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2022.10.04

システム保守費用の相場は? 算出根拠とコスト削減方法も解説

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システム保守費用が高額に感じる、限られた予算の中でアウトソース先を探す必要があるなど、システム保守上のコスト課題はありませんか?
この対処には、適正価格を知ることが第一歩です。

そこで本記事では、システム保守費用の相場や算出根拠について解説します。
さらにシステム保守業務を外部委託した場合に、業務の効果検証はどのように行うべきなのか、費用の削減方法についても具体的に紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

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システム保守費用とは何か

システムの開発、導入後、滞りなく稼働させるにはシステム保守業務とシステム運用業務が必要です。

そのうちのひとつであるシステム保守とは、ソフトウェアやハードウェアの安定した稼働を維持するために行われる重要な作業を指します。

システムの稼働後には、環境の変化や突発的な不具合に対応することが求められます。
例えば、新しいOSやブラウザへの対応、プログラム
のバグ修正、不具合の修理、そして定期的なセキュリティパッチの適用などがあります。
特にセキュリティパッチは、不正アクセスやデータ改ざんなどのリスクを回避するために、不可欠な要素とされています。また、ハードウェアの寿命に応じた更新やネットワーク障害への迅速な復旧対応も含まれます。

このような保守業務は、システムの持つ性能を最適な状態で引き出し、長期的な安定性を維持します。
結果として、ビジネスの中断や顧客の不興を避け、効率的で安定したサービスの提供につながります。
システム保守は単なるトラブル対応にとどまらず、企業にとって継続的な発展を可能にする基盤を提供する、なくてはならない取り組みといえるでしょう。
このため、システム保守にかかわるコストは、システムを安定稼働させる上で欠かせない支出です。
企業のIT投資の動向や活用に関する調査はこちらをご参照ください。
企業IT動向調査報告書 2024
システムの運用保守について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
▼システム運用と保守の違いを解説! 具体的な業務内容は?

システム保守は専門性の高い業務

システム運用費用とは何か?

続いて、システム運用費用について説明します。

システム運用とは、情報システムを日常的に効率的かつ安全に稼働させることを目的とした業務の総称です。このプロセスは、企業や組織が業務を円滑に遂行する上で不可欠な要素となります。

具体的には、システム運用で24時間体制の監視業務やトラブル対応、システムの設定変更、定期的なアップデート作業などが行われます。例えば、ウェブサービスを提供する企業では、サーバーの稼働状況を常に監視することで、万が一障害が発生した場合でも迅速に復旧することが可能になります。さらに、セキュリティパッチの適用を欠かさないことで、不正アクセスやデータ改ざんといったサイバー攻撃のリスクを最小限に抑えることができます。

システム運用が正しく行われないと、突然のトラブルが全体の業務に深刻な影響を及ぼし、顧客やユーザーの信頼を失う結果を招きかねません。そのため、定期的メンテナンスを重視し、問題が発生する前に予防する活動が重要です。

このように、システム運用は単なる日常業務の一部ではなく、企業や組織がその業務継続性や効率的な作業環境を維持するために欠かせないプロセスです。この適切な管理と維持こそが、全体の信頼性を向上させる鍵となります

システム運用費用には、これら日常的な監視業務やトラブル対応、性能の最適化に寄与する業務コストなどが含まれ、システム保守費用と同様、企業にとって不可欠な投資なのです。
▼ITシステム運用とは? 保守との違い、重要視される理由について解説

では、専門性の高いシステムの運用保守業務をアウトソースする場合、その費用はどのように計上されるのでしょうか。その算出の仕組みを紹介します。

システムの運用保守にかかる費用算出根拠は?

