範囲やプロトコル、ポート番号を指定して、許可するか拒否するかを決めます。
優先順位に基づいて規則(ルール)は処理され、規則(ルール)の変更は簡単ですぐ反映されるため、リアルタイムにセキュリティを管理できます。
また、監査ログにより、セキュリティの監視やトラブルシューティングをサポート。セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能で、ネットワークセキュリティの強化につなげます。
既定のセキュリティ規則(ルール)とは
Azureネットワークセキュリティグループには、ネットワークトラフィック(通信)を簡単にフィルタするために、最初から設定されているセキュリティ規則(ルール)があります。
これらは、ネットワークの安全性を保ちながら、システム管理者が余計なトラフィック(通信)をフィルタする手間を省きます。
基本的に3つの主要規則(ルール)があり、それぞれインバウンド(受信)とアウトバウンド(送信)のトラフィック(通信)を管理し、特に仮想ネットワーク間やインターネットとのデータのやり取りを保護します。
1つ目の規則(ルール)は、同じ仮想ネットワーク内でのトラフィック(通信)を許可して、内部リソース間の通信がスムーズに行えるようにします。
2つ目の規則(ルール)は、Azureの負荷分散機能に関連付けられ、必要な送信トラフィック(通信)を許可します。
そして最後に、インターネットからのトラフィック(通信)をデフォルトで制御する規則(ルール)によって、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。
これらの基本的な規則(ルール)は、特定のビジネスニーズやセキュリティ要件に合わせて変更することが可能です。管理者はこれらの規則(ルール)を基に、必要に応じて他のカスタム規則(ルール)を追加することで、より強力なセキュリティ環境を実現できます。
クラウドサービス全般のセキュリティ対策の基礎について詳しくはこちら。
▼クラウドサービスの利用はセキュリティが不安? 効果的なセキュリティ対策とは
Azureネットワークセキュリティグループの留意点と注意事項
Azureネットワークセキュリティグループをうまく機能させるには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
ネットワークとの関連付け
Azureネットワークセキュリティグループは仮想ネットワークやサブネット、ネットワークインターフェースカード(NIC)に結び付けて、効果を発揮します。仮想マシンや他のリソースへのアクセスを細かくコントロールできますが、この結び付きがうまくいかないと、思わぬトラフィック(通信)を許可、または拒否されることがあります。このため、ネットワークを設計する際には、Azureネットワークセキュリティグループの適用範囲をしっかり計画することが重要です。
ネットワーク設計に関して詳しくはこちら。
▼ネットワーク設計書は難しい⁉ 書き方や掲載する項目について解説
Azureのネットワークセキュリティグループをサブネットに関連付けると、そのサブネット内の全リソースに一貫したセキュリティポリシーを適用できるため、管理が楽になります。
また、ネットワークインターフェースに関連付けると、特定の仮想マシンに対して細かい管理が可能になります。これにより、異なるセキュリティが必要なアプリケーションが同じサブネットにあっても、独自のポリシーを適用できます。
ところで、関連付けを行う際には、規則(ルール)の優先順位や適用範囲をしっかり設計することが重要です。こうすることで、予期しないトラフィック(通信)のブロックや許可を防ぎ、ネットワークの可用性とセキュリティを両立させます。
また、Azureネットワークセキュリティグループの設定を変えると即座にネットワークに反映されるため、テスト環境で事前に確認して、思わぬ影響を最小限に抑えるようにしましょう。
このように、Azureネットワークセキュリティグループとネットワークの関連付けをうまく管理することで、Azure環境のセキュリティ向上と効率的な運用が可能になります。
アプリケーションのセキュリティ強化
アプリケーションのセキュリティを考慮する際には、単にAzureネットワークセキュリティグループの設定だけでなく、アプリケーションレベルでのセキュリティ強化も重要です。
まず、Azureネットワークセキュリティグループの規則が適切に設定されているか確認することで、特定のポートやIPアドレスからの不正アクセスを防ぎます。
