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2023.09.20

AWSでできることとは? 利用のメリット・デメリットや有効活用する方法をわかりやすく解説

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目次

多くの組織が参入しているクラウドサービスの中でも、アマゾン社が提供するAWS(Amazon Web Services)は長年のノウハウを持っていること、多くのユーザーが利用していることが大きな魅力です。しかし、AWSの豊富な機能を使いこなすには、AWSに関するノウハウや知識が求められます。

本記事では、AWSでできることやメリット・デメリット、運用のコツについて解説します。これからAWS導入をお考えの方は、ぜひご参考ください。

オンプレサーバーから AWSへ! 成功の秘訣は スモールスタート!

AWSとは?

AWSは、通販大手企業アマゾン社がビジネス向けに提供するクラウドソリューションサービスです。クラウド上にストレージ、サーバー、ネットワークなどの機能を利用できる仮想的なコンピューターが設置されており、ユーザーはそれらの機能から必要なものをインターネット経由で利用できます。

クラウドサービス普及前は、システムの構築や運用の際には自社内にデータセンターを設けてハードウェアを設置し、システムの開発や運用のすべてを管理する必要がありました。
このような形態を「オンプレミス」と呼びます。オンプレミスには自由度の高さというメリットもありますが、導入の初期費用や開発、メンテナンスのためのエンジニア人件費、ハードウェアの保守や買い替えなどの負担もあります。

クラウドサービスでは機器負担がなくなるため、大きなコスト削減が可能です。また、システムの拡張も設定の変更だけでスピーディーに完了できます。

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AWSでできること

AWSは、様々な機能でユーザーの理想的なシステムづくりをサポートします。多くの機能の中から代表的なものを紹介します。

Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)

Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)は、Web上で様々なサービスやビジネスを行うために、必要な機能を備えた仮想サーバーサービスです。
仮想サーバーの構成要素は、最新のプロセッサ/ストレージ/ネットワーク機器などを個々に選択でき、組織ごとのニーズに最適なシステム環境を実現します。

仮想サーバーへのアクセス数によるシステムの負荷に応じたサイズ変更も可能で、リソース使用量に合わせた無駄の少ない運用が行えます。

600ものインスタンス(AWS上で稼働する仮想サーバーのこと。仮想サーバーを数える際の単位としても使われる)を備え、オンデマンドのEC2 Macインスタンスも備えた唯一のクラウドです。

Amazon S3(Simple Storage Service)

Amazon S3(Simple Storage Service)は、様々なクラウドサービスの中でもビジネスから個人ユースまで、多くの方が利用している仮想ストレージサービスのAmazon版です。

業務に使う資料をクラウドストレージに保存しておけば、自宅や会社、カフェなど好きな場所から参照でき、ネット環境さえあれば働く場所を限定しません。

また、バックアップサーバーとしての利用だけでなく、データ分析や人工知能(AI)、機械学習(ML:Machine Learning)などのためのデータレイクとしても活用できます。

Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)

Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)は、AWSクラウドで使用できるリレーショナルデータベースです。
リレーショナルデータベースとは、相互に関連するデータポイントを格納し、それらのデータポイントへのアクセスを提供します。リレーショナル・モデルに基づき、テーブル内のデータを直感的かつわかりやすい方法で表します。

顧客データや購入履歴など様々なデータを分析するには、それらのデータを格納するリレーショナルデータベース機能が必要です。My SQLやPostgreSQLなどの分析ツールと互換性のある「Amazon Aurora」を搭載しているため、多くのアナリストが簡単に利用できます。

Amazon CloudFront

Amazon CloudFrontとは、動画やアプリケーション、静的・動的なコンテンツを迅速かつ安全に配信できるコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)サービスです。

新製品の情報やイベントの告知には写真や動画、動的なWebコンテンツの配信は欠かせません。ただ、これらのデータはファイル容量が大きくなることもあり、ユーザーのPC環境によっては大きな負荷となる可能性もあります。

Amazon CloudFrontでは、データの圧縮やAWSグローバルネットワークインフラストラクチャによるAPIの高速化など、高速で安全なデータ転送環境を整備します。高品質かつ低レイテンシーな配信を実現するのです。また、ソフトウェアのパッチ配信やゲームのアップデートなどにも活用できます。

