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2023.09.05

IaaSのメリットとは? クラウドサービスの基本知識から注意点、メリットの生かし方まで解説

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目次

システム開発者や情報システム担当者の方には、IaaSを利用したシステム構築、オンプレミス環境からの置き換えを検討されている方も多いのではないでしょうか。

IaaSはクラウド上でITインフラ環境を構築できるため、業務の場所・時間を問わないなど利便性も高く、業務効率化にもつながる有用な手段です。
しかし、導入にあたっては、クラウド上のインフラを利用するための正しい理解と、メリットや注意点の把握が必要となるでしょう。

本記事では、IaaSに関する知識をわかりやすく、網羅的に解説します。

オンプレサーバーから AWSへ! 成功の秘訣は スモールスタート!

「IaaS」とは? 基本知識やメリットを解説

「IaaS」という言葉は「Infrastructure as a Service」の略称であり、カタカナで読みを記すと“イアース”となります。

インターネット上で事業者が提供している「クラウドサービス」はSaaSやPaaSなど数種類ありますが、そのひとつであるIaaSの基本的な知識をチェックしておきましょう。

クラウドサービスについての記事もご用意しております。
▼SaaSとは? メリット、デメリット、PaaSやIaaSとの違いをわかりやすく解説

IaaSはクラウド上でインフラが提供される仕組み

組織が自社のアプリケーションやシステムを構築する際には、それらの仕組みを動作させるためのITインフラ(サーバーやネットワークなど)が必要となります。
インフラを自社で用意するという選択肢もありますが、IaaSではこのようなITインフラが、サービス事業者(ベンダー)によってクラウド上で提供されています。

具体的には、クラウド上で「仮想サーバー・仮想ネットワーク」などが提供されており、利用者は自社からインターネット接続でそれらのクラウド上のITインフラへアクセスし、利用しながら自社のアプリケーションやシステムを構築していく、という仕組みです。
IaaSは、こういった仕組みそのもの、あるいは提供されているクラウドインフラサービスのことを指します。

IssSは、ユーザーがクラウド上の仮想サーバー・仮想ネットワークにアクセスし、自社のアプリケーションやシステムを構築する仕組み

よく比較される「PaaS」との違い

IaaSとよく似た言葉のひとつに、「PaaS(読み方はパース)」があります。
PaaSは「Platform as a Service」の略称で、アプリケーションを開発するためのプラットフォームがクラウド上で提供されている仕組み、あるいはそのサービスを指す言葉です。

IaaSと比較すると、事業者側の管理範囲がプラットフォーム全般と大きいため、利用する際にはシステム構築の自由度やプラットフォームレベルでのカスタマイズ性は少し劣ります。

「プラットフォーム自体はほぼ既成のものでよいため、その上でアプリケーションの開発にすぐ取りかかりたい」というような要望であれば、PaaSは構築にかかる工程が少なく済む最適な選択肢となるでしょう。

「PaaS」について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
▼「PaaS」の基本知識やメリットを解説|IaaS、PaaSとの違いや導入支援サービスも紹介

よく比較される「SaaS」との違い

IaaSとよく似た言葉のもうひとつに「SaaS(読み方はサース、あるいはサーズ)」があります。
SaaSは「Software as a Service」の略称で、目的ごとのアプリケーションがソフトウェア単位で提供されている仕組みです。そのサービス自体をSaaSと称する場合もあります。

事業者提供時点で開発済みのアプリケーションとして完結しているため、利用者はネットワークを介し、アプリケーションを利用するだけで済みます。
導入は比較的容易ですが、カスタマイズについてはアプリケーション内であらかじめ可能となっている範囲に限られるため、構築の自由度は一番低いといえるでしょう。

「SaaS」について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
▼「SaaS」と「クラウド」それぞれの定義や導入時のチェックポイントを解説

IaaSを活用するメリット

インフラサービス「IaaS」を活用するメリットについて、以下のことが挙げられます。

  • オンプレミス同様に、自由自在な環境構築を行える
  • ITインフラのみが提供されるため、ほぼゼロから開発を行いたい場合に有用
  • クラウドで提供されるため、機能の拡張や縮小も手続きだけで行える
  • 災害時などのBCP対策に効果的
  • システム管理者の負担が軽減される

オンプレミス同様に、自由自在な環境構築を行える

先述の通りIaaSでは、ITインフラ部分のみがクラウド上で提供されるため、IaaSを導入すれば、自社のITインフラをすぐに用意できるメリットがあります。
そこからプラットフォームの構築やアプリケーションの開発を柔軟に、かつ迅速に行えます。

