働き方改革やコロナ禍の影響で、リモートワークが特別な働き方ではなくなっている昨今、ビジネスでクラウドサービスを活用する機会が広がり続けています。時間やオフィス以外の場所を問わないワークスタイルが浸透する一方、クラウド環境のセキュリティに対する懸念が浮き彫りになっています。
クラウド環境のセキュリティ対策への課題がクローズアップされている中で、注目されているのがZscaler(ゼットスケーラー)シリーズです。
そこで、最近のセキュリティ対策のフレームワークの解説に加え、Zscalerシリーズとは何か、サービスの特長や機能について紹介します。
Zscaler(ゼットスケーラー)とは
クラウドセキュリティサービスを提供する企業であるゼットスケーラー社はセキュアなクラウドアクセスを実現できるZscalerシリーズを展開しています。このシリーズでは場所やデバイスに依存せず、データ保護、セキュアなアクセス管理などができるプラットフォームや、高速でセキュリティレベルの高いネットワークアクセスサービスを提供。AI(人工知能)や機械学習機能を備え、既知の脅威はもちろん未知の脅威さえもブロックし、ビジネス環境を守ります。
そのため、Zscalerシリーズだけで多層防御が可能で、運用管理に負担がなく、コスト削減も期待できるのです。
これら Zscalerシリーズは、セキュリティ対策の一番新しい概念である「ゼロトラスト」に沿って提供されています。
従来のセキュリティ対策との違い
セキュリティ対策に対する理解を深めるため、この章ではこの「ゼロトラスト」の概念とともに従来のセキュリティ対策との違いについて解説します。
ゼロトラストとは?
ゼロトラストとは、ネットワークセキュリティの概念です。ゼロトラストの概念は、従来のセキュリティ対策では安全とみなされていたネットワーク内部の従業員やデバイスも信頼せず、すべてに対して認証や監視を常時行い、アクセス制限することを基本とします。ゼロトラストによるセキュリティ対策は、アクセスが行われるごとに正統性の証明を要求します。
この概念によるセキュリティ対策が実施されていれば、万が一、組織内部にマルウェアや脅威が侵入しても、防御が可能になるのです。
Microsoft 365製品を提供するマイクロソフト社を含め、多くの企業がゼロトラストを推進しており、ゼロトラストセキュリティを実現するサービスは年々増加しています。
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従来のセキュリティ対策
ゼロトラストに対して、従来のセキュリティ対策では組織の内部と外部を区切り、内部アクセスはすべて安全だとみなし、外部からのアクセスは脅威を予想し警戒していました。
脅威は外部だけにあるという従来型の考えから、脅威がすでに安全地帯の内部へ侵入してしまった場合は対策が後手に回り、被害を拡大させてしまう事態にもつながる状況がありました。
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▼SASEとゼロトラストの違いとは? SASEを活用したゼロトラストの実現方法を解説
クラウドとゼロトラスト
クラウド環境とゼロトラストの概念は密接に関係しています。クラウドサービスには社外など場所を問わず、いつでもどこでもアクセス可能という利便性がある半面、従来型のセキュリティ対策では対処し切れない複雑な課題が生じています。そのため、クラウドのセキュリティ対策では「ゼロトラスト」モデルが欠かせないものとなりました。
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クラウドに必要なセキュリティ対策
では、クラウド環境で必要なセキュリティ対策について、具体的に紹介します。これらを適切に実施することで、クラウド上のシステムやデータを保護できます。
1.アクセス管理
まず、クラウド上のデータやアプリにアクセスする認証の仕組みが必要です。適切な通信制御を実施することで、不正なアクセスや情報漏えいの防止が可能になります。
2.データの暗号化
クラウド上にあるデータは暗号化によって、データの漏えいや盗み取りを防御します。データの移動時や保存の際にデータを暗号化することで、より高いセキュリティを実現できます。
3.モニタリング・ログ管理
クラウド上の異常を検知するため、常に動きを監視するモニタリングが必要です。そして、アクセスログを収集し管理することで、セキュリティインシデントが発生した際の追跡が可能になり、監査にも対応できるようになります。
4.パッチ管理
クラウドサービスのインフラやアプリは、定期的にセキュリティパッチを適用する必要があります。これを行うことによって、ぜい弱性をついた攻撃からデータを守ります。
5.バックアップと復旧
クラウド上のデータのバックアップと復旧プロセスを確立することが必要です。これにより、万が一の際にも迅速な復旧が可能になります。さらに、バックアップを外部ストレージに保存することで、災害発生時のデータ保護対策にもなるのです。
6.セキュリティ監査
クラウド事業者との契約には、セキュリティ関連の規定が含まれていますが、適切に運用されているか、定期的な監査が必要です。
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Zscalerシリーズの特長
前章ではクラウド環境に欠かせないセキュリティ対策を紹介しました。これを踏まえて、Zscalerシリーズの特長について解説します。
グローバルネットワークである