Amazon CodeCatalyst

Amazon CodeCatalystは、AWS上で動作するソフトウェアを開発する統合ソフトウェア開発サービスです。
一から好きにプロジェクトを作成することもできますが、ソースコードからサービス設定まですべての工程で利用できるブループリント(青写真、設計見本のようなもの)を利用することで、短時間での開発も可能です。

また、プロジェクト用に設定されたAWS上の開発環境と一般的な統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)を連携可能で、プロジェクトに最適なやり方で作成を進められます。

Amazon GameLift

Amazon GameLiftは、AWS上で構築できるマルチプレイヤーゲーム向けのゲームサーバーマネージドサービスです。
ゲームに特化したサービスであり、プレイヤーやトラフィックの規模が大きく変動しがちなゲームに対応し、低コストで遅延の少ないゲームサーバーを構築・運用できます。
安定したゲームサーバーは、ゲームの内容以上にユーザーの満足感に影響を与えるために必要です。Amazon GameLiftは、サーバー運営のコストを下げつつ、プレイヤーに高い満足感を提供できるでしょう。

また、サーバーの統計やサーバーのログが常に収集されているため、早い段階で課題に気付けます。ユーザーの満足度が下がることは、ゲームのサービス終了につながりかねません。問題解決を迅速に行えることは非常に重要だといえます。

AWS利用のメリット

オンプレミスでのシステム運営と比べて、AWSの利用は多くのメリットを享受することができます。目に見えやすくわかりやすい、AWSのメリットを紹介します。

自社サーバー(オンプレミス)に比べて大きなコスト削減が見込める

AWSを活用するもっとも大きなメリットは、導入コストや運用コストの大幅な削減です。

自社内にサーバールームを設け、高額の機器を購入し設定していくオンプレミス型のサーバーでは、多額の費用がかかります。また、理想的なシステム構築には様々な技術に通じた大勢のエンジニアの投入も欠かせず、時間も人件費も大きな負担になるかもしれません。
その上、システムには継続的なメンテナンスや改良、場合によっては新機能の開発も求められます。オンプレミスは何でも自由にカスタマイズできる半面、莫大なコストと時間を消費するデメリットがあるのです。

一方、AWSの初期費用は低コストで済みます。必要な機能を選び、契約・使用することで費用が発生します。
従量課金制のため、使用分だけが月額費用となり、大幅なコストダウンが見込めます。また、機器のメンテナンスやセキュリティ管理などはAWS側の対応のため、運用コストの削減にもつながるでしょう。

システム対応量の柔軟性が高い

予想以上にアクセス数が多い場合、サーバーがパンクしてしまうのではないかといった不安があります。
対応量を上げるには、サーバー数の増加や処理スペックの高い機器との交換といった物理的な対策が必要ですが、オンプレミス型のサーバーで速やかにこれらを行うことは大変困難です。

AWSであれば、利用するサーバー数やハイスペック機器への変更などのスケールアップを容易に行えます。また、アクセスの少ないときには利用するサーバー数を減らして、無駄なコストをかけずに済みます。
「突発的なアクセス増に対して、自動的にシステムスケールをアップし対応」ということも可能なため、低コストでビジネスチャンスを逃さない万全の体制が実現できるでしょう。

リスク分散ができる

万一の災害やデータ障害に備えてシステムを冗長化しておくことは、ビジネスでインターネットを利用するためにはぜひ備えておきたいポイントです。

AWSのデータセンターは世界中に設置されているため、局所的な事故の際にも他のデータセンターにトラフィックを流し、負荷を分散させることができます。
長期にわたってAWSが高い業界シェアを維持しているのは、リスクに備えた対策を常に講じている信頼性の高さも大きな理由のひとつです。

AWS利用のデメリット

AWSは高機能なクラウドソリューションサービスですが、少なからず欠点は存在します。デメリットというほど致命的ではありませんが、事前に知っておくべきポイントを紹介します。

実際のコスト(月額使用料金)を予想しにくい

先述の通り、AWSは機能ごとのリソースや使用時間の増減によって変化する「従量課金制」を採用しています。
オンプレミスでのシステム構築に比べ、低コストかつスピーディーにシステムを立ち上げることができる半面、無駄な機能を追加したりリソースを無駄使いしたりすることは月額使用料の増加を招きます。

