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2023.11.14

第三者保守とは? EOSLに対応するサービスについて解説

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目次

第三者保守とは、メーカー以外の業者によって提供される保守サービスです。第三者保守を導入することで、メーカーの保守サポートが終了した場合でも、同じ機器・システムを継続して使うことができます。
この記事では、第三者保守についてメリットや業者選びのポイントとともにデメリットや注意点など、基礎知識について解説します。

トラブルは最小限に! サーバー、ネットワーク 管理を最適化するポイント

第三者保守とはメーカー以外の業者による保守サービス

第三者保守とは第三者、つまりメーカー以外の業者によって提供される保守サービス全般を表す言葉です。IT資産であるネットワーク機器やストレージをはじめとする各種の機器・システムは、メーカー保守を受けられる期間が決まっています。

第三者保守は、主としてメーカー保守が終了した後の選択肢として近年その存在感を増しており、導入する企業や導入を検討する企業が増えているところです。

第三者保守を利用する主な理由(メリット)

第三者保守が注目され、実際に利用されている理由(メリット)を解説します。

メーカー保守よりもコストを抑えられる

第一にコスト削減のメリットが挙げられます。コスト面といっても、保守サービスそのものの料金がメーカーの正規料金よりも安いというケースだけではありません。
既存システムのメーカー保守が終了した後も、故障対応を受けることができ、新しい機器・システムにリプレイスせず使い続けることが可能になるためです。

たとえ延命期間が1年だけだったとしても、6年でリプレイスするところを7年に延ばせれば、42年後には1回分のコストが浮きます。もちろん、42年待って効果が出るわけではなく、最初の1年延命時点からキャッシュフローに余裕が生まれる点も重要なポイントです。

保守を一本化できる

第三者保守を利用すると、保守サービスの一本化が可能です。

多くの企業や団体が、様々な機器・システムを活用しています。一般企業では各機器・システムのメーカーがすべて同じというケースは稀でしょう。したがって、メーカー保守では契約先がバラバラになります。

メーカー保守なら「このメーカーの連絡先はどこだったかな」と迷ってしまうことも珍しくありません。一覧表を作成して検索する企業も少なくないでしょう。しかし、第三者保守でメーカーが異なるシステムの保守を同じ業者に一本化すれば、連絡先で混乱することがありません。

また、保守サービスの一本化は、連絡窓口が1つになるだけにとどまらず、自社で使用しているシステムを横断して知っている相手に保守を任せることができるメリットもあります。複数メーカーのシステムを連携させている際にも、メーカーの垣根に関係のない対応を期待可能です。

メーカー保守が受けられない場合や終了した後の継続使用を可能にする

システムの延命については費用面のメリットで述べましたが、継続使用を可能にするメリットはそれだけではありません。

メーカー保守が受けられないケースや、終了した後でも使い慣れたシステムを変えたくないというニーズに応える面もあります。第三者保守がなければメンテナンスできないまま、機器・システムの調子と相談しながら使用することになりかねません。

IT資産のリプレイス時期を調整できる

IT資産であるシステムのリプレイスには、企業や団体ごとに適切な時期があります。第三者保守を利用することで、メーカー保守の終了にかかわらず、リプレイス時期の調整が可能です。

リプレイスするにはリソースが足りないという場合、それはコストだけでなく、人的・時間的・物理的な意味も含まれます。リソースに余裕が生まれるまで待ってリプレイスする、あるいはリプレイス時期を決めておき、それまでにリソースの余裕をつくるといった調整が行える点は第三者保守の大きなメリットです。

また、新製品にリプレイスしようにも、既存のシステムにあった機能がないケースでは、リプレイスを先送りして継続使用せざるを得ないでしょう。そんなときにも、第三者保守が役立ちます。

メーカー保守が気に入らない場合でも安心

メーカー保守に入っているものの、「いつも回答が遅い」「細かい部分は結局自分たちでやらなければならない」などメーカー側の対応が気に入らないといったケースもあるようです。第三者保守にチェンジできれば、メーカー保守を続ける必要性がなくなる点もメリットのひとつです。

EOSLとEOL、EOEの違い

メーカーの保守、サポートはいつか終了するものです。終了する内容によって「EOSL」「EOL」「EOE」といった呼び分けをすることがあります。

EOSLは保守サービスが終了

EOSLはEnd Of Service Lifeの略称です。メーカー保守サービスの終了(または終了時期の明示、以下の各用語についても同様)を意味します。当該機器・システムについて、ハードウェア製品としての公式なサポートが受けられなくなった状態です。

