「システム運用ってよく聞くけれど具体的に何をするのだろう」「システム開発に注力してしまって、システム運用について考えていなかった」などお悩みの方はいらっしゃいませんか?
ITシステム運用の業務は専門性の高いレベルが求められ、かつ多岐にわたるため、自社運用の困難さに課題を抱いている組織も多いのではないでしょうか。
本記事では、システム運用業務の内容からシステム保守との違い、また企業にとって重要視されている理由などについて解説します。
システム運用の基本的なことからシステム運用サービスについてもご紹介しますので、これからシステム運用を始めようとお考えの方や自社システムの運用担当者の方など、ぜひご参考ください。
システム運用の目的や種類
ここではシステム運用の概要と目的、システム運用業務の種類について説明します。
システム運用とその目的
システム運用とは、導入・開発されたシステムを安定稼働させるための日常的に管理・監視、メンテナンスを行うことをいいます。
システムが障害や不具合によって停止してしまうことがないように安定させ、事前に定められたスケジュール・計画に従い定期的なバックアップや稼働状況の監視などを日々行います。
システム運用の最大の目的は、システムを安定稼働させた体制の構築です。
可視化できる成果物があるわけではないため、功績がわかりづらい特徴はありますが、システム運用の役割がなければ組織全体の性能や生産性の低下につながりかねません。
システム運用は、従業員が安心して業務に専念できるよう組織内のシステムに何のトラブルやエラーもなく、毎日稼働させることが求められます。
現在では、様々なシステム運用に関するサービスやツールが提供されており、ヒューマンエラーを未然に防ぐことができるため、それらのサービスをうまく活用したシステム運用が重要となるでしょう。
システム運用体制については、経済産業省が、ITシステムの利活用において共通して留意すべき事項をまとめたシステム管理基準ガイドラインで詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
また、関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼システム運用管理とは? 安定稼働を実現するための方法を解説
システム運用の種類
社内でシステム運用を始めようと検討する際には、まずどのようなシステム運用業務の種類があるか知っておくとよいでしょう。
システム運用の種類として、以下の3つが挙げられます。
- システム・ネットワークのセキュリティ管理
- システムの監視
- 業務運用の管理
次項より詳しく説明していきます。
1.システム・ネットワークのセキュリティ管理
システムやネットワークのセキュリティ管理は、システム運用の重要な管理です。
外部要因・内部要因にかかわらず、すべてのシステム障害や内部情報の漏えいを防ぐためにセキュリティ管理は欠かせません。
組織が有している社員の個人情報や顧客情報の機密情報を外部に漏えいするようなことがあれば、社会的信用を失い、莫大な損失にもつながります。
このような情報漏えいのリスクを防ぐためにも、セキュリティ管理は必ず実施すべきシステム運用の業務だといえます。
2.システムの監視
システムの監視は、社内システムが正常に稼働するように運用・監視することをいいます。
サーバーシステムの関連機器や動作状況を把握し、不具合の前兆があれば即座に対応。正常状態を維持し、トラブルを未然に防ぐことを目的としています。
さらに詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼システム監視とは? 目的やメリット、必要な監視項目をわかりやすく解説
3.業務運用の管理
業務運用の管理は、システムのバックアップや業務スケジュールの管理、システムの使用ユーザーの情報管理などといった、システムのスムーズな運用を目指すための業務です。
構築されたシステムを有効活用するために環境を整備し業務効率の向上を目指す業務運用の管理は、システム運用に欠かせないといえるでしょう。
システム運用の主な業務内容
システム運用の主要となる具体的な業務内容について、以下の6つを解説します。
- システム監視
- セキュリティパッチ適用
- マニュアルに沿った運用
- メンテナンスの段取り
- データバックアップ
- 保守へのエスカレーション
システム監視
