EOSLとEOLは1文字違いでよく似ており、ほとんど同じ意味で使われることもある略語です。しかし、細かい部分で違いがあります。また、EOSやEOEといった略語もあり混乱するかもしれません。この記事では、EOSLとEOLの違いに加え、EOSやEOEも含めて紹介するとともに、EOSLやEOLへの対応についても解説します。
EOSLはメーカーサポート(保守)の終了
EOSLは「End Of Service Life」の頭文字をとったもので、メーカーとしての製品サポート、保守サービスの終了を意味する略語です。
EOSLになるとほぼすべてのサポートを受けられなくなる
EOSLは企業や団体が使っているIT資産、ハードウェアの保守サービスが終了することで、その次の日からは、機器・システムの調子が悪くなっても修理対応のサポートを一切受けることができなくなります。いわゆるサポートの期限切れです。
しかし、メーカーの保守サービスが終わったからといって、機器・システムが寿命を迎えるわけではありません。あらかじめ対応を計画していた場合は別にして、そのまま使い続けるかどうかの選択を迫られます。ただし、当該機器・システムの使用を継続して故障やトラブルなどが起きても、メーカーという名の頼る相手はいません。
サポートなしで使い続けるとトラブルのリスクが大きい
メーカー保守が終わってからも使い続けていると、故障時の修理ができないだけでなく、セキュリティリスクの問題も生じます。
故障の場合は単に使えないだけですが、セキュリティ面の問題が生じても、ソフトウェアなら通常あるセキュリティパッチが配布されません。セキュリティホールが放置され、被害が拡大するおそれがあるため厄介です。
EOSLはハードウェアにもソフトウェアにも必ずやってくる
EOSLはハードウェアだけでなく、ソフトウェアにも必ずやってくるものです。永遠のメーカー保守はあり得ず、一般的には5~7年程度でEOSLを迎えます。この年数は販売終了時点からの期間です。
EOLは製品としてのライフサイクルが終了
EOLは「End Of Life」の頭文字をとったもので、製品としてのライフサイクルが終了したことを意味します。
基本的にはEOSLとEOLは同じ意味で使われることが多い
EOSLとEOLはSがあるかないかの違いだけで、同じ意味で使われることが多いといえます。SはServiceですから、「製品のサービス終了」か「製品のライフサイクルの終了」となり、メーカー保守が受けられない点に違いはありません。
EOLはEOSLよりも広い範囲での終了を意味する
同じ意味で使われることが多いとはいえ、この2つには大きな違いがあります。EOSLがあくまでも当該製品そのものの保守サービスの終了を意味しているのに対し、EOLはより広い範囲の終了の意味が含まれていることです。
ハードウェアのEOLであれば、当該機器・システムだけでなく、関連するソフトウェアのサポートも終了することを意味する使い方があります。
- EOSL・・・ハードウェアのみの保守サービス終了
- EOL・・・ハードウェアに加え関連ソフトウェアのサポートも終了
どちらの意味で使われているかの確認が必要
単に言葉・用語としての一般的な定義の問題であれば、あまり細かく気にする必要はないでしょう。しかし、自社で使用している機器・システムに関係するとなれば話は別です。
細かい違いではあるものの、EOLとEOSLが同じ意味で使われているか、それとも区別して使われているかは、サポート体制を知る上で重要なポイントになります。
どの略語を使っていたとしても、実際にいつサポートが終わるのかを、情報としてしっかりと確認する必要があるでしょう。
EOSは販売終了でEOEは技術サポートの終了
EOSは「End of Sales」の略で、販売終了を意味しており、EOEは「End of Engineering」で技術サポートの終了を意味する略語です。
販売が終了してもサポートは続くのが一般的
一般的に製品の販売が終了したからといって、サポートも一緒に終わることは少ないといえます。例えば、家庭で使っている電気製品などは製造が終了してから一定年数(概ね5年~9年)はサポートを受けることが可能です。
家電メーカーでは、旧式製品の故障に備えて補修用性能部品を確保しています。補修用性能部品は、製造打ち切りから決められた年数が経過するまでは保有されており、修理対応が可能です。冷蔵庫は9年間も保有されており、販売終了後も修理を受けられます。
IT業界でも販売終了後のEOSLが、5年~7年となっているものが多いといわれています。注意したいのは、ITの業界では販売終了とサポート終了が同じタイミングになるケースがあることです。
EOEの内容は
