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2023.11.16

【最新版】OCIにかかる費用を知りたい! 見積もり方法を解説

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目次

現在、オラクル社が提供するクラウドコンピュート・サービス「OCI」が注目されています。同様のサービスとして挙げられるAWSやAzureにひけをとらない性能やセキュリティレベルの高さはもちろんのこと、コストパフォーマンスのよさも魅力といえるでしょう。
この記事ではOCIの導入後にかかる費用を知りたい人のために、オラクル社の公式見積もりツールを使った見積もり方法をご紹介します。

自社に合わせた導入を実現! パブリッククラウドの 失敗しない選び方とは?

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の基本情報

OCIとは「Oracle Cloud Infrastructure」の略称で、ソフトウェアやハードウェア製品、クラウドサービスなどの事業を展開しているオラクル社が提供するクラウドコンピュート・サービスです。従来、企業ではシステムの稼働やインフラの構築に伴うサーバーやネットワーク機器などを自社で保有・管理するオンプレミスが主流でしたが、2000年代からこれらの運用をクラウド上で行うサービスが普及してきました。

しかし、オンプレミスではサーバーの設置場所や最適なソフトウェアやソフトウェアの調達などの物理的リソースから、システムに関わる人的リソースにいたるまで何かとコストがかかります。OCIといったクラウドコンピュート・サービスを利用すれば、コストを最小限に抑えられ、長期的な運用もしやすくなります。

OCIと同じようなクラウドサービスには、アマゾン社のAWS(Amazon Web Services)やマイクロソフト社のMicrosoft Azure、グーグル社のGCP(Google Cloud Platform)などがあります。OCIはこれらのサービスに比べて後発ということもあり、価格面でかなりお得なのが大きなメリットといえるでしょう。
具体的な例を挙げると、自社のコンピューターから外部にアクセスするインバウンド通信料は、AWSやMicrosoft Azureでは割高になりがちですが、OCIは無料です。

また、OCIは次世代のIaaS(Infrastructure as a Service)ともいわれており、高いセキュリティ性と性能、可用性などあらゆる面で高い評価を得ています。普及率も高まり、現在では世界40地域以上でサービスを提供しています。

Oracle Cloudについては、以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご参考にしてください。
▼Oracle Cloud(オラクルクラウド)とAWSを徹底比較! それぞれのサービスの特長や違いを解説

OCIの特長

OCIは、従来のlaaSとオンプレミスのメリットを統合した次世代のサービスです。IaaS(イアース)とPaaS(パース)の2種類のサービスで構成されています。

IaaSは、ネットワークや仮想サーバー、データベースなどのインフラをクラウドで管理するサービスです。OCIのIaaSでは、様々なシステム環境を自由にカスタマイズでき、導入や運用のコストが抑えられます。最新の人工知能を用いた自律型データベースを採用しており、データ管理が効率的にでき、人為的ミスによるシステムエラーの心配もありません。

PaaSは「Platform as a Service」を略したもので、OSやハードウェア、ミドルウェアなどをクラウドで提供するサービスです。企業側の開発者や外部にアプリケーションを提供するためのプラットフォームの役割を担います。開発者はOSなどの保守管理が不要なため、生産性の向上や効率的な運用が可能になります。

また、OCIのPaaSには次のようなデータベースが用意されています。

  • Database Cloud Service・・・オンプレミスで提供されるOracle Databaseをクラウドで提供
  • Exadata Cloud Service・・・高速データベース基盤である総合型プラットフォームをクラウドで提供
  • Big Data Cloud Service・・・大量のデータをスピーディーに処理できるHadoop環境の提供

その他、アプリケーションの開発や運用に必要なサービスも豊富にラインナップされています。

OCIの見積もりに必要な情報とは

OCIは、2023年6月末時点で128ものサービスを提供しており、企業のニーズに応じて自由にカスタマイズできる点が魅力です。しかしサービスの種類が多い分、コストの算出はやや複雑に感じてしまうのではないでしょうか。

そこでオラクル社では、OCIのコスト見積もりツールとして「Cloud Cost Estimator Generation 2」をウェブ上で公開しています。見積もりに必要な情報には次のような項目があります。

  • サーバーの種類
  • 利用時間
  • OS
  • シェイプ
  • ストレージ容量

次項では、それぞれについて詳しく解説します。

サーバーの種類

OCIのComputeサービスには、「VMインスタンス」と「ベアメタルインスタンス」の2種類があります。VMインスタンスとは、仮想マシン環境を意味します。仮想化テクノロジーを利用しており、物理的なコンピューターの中にソフトウェアによって仮想的なコンピューターを作成します。これにより、一台のコンピューターでも複数のインスタンスが管理でき、複数のコンピューターを運用しているのと同じ役割を果たします。

OCIのVMインスタンスでは、1コアから80コアまで用途に合わせて仮想マシンの選択ができます。アプリケーションの開発からシステムの運用環境まで幅広く対応できるのが特長です。

ベアメタルインスタンスは、仮想化を行わず、専有サーバーを持つ企業が利用する物理的なサーバー環境です。性能を重視するアプリケーションに適しています。

これら2種類のインスタンスの他に、「Standard」「GPU」「Optimized」などのシェイプを組み合わせて選択が可能です。

利用時間

作成するインスタンスの数や、利用時間も見積もりには不可欠です。1インスタンスごとに、月に何時間利用するのかを計算しておきましょう。例えば、31日間24時間利用する場合、744時間となります。
1か月で何日か、または何時間か利用しない時間がある場合、細かく設定することでより正確な見積もり金額が算出できます。

