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2023.11.15

仮想化基盤「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)」とは?

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目次

企業における仮想化インフラ導入が一般的となり、さらなる発展形の技術・ソリューションとして注目を集めているのが「超集約型基盤」とも呼ばれる「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(Hyper-Converged Infrastructure、HCI)」です。
本記事では、ハイパーコンバージドインフラの概要や特徴、従来の仮想化基盤との違い、導入することで得られるメリットについて、できるだけわかりやすく解説します。
ハイパーコンバージドインフラの構築や導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」とは?

ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(Hyper-Converged Infrastructure)とは、仮想化基盤を構成する際に必要なサーバー、ネットワーク、ストレージ、ハイパーバイザーや運用管理ツールといったソフトウェア類がパッケージ化された統合インフラシステムのことです。日本では、「超集約型基盤」や略語の「HCI」で呼ばれることもあります。

ハイパーコンバージドインフラは、SAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)といった外部共有ストレージには接続せず、CPU、メモリー、HDDやSSD、ハイパーバイザーなどが格納された一般的なx86サーバーのみで環境が構成されているのが特徴です。
「SDS(Software Defined Storage)」と呼ばれるストレージ仮想化技術・ソフトウェア技術によって、汎用IA(Information Architecture)サーバーだけで共有ストレージを実現しています。
なおSDSについては、詳細を後ほど解説します。

システムの運用管理については、以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご参考にしてください。
▼システム運用管理とは? 安定稼働を実現するための方法を解説

ハイパーコンバージドインフラが登場した背景

ハイパーコンバージドインフラが登場した背景にあるのが、世界中の企業における仮想化インフラ導入率の増加です。
総務省発表の「国内外における通信市場の動向(※1)」内、「世界のネットワーク仮想化市場規模の推移及び予測」では、2021年の世界のネットワーク機能仮想化の市場規模は263.7億ドル(前年比18.3%増)となり、2025年には542.2億ドルまで達することが予測されています。
※1 出典:総務省「国内外における通信市場の動向

企業で導入されている仮想化インフラは、サーバー、SANスイッチ、ストレージから構成される「3Tier型」が一般的です。
ところが、仮想化インフラの障害の切り分けや拡張作業などが複雑なため、メンテナンス作業が担当者の大きな負担となっています。
その結果、ビジネスの成長につながる新しい技術の導入や開発に時間が割けず、IT分野においてイノベーションが創出できない状態である企業も少なくありません。

仮想化インフラの保守という大きな課題にアプローチする手法として生まれたのが、Webサービス大手企業のMeta(旧Facebook)やGoogleなどが採用したことで注目を集めた「WebスケールIT」です。WebスケールITとはクラウド特有のアーキテクチャによる分散システムを指し、仮想化インフラに搭載することで、拡大するビジネスに対応した迅速なシステム拡張、シンプルな運用による費用削減などの成果を実現しています。

WebスケールITの特徴を持つ仮想化インフラの構築には、高度なスキルを有したエンジニアによる開発、設計が必要でした。
そこで、自社に高度なスキルを持つエンジニアのいないエンタープライズ企業でもWebスケールITのシステムを簡単に導入できるように、パッケージ化されたハイパーコンバージドインフラが誕生したのです。
HCI市場で広く採用されている製品として、Nutanix、Cisco HyperFlexなどが挙げられ、これらは、企業のデータセンターやクラウドインフラストラクチャーで使用されています。

ハイパーコンバージドインフラの主な特徴

ここからは、ハイパーコンバージドインフラの持つ主な特徴を順に紹介します。

オールインワンによる短期導入

ハイパーコンバージドインフラは、仮想化インフラを構築するために必要なソフトウェアがまとめられた、オールインワンパッケージです。プラットフォームも設計検証済みのため、仮想インフラのスピーディな導入につながります。

複数のサーバーへ仮想ディスクを分散配置(二重化)

ハイパーコンバージドインフラは、複数のサーバーに仮想ディスクを分散配置することで二重化(多重化)を実現します。この二重化・多重化によって、例えば、ひとつの仮想マシン上のディスクにトラブルが起こり、データが消失してしまうような事態があっても、分散配置している仮想ディスクに同様のデータが保管されていることからデータの可用性を維持できるのです。

スケールアウト(増設)手順の簡略化

ストレージ容量の増設や処理性能の拡張などの「スケールアウト」も、外部ストレージの専門知識不要で必要に応じて簡単に実行できます。

High Availability(HA)

ハイパーコンバージインフラには、1台のサーバーが停止してもゲストOSが別のサーバー上で自動的に再起動する「High Availability(HA)」機能が搭載されています。万が一の障害時も自動的にリカバリーを行うため、業務継続が可能です。

Software Defined Storage(SDS)