ITインフラのみが提供されるため、ほぼゼロから開発を行いたい場合に有用

自社ですべてを用意し開発環境を整える場合であっても、作りたいシステムやアプリケーションの要件によって、ITインフラの細かい条件は求めない、というケースもあるでしょう。
そのような際は、既成のものとしてすぐに導入できるIaaSを活用することで、スムーズにゼロからの開発や必要なソフトウェアのインストールを始められます。

クラウドで提供されるため、機能の拡張や縮小も手続きだけで行える

システムやアプリケーションの開発過程において、例えばITインフラの機能不足であったり、ITインフラの最適化を希望したりする際に、ITインフラの機能の拡張・縮小が必要となります。自社のITインフラをオンプレミスで構築している場合、物理的なサーバー変更・機器の置き換えや再構築をする手間が必要です。

一方、IaaSであれば、IaaS事業者が用意している提供プランの変更やオプションの追加・削除などの手段で対応できるため、基本的にインターネット上の手続きのみで完結します。

インターネットでの手続きのみで、IaaSのオプション変更・追加が可能

災害時などのBCP対策に効果的

あくまでITインフラ部分のみの話とはなりますが、自然災害や火災などの緊急事態が発生した場合、IaaSは提供事業者側の機器をクラウド上で利用する仕組みのため、自社の事業資産の損害を最小限に抑えられます。
また、災害発生時の事業継続性においても、クラウドサービス提供事業者ではあらかじめ災害に強い環境へサーバーを設置していたり、リアルタイムでバックアップを行っていたりということが一般的となっているため、安心できるでしょう。

万が一、自社側の環境に災害などの影響があり、自社施設内での業務継続が一時的に困難になった場合でも、クラウドサービスではインターネット接続のある環境であればどこからでも接続可能です。一定以上の業務をそのまま継続できます。

システム管理者の負担が軽減される

IaaSでは、前述のようにITインフラ部分がサービス提供事業者の管理責任範ちゅうとなるため、自社のシステム管理者はITインフラに関する管理業務から解放されます。
負担が軽減されれば、コア業務に集中し業務の効率化や生産性の向上を期待できるでしょう。

IaaS活用に注意したいデメリット

大変有用性の高い選択肢となるIaaSですが、導入検討時には事前に知っておきたい注意点がいくつかあります。IaaSのデメリットとして、以下のことが挙げられます。

  • 活用するために一定以上の知識・スキルが必要
  • SaaSやPaaSと比較して、利用者側の保守・運用負担が大きい
  • セキュリティ面も、利用者側がほぼ対策を行う必要がある

活用するために一定以上の知識・スキルが必要

IaaSは、既存のITインフラを活用する仕組みであるため、システムやアプリケーションを構築・開発する際には、既存のインフラの仕様を理解するための知識、さらに既存のインフラと齟齬(そご)を生じさせないシステム構築のスキルが必要です。
ITインフラに関して未経験のメンバーが対応するには、少し難易度が高いかもしれません。

SaaSやPaaSと比較して、利用者側の保守・運用負担が大きい

先述のように、IaaSを利用した上でのシステムやアプリケーションの開発は自由度が高い反面、保守や運用の負担についてもITインフラ以外の部分がすべて自社範ちゅうとなります。
そのため、保守や運用を続けていく負担があることを事前に考慮しておきましょう。

セキュリティ面も、利用者側がほぼ対策を行う必要がある

保守・運用負担の面と同様に、セキュリティ対策の面においても自社で講じる必要があります。
基本的なネットワーク監視以外に、構築したアプリケーション側のセキュリティを含め、最新のパッチをあてたり、必要なセキュリティソフトを導入したりと、自社でのセキュリティ対策を実施しなければなりません。

IssSのセキュリティ対策は、最新のセキュリティパッチを適用したり、セキュリティソフトを導入したり、ユーザー側で行う必要がある

IaaSで提供するサービス類の具体例

事業者から提供されているIaaSには様々なものがあります。次項より、主なサービスの種類をご紹介します。

仮想サーバー

サーバーには、HTTPサーバーやFTPサーバー、ファイルサーバーやアプリケーションサーバーなど様々な種類がありますが、いずれの場合でも「目的の動作を稼働させるためのコンピューター」という位置づけとなります。
例えば、開発者や従業員は自身のPCからサーバーへアクセスし、HTMLで記述されたサイトを表示したり、目的のデータを取り出したり、プログラムの動作を実行させたりといったことを行います。

仮想サーバーサービスでは、インターネット環境さえあれば、ユーザーは社内・社外問わずどこからでもこれらの目的を実行でき、社内サーバーに接続して必要な業務を行えます。

仮想ネットワーク

本来、ネットワークとはいくつものルーターやスイッチングHUB、LANケーブルといった物理的な機器・ハードウェア類を接続して実現するものですが、このネットワークをソフトウェア上で仮想的に再現しているのが仮想ネットワークです。