システム保守業務にかかる費用項目は、多岐わたり、それぞれがシステムの安定稼働を支える重要な要素です。
これらを正確に把握することで、適切な予算設定が可能となり、企業運営におけるコスト管理が効率化されます。

システム保守費用を算出する際には、保守作業の内容、実稼働時間、エンジニアの作業単価といった具体的な要素を考慮します。この情報を元に年間の保守費用を見積もることで、過剰な支出や予算の超過を防ぐこと可能です。
また、正確なコスト推定は、企業内外の関係者
スムーズに契約内容を調整し、より良い運用方針を決定する手助けとなります

費用の計上項目は大きく分けて、ハードウェア運用保守費、ソフトウェア運用保守費、リース・レンタル費の3つに分類されます。

ハードウェア運用保守費

ハードウェア運用保守費に計上される業務内容は、以下の通りです。

  • ハードウェアの管理や故障対応
  • ネットワーク障害に対する対応
  • データのバックアップや復旧
  • セキュリティシステムのアップデート
  • OSのアップデートや定期的なメンテナンス
  • セキュリティリスクへの対応

ソフトウェア運用保守費

ソフトウェアの運用保守費に計上される業務内容は、以下です。

  • システムやアプリなどソフトウェアの使用中に起きるバグやトラブルへの対応
  • OSのアップデート不具合対応
  • サーバートラブルによる通信障害
  • 運用トラブルや問い合わせ対応
  • 操作方法についての問い合わせ対応

リース・レンタル費

リース・レンタル費は、システムに使用される設備のリースおよびレンタル費用が計上されます。

システム運用保守の適正価格は計算可能

システム保守における予算設定は、効率的な運用を維持するための基本です。現実的な予算を立てるには、利用状況や保守内容に基づいた指標の活用が重要です。また、それを考慮し定期的なデータ分析やフィードバックを行うことで、設定した予算の妥当性を見直し、コストとのバランスを最適化する必要があります。

年間のシステム運用保守費用の目安は、一般的にシステム開発費の約15%といわれています。例えば、500万円でシステム開発をした場合、75万円が年額のシステム保守費用の目安となります。この目安をベースに費用が妥当かどうか、大まかに検討してみるとよいでしょう。

そして、システム運用保守費用の適正価格の目安を把握すると同時に、社内ではその費用対効果を検証することが求められるはずです。次は運用保守費用の費用対効果の評価の仕方を解説します。

運用保守費用の目安は?

システム保守費用に対する妥当性の確認

システム運用保守費の費用対効果をきちんと得られているかどうか、検証するにはどんな方法があるのでしょうか。
一般的に費用対効果を検証する計算式は「利益÷投資額×100%」です。

しかし、システム運用保守業務は何が利益にあたるのか明確ではありません。さらに、何を効果として捉えるべきか難しい面もあります。
そこで役立つのが、「適正稼働率」という指標です。

知っておきたい適正稼働率の指標例

「適正稼働率」は、運用保守業務のパフォーマンスの適正度を判断する基準となる指標です。これによって、適切に業務の費用対効果を検証することが可能になります。
従来は委託先業者が自社の管理指標として活用していたものですが、委託元が業務を評価する指標としても役立つものです。
適正稼働率の指標を把握することで、システム運用の効率化を図ることができます。システムの稼働率が低すぎる場合、リソースが無駄になる可能性があり、高すぎる場合には障害に対するリスクが増加します。そのため、適切な稼働率理解し、管理することが非常に重要です。
一般的には99.5~99.9%の稼働率が適正とされており、この範囲を基準に運用コストやリソースのバランスを検討することが求められます。
例えば、IT業界の多くの企業では、この適正稼働率を達成するためにシステムの冗長化や定期的なメンテナンスを実施しています。
また、定期的なモニタリングやバックアップ体制を確立することで、突然の障害時でも迅速な対応が
可能なります。
適正な稼働率を常に意識することで、無駄を削減し、より効率的に運用を進めることができるだけでなく、システムの安定性が向上します。適正稼働率を維持するためには、現場の担当者だけでなく、外部パートナーやエンジニアとも密接に連携し、適切な運用体制を確立することが成功の鍵となるでしょう。
では、適正稼働率の例を紹介します。

  • 即答率=即答件数÷相談件数
    迅速な回答が得られたかどうかについて検証します。
  • 引受率=引受件数÷相談件数
    相談に対しどれくらい対応してもらっているかについて検証します。
  • 保守時間達成率=実績時間÷見積時間
    事前の見積もり工数と実際ではどれくらいの差があるかについて検証します。
  • 納期内完了率=納期内完了件数÷引受件数
    決めた納期がどの程度守られているかについて検証します。
  • 一度で修正完了率=一度で修正完了した数÷引受件数
    システムや仕様などの修正依頼に対して、ミスや手戻りがどの程度発生しているかについて検証します。

運用保守のコストを削減する方法は?

