システムの運用保守業務を開発会社のような外部の企業に外注する場合、その費用はどれくらいが相場なのかご存じでしょうか。外注先を選定する際は、限られた予算の中でアウトソース先を探す必要があります。
そこで、本記事ではシステムの運用保守業務の委託費用の相場と、計上される費用項目について解説します。
さらに委託した場合に業務の効果検証はどのように行うべきなのか、費用の削減方法についても紹介します。
システム稼働後は運用・保守業務がある
システムを開発後、滞りなく稼働させるにはシステム運用業務とシステム保守業務が必要になります。まず、それぞれの業務内容について紹介します。
システム運用とは何か?
システム運用とは、日常的に行う管理や決まったオペレーション業務のことです。運用業務の範囲は、ハードウェアはもちろんのこと、ソフトウェア、ネットワークなど含めて幅広く管理します。システムは24時間365日動き続けることが求められるため、異常な動きがないか常に監視し、状態を正確に把握する必要があります。
システムの運用中は監視ソフトウェアで自動監視、稼働ログを確認するなど様々な方法で、常にシステムの状態をチェックしています。
システム保守とは何か?
次にシステム保守業務の内容と役割について解説します。
システム保守は、主にシステムで起きたトラブルの解消と、トラブルが起きないようメンテナンスしたり、改修したりする役目を担っています。
具体的な業務内容は、発生したシステム障害の復旧、故障したハードウェアの入れ替え、システム上のバグ改修、セキュリティパッチの適用、バッチ処理、システムのアップデートなどです。
突発的に起きるシステム障害対応なども行うため、システム全体の深い理解や専門的なIT知識が欠かせない専門性の高い業務といえます。
さらに詳しい記事をご用意しております。ぜひご覧ください。
▼システム運用と保守の違いを解説! 具体的な業務内容は?
運用保守費用はどうかかるのか?
では、専門性の高いシステムの運用保守業務をアウトソースする場合、その費用はどのように計上されるのでしょうか。その算出の仕組みを紹介します。
システムの運用保守にかかる費用項目は?
ではシステム運用保守の見積もりの根拠となる費用項目について紹介します。費用の計上項目は大きく分けて、ソフトウェア運用保守費、ハードウェア運用保守費、サービス委託費の3つに分類されます。
ハードウェア運用保守費
ハードウェア運用保守費に計上される業務内容は、以下の通りです。
- ハードウェアの管理や故障対応
- ネットワーク障害に対する対応
- データのバックアップや復旧
- セキュリティシステムのアップデート
- OSのアップデートや定期的なメンテナンス
- セキュリティリスクへの対応
などがあります。
ソフトウェアの運用保守費
ソフトウェアの運用保守費に計上される業務内容は、以下です。
- システムやアプリなどソフトウェアの使用中に起きるバグやトラブルへの対応
- OSのアップデート不具合対応
- サーバートラブルによる通信障害
- 運用トラブルや問い合わせ対応
- 操作方法についての問い合わせ対応
などが挙げられます。
サービス委託費
サービス委託費に該当する業務は、以下です。
- ヘルプデスク運営、ECサイト運営やコンテンツマーケティングなどシステムの運営に関わる部分
- MA(マーケティングオートメーション)対応
- SEO対策
- リスティング広告対応
- データベースメンテナンス
などがあります。
リース・レンタル費
リース・レンタル費は、システムに使用される設備のリースおよびレンタル費用が計上されます。
人件費
業務にあたる人件費が計上されます。
外部委託費
アウトソース先が業務遂行上、さらに外部委託した場合、計上される費用です。
システム運用保守の適正価格は計算可能
実は年間のシステム運用保守費用の目安は、サービス委託費を除き、システム開発費の約15%といわれています。例えば、500万円でシステム開発をした場合、75万円が年額のシステム保守費用の目安となります。この目安をベースに費用が妥当かどうか検討してみるとよいでしょう。
そして、システム運用保守費用の適正価格の目安を把握すると同時に、社内ではその費用対効果を検証することが求められるはずです。次は運用保守費用の費用対効果の評価の仕方を解説します。
運用保守費用に対して費用対効果は?
