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2023.11.15

DaaSとは? 特徴や導入メリット、VDIとの違いをわかりやすく解説

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目次

ビジネスのリモートワークを安全かつスムーズに実現する手段のひとつとして、デスクトップ仮想化があります。デスクトップ仮想化の中で、比較的導入しやすい手法が「DaaS(ダース)」です。
そこで、DaaS(Desktop as a Service)のメリット・デメリットや種類、選び方、さらに仮想デスクトップを検討する際、比較されることが多いVDI(Virtual Desktop Infrastructure)との違いを解説します。

自社に合わせた導入を実現! パブリッククラウドの 失敗しない選び方とは?

DaaSとは何か?

まずは、DaaSの定義やVDIとの違いなど、基礎知識から確認しましょう。

DaaSの定義

DaaSとは、クラウドサービスの仮想デスクトップです。
本来、デスクトップ環境はユーザーのPCに存在していますが、一方、仮想デスクトップは、コンピューターのデスクトップ画面、アプリケーション、ファイル、設定、動作を仮想的に模倣したもので、通常はクラウドベースのインフラやデータセンター内のサーバー上で実行されています。
DaaSではサービス提供者のクラウドサーバーに仮想デスクトップが構築され、ユーザーはインターネットから仮想デスクトップにアクセスしているのです。
そのため、コンピューター上の処理はクラウドサーバー側で実行し、ユーザーの手元にあるPCが行う処理は「画面表示」と「キーボード・マウスの入力」のみ。
ユーザーのPCでは最低限の機能だけで、サーバーがほとんどのデータ処理を行う、こういった仕組みを「シンクライアント」と呼びます。DaaSはシンクライアントの実現方法のひとつで、ユーザー側のPCが高性能である必要はありません。

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VDIとの違い

DaaSと似ているシステムに「VDI」があります。双方とも仮想デスクトップですが、DaaSとVDIの違いは、運用モデルです。
VDIは、自社サーバーに構築する仮想デスクトップで、サービス提供者のサーバーは使わず、構築や保守管理はすべて自社で担います。

DaaSの方式

DaaSの主な方式には、「フルクローン」と「リンククローン」の2種類があります。
フルクローンは、個別の仮想デスクトップ環境をユーザーごとにすべて複製(クローン化)する方式です。ユーザーごとに、完全に独立した仮想マシン(Virtual Machine=VM)が作成されます。
フルクローンは、個別のカスタマイズとアプリケーションの追加・変更する場合、柔軟に対応しますが、リソースの使用効率が低く、ストレージスペースを多く必要とする傾向にあります。

対するリンククローンとはフルクローンとは異なり、元のマスターVMのうち、ユーザーごとに変更する部分のみリンクし、複製する方式です。変更がない部分は、マスターVMを全員で共有(参照)するため、ストレージスペースの効率性が上がります。
しかしリンククローンは、リソース効率を高める一方、マスターVMへの変更がすべてのリンククローンに影響を及ぼすため、カスタマイズやアプリケーションの追加に制約があります。

DaaSの種類

デスクトップを構築するクラウドの種類によって、DaaSは以下の3種類に分かれます。

  1. パブリッククラウドDaaS
  2. バーチャルクラウドDaaS
  3. プライベートクラウドDaaS

それぞれの特徴を説明します。

1.パブリッククラウドDaaS

パブリッククラウドとは、特定の企業やユーザーだけが占有するクローズドな環境ではなく、不特定多数のユーザーが利用できるオープンなクラウド環境を指します。パブリッククラウドDaaSは、そのパブリッククラウドに構築するDaaSです。
クラウド事業者が用意したDaaS環境を使うため、パブリッククラウドDaaSはカスタマイズが難しい一方で、最も簡単に導入や運用が可能で、コストも安価といったメリットがあります。

2.バーチャルクラウドDaaS

バーチャルクラウドDaaSは、クラウド事業者のPaaS(Platform as a Service、パース)やIaaS(Infrastructure as a Service、イアース)で構築します。
PaaSはアプリ開発に必要なクラウドプラットフォームを、IaaSはクラウド上のインフラを提供するサービスです。完全に独立環境ではないですが、他社と同じDaaS環境とならないため、セキュリティが担保され、自社でDaaS環境を構築可能で、カスタマイズしやすい点もメリットです。

3.プライベートクラウドDaaS

プライベートクラウドDaaSとは、他の企業と完全に独立したクラウド環境で構築するDaaSで、3種類の中でもっともセキュリティが高く、安全な環境で利用可能です。
オンプレミスと近い環境で、自由にカスタマイズできます。ただし、環境の構築には専門知識が必須で、導入工数がかさみます。運用管理の手間もかかるため、コストが高くなる点に注意しましょう。

DaaSの選び方

DaaSは3種類ありますが、重視するポイントによって最適な種類は異なります。次の5つの要望ごとに、おすすめを紹介します。

  1. コストを抑えたい
  2. 柔軟にカスタマイズしたい
  3. セキュリティを高めたい
  4. 運用負担を減らしたい
  5. カスタマイズ性とコストのバランスを取りたい

1.コストを抑えたい

DaaSに関するコストを抑えたい場合、パブリッククラウドDaaSがおすすめです。3種類のDaaSの中で、パブリッククラウドは導入・運用費用ともにもっとも安くなります。
反対に、プライベートクラウドDaaSは高額になる傾向があり、コスト重視の企業にはおすすめできません。