OS

OCIでは、様々なOSに対応しています。Oracle LinuxといったOSの場合、別途料金をかけずに利用できますが、Windows系のOSの場合は時間単位でライセンス費用がかかる点に注意しましょう。

シェイプ

シェイプとは、利用するのに必要なOCPU数、メモリ数、リソースなどを決めるテンプレートを指します。複数のシェイプが用意されているため、インスタンスごとに選択します。大きく分けて5種類のシェイプがあります。

  • Standard・・・汎用性が高く、一般的なワークロードに適している
  • Dense I/O・・・大規模なデータベース用。NVMeベースのSSD内蔵
  • GPU・・・GPU(画像処理装置)搭載。ハードウェアで高速化されるワークロードに適している
  • HPU・・・高速プロセッサー搭載
  • Optimized・・・高性能コンピューティング・ワークロード用

ストレージ容量

OCIでは、ブート・ボリューム用、データ格納用のストレージを把握しておくことが大切です。用途に応じて次のような複数のストレージが用意されています。

  • ブロックボリューム
    ブロックボリュームは、最新のNVMe SSDを採用しているストレージサービスです。1ボリュームあたり、50GBから32TBまで1GB単位で細かく設定できます。VPUを追加することで、用途に合わせた高いパフォーマンスを発揮します。ソフトウェアやアプリケーションのインストール先に適しています。
  • オブジェクト・ストレージ
    オブジェクト・ストレージは、高い耐久性を持ち、複数の可用性ドメイン間でデータのコピーや共有ができます。画像や動画などの構造化されていないデータや大規模データの格納先に適しています。その他、HTMLファイルなどのコンテンツを格納できるため、簡易的なウェブページの作成ができます。
  • ファイル・ストレージ
    ファイル・ストレージは、クラウド向けに設計されたNFSv3ファイルの共有ストレージです。1ファイル、または1システムあたり数KBから8EBまで容量を選べます。複数のコンピュート・インスタンス間でデータの共有が可能です。共有のファイルシステムが必要なアプリケーションに利用できます。
  • アーカイブ・ストレージ
    アーカイブ・ストレージは、費用がオブジェクト・ストレージの10分の1という低コストで利用できるサービスです。データのアーカイブやバックアップの長期的な保存先に適しています。

OCIの見積もりツールの使い方

オラクル社では、OCIの見積もりツールとして「Cloud Cost Estimator Generation 2」を公開しています。次の設定で見積もりする際の操作方法をご紹介します。

  • コンピュートVM
  • 24時間31日/月利用
  • VM.Standard.E4.Flex
    (2 OCPU・メモリー16GB)
  • Oracle Linux
  • BLOCK Storage 300GB
  • Object Storage 1,024GB

1.「Cloud Cost Estimator Generation 2」にアクセス

Cloud Cost Estimator Generation 2

出典元:オラクル社「OCI 見積り
https://www.oracle.jp/cloud/costestimator.html

検索画面で「oci コスト試算」と入力し、「OCI 見積り」にアクセスします。右上に表示されている通貨を選択できるプルダウンで、「JPY-Japanese Yen」を選びます。

2.カテゴリを選択

左上の「カテゴリ」から「Compute」を選択すると、該当のサービスが表示されます。「コンピュートVM」の欄にある「ロード」をクリックすると、見積もり画面が表示されます。それぞれ次の項目を選択、または入力しましょう。

  • プロセッサ・・・AMD
  • 形状・・・VM.Standard.E4.Flex
  • OCPU・・・2
  • メモリー・・・16
  • OSイメージ・・・Autonomous Linux
  • ストレージ容量・・・300

さらに「Object Storage」を追加するには、左上の「構成の追加」をクリックします。次に「カテゴリ」から「Storage」を選択して、「オブジェクト・ストレージ」の欄の「ロード」をクリックします。
見積もり画面の「Object Storage - Storage」で「1024」と入力すれば完了です。「月次見積もり費用」に入力した内容の金額が表示されます。

3.見積もり内容を保存する

サインアップ後、トップ画面の「私の構成」の右にある「…」をクリックして、「エクスポート」メニューから見積もり内容をExcelやJavaScript Object Notation(JSON)ファイルにて任意の名前で保存できます。

OCIを導入するなら導入支援サービスがおすすめ

低コストで、高い性能とセキュリティが期待できるOCIをより効果的に使いこなすためには、導入支援サービスを利用するとよいでしょう。テクバンのOCI導入支援サービスでは、現状把握からOCI設計の提案、導入後のサポートまで充実したサービスを用意しています。

既存のオンプレミスからクラウド環境に変更したい、所有しているOracle Databaseのライセンスを有効活用したい、といったご相談も受け付けていますので、ぜひお問い合わせください。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)導入支援

OCIは事前見積もりでコストを把握しておこう!

次世代のクラウドコンピュート・サービスとして注目されているOCIを導入する上で、ランニングコストは正確に把握しておきたいものです。自社のシステムの運用方法や、規模に合わせてカスタマイズできる自由度も大きな魅力といえます。
OCIの導入を検討している方は、まずは見積もりツールでコストを算出しましょう。

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