システム運用保守費の費用対効果をきちんと得られているかどうか、検証するにはどんな方法があるのでしょうか。
一般的に費用対効果を検証する計算式は「利益÷投資額×100%」です。
しかし、システム運用保守業務は何が利益にあたるのか明確ではありません。さらに、何を効果として捉えるべきか難しい面もあります。
そこで役立つのが、「適正稼働率」という指標です。
知っておきたい適正稼働率の指標例
「適正稼働率」は、運用保守業務のパフォーマンスの適正度を判断する基準となる指標です。これによって、適切に業務の費用対効果を検証することが可能になります。
従来は委託先業者が自社の管理指標として活用していたものですが、委託元が業務を評価する指標としても役立つものです。
では、適正稼働率の例を紹介します。
即答率=即答件数÷相談件数
迅速な回答が得られたかどうかについて検証します。
引受率=引受件数÷相談件数
相談に対しどれくらい対応してもらっているかについて検証します。
保守時間達成率=実績時間÷見積時間
事前の見積もり工数と実際ではどれくらいの差があるかについて検証します。
納期内完了率=納期内完了件数÷引受件数
決めた納期がどの程度守られているかについて検証します。
一度で修正完了率=一度で修正完了した数÷引受件数
システムや仕様などの修正依頼に対して、ミスや手戻りがどの程度発生しているかについて検証します。
運用保守のコストを削減する方法は?
重要なシステム運用保守業務ですが、アウトソースした場合コストを削減する方法はないのでしょうか。ここでは、コスト削減を検討する場合重視すべき観点を紹介します。
一定期間ごとに依頼内容を見直す
システム運用保守の業務コストを抑える方法として、半年、1年など、定期的に依頼する内容を見直し、自社で対応できることは内製化して、全体的なコストを下げることが考えられます。システムの稼働が長くなるにつれ、不要となる運用保守業務もあります。
しかし、コスト削減ばかりに気を取られて、重要な業務を安易に内製化することで万全だった運用保守態勢にトラブルが生じることもあるでしょう。
また、細かく委託業務を削減したことによってパッケージで割引があった部分がなくなり、総費用が変わらないのに、運用保守業務・範囲だけが削減されてしまうこともあり得ます。
コスト削減の必要が生じたら、一度、アウトソース先にどの部分が削れるのか相談してみるのもをおすすめです。
アウトソース先を見直す
通常、システムの運用保守の業務契約は長期にわたることが多いものですが、システム関連の技術や変革は日進月歩です。新たな技術やソリューションを提供する別のアウトソース先のほうがコスト・質ともにメリットが大きくなっていることもあります。
また、現在よりレベルの高い運用保守業務を低コストで提供するサービスを、別のアウトソース先が始めているかもしれません。
システム運用保守業界のトピックスを常にチェックし、例えば1年ごとにアウトソース先変更の検討を行ってみることもいいでしょう。もちろん、検討先より現状の委託先のほうが総合的なメリットがある場合は、継続の妥当性を確認できたことが収穫となります。
運用保守の適正価格を知ることが大事
システムの運用保守業務をアウトソースする場合の費用の相場や算出根拠、費用対効果を検証する方法、さらに費用の削減方法についてまとめました。
システムの運用保守業務のアウトソースするにしても、毎月かかるランニングコストが高いと負担になってしまいます。アウトソースによって得られる効果を最大化させるために、まずは適正価格を知るところからスタートしましょう。
社内にシステム運用保守業務を担う余裕や担当者に経験がないといった場合、また情シス業務の効率化を目指すなら、まずは複数のアウトソース先と相談してみてはいかがでしょうか。
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システムの運用・保守については以下のブログ記事でも紹介しています。ぜひご参考ください。
▼システム保守の重要性と課題とは? アウトソースの利用の注意点も解説
▼システム運用と保守の違いを解説! 具体的な業務内容は?