Zscalerシリーズは、世界中に張り巡らされたクラウドネットワークを利用しているため、世界中のどこからでも安全にアクセスが可能です。従来のオンプレミス型のセキュリティサービスと比較して、高速で安全なアクセスを実現します。
統合型のセキュリティサービスである
Zscalerシリーズは、Webセキュリティ、メールセキュリティ、クラウドアプリセキュリティ、セキュアエッジなど、多様なセキュリティサービスを統合したプラットフォームを提供しています。これにより、複数のセキュリティソリューションを導入することなく、Zscalerシリーズだけでシームレスなセキュリティ対策が可能なため、管理の負荷を軽減します。
AIによる高度な脅威分析ができる
AIを活用した高度な脅威分析を行うZscalerシリーズは、既知の脅威のみならず、ゼロデイ攻撃といった未知の脅威も検出し、防御することができます。また、ダッシュボードやレポートで、ユーザーの利用状況を可視化することが可能です。
ゼロトラストに沿ったセキュリティ対策
ゼロトラストに沿ったセキュリティ対策で、ユーザーやデバイスの正統性を常に監視、検証しています。これにより、不正なアクセスを排除し、厳格なアクセスコントロールを実現します。
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Zscalerの主な2つの機能
Zscalerは、大きく分けて以下の2つの種類のセキュリティソリューションを提供しており、それぞれ異なるセキュリティ対策を行います。ここではそれぞれのセキュリティ機能について紹介します。
- Zscaler Internet Access(ZIA)
- Zscaler Private Access(ZPA)
Zscaler Internet Access(ZIA)
ZIAは、組織のインターネットアクセスを守るセキュリティゲートウェイです。外出先や自宅など場所を問わず、組織の従業員が外部のWebサイトやクラウド環境にアクセスする際にも既知・未知の脅威をブロックし、高度なセキュア環境を実現します。
ZIAは次のような機能を備えています。
- インターネットアクセスのセキュリティ保護
不正なWebサイトやマルウェア、フィッシングサイトなどの脅威をブロックし、企業のセキュリティを確保 - Webフィルタリング機能
従業員のWebサイトへのアクセスを監視し、組織のセキュリティポリシーに基づき制御 - SSL暗号化の復号化と再暗号化
SSL暗号化されたトラフィックを復号化し、脅威の検出やWebフィルタリングを実施。復号化したトラフィックを再度暗号化して、Webサイトへの送信を行う - クラウドアプリケーションのアクセス制御
組織が利用するクラウドアプリへのアクセスを制御し、セキュリティを保護
Zscaler Private Access(ZPA)
ZPAはゼロトラストに基づいて、従来のVPNにあった速度不足、遅延、アクセスの不安定さといった課題を解消し、セキュアに社内システムやアプリに接続できるサービスです。仮想コネクターでクラウド上にネットワークを構成し、シンプル、そして柔軟なリモートアクセス環境を提供します。
ZPAは以下のような機能やメリットがあります。
- ゼロトラストによるセキュリティ機能
ゼロトラストをベースに、すべてのアクセスを厳格に制御する - クラウド内アプリの保護
従来のVPNでは組織内のオンプレミス環境にあるアプリのみのアクセスだったが、クラウドアプリに対するセキュリティを保護し、アクセスする場所を問わず制御が可能 - シンプルなアクセス管理
組織内のセキュリティポリシーに基づき、アプリへのアクセス制御が可能で、従業員は多要素認証を含む複数の認証方式を自ら選択が可能
Zscaler Private Accessについてライセンス価格など詳細はこちらから。
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【事例】セキュアで高いアクセスコントロールを実現する ZIAとZPAのシナジー
その他、ZscalerシリーズにはZIAとZPA以外にも様々な機能があります。
クラウドアプリケーションの可視化・制御を行うCASB(Cloud Access Security Broker)やデータと知的財産の保護を行うDLP(Data Loss Prevention)などクラウドセキュリティを強化する豊富なサービスを提供しています。
Zscalerシリーズについて詳細はこちらから。
Zscalerで安全なクラウド環境を
クラウドサービスが普及する現在のセキュリティ対策として、ゼロトラストの概念の解説から、Zscalerシリーズのサービスや特長について紹介しました。
ゼットスケーラー社が提供する2種類のサービスのうち、ZPAは、従来のVPNと比較してより高度なセキュリティ環境を実現しながら、柔軟で手間のかからないアクセス管理を可能とするリモートアクセスサービスです。
一方のZIAは、場所やデバイスにかかわらず、インターネットアクセスにおけるセキュリティ対策を統合的に実施・管理することが可能なセキュリティサービスです。
どちらもクラウドで提供されるセキュリティサービスのため、ネットワークやハードウェアは不要で迅速に導入することができます。
クラウド環境へ安全にアクセスするためのセキュリティ対策は、今後ますます重要かつ欠かせないものになっていくでしょう。
クラウドサービス利用時のセキュリティに不安がある、的確な対策を打っていないという場合は、テクバンがご相談に応じます。ぜひお気軽にお問い合わせください。最新のセキュリティ対策をニーズに応じた形でご提案いたします。
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