オラクル社が提供するIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)ソリューション、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の利用価格は、昨今の為替変動により、2022年12月から日本円への換算レートが改定されました。
OCIを既に利用されている方や、これから導入しようと具体的な検討をされている方の中には、価格面がわかりづらいとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、OCIを利用するとどれくらいの費用がかかるのか、具体的に解説します。
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OCI(Oracle Cloud Infrastructure)のサービス価格体系
OCIには、2023年10月時点で50種以上ものサービスがあり、利用するサービスの組み合わせによって価格も異なります。
価格計算の基盤となるサービスの料金体系は以下の2種類となります。
- Pay As You Go
従量課金制の料金体系です。
純粋に利用した分のみが計算され、翌月に請求される「完全従量制」となっています。 - Annual Universal Credits
事前に12か月分を支払った上で利用開始し、その後、毎月、利用量に基づいた差し引きが行われる料金体系です。
OCI内で利用した各サービスの利用料を、あらかじめ支払っている年間クレジット料から消費していき、利用中の各月末時点で料金超過があった場合には、その段階で追加請求が発生するという仕組みになっています。
Pay As You Go Annual Universal Credits 利用できるOCIのサービス PaaS/IaaS問わず、すべてのOCIサービスを利用可能 支払い 毎月、実際に使用した分だけを後払い 年額クレジットを前払い
クレジット超過が発生した場合は、そのタイミングで追加払い最低契約期間 なし 1年間 おすすめのケース 利用量の見通しがつかない場合や、短期間の利用を想定している場合 1年以上、定常的に利用する想定の場合
OCIは競合クラウドより安価
OCIは、競合となるAWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといった他社クラウドサービスと比較して、実際に利用した際の費用が安めという特徴があります。
使い方やサービス選択の仕方によっても変わってきますが、サービス数が多すぎず、それぞれの価格設定が低めに抑えられていることは、コストを重視する企業に対して大きなアドバンテージといえます。
参考までに、OCIの中でも汎用性が高く、代表的なサービスのひとつである「Oracle Base Database Service」を例に挙げて詳しくご紹介します。
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Oracle Base Database Serviceとは
Oracle Base Database Serviceは、OCI内で動作する仮想マシン(VM)上で、Oracle Database Enterprise EditionやOracle Standard Editionといったデータベースサービスを利用できます。
品質が高く、柔軟性のあるデータベースをクラウド上で自由に活用しながら、VM運用やローコード・アプリケーション開発などが行えます。
データベース管理システムの開発・提供でとても長い年月にわたる実績をもつオラクル社だからこそのサービスといえるでしょう。
Oracle Base Database Serviceの価格
2023年10月中旬時点のOracle Base Database Serviceの価格をご紹介します。
なお、Oracle Base Database Service含むOCIの価格は、為替レートで常に変動するため、詳しくはオラクル社の公式情報をご確認してください。
エディション | サービス内容 | 価格(仮想CPUひとつあたり) |
Standard Edition | 中小規模システム向け | 15.05円 /h |
搭載可能CPUソケット数:最大2 | ||
スレッド数:最大16 | ||
Enterprise Edition | 大規模システム向け | 30.107円 /h |
搭載可能CPUソケット数:制限なし | ||
スレッド数:制限なし | ||
High Performance | Multitenant、Advanced Compression、Advanced Securityなどが含まれる高機能のエディション | 62.097円 /h |
Extreme Performance | 上記High Performanceの内容に加え、Real Application Clusters、Database In-Memoryなどが含まれる最上位のエディション | 94.087円 /h |
OCIの価格確認する際の注意点
OCIの価格は為替変動の影響を随時受けます。そのため、実際の価格は公式サイトで最新情報をチェックする必要があり、いくつか注意点もあります。
「Comparison Price(vCPU)」と「Unit price」の違い
OCIの価格表では、サービス内容ごとに「Comparison Price(vCPU)」と「Unit price」の2つの項目があり、それぞれに金額(日本円換算)が表示されています。
利用者側がOCIと様々なクラウドサービスを比較しやすいよう、仮想CPUあたりの価格(vCPU)とユニット単位の価格が併記されているのです。
OCIのユニットとは、クラウドインフラを設計、構築、管理するための基本的な要素です。ユーザーはこれらのユニットを組み合わせて、アプリケーションやワークロードに合ったインフラを構築することができます。
Windows系OSを利用する場合、別途料金がかかる
仮想OSイメージでOCIが提供するLinux系OSを使う場合には、OSの料金はかかりませんが、Windows系OSを使う場合には別途、時間あたりの従量課金が発生します。
詳しくは、「OCI価格リスト」内の項目「Operating Systems」をご確認ください。
インスタンス変更やバックアップ利用の場合、別料金となる
VM上の基本的な費用は前述のとおりですが、さらにインスタンスの種類、つまり、VMの仮想CPUや仮想ハードウェアの種類を変更する場合には、構成に応じて別途料金が発生します。AMD系の仮想CPUを選択する場合、Intel系の仮想CPUを選択する場合などで価格が異なります。
また、構成をバックアップしておきたい場合には、カスタムイメージ(VMの特定のインスタンス構成を状態として保存するもの)を取得したり、ブート・ボリューム(OSやインスタンス構成を含む起動用ドライブ)のバックアップを行っておいたりすることも可能ですが、それぞれ「オブジェクト・ストレージ」利用分の料金が発生します。
コスト試算、導入までを任せられるOCI導入支援サービス
本記事ではオラクル社のOCI(Oracle Cloud Infrastructure)について、サービス価格の料金体系や、実際の従量課金額の例をご紹介しました。
OCIでは本記事で例に挙げた「Oracle Base Database Service」のみならず、実に50種以上ものサービスが提供されています。そのため、自社の社内システム構築に必要なサービスがどれであるかを正確に判断したり、最適なコストを試算したりすることが難しいと感じられるご担当者がいらっしゃるかもしれません。
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Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援サービス
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OCIの導入を検討していてコストを試算したいときや、既に利用しているOCIの運用コストを最適化したい場合もあるでしょう。
しかし、OCIの各サービスはエディションや構成含め様々なパターンがあること、日々の為替変動が価格に影響する点などから、コストを正確に把握することが難しい面があります。
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