システムの監視は、システムを構成するソフトウェア・ハードウェアに問題がないかどうか稼働状況を監視することをいいます。監視業務は多岐にわたりますが、主として以下のようなことが挙げられます。
- ハードウェア監視
サーバー機器の温度や冷却ファンなどの動作状況を定期的に確認 - アプリケーション監視
アプリケーションのログ(動作履歴)を取得してイベント(状態の変化)を監視 - 死活監視
外部からサーバーやソフトウェアにアクセスし、正常な応答があるか確認 - トラフィック監視
ネットワーク上を流れるデータを監視し、データ量やその平均値、ピーク値などからトラブルの前兆を検知 - セキュリティ監視
サーバーへの不正アクセスを防ぐため、セキュリティ対策であるファイアーウォールなどのログをリアルタイムで取得
セキュリティパッチ適用
セキュリティパッチとは、ソフトウェアで発見されたぜい弱性や問題点を解消するためのプログラムのことをいいます。
公開されたソフトウェアやOSには、ぜい弱性やセキュリティホールが見つかることがあり、端末に悪影響を及ぼすマルウェアやサイバー攻撃から保護するため、セキュリティパッチの適用が必要となります。
この作業もシステム運用の作業として行われることが一般的です。
マニュアルに沿った運用
システムを円滑に運用するために作成されたマニュアルに沿いながら、監視や報告、またマニュアルの更新を行います。システム運用業務をマニュアル化しておくことで定型化させ、定期的な報告を簡単に済ませられるようにするためです。
また、人為的なエラーによるミスや漏れを防ぐために、重要な項目は複数人で確認作業を行ったり、個人の判断が必要な場合は必ず上長に確認・報告をしたりなど、徹底されたルールを守ることが求められます。
メンテナンスの段取り
システムやサーバーが大きく仕様変更される際など、影響範囲や程度がどのくらいなのか事前に調査したりその結果を社内へ通知したりメンテナンスが円滑に進むよう段取りや全体スケジュールを決定し関係者に連絡を行います。
どのような順序でメンテナンスを行うのか工程の洗い出しや必要な人材、予算の確保も必要です。サーバーについては、必要に応じて再起動を行うなどの工程もあるため、メンテナンスには全社内への共有が必須となります。
データバックアップ
データのバックアップは、機器が故障して突然システムが停止するなど、万が一のトラブル時に備えてデータを復旧できるように定期的に行う作業です。
バックアップ自体は自動で行われることがほとんどで、実施時間は夜間や明け方のユーザーが利用しない時間帯を見計らって実行されます。
保守へのエスカレーション
システム運用では、日常的な運用・管理業務に加えシステムの障害やトラブルの兆候が見られた時の対応も行います。トラブル時の対応は「一次対応」「二次対応」で分類できます。
- 一次対応
サーバーの再起動や各部点検など、システム運用業務内での対応 - 二次対応
システムの責任者やシステム保守担当者へのエスカレーション(障害内容の報告・対応の要請など)を行う
システム運用における障害対応は、事前に計画された運用・保守設計に基づき、かつ手順書に沿って実施されます。
関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼適切なインシデント管理とは? 問題点や解決策を解説
システム運用と保守の違い
システム運用とよくセットで「システム保守」の言葉を聞くことはないでしょうか?
システム運用が前章で説明した通り、システム監視・日常メンテナンス・保守へのエスカレーションなど「システムを管理・監視し、稼働状況を常に把握する」ことに対し、システム保守とは障害の原因究明・復旧作業やシステムの改善提案やその実施など「障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正、またシステムの改良・改変を実施する」ことを指します。
現場によってはシステム復旧作業もシステム運用の一環と考えることもあり、システム運用とシステム保守の業務分担は各組織によって異なるといえます。どちらかが兼任する場合もあったり、情シス部がシステム運用とシステム保守を同時に担当していたりするようです。
システム保守と運用の違い、それぞれの特徴について、下記記事にて解説しています。こちらも併せて、ぜひご参考ください。
▼システム運用と保守の違いを解説! 具体的な業務内容は?