EOLは製品のライフサイクルが終了

EOLはEnd Of Lifeの略で、当該機器・システムが製品としてのライフサイクルを終えたことを意味します。EOSLとほぼ同じ意味で使われていますが、関連するソフトウェアを含めた終了を意味する言葉として用いられるケースがある点がEOSLとの違いです。

EOEは技術サポートが終了

EOEはEnd Of Engineeringの略です。技術的なサポートが終了したことを意味しており、当該機器・システムについては、以後の技術的な修正や追加が行われません。

保守サービスの終了に関する用語は他にもあります。EOS(End of Support)はEOEと同じ意味で使われているケースと、EOLと同じ意味で使われているケースがあり、注意が必要です。同じEOSでもEnd of Salesを略して販売終了を意味する用語もあります。

人によって使い方が違っているように、実害が出なければ、これらの単語・用語を厳密に定義するメリットはあまりないといえるでしょう。実際に使用している機器・システムの各種サポートが終了する具体的な時期を、しっかりと把握しておくことの方が重要です。

メーカーサポートの終了時期を把握していないと、突然期限切れになるのと同じ状況に陥るリスクがあります。第三者保守の導入をじっくりと検討する時間がとれないかもしれません。

第三者保守は自社保守の可能性につながる

第三者保守を導入して利用することで、単に保守サービスの契約先を変えるだけではない効果をもたらすことがあります。それが自社保守の可能性です。

第三者保守のサービス提供業者の中には、顧客企業の保守ノウハウ習得に協力している業者があります。
第三者保守があれば、自社で保守を内製化する必要性はないのではと思うかもしれません。しかし、社内で保守対応が可能になれば、よりタイムリーな作業ができるでしょう。

問題点は、機器・システムに適合するパーツをどうやって入手するかですが、これも第三者保守サービス提供業者の協力があれば、不可能なことではないでしょう。

第三者保守の業者を選ぶポイント

IT機器・サービスの第三者保守サービスを提供している業者は多数あります。その中から、自社に最適な業者を選ぶにはどうすればよいのかが問題です。ここで第三者保守の業者を選ぶポイントを解説します。

訪問保守を実施している業者

時代とともに機器・システムの保守サービスに対する考え方も変わってきたといわれています。電話サポートであったり、遠隔保守であったりですが、保守サービスの基本である訪問保守(オンサイト保守)の重要性がなくなったわけではありません。
電話や遠隔では解決が困難なケースでは、現場を直接見たり、ユーザーの声を直に聞いて対応してもらえたりすることは、メリットが大きいといえます。

また、部品交換や修理対応が必要な場合、専門スキルがあるエンジニアでなければ対応ができないケースが多くなります。
部品を送られても自社の人員では交換できない、持ち込み(送付)保守(センドバック保守)では時間がかかるといった問題点があるため、訪問保守を実施している業者を選ぶことが重要です。

対応速度とトラブル解決速度が速い業者

急なトラブルが発生したとき、どれだけ早く対応できるかが第三者保守の業者選びでは重要になります。時間がかかればかかるほど、業務への支障が大きくなるためです。

訪問保守を実施していても、対応速度が遅ければセンドバック保守と変わりないといったことになりかねません。対応スピードを確認する目安としては、業者の公式アナウンス、最寄りの拠点がある場所、年中無休24時間の受付・対応体制の構築などがあります。

また、駆けつけスピードが速いだけでなく、トラブル解決速度も速い優秀な業者を選ぶことで、早く通常の稼働体制へ戻すことが可能です。

実績が豊富でノウハウの蓄積がある業者

トラブル解決速度の速い業者とは、豊富な実績があり、様々なケースに対応できるノウハウを蓄積している業者だといえます。
実際のところを確認することは難しいものの、業者が公式ホームページで公開している実績や導入事例をチェックすることで、ある程度の判断は可能でしょう。

また、鵜呑みにはできないものの、口コミが参考になります。可能であれば、サービスの比較サイトで実際に第三者保守を利用している、または利用していた企業担当者の口コミや評判を参考にしてみる手も有効です。

部品の在庫が多く部品調達力の高い業者

第三者保守の業者はメーカーとは異なり、必要な部品を製造しているわけではありません。そのため、業者によっては部品の在庫がなく対応に時間がかかるといった事態が起こり得ます。