サーバースペックやストレージの容量は余裕を持ちたいところですが、業務上必要な性能を大幅に超えるオーバースペックは無駄なコストだといえるでしょう。様々なツールも提供されていますが、手当たり次第使ってみるのではなく、目的意識を持って必要最低限の利用にとどめられるよう、コントロールする工夫も求められます。

コスト削減に有効なAWSですが、組織やユーザーの使い方次第となります。「社内でAWS状況の管理や調整などを行う」「AWSの運用ルールを周知しておく」といった工夫を心がけましょう。

ハードウェアカスタマイズの自由度が低い

比較的簡単に使い始められるAWSですが、オンラインでの簡単な構成変更も行えるという利便性の半面、つきつめたところまでのハードウェアの細かな仕様調整までは、行えない場合もあります

特に、これまでオンプレミスで細かなカスタマイズを頻繁に行っていた業務をAWSにリプレイスする場合には、注意が必要です。カスタマイズの重要度とAWS機能上の対応可否を慎重に比較しましょう。AWSでも問題ないか、もっとカスタマイズの自由度が高いサービスを探した方がよいのかを検討するケースも考えられます。

AWSのサービス内容すべて把握するためには、独特の概念や考え方を理解する必要もある

AWSには、システム設計における固有の概念・考え方があります。
2006年から提供しているサービスである故に、当時考えられた先進性と現在主流の設計に多少の違いがあったとしても、不思議ではありません。また、Windowsのみに長けているエンジニアから見ると、AWSの独自性に違和感を抱く場面もあるかもしれません。

AWSでは、「AWSスキルビルダー」「AWSトレーニング」といった、AWSの仕様を理解するためのサービスも用意されているため、それらを活用して理解を深めましょう。
老舗サービスであるからこそ、関連する参考書籍や資料も数多く販売・公開されています。それらを利用するのもよい方法です。

AWSを有効に活用する方法

AWSの活用には、クラウドソリューションサービスへの知識も大切です。サービス範囲で分けられる3種類のクラウドソリューションの違いと、その中でAWSが向いている使い方を知りましょう。

3種類のクラウドコンピューティング

クラウド上のコンピューターを借り、提供される様々な機能を利用するクラウドコンピューティング(クラウドソリューションサービス)には3種類の形態があります。
クラウド上で使う機能は、大きく「ネットワーク」「ストレージ」「サーバー」「OS」「ミドルウェア」「アプリケーション」の7つに分けられます。
クラウドサービスによって提供される範囲が異なるため、自社に必要な範囲をカバーしているかどうかを把握することが求められるのです。

3種類の形態について簡単に説明します。略称で呼ばれることが多いですが、元の言葉を知ると違いが明確になります。

  • IaaS(Infrastructure as a Service)
    クラウドサービスとしてインフラ部分を提供する形態です。
    先に挙げた7つの機能の中では、「ネットワーク」「ストレージ」「サーバー」に該当します。
    クラウドサービスとしては最低限の基盤部分のみの提供となるため、インフラ上で利用するシステムやアプリケーションなどはユーザー任せです。オンプレミスでの運用実績を持っているユーザーや独自のサービスを構築したいユーザーにとっては、システム構築の自由度の高さが大きなメリットとなります。
  • PaaS(Platform as a Service)
    IaaSの機能に「OS」「ミドルウェア」を加えたサービスです。
    動作させたいアプリケーションだけを用意すればよいため、短期間でのシステム構築が可能となります。アプリケーション作成のための開発環境も用意されており、アプリケーションの開発により一層集中できるでしょう。
  • SaaS(Software as a Service)
    アプリケーションも含め、クラウドサービスのひとつとして提供される形態です。
    自由度はもっとも低くなりますが、ほぼすべての機能を備えたパッケージサービスとなるため、低コストで素早くサービスを開始できます
    Webブラウザを使ったメールサービスやブログサービスなどは、SaaSのクラウドサービスを利用しているケースが多くあります。