システム運用はなぜ重要なのか
システム運用は成果が目に見えづらい業務でありますが、なぜ重要な業務として各組織で実施されているのでしょうか。
その理由として、現在の社会では様々なクラウドサービスやITシステムの誕生により、それらを利用したビジネスが主流となり、システム・プログラムなしに仕事をこなすことは不可能となった背景があるといえます。
システム・プログラムを作り出すのは人間であり、使用を重ねたり新しい使い方やプログラムが導入されたりすると、バグや不具合が起きることも稀ではありません。
このような際に、対応し復旧する役割を担う人材が必要のため、システム運用の業務は重要度が高くあります。
社内システムを円滑にすることで業務効率や生産性が向上し、企業成長や新たなビジネス発展につながる期待もできます。これからさらに便利で利用効果を生むクラウドサービスなどは次々に登場してくるため、それに伴いシステム運用の重要性も高まり、また各組織は定期的な社内のシステム運用体制の見直しも求められるでしょう。
運用サービスがおすすめのケース
システム運用の業務を行うため特別な資格は必要ありませんが、社内の全システムを管理・監視するために様々なノウハウや経験が求められます。
社内のメンバーだけでシステム運用を実施することはもちろん可能ですが、時にはシステム運用サービスを検討した方がメリットを得られるケースもあります。システム運用サービスの導入、もしくは専門業者への外注・委託をおすすめするケースを紹介します。
手作業の業務が多く、自動化したい
システム運用業務の中でも、勤怠管理やデータ更新などの業務を兼務して行っている場合は、外部システムやサービスを活用して自動化するのがおすすめです。
システム運用に対応できる貴重なIT人材に、自動化が可能な単純業務を振り分けてしまうと、その他の重要なシステム業務や高レベルなIT知識を求められる業務にリソースが割けなくなってしまいます。
自動化できる定型業務は外部システムやサービスを活用し、それにより組織全体の生産性向上を目指しましょう。
システム運用に対応できる人材がいない
システム運用を行いたくても、十分なスキルをもったエンジニアが自社に少ない場合もあるでしょう。また、日本は業界を問わず慢性的な人材不足であり、思うような求人獲得ができない場合も多いです。
システム運用経験があるIT人材を採用したり、十分なスキルを習得させるまで養成したりするには、どうしても時間とコストがかかってしまいます。
そんな時は、システム運用サービスの外注・委託がおすすめです。人材を探す手間もかからず、自社では難しい24時間365日の対応も代行してくれます。
さらに、システム運用だけでなく保守業務まで幅広く対応してくれる企業や、常駐やリモートなど自社の要望に沿ったシステム運用を実施できるでしょう。
効率的なアウトソーシングについて、下記資料にて紹介しています。ぜひ、ご参考ください。
もうアウトソースで悩まない。インフラ運用保守を上手に委託する方法
システム運用の費用相場は?
システム運用の費用相場について紹介します。
システム運用費の相場は開発費の5~15%
システム運用費の目安として、開発コストの5%前後といわれています。
例えば、200万円で開発したシステムであれば、運用費用は月10万円、年間で120万円程かかります。
また、運用費用だけではなくサービス委託費や通信費などもかかる可能性があるため、費用の細分化しておおよその合計を見積もるようにしましょう。
システム運用費の内訳
価格は内容によって変動します。運用費の内訳を把握し、どこまで自社で行い、どこから外注するか判断することをおすすめします。
基本的な費用としては、ソフトウェア・ハードウェアの運用費がかかります。これらの運用費が先述した開発コストの5%前後になる費用です。
追加費用として、サービス委託費・通信費・外部委託費などが別途かかります。これらの費用も含めた上でシステム運用費を見積もりましょう。
関連の記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼システム運用保守費用の相場は? 業務内容とコスト削減方法も解説
ITシステム運用は安定的に
システム運用は、組織にとってなくてはならない業務のひとつだといえます。
システム運用に対応できる人材を揃え、かつ運用を実施できる体制・環境に整えるのは、そう簡単なことではありません。時間とコストがかかり、円滑なシステム運用の実施をスタートできない組織もあるのではないでしょうか。
このようにシステム運用にお悩みでしたら、テクバンのシステム運用マネジメントサービスがおすすめです。
「システム運用のリソースを割けない」「情シスの負担を減らしたい」「システム運用を最適化させたい」などお考えの方は、ぜひテクバンまでご相談ください。お客様に合わせた最善で最適なシステム運用をご提案いたします。
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