システム保守には、企業運営のための重要な業務が多く含まれますが、それだけコストも大きくなります
コスト削減には、業務内容の定期的な見直しや外部リソースの効果的な活用が重要です。特に依頼内容を精査し、パートナー企業の選定プロセスを改善すると効率化が進み、結果的にコストが抑えられます。
そこで、コスト削減とシステムの安定稼働両立する方法を紹介します。

一定期間ごとに依頼内容を見直す

システム保守の内容を一定期間ごとに見直すことは、保守業務を最適化し、無駄なコストを削減するために非常に重要です。
半年、1年など、定期的に依頼する内容を見直し、自社で対応できることは内製化して、全体的なコストを下げることが考えられます。システムの稼働が長くなるにつれ、不要となる運用保守業務もあります。
そのため、適切な頻度で保守内容を定期的に点検しましょう。
業務拡大や組織変更、システムの大規模アップデート後など、環境の変化が発生したタイミングでの見直しも効果的です。
このプロセスを取り入れることで、企業は時代に合った保守サービスを選択することができ、コスト効率を大きく向上させることが期待できます。

しかし、コスト削減ばかりに気を取られて、重要な業務を安易に内製化することで万全だった運用保守態勢にトラブルが生じることもあるでしょう。
また、細かく委託業務を削減したことによってパッケージで割引があった部分がなくなり、総費用が変わらないのに、運用保守業務・範囲だけが削減されてしまうこともあり得ます。

コスト削減の必要が生じたら、一度、アウトソース先にどの部分が削れるのか相談してみるのもをおすすめです。

保守内容の見直しを行う際には、現状の契約内容やコストを明確に把握し、数値データに基づいて見直しを進めることがポイントです。
これにより、新たなサービスや改善策を必要十分な範囲で導入しながら、最適な保守体制を構築することができます。定期的な見直しをルーティン化することで、システムの安定稼働と長期的なコスト削減を両立することが可能になるでしょう。

アウトソース先を見直す

通常、システムの運用保守の業務契約は長期にわたることが多いものですが、システム関連の技術や変革は日進月歩です。新たな技術やソリューションを提供する別のアウトソース先のほうがコスト・質ともにメリットが大きくなっていることもあります。

また、現在よりレベルの高い運用保守業務を低コストで提供するサービスを、別のアウトソース先が始めているかもしれません。

システム運用保守業界のトピックスを常にチェックし、例えば1年ごとにアウトソース先変更の検討を行ってみることもいいでしょう。もちろん、検討先より現状の委託先のほうが総合的なメリットがある場合は、継続の妥当性を確認できたことが収穫となります。

システム保守の適正価格を知ることが大事

システムの運用保守業務をアウトソースする場合の費用の相場や算出根拠、費用対効果を検証する方法、さらに費用の削減方法についてまとめました。

システムの運用保守業務のアウトソースするにしても、毎月かかるランニングコストが高いと負担になってしまいます。アウトソースによって得られる効果を最大化させるために、まずは適正価格を知るところからスタートしましょう。

社内にシステム運用保守業務を担う余裕や担当者に経験がないといった場合、また情シス業務の効率化を目指すなら、まずは複数のアウトソース先と相談してみてはいかがでしょうか。

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システムの運用・保守については以下のブログ記事でも紹介しています。ぜひご参考ください。
▼システム保守の重要性と課題とは? アウトソースの利用の注意点も解説
▼システム保守とは? 運用との違い、対応手段、業務内容を解説

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