そして、アプリケーション内でのデータ暗号化です。これによって、送受信されるデータが傍受されても漏洩を防ぎます。
また、ユーザー認証および権限管理の強化も重要です。正当なユーザーのみが必要なデータや機能にアクセスすることが可能になります。
さらにアプリケーションコードのセキュリティも、見過ごせません。定期的なセキュリティレビューや脆弱性のスキャンを実施し、潜在的なリスクを早期に発見し修正することが肝要です。
また、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった一般的な攻撃手法に対する防御策を講じることも必要です。
最後に、セキュリティの継続的な監視と見直しが求められます。アプリケーションの使用状況や新たな脅威に応じて、セキュリティ対策を柔軟に更新・強化していくことが、全体のセキュリティを維持する鍵となります。
これらの対策を講じることで、Azureネットワークセキュリティグループだけではカバーしきれない、アプリケーションレベルでのセキュリティを強化し、総合的に安全性を高めることにつなげます。
Azureネットワークセキュリティグループの活用戦略
Azureネットワークセキュリティグループを効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。
適切なセキュリティ規則(ルール)を作成し、不要な通信を遮断
まず、ネットワーク全体のセキュリティを最適化するために、Azureネットワークセキュリティグループ規則(ルール)を定期的に見直し、不要な規則(ルール)が存在しないか確認することが重要です。
これにより、セキュリティの脆弱性を最小限に抑え、ネットワークパフォーマンスを向上させることができます。
ネットワークトラフィック(通信)の監視と保護を強化
Azureの他のセキュリティツールやサービスと連携させることで、包括的なセキュリティ管理を実現します。例えば、Azure Security CenterやAzure Firewallとの連携によって、ネットワークトラフィック(通信)の監視と保護を強化することが可能です。
Azureネットワークセキュリティグループを適切にドキュメント化し、変更履歴を管理
さらに、効果的な活用のためには、Azureネットワークセキュリティグループを適切にドキュメント化し、変更履歴を管理することも重要です。これにより、セキュリティ設定の透明性とトレーサビリティを確保し、セキュリティインシデントが発生した際の迅速な対応が可能になります。
加えて、組織内のセキュリティポリシーに基づいた規則(ルール)設定を行い、規則(ルール)の一貫性を保つことも忘れてはなりません。
定期的に規則(ルール)を見直し、最新のセキュリティ規準に合わせて更新
最後に、Azureネットワークセキュリティグループの効果的な活用には、定期的なトレーニングやセキュリティ意識の向上も欠かせません。技術チームが最新のセキュリティトレンドや最善策を理解・検討し、実践することで、Azureネットワーク環境全体のセキュリティレベルを引き上げられます。
これらの施策を講じることで、Azureネットワークセキュリティグループを最大限に活用し、堅牢なクラウドセキュリティを実現できるでしょう。
Azureネットワークセキュリティグループでクラウドセキュリティを強化
Azureネットワークセキュリティグループの活用は、ネットワークのセグメンテーションとアクセス管理において非常に効果的です。インバウンド(受信)およびアウトバウンド(送信)のトラフィック(通信)を管理するためのセキュリティ規則(ルール)を設定し、さらに関連ツールとの統合によって管理効率を向上させ、セキュリティの一元管理を実現します。これにより、人為的なミスを軽減し、セキュリティインシデントを事前に防ぐ環境を築けるでしょう。
ネットワーク全体のセキュリティを強化するためには、トラフィック(通信)パターンを詳細に分析し、最適なセキュリティ規則(ルール)を構築することが求められます。
さらに、セキュリティポリシーを定期的に見直し、ビジネスニーズの変化に適応させることも必要です。
Azureネットワークセキュリティグループは、クラウド環境のセキュリティを飛躍的に向上させるための必須ツールです。適切に活用し、組織のネットワーク防御を強化しましょう。
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