ITインフラや機器の発達に伴い、企業のインターネットによる業務利用は一般的となりました。また、リモートワークやクラウドサービスの普及により、ネットワーク環境はさらに複雑化。そのため、ネットワークの構築や保守運用など、管理負担も増え続けています。
そこでおすすめしたい管理システムが「NaaS(ナース:Network as a Service)」です。NaaSは効率的なネットワーク管理に役立ちます。
本記事では、NaaSの定義やメリット・デメリットを詳しく解説します。ネットワークの管理業務にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
NaaSの基本情報
NaaSとは、クラウドサービス事業者がネットワークインフラを提供し、ユーザーがサブスクリプションで利用できるサービスです。事業者は、ネットワーク機器の保守やリモート管理といったサポート業務も担います。
2023年現在、NaaSの明確な定義はなく、事業者によって以下のようにサービスの提供領域が異なります。NaaS導入を検討する際は、事業者によるサービス内容の違いに気をつけましょう。
- クラウドサービスとして仮想ネットワークを構築
- ハードウェアやソフトウェアの提供とネットワーク構築
- ネットワークセキュリティ
- ネットワークの保守管理
NaaSの必要性が高まった理由
近年、NaaSは注目を集めています。NaaSの必要性が高まった理由として、次の3つについて解説します。
- ネットワーク構成の複雑化
- 保守運用リソースの増大
- VPNによる通信遅延
1.ネットワーク構成の複雑化
1つ目の理由が、ネットワーク構成の複雑化です。
複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」、オンプレミスとクラウドを併用する「ハイブリッドクラウド」などの要因により、企業のネットワーク構成は複雑に変化しています。そのため、ネットワークの構築や拡張が難しくなるばかりか、すべての通信状況の監視が困難になることでセキュリティリスクも高まりました。
そこで、NaaSを利用すれば、ネットワーク構築や監視業務を事業者に一任できます。拡張性やセキュリティの問題を解決できるため、NaaSの需要が高まっています。
ハイブリッドクラウドに関して、以下の記事で詳しく解説しています。
▼オンプレミスもクラウドも! ハイブリッドクラウドを解説
2.保守運用リソースの増大
ネットワークの保守運用リソースが増した点も、NaaSの需要につながった理由のひとつです。
クラウドサービスやインターネットの利用増加により、企業のトラフィック(一定時間内におけるインターネット通信量)は多くなっています。トラフィックが多くなるほど、必要なネットワーク規模も大きくなり、保守運用にかかる手間やコストも増えるわけです。
NaaSは、ネットワークインフラをサブスクリプションで利用できるため、自社で行う保守運用リソースの削減につながります。
3.VPNによる通信遅延
VPNの利用時は、いったん自社のデータセンターにアクセスしてから、あらためてインターネットに接続しなくてはいけません。インターネットおよびクラウドサービスの利用が多いとデータセンターにアクセスが集中し、ネットワークがひっ迫して通信遅延が生じてしまいます。
NaaSであれば、ユーザーは仮想ネットワークを経由してインターネットに直接接続します。そのため、VPNのように通信遅延は起きることなく、ユーザーはインターネットを利用できるのです。
NaaS導入のメリットとデメリット
NaaSを導入する際は、メリットとデメリットをあらかじめ把握しておきましょう。
NaaS導入のメリット
NaaSを導入するメリットについて、以下の4つを説明します。
- 導入や管理業務の負担が減る
- ネットワークを変更・拡張しやすい
- セキュリティが強固になる
- コストパフォーマンスが高まる
1.導入や管理業務の負担が減る
NaaSを導入すると、機器やソフトウェアなどのネットワークインフラを自社で導入する必要がないため、機材費や人件費といったコストを削減できるでしょう。
また、NaaS事業者がメンテナンスや通信監視などのネットワーク関連業務を担当するため、自社で行う管理負担も減らせます。
2.ネットワークを変更・拡張しやすい
NaaSは、ネットワークの変更や拡張がしやすいサービスです。
ネットワーク機器をリース(長期間借りて利用する契約)利用するため、ネットワークを変更する際は事業者に依頼すればそれで完了します。
さらに、仮想ネットワークのNaaSであれば、ソフトウェアからネットワーク構成の変更が可能です。ソフトウェア上で柔軟にカスタマイズできるため、拡張性にも優れています。
3.セキュリティが強固になる
ネットワークセキュリティの強化を見込める点も、NaaSのメリットです。