ハイパーコンバージドインフラには、複数台のx86サーバーの内蔵ストレージを統合する「Software Defined Storage(SDS)」の技術が採用されています。内蔵ストレージをまとめることで、仮想的な共有ストレージを実現しています。

ハイパーコンバージドインフラと従来型との違い

3Tier型仮想化インフラの課題を解決する目的で、ハイパーコンバージドインフラが誕生する前に垂直型インフラシステムを採用した従来型の仮想化基盤(コンバージドインフラ)が誕生しています。
従来型の仮想化基盤は、3Tier型によりサーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化ソフトウェア、管理ツールをひとつのハードウェアに統合している大規模なシステムです。一方でハイパーコンバージドインフラは、SDS技術を用いることで小さいスペースの中に複数のサーバーやストレージが内蔵されている、小型化されたシステムとなります。

従来の仮想化基盤は短期導入や拡張はしやすいものの、大規模システムのためカスタマイズがしにくい、初期の導入費用が高くなる、運用管理に複数のツールが必要、といったデメリットがありました。
その点、ハイパーコンバージドインフラはシステムの小型化により容易な拡張や、運用負担の軽減を実現しています。

ハイパーコンバージドインフラ導入のメリット

ハイパーコンバージドインフラを導入することで、従来の仮想化基盤と比較し多くのメリットが得られます。以下では、ハイパーコンバージドインフラによるメリットを解説します。

導入がスムーズでスモールスタートも可能

ハイパーコンバージドインフラには、ベンダーが仮想化インフラ構築時に必要となるハードウェア設計・ソフトウェア設計を事前検証したものがパッケージングされています。サーバーとソフトウェアを組み合わせたシンプルな構成のため、外部ストレージに関する専門的なスキルがなくとも構築・導入ができる上、スピーディな導入が可能です。

ハードウェア依存のない柔軟な拡張性

ハイパーコンバージドインフラはハードウェアに依存しないため、必要に応じて柔軟に拡張できる点もメリットです。ハイパーコンバージドインフラを構成している各サーバーには、CPU、メモリ、ディスクが搭載されています。
そのため、物理的なインフラ機器を接続することなく、サーバーを増設するだけでストレージ容量と同時に処理性能が拡張され、処理能力の向上が可能です。専門的な技術やスキルは不要で、システムの増強もシンプルに行えます。

柔軟な拡張性を生かし、導入時はスモールスタートしておいてから、ビジネスや事業の状況に応じて拡張することも容易です。事業規模に応じた拡張ができるため、無駄な投資を抑えることも可能です。

運用効率化により、運用担当者の負担を軽減

ハイパーコンバージドインフラは、同じ管理画面からサーバーとストレージの情報を一括で管理が可能です。従来型の仮想化基盤のように、サーバー、SANスイッチ、外部ストレージのデータを複数の画面を駆使して管理する必要がなく、システム管理の工程も減ります。
また、構成している機器の種類も減っているため、日々の運用やメンテナンスがシンプルになり業務の効率化や運用担当者の負担軽減にもつながります

ハイパーコンバージドインフラの導入をサポート

3Tier型仮想化基盤の運用で発生する拡張や、運用負担などの課題解決のためにハイパーコンバージドインフラの導入を検討しているものの「どの製品を導入すべきかわからない」といった悩みを持つ担当者の方も多いかもしれません。

ハイパーコンバージドインフラ導入の選択肢のひとつとして挙がるのが、シスコシステムズ社が提供する「Cisco HyperFlex」です。従来のサーバーとストレージが統合しているだけのハイパーコンバージドインフラ製品に対し、Cisco HyperFlexはネットワークも統合したオールインワンパッケージとなっています。
また、Fabric Interconnect(FI)と呼ばれるスイッチモジュールがアプライアンスとして組み込まれているため、サーバー・ストレージに加えネットワークも一元管理できます。

スムーズなハイパーコンバージドインフラ導入を実現するには、外部の支援サービスの導入も有効です。テクバンではCisco認定プレミアパートナーとして、お客様の課題やご要望に沿った適切な支援を提供する「Cisco HyperFlex導入支援サービス」を提供しております。
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他にも、テクバンではITインフラ導入に関する様々なサポートサービスを提供しております。お客様の現状をヒアリングした上で最適なインフラのプラン提案から、24時間365日の運用支援まで提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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ハイパーコンバージドインフラで課題解決

ハイパーコンバージドインフラの概要や特徴、導入によって得られるメリットを解説しました。
ハイパーコンバージドインフラを導入することで、運用負担やコストをはじめとした仮想化インフラに関する課題解決につながります。
リソースやコストが足りないなどで社内人員での導入が困難な場合、外部の支援サービスを利用する方法もあります。
ぜひ、ハイパーコンバージドインフラの導入を検討してみましょう。
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