ITサービスの提供やビジネスにおいて、それらの根幹をなすサーバーは重要な存在ですが、同じ機器を永久に使えるわけではありません。定期的に新しいサーバーに取り換えることが必要とされています。
しかし「サーバーはいつ交換するのがよいのか?」、「交換しないと一体どうなるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事ではサーバーリプレイスの概要や必要性とともに、サーバーを交換しない場合のリスク、最適な交換タイミングなどを紹介します。サーバーの管理担当者や、ITインフラについて理解を深めたい方におすすめです。
サーバーの運用・保守については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
▼サーバー運用の業務とは? 仕事内容やサーバー管理/保守との違い、効率的な方法をご紹介
▼サーバー保守ってどんな業務? 業務内容や保守の重要性を解説
サーバーリプレイスってなに?
サーバーリプレイスとは、稼働し続けて老朽化したサーバーを新しいものに交換する作業のことです。
サーバーは消耗品のため、使い続けていけば劣化します。劣化した状態のまま使い続けてインシデントが発生してから対応するのでは遅く、トラブルを未然に防ぐために計画的なサーバーリプレイスを行う必要があるのです。
リプレイスでは、機器の部品を一部だけ交換する場合もあれば、システム全体を交換する場合もあり、時間とコストのかかる作業といえます。
なぜサーバーリプレイスをする必要があるのか
ここからはサーバーリプレイスが必要な理由について紹介します。
前項で紹介したように消耗品であるサーバーは、トラブルや不具合を根本的に回避するために、定期的な機器の取り換えが必要です。
トラブルの原因はサーバーの老朽化以外にも、OSやハードウェアのサポート終了というケースもあります。
以下で具体的に解説いたします。
OSやハードウェアのサポートが終了するため
OSやハードウェアのサポートが終了した場合、リプレイスを実施した方がよいでしょう。
OSやハードウェアはメーカーによるサポート期間が決まっています。サポート終了後も継続して使用していると、サーバーが故障した際に自社で修理費用を負担する、部品を入手できず修理できないといったトラブルが発生する可能性があるのです。
サポートが終了すると、修理や部品の交換を自社で負担する必要があったり、場合によっては部品の販売が終了したりするため、注意しましょう。
サーバーが老朽化したため
サーバーが老朽化し動かなくなる前に、新しい機器に交換する必要があります。
サーバーが動かなくなると、社内のほとんどの業務が止まってしまい、ビジネスに影響を及ぼす恐れがあります。業務を円滑に遂行するためには、機器が動かなくなることを念頭において計画的にサーバーリプレイスを実施するとよいでしょう。
サーバーリプレイスをしない場合のリスク
ここからは、サーバーリプレイスをしない場合のリスクを紹介。
同じサーバー機器の使用を続けた場合、以下のような問題が発生します。
- セキュリティリスクが高まる
- サーバーの処理能力低下
- サーバーの故障
以下で具体的に解説します。
セキュリティリスクが高まる
導入したサーバーを使い続け古くなると、セキュリティリスクが高まります。
サポートが終了したOSではセキュリティパッチ(問題やぜい弱性を解消するための更新プログラム)が発行されず、ぜい弱性が放置されてしまいます。そして、サーバーが脅威に晒されて外部攻撃されるリスクが高まると、セキュリティの穴を突かれ、企業の機密情報や個人情報が漏えい・消失する可能性も。他にも、Webサイトの改ざんやウイルスの感染などの被害が発生することがあります。
それらの問題が発生した場合、原因調査の際にサーバーを止める必要があるため、業務に影響が出るでしょう。こうした被害を回避するためにも、定期的なサーバーリプレイスが大切なのです。
サーバーの処理能力低下
サーバーの劣化により処理能力が低下することがあります。
突然の故障によってサーバーが停止するまでには至らずとも、ストレージ容量がなくなったり、CPUが寿命を迎えたりといった状態になることがあります。
そうした状態になると、処理能力が低下し業務の処理スピードが下がる、生産性の低下、または重要なデータの保管ができないといった問題が発生。
処理能力が低下してしまうことを予測して、リプレイス時期を検討しましょう。
サーバーの故障
サーバーが老朽化してくると、突然故障する場合もあります。
サーバーでは、会計の業務システムや営業支援ツールのような様々なシステム・ツールを運用しているため、故障が発生するとそれらが使用できなくなり、業務の生産性が低下してしまう恐れが考えられます。