関連記事をご用意しております。ぜひご参考ください。
▼オンプレミスとクラウドって何が違うの? 移行の特徴も解説

AWSを活用する部分と自社で用意する部分を明確に分ける

AWSをはじめとするクラウドコンピューティングを効果的に利用するには、求めるシステムのゴールの姿を定めることが大切です。そこから自社で行う部分とクラウドコンピューティングに任せる部分をきちんと分け、適したクラウドサービスを選びましょう。

システム構築をスムーズに行うために、守備範囲をはっきりさせることは必須の準備です。また、クラウドコンピューティングに任せる機能の内容をしっかりと知っておくことも肝心です。機能不足による後戻り作業や無駄な機能の導入を避け、コストをカットできます。

AWSを生かせるIaaSかPaaS

例えば、Amazon EC2は、AWSの基盤となっているサービスであり、IaaSに該当します。システム運用でもっともコストがかかるハードウェア部分をクラウド化することで、大幅なコスト削減につながるでしょう。Amazon EC2にOSやミドルウェア相当のサービスを追加すれば、PaaSとしても利用できます。

どのようなシステムを目指すかによって、複数のサービスを組み合わせて利用できる点がAWSの強みです。PaaSとして活用することで、システムの最適化につながるでしょう。

AWSが活用できるパターン

AWSを自社で導入し、活用できるケースについて紹介します。自社にはどのような環境や要望があり、AWSを活用できそうか、ご参考ください。

既に自社で利用しているシステムがある場合

オンプレミスで運用している組織は、コスト負担が増大しているハードウェア部分をAWSに移行することを検討しましょう。

オンプレミスで利用していたOSやアプリケーション参照先のハードウェアをクラウド化しても、これまでと同じ感覚でシステムを利用し続けられます。

オリジナリティにはこだわらず簡単にツールを利用したい

過去の資産にこだわらず、新しいビジネスを展開するのであれば、PaaSがおすすめです。すぐに使える状態のクラウドコンピューターが用意されるため、業務に必要なアプリケーションを整備するだけで運用を始められます。AWSの開発環境も役立つことでしょう。

AWSの保守や設定変更はアウトソーシング活用を

IaaS・PaaSのどちらの形態でも、システムの運用コストはアウトソーシングを活用することで、大きく削減できます。それは、自社の担当者が、ハードウェアの購入やメンテナンス、動作のモニタリングなどから解放されることが大きな理由です。
とはいえ、完全にAWSに任せきりで、現状のリソースの使用状況やAWSのメンテナンススケジュール、新サービスや廃止サービスの情報などを、社内のメンバーが誰も把握していないという状態では問題があるでしょう。

このような問題の対応策として、AWSをよく知るベンダー企業へアウトソーシングすることをおすすめします。

導入から運用までサポートするテクバン

長期にわたりクラウド事業を牽引してきたAWSは、豊富な実績と多くの機能を備えています。AWSの学習資料や事例も豊富にありますが、社内でそれらすべてをカバーするには、学習コストや業務負担の増加が懸念されます。

現在のシステムと理想とするシステム、そのために必要なAWS製品の選定など、導入プロセスについてもAWS製品を熟知していないと、最適なシステム構築を実現できない可能性もあるのです。

そこでおすすめしたいのが、AWSの導入をサポートし、利用者の相談に応えてきたAWS導入支援サービスを提供しているベンダー企業の活用です。サービスを利用する側が自社ならではの観点で検討することも大切ですが、多くのAWS導入に携わり、課題を解決してきたベンダー企業ならではの助言や提案を行ってくれるでしょう。

AWSの導入から保守や調整の相談まで、まとめて任せられるプロを活用することは、AWS導入成功の秘訣のひとつといえます。

テクバンのAWS導入支援サービスについては、こちらからぜひご確認ください。
Amazon Web Services(AWS)導入支援サービス

AWSを検討するなら、まずは導入サポート企業を見つけよう

多くの実績を持つAWSは、十分な学習時間とITやネットワークについての知識があれば、すぐに本格的な運用を開始できる便利なサービスです。

AWSの導入においては、自社のIT資産とAWSの特徴をどのように合致させていくかがポイントとなります。その見極めには、多くのノウハウを持っているベンダー企業に依頼することも近道となるでしょう。

テクバンもAWS導入の実績とノウハウを備えたベンダー企業です。AWSについてのご相談は、ぜひテクバンまでお気軽にお問い合わせください。

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