そもそもの対応主力機器・システムが限られている業者はリスクが大きいといえるでしょう。多くのケースで部品取り寄せが必要な業者は、いざというときに待ち時間を覚悟する必要があります。また、運悪く部品の調達ができなければ、機器・システムの継続利用ができません。

まずは業者が対応している機器・システムの範囲を確認し、自社の機器・システムと類似した機器・システムが含まれていることを確認します。その上で、部品を一定数確保し在庫していること、在庫が少なくなった際の部品調達力が高いことまで確認できればよいでしょう。

機密情報の管理体制が整っている業者

いまさらと思うかもしれませんが、機密情報の管理体制が整っている業者を選ぶことは、安心して保守を任せる上での必須条件です。とくに情報管理に神経を使う業種であれば、より一層の注意が求められます。

第三者保守のデメリット・注意点

第三者保守にはメリットばかりでなく以下に示すようなデメリット、注意点もあります。十分理解した上での検討・導入が求められます。

旧式化したまま使うことになりかねない

メーカー保守が終了した機器・システムの利用期間をいつまでも延長して使い続けることは、会社が保有するIT資産の旧式化につながります。
実は低コストでもっと役に立つ最新の機器・システムがリリースされていたとしても、既存機器が使えている間は気付かずに損をしてしまうかもしれません。
リプレイスするしないにかかわらず、情報収集は行っておきたいものです。

部品調達に時間がかかって業務がストップする可能性がある

業者を選ぶポイントでも述べたように、部品調達は重要です。部品調達に時間がかかると業務がストップしてしまいかねません。
部品調達力が高い業者であっても、メーカー保守が終了して長く経過している機器・システムの部品を必ず調達できるとは限らない点に注意が必要です。

メーカーと同じ対応力があるとは限らない

製造したメーカーは当該製品について熟知しています。しかし、第三者保守の業者が他社製である機器・システムについてメーカーと同じ対応力を備えているとは限りません。この点でも、業者が対応できる範囲を確認する必要があります。

業者が事業を終了するかもしれない

メーカーの保守に終わりがあるように、第三者保守の業者にも保守サービスを終了する日が来ないとはいえません。それどころか、経営難などにより事業そのものが終わってしまえば、ある日突然サポートがなくなるといった事態も起こり得ます。

知的財産権などの問題

第三者保守の対象はほとんどがハードウェアですが、ソフトウェアを対象とした第三者保守もあります。
ソフトウェアの第三者保守については、知的財産権の問題が絡むためよく考えなければならないでしょう。ただし、国内でソフトウェアの第三者保守サービスを提供している業者は、ほぼ1~2社しかなく、選択肢が限られてしまいます。
どこを選ぶかというよりも、その業者と付き合うか付き合わないかの選択です。

第三者保守の導入は慎重に検討して行う

第三者保守はメーカー保守と異なり、自社で使用している機器・システムとのマッチングが保証されているわけではありません。
また、業者にメーカーほどの信頼性があるかどうかがわからないため、コスト優先など一面的な判断で導入すると失敗するおそれがあります。

相見積もりでの比較は、価格だけでなく中身が重要であり、慎重な検討が必要です。ただし、リスクを踏まえた上で既存機器・システムを延命させたいために導入する判断は十分アリだといえます。

テクバンの第三者保守サービス

テクバンではITインフラの安定運用を支援するサービスとして、「インフラ運用保守/監視/障害対応」サービスを提供しています。経験豊富なテクバンのITエンジニアが、様々なシステム、サービスに対応し、365日24時間体制でサポート可能です。

また、Oracle Eloquaの導入・運用が円滑に行えるよう、「Oracle Eloqua運用サポートサービス」を行っています。Oracleサポートデスクでは明確に答えられない設定も、必要に応じてテクバンで検証を行った上でご回答しておりますので、調査などの手間も減らすことができます。
お問い合わせサポート、設定代行サポート、運用トレーニングの3つのサポートサービスをご利用いただけます。

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自社に合った業者を選んで効果的な第三者保守を実現しよう

第三者保守はメーカー保守の終了後も、IT資産である既存の機器・システムを有効活用したいニーズに応えるサービスです。コストダウンやリプレイス時期の調整が可能になるなど、メリットが大きい反面、業者次第で結果が左右されるサービスでもあります。

第三者保守を効果的に利用するためには、自社に合った業者を選ぶことが重要です。

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