また、データが破損・消失する恐れもあります。万が一、バックアップをしていたとしても、サーバー復旧に膨大な時間がかかりサービスが停止してしまう場合や、破損・消失した情報によっては社会的信頼を失うことにもつながりかねません。
取引先や社会的信頼にも影響する可能性があるため、サーバーの故障を未然に防ぐことは非常に重要といえます。
サーバーリプレイスの判断基準
普段問題なくサーバーを使用できていると、「まだ使えるから」と取り換えを後回しにしてしまったり、いつ頃からリプレイスを検討すればよいのか悩んだりするでしょう。
ここからはサーバーリプレイスを実施すべき時期の目安や、違和感の具体例を紹介します。
導入から5年経っている
「〇年経ったら絶対にサーバーリプレイスを実施すべき」という決まりはありませんが、一般的に5年が目安とされています。ただ、24時間365日稼働している、重い処理をしているなどサーバーの負荷が大きい場合は、5年よりも短い期間でリプレイスを行う方が安全でしょう。
減価償却資産の耐用年数については、国税庁「LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答」にて詳細が記されています。サーバーリプレイスの際に参考にしてください。
保守切れが近い
OSやハードウェアの保守切れが近づいてきたらサーバーリプレイスを検討しましょう。
サーバーリプレイスは、計画を立て、予算取りを行い、システムの設計や試験運用を経て、最後に動作確認やフィードバックをする流れが一般的です。この工程は1年以上かかることが多いため、「保守切れまでまだ1年もある」と考えていると間に合わない可能性があります。
本記事で紹介してきたような様々なトラブルを引き起こさないためにも、余裕をもってリプレイスの計画を立てることが大切です。
頻繁に故障するようになった
小さな不具合でも、頻繁に発生するのであればハードウェアが経年劣化している可能性があります。先ほど5年を目安にするとよいと紹介しましたが、負荷のかかり方によっては5年以内に故障する場合もあります。
故障して重要なデータが破損・消失しまってからでは遅いため、頻繁に故障するようになったらサーバーリプレイスを検討しましょう。
サーバーの障害については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
▼サーバー障害の主な原因とは? 発生時の対処法と対策について徹底解説
処理スピードが遅くなった
「以前より処理スピードが遅くなった?」と感じたら、サーバーの取り換え時です。
サーバーの老朽化やデータの増加が原因で、処理スピードや動作が遅くなり業務に支障が出ることがあります。処理速度はメンテナンスで改善できませんが、サーバーリプレイスによって処理速度や動作を速くすることが可能です。
実施する際の注意点
サーバーリプレイスを実施する際には、注意すべき点があります。以下を確認し、リプレイスの際に参考にしてください。
移行中のデータの破損
リプレイス作業において、データ移行時の破損には十分注意しましょう。
データの破損に備え、バックアップをとっておくことが重要です。障害が発生して万が一データが破損してしまっても、日常的に最新のバックアップを取っていれば復旧できます。
そうした障害の発生を想定し、バックアップデータの復旧手順を決めておくと、スムーズな移行対応が可能です。またサーバー移行後には、移行前と同じように業務が行えるかどうかも確認しましょう。
サーバーのスペックの余裕
サーバーのスペックが足りなくなることを想定し、あらかじめ余裕を持たせておくことが重要です。業務の規模が大きくなれば、それに比例して高性能のスペックが必要になります。
しかし、その見積もりが甘いとサーバーがダウンしやすい、処理に時間がかかるといった問題が発生しやすくなるのです。リプレイス後のスムーズな運用を実現するために、サーバーのスペックに余裕を持たせましょう。
サーバーリプレイスを実施してインシデントを回避しよう
本記事ではサーバーリプレイスの必要性や、サーバーを取り換えない場合のリスクについて紹介しました。
サーバーの規模が大きいほど移行作業には時間と手間がかかります。自社のサーバーが老朽化していると感じている方は、サーバーの停止や故障といったトラブルが発生する前に早めにリプレイスの計画を立てましょう。
自社での対応が難しい場合は、アウトソースするのもひとつの手段です。
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