仮想ネットワークサービスでは、物理的な制約なしに自社の開発の環境や構成に合わせたネットワークを柔軟に再現できるため、システムやソフトウェアの実行テストも簡単に行えます。また、社内ネットワーク構築においても、既存の物理的なネットワークの一部をクラウドへ置き換えるといったことが可能です。

仮想マシン

仮想マシンとは、物理的なコンピューターと同等な環境をソフトウェア上で実現する仕組みです。

仮想マシンサービスでは、提供事業者がクラウド上で様々な要件に合う仮想コンピューターを提供しています。
例えば、自社でシステムやアプリケーションを開発する際に「様々な利用者のPC環境を想定して、動作を実際に確認したい」「ウイルスに感染してしまったデータへのアクセスや、新規オペレーティングシステムの実行テストなど、実環境で行うのが困難でリスクが伴う」といったケースに、仮想マシンは活用できます。

IaaSをご検討ならテクバンへ

IaaSには様々な種類がありますが、それぞれの仕様や活用方法を精査・検討したり、複数を並行して効率的に運用したりするには、一定以上の専門知識が必要となります。

テクバンでは代表的なIaaSについて、お客様の環境やニーズに合った最適な導入方法のご提案や運用支援を行っており、資料も豊富にご用意しています。
IaaSの導入に課題を感じられている際は、以下で紹介するサービスを参考に、ぜひお気軽にご相談ください。
テクバンへ相談する

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入・構築支援

「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」は、クラウド上の仮想マシンやベアメタルマシンなどを必要な際に必要なだけ手軽に導入できる、オラクル社のIaaSです。OCI には、以下のような特長があります。

  • オンプレミスと同等、柔軟性の高い環境をクラウドで実現
  • 現在の環境からの置き換えがスムーズ
  • 高スペック、高い可用性
  • 万全なセキュリティ対策
  • オンプレミスでデータベース管理システム「Oracle Database」のライセンスを保有している場合、OCI上でも同ライセンスを利用可能

テクバンの OCI 導入・構築支援サービスでは、オンプレミス環境からの移行に不安を感じられるお客様のために、現状の運用の理解・クラウドへの移行・運用までをワンストップでサポートしております。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援

Microsoft Azure導入・構築支援

「Microsoft Azure」は、ITインフラ含めビジネスで使われる様々なシステムを、クラウド上で250種ものサービス・機能として提供しているマイクロソフト社のIaaSです。
Microsoft Azureには、以下のような特長があります。

  • Microsoft関連のサービス・アプリケーションとの親和性が高い
  • 既存のオンプレミス環境との部分連携により、ハイブリッドクラウドを実現可能
  • 世界でTOP3に入るレベルのバックボーンネットワーク保有や100か所以上あるデータセンターにより、世界のどこでもサービスを利用可能

テクバンのMicrosoft Azure導入・構築支援サービスでは、機能数が膨大なMicrosoft Azureの導入を適切に運用できるか不安というお客様のために、豊富な支援実績に基づいた最適な導入提案・運用サポートを行っております。
Microsoft Azure導入支援

Amazon Web Services(AWS)導入・構築支援

「Amazon Web Services(AWS)」は、アマゾン社が提供するIaaSです。
ストレージやデータベースなどのインフラ・ミドルウェアから機械学習、AI(人工知能)といったプログラムベースのテクノロジーまで、200以上の機能をクラウド上で自由に選択し活用可能です。
AWSには、以下のような特長があります。

  • ビジネスにおいて必要となる機能を網羅してクラウド上で提供
  • 利用するサービスの種類、容量やサーバー数、ユーザー数などをニーズに合わせて柔軟に変更できるため、自社の状況変化に対応しやすくコストを抑えられる
  • 利用者が多く、世界中のコミュニティによる情報交換も活発

テクバンのAWS導入・構築支援サービスでは、機能数が膨大なAWSの導入に戸惑いを感じている、導入後の機能選択や設定に自信がない、というお客様のために、導入のプランニング段階から運用までサポートしております。
Amazon Web Services(AWS)導入支援

IaaSでシステム構築を柔軟に

主にITインフラ環境をクラウド上で用意するIaaSについて、基本知識やメリット・デメリットなどを解説しました。

IaaSの提供される機能やITインフラを含めたサービス内容は、事業者・製品ごとに多種多様であり、社内環境によっては複数のIaaSを運用したいという要望もあるでしょう。
現在の環境に合った最適な選択や、導入前の問題点の洗い出しなど、ITインフラについて課題をお持ちの場合は、ぜひ導入実績が豊富なベンダー企業への相談をおすすめします。

テクバンでは、無料で活用いただける資料もご用意しておりますので、ご参考となれば幸いです。
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