NaaS事業者は、年々増加しているマルウェアやランサムウェアなどのウイルスに対し、最新のセキュリティ技術をもって対策しています。そのため、ネットワークインフラの保守運用をNaaS事業者に依頼することで、ぜい弱性の早期発見と対策が期待できるでしょう。
また、ネットワーク監視も併せてNaaS事業者にアウトソーシングすれば、従業員が無断でサービスやアプリケーションを使う「シャドーIT」への対策が可能です。不審な通信の予兆も発見できるため、サイバー攻撃被害の予防にもなります。
ネットワーク監視については、以下の記事も合わせてご覧ください。
▼クラウド型ネットワーク監視とは? 導入メリットやツールの選び方を解説
4.コストパフォーマンスが高まる
多くのNaaSは月額料金制であるため、自社に必要なリソース分だけ契約できます。そのため、自社のリソースに見合わない設備投資をしてしまう心配はありません。ネットワーク機器の購入も不要なため、初期費用を抑えられます。
さらに、ネットワークの設計や性能は契約プランの変更によって可能なため、将来的なネットワーク拡張・削減時にもコストを最適化できます。
NaaS導入のデメリット
NaaSを導入するデメリットとして、次の2つが挙げられます。
- 互換性の考慮が必要
- 他社が提供しているクラウドサービスへの変更が難しくなる可能性も
1.互換性の考慮が必要
NaaS導入を検討する際は、互換性に注意しましょう。
NaaS事業者によっては、提供するネットワークインフラと自社の機器との互換性がないケースがあるためです。とりわけ、古い技術で構築された「レガシーシステム」がオンプレミス環境で稼働している場合、NaaS移行が困難になる可能性が高まります。
2.他社が提供しているクラウドサービスへの変更が難しくなる可能性も
NaaSに限らず、クラウドサービスを利用すると、他社サービスへの変更が難しくなる「ベンダーロックイン」に陥る可能性があります。
「ネットワークの正確な仕様を自社内で把握していない」など、事業者に依存しすぎることが原因です。他社製品への切り替えが困難になる他、高額な保守費用を請求されても発注せざるを得ないといった問題点があります。
「Techvan NaaS」でネットワーク導入・運用の負担を軽減!
テクバン株式会社は、ネットワーク機器を管理するクラウドマネージドサービス「Techvan NaaS」を提供しています。
ネットワーク管理の負担でお悩みのお客様は、ぜひご相談ください。
最適な機器を提案し導入コスト削減
Techvan NaaSは、以下3種類のネットワーク機器をリース契約で提供いたします。
- セキュリティアプライアンス
ファイアウォールやIDS(Intrusion Detection System:不正侵入検知システム)/IPS(Intrusion Prevention System:不正侵入防止システム)などの複数機能を搭載した装置 - ネットワークスイッチ
受信したデータを解析し、目的の機器に送信する装置 - ワイヤレスアクセスポイント
Wi-Fiを送受信する装置
お客様のネットワーク利用状況や要望を丁寧にヒアリングし、環境に合ったコストパフォーマンスの良い製品を提案します。また、ネットワーク設計には安心してご利用いただけるセキュリティ対策を施し、製品の導入およびネットワーク構築をサポートします。
ネットワークの運用管理もテクバンがサポート
Techvan NaaSによるネットワーク機器の導入後も、テクバンがネットワーク運用を支援いたします。
24時間365日・休日祝日対応など、お客様の要望に沿ったネットワーク監視が可能です。テクバンにネットワーク運用をお任せいただくことで、お客様の情報システム部門の負担軽減につなげます。
障害発生時は迅速に対応
ネットワーク障害の発生時は、復旧に時間がかかるほど業務が停滞してしまいます。生産性低下を招くため、スピーディな復旧が大切です。
障害発生時の際、Techvan NaaSはネットワーク障害の検知および機器交換に迅速に対応します。すばやく原因を解明し、ネットワークを復旧させることで、お客様の業務への影響を最小限に抑えます。
設定変更も追加料金なし
ネットワーク構築後、機器の追加や設定変更が必要になるケースは珍しくありません。
Techvan NaaSは、導入後の設定変更サポートも月額料金に含まれています。導入後のネットワーク変更の追加料金はかかりません。
NaaSでネットワーク運用の課題を解決
NaaSの概要やメリット・デメリットについて解説してきました。
クラウドサービス事業者のネットワークインフラを利用するサービスNaaSを利用すれば、自社のネットワーク管理の負担を軽減したり、セキュリティレベルを強化したりということが実現できるでしょう。
「社内ネットワークの構築や保守に課題を感じている」「社内ネットワークをさらに強化させたい」とお考えの方は、NaaS導入を検討してみてはいかがでしょうか。