技術サポートが受けられなくなるため、トラブルに対応できなくなるEOEはEOLと同じ意味で使われることがあります。ただし、一般的には追加や修正(アップデート、バージョンアップ)といったサポートが終了することをEOEと呼んでいるため、一切のサポートがなくなるEOLとは別物です。
もうひとつのEOSにはサポート終了の意味がある
EOSをEnd of Salesではなく、「End of Support」の略として使用されるケースがあります。この場合のEOSは、EOEと同義で使われていたり、EOLと同じ使われ方をしていたりするため注意が必要です。
EOSLやEOLへの対応が肝心
自社の機器・システムがEOSLやEOLを迎えるにあたり、慌てることがないよう事前に対応方法を検討して準備しておくことが重要です。
機器・システムのリプレイス
EOSLやEOLは、機器・システムのリプレイスを行うよい機会です。しかし、リプレイスによって必要な機能がなくなってしまう場合などは、安易にリプレイスするわけにいきません。また、リプレイスには多くの場合、かなりの額の費用がかかりますが、サポート終了までに準備できないケースもあるため、リプレイスは簡単な話ではありません。
リプレイスは必ずしも新製品に限られず、同等品でサポートを受けられるものであれば選択肢となります。あるいは、サポート終了の機会にまったく異なるシステムにチェンジすることも検討範囲に入るでしょう。費用面の問題がある場合は、資金の準備が整うまでリプレイス時期を延ばすことが考えられます。
その間の保守については、以下の選択が可能です。
保守が切れたまま継続使用
保守が切れたままの状態で、既存機器・システムを継続使用する選択があります。それまでトラブルに遭うことがあまりなかった機器・システムであれば、問題なく継続使用できるかもしれません。しかし、いつ起きるかわからないのがトラブルです。
メンテナンスなしの使用期間が長くなれば、リスクは高くなります。トラブルが起きてしまえば、業務がストップする可能性も大きく、あまりおすすめできない選択肢です。
第三者保守
第三者保守は、メーカー以外の業者による保守サービスであり、EOSLやEOLでメーカー保守を受けられなくなってからでも既存機器・システムを安心して継続利用できる選択肢です。単に継続利用する場合だけでなく、リプレイス時期までの代替策としても使えます。
継続利用以外の第三者保守を利用する大きなメリットは、コストの削減や保守の一本化です。リプレイス費用をかけずに済むことに加え、メーカー保守よりも安価な保守料金を期待できます。使用する機器・サービスによってメーカーが異なる場合は、第三者保守の業者1社に窓口を統合でき、業務負担の軽減が可能です。
一方で、第三者保守にはデメリットもあります。既存の機器・システムを延命して使用するケースが多い第三者保守の場合、いつまでも旧式の機器・システムを主力で稼働することになりかねません。
機能に問題がなければよいとはいうものの、最新の機器・システムにリプレイスした方がメリットが大きい可能性も考えられます。
また、長期的に使用していると故障した際に部品が入手できなくなるおそれがあります。第三者保守を契約している業者の部品調達力が低ければ、その可能性は大きくなるばかりです。部品がなければ稼働できず、業務が滞ることになります。
第三者保守の業者は千差万別で、経営状態によっては保守サービスから撤退したり、会社を閉めてしまったりといったリスクも考えておく必要があるでしょう。このあたりは、業者選びに関わってくる重要なポイントです。
関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼第三者保守とは? EOSLに対応するサービスについて解説
▼アウトソーシングとは? 成功におけるポイントと委託事例を紹介
▼オンサイト保守とは? メリット・デメリットもわかりやすく解説
EOSL・EOLに対応するテクバンのサービス
テクバンでは、EOSLやEOLでメーカーサポートを受けられなくなったIT資産のリプレイスにあたり、「サーバー構築支援」サービスを提供しています。最適なサーバー環境の企画・提案から効果的な運用までトータルで支援するサービスです。
また、SIerであるテクバンが第三者としてお客様をサポートする、「システム運用マネジメント」サービスも提供しています。第三者保守にお困りのお客様に役立つ内容が見つかるかもしれません。
EOSLとEOLの違いを知るだけでなく有効な対応を考えておこう
EOSLとEOLの違いは、終了するサポートの範囲です。ハードウェアだけなのか、ソフトウェアも含まれるのかの違いですが、人やケースによっては同じ意味で使っていることがあります。
誤解しないために違いを知ることは重要ですが、肝心なことはサポート終了に備えて有効な対応を準備することです。自社の機器・システムのサポート終了日を確認し、リプレイスか第三者保守かなど、早めに対応を考えておきましょう。