2.柔軟にカスタマイズしたい

カスタマイズ性がもっとも高いのは、プライベートクラウドDaaSです。自社の使いやすい環境へ自由に変更可能なため、柔軟に運用できます。
なお、パブリッククラウドDaaSはサービス事業者が構築した環境をそのまま使用するため、自由にカスタマイズできません。

3.セキュリティを高めたい

高度なセキュリティを求める企業には、プライベートクラウドDaaSが適しています。プライベートクラウドDaaSの環境は完全に独立しているため、セキュリティが厳格です。
バーチャルクラウドDaaSとパブリッククラウドDaaSはセキュリティリスクが高いわけではないものの、プライベートクラウドDaaSほどの厳格さはありません。

4.運用負担を減らしたい

パブリッククラウドDaaSは、もっとも運用負担が少ない形態です。
DaaSの環境構築および保守管理には一定の知識が求められますが、社内のIT人材が不足している場合、サービス事業者が環境構築から保守までサポートしてくれるパブリッククラウドDaaSが向いているでしょう。

5.カスタマイズ性とコストのバランスを取りたい

DaaSは、カスタマイズ性が上がるとコストや運用負担も増します。「柔軟にカスタマイズしたいが予算を割けない」「カスタマイズしつつ運用負担を減らしたい」など、コスト負担が課題の場合、バーチャルクラウドDaaSがおすすめです。
パブリッククラウドDaaSとプライベートクラウドDaaSの中間的な存在であるバーチャルクラウドDaaSは、カスタマイズ性とコストのバランスがいいといえます。

DaaSのメリット

DaaS導入を検討する際は、メリットとデメリットの比較をすべきです。まず、5つのメリットについて解説します。

1.リモートワーク環境を整える

DaaSは、リモートワークを実現するインフラとして役立ちます。DaaSは、インターネットを経由し、場所を選ばずデスクトップにアクセスできるため、どこからでもオフィス勤務と同様のデスクトップ環境で業務を行えます
さらに、社員のPCも安価なシンクライアント端末で十分のため、リモートワーク端末の購入費用も軽減できます。

2.セキュリティの強化

セキュリティ対策に課題を感じている場合、DaaSによる対策強化が効果的です。DaaSを利用している端末にはデータは保存されず、クラウドサーバー上に保管される仕組みだからです。仮に端末を紛失しても、機密情報が漏えいする心配はありません。
また、端末の一元管理により、不審なアプリケーションのインストールも防ぎます。

3.管理負担の軽減

DaaS導入は、情報システム担当者の管理負担の軽減につながります。
通常のPCのデスクトップの場合、OS更新やアプリケーションの設定変更は端末ごとに行わなくてはいけません。
一方、DaaSであれば、マスターを情報変更するだけで、端末すべてのOSや設定を一括更新できます。部署によってアプリケーションの違いがある場合でも、部署別にマスターを用意すれば問題ないでしょう。

4.柔軟なリソース変更

柔軟にリソースを変更できる点も、DaaSのメリットです。DaaSはクラウドサービスとして契約するため、契約プランを変えれば簡単にリソースを追加、または削減できます。
一方、VDIの場合、自社でサーバーを追加や削減する必要があります。DaaSであれば、VDIのように機器の購入および廃棄の手間がかかりません。

5.BCP対策の一環

DaaSは、BCP対策の一環になります。BCP対策とは、企業が災害などの被害を受けた際に、事業を継続させるための計画です。
万一、自社が被災しても、業務に必要な環境やデータはクラウドサーバー上に存在しています。すばやい復旧と事業継続が可能なため、被災時の事業への被害を最小限に抑えられるでしょう。

DaaSのデメリット

DaaSは多くのメリットがある一方で、以下2つのデメリットも存在します。

1.遅延の可能性

DaaSの利用時は、通信の遅延に留意する必要があります。DaaSはインターネットを経由するため、通常のデスクトップよりもネットワークへの負荷が大きいからです。
負荷による遅延を避けるためには、ユーザー数や利用状況に見合ったネットワーク帯域が不可欠になります。

2.障害のリスク

DaaSベンダー側に障害が発生すると、ユーザー企業も影響を受けます。DaaSを一時利用できなくなるといった障害が起きても、ユーザー企業はベンダーの対応を待つしかありません。DaaSの導入前に、ベンダーのメンテナンス体制をチェックし、安定したサービス提供が見込めるかを確認しましょう。

DaaSの導入支援サービス

DaaSを自社環境に取り入れようとするときは、プロによる導入支援サービスの利用がおすすめです。想定外のリスクが潜んでいる場合もあり、特にネットワークやセキュリティ面で専門家によるサポートを受けるほうが安心といえるでしょう。

テクバンでは、現状調査、DaaS環境の事前検証および構築、運用支援など、DaaSが必要なお客様を手厚くサポートしていますので、ご相談してはいかがでしょうか。
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DaaSで安全なリモート環境を構築!

DaaSとは、仮想デスクトップを提供するクラウドサービスです。ユーザーは安価な端末でDaaSを利用できる上、端末を紛失しても情報が流出する恐れがありません。
DaaSを導入することで、リモートワーク実施時のコストとセキュリティの問題点を解決できます。
リモートワークに取り組む組織では、DaaSの活用も検討してはいかがでしょうか。

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