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2023.09.27

Microsoft Azureの利用料金を事前に見積もりする方法は?

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目次

マイクロソフト社のクラウドソリューションサービスMicrosoft Azureは、開発環境、データベース、ストレージなど様々なカテゴリで200種以上ものサービスを利用できるクラウドサービスです。

ローコスト運用が可能なクラウドサービスですが、様々なプラン・機能を組み合わせるがゆえに月額費用の見積もりが難しいというデメリットもあります。事前におおよその金額がわからないと稟議書も書けません。

本記事では、自社に適した運用の見積もりに苦慮されている方へ向け、料金体系や見積もり方法を解説します。

Azureに関しては下記記事でも紹介しています。ぜひ、ご参考にしてください。
▼Azureとはどのようなサービス? 初心者でもわかる基本から運用のメリットまで徹底解説

自社に合わせた導入を実現! パブリッククラウドの 失敗しない選び方とは?

Azureの料金体系は?

Azureの料金はどのようにして決まるのか、おおまかなルールについて説明します。

Azureは利用サービスごとの従量課金制で計算される

Azureは、200以上のサービス(製品と呼ばれることもあります)を持つクラウドソリューションサービスです。必要な機能を組み合わせて使えるため、無駄のないシステム設計が可能です。

月額料金は製品の使用量(使用時間)による、従量課金制が基本です。しかし、製品によって課金方法が異なっています。
Azureの月額料金を予測するには、製品ごとの価格体系と使用量を事前に検討することが必要です。

Azureのサービスごとの料金体系例

Azureには多くのサービスがあり、従量課金の体系もそれぞれ異なります。ここでは概要を把握するために仮想マシン、データベース、ストレージ、バックアップ、AIのカテゴリで料金体系の例を紹介します。

Azure Virtual Machines(Azure VM)の場合

Azure VMは、クラウドコンピューター上にLinuxやWindowsサーバーの仮想マシンを構築するサービスです。Linuxのディストリビューションや、Windowsサーバーの種類はVMの価格に影響を与えます。また、仮想マシンとして使われるCPUやメモリ容量によっても、価格設定が異なります。

OSと使用されるハードウェアの組み合わせパターンは膨大で、どの組み合わせが自社向きか見極めるのは一苦労です。一応の目安として、用途別のハードウェアのシリーズが用意されています。Linux Virtual Machinesの料金ページでは、汎用的で中小規模のWebサーバー向けのBs v2-seriesや、小規模ながら様々な用途に利用できるAv2 Standardなどの事例が紹介されています。

最小構成のプランで、Bs v2-seriesは$7.5920/月、Av2 Standardは$31.3900/月。Bs v2-seriesはストレージが付かないため、別途ディスクの料金も試算に入れる必要があります。

Azure SQLDatabaseの場合

Azure SQLDatabaseもVM同様に、用途に応じたハードウェアのパッケージ例があります。ハードウェアの性能が上がれば、従量あたりの単価も高くなります。一方で、同じハードウェア構成でも使い方次第で価格差が出るケースもあるようです。

Standard シリーズ(Gen 5)の標準シリーズでは、$0.0001450/仮想コア秒に加えてストレージの契約が必要。1GB単位での増減が可能なプランで、$0.12/月の費用がかかります。

しかし、同じStandardシリーズ(Gen 5)でも、汎用シリーズになると課金が時間単位に変わります。$0.51/仮想時間が最小単位ですが、標準シリーズの1時間あたりの価格とほぼ同額です。
このように用途によって秒ごと、時間ごと、月ごとと課金ペースが変化するサービスもあります。

Azure Filesの場合

Azure Filesとは、ファイル共有サービスです。頻繁にデータの保存や参照が発生するパターンと、バックアップ用途であまりアクセスは発生しない場合といった用途で価格が変わります。使用目的によるファイルサーバーの設定をPremium、トランザクション最適化、ホット、クールの4つのパラメータで評価し、使用パターンでそれぞれの月額が変動するのです。

月ごとの使用GBあたりの価格がPremium($0.16)、トランザクション最適化($0.06)、ホット($0.0255)、クール($0.0255)とされています。
差分更新の場合は、Premium($0.136)は少し安くなりますが、その他の価格は同額です。

Azure Backupの場合

Azure Backupは、クラウド上のデータのバックアップと復元を行うサービスです。バックアップはインスタンスのサイズと、ストレージの冗長性で基本価格が変わります。

インスタンスが50GB以下では、$5に使用したストレージの費用が加算されます。50GBより大きく500GB以下の場合、$10とストレージ費用となります。

バックアップストレージは、ファイル作成日が6か月未満のデータが格納されるスタンダードと、6か月以上前のデータが保存されるアーカイブに分けられます。さらに、それぞれに持たせる冗長性の種類で異なるようです。
スタンダードでローカル冗長ストレージを使用する場合は$0.0224/GB、geo冗長ストレージを使用する場合は$0.0448/GBとなります。

Azure AI Bot Serviceの場合

Azure AI Bot Serviceは、フリープランとスタンダードプランで料金が異なるようです。それぞれでスタンダードチャネルを利用するか、プレミアムチャネルを利用するかで価格体系が変わります。

フリープランでもスタンダードプランでも、スタンダードチャネルを利用する場合のメッセージ数は無制限です。プレミアムチャネル利用時は、フリープランだと10,000メッセージ/月の制限があります。スタンダードプランでは、1,000メッセージあたり$0.5がかかりますが、数の制限はありません。

ボット使用時にはWebアプリとして動かすかどうか、使用する言語、音声有無など、価格を変動する要素が多々あります。

年間単位での利用を前提としたお得なプランも

Azureの料金は、価格表そのままの計算よりも安価に運用できる方法がいくつもあります。どのような方法なのか、それぞれ紹介します。

Azure節約プラン

従量課金制がAzureの基本ですが、1年あるいは3年の間プランの1時間あたりの固定金額を支払い、別途月ごとの使用量に応じた従量課金部分を支払います。

もともとの使用量が1時間に満たない場合、使用量がどれだけ低くても1時間分の料金がかかりますが、1時間を超えた場合でも追加料金が発生しません。
逆に1時間以上使用している場合は、1時間で使える量がより低価格に設定されます。超過分については、従量課金制で別途請求が発生するようです。

予約インスタンス

1年あるいは3年間分の仮想マシンの予約インスタンスを、事前に購入することでコストをえるサービスです。
長期使用を約束することでコストダウンを図る仕組みですが、支払い後でも予約内容を変更できます。予約インスタンスのキャンセルや、一部をAzureの別のサービスに振り分けも可能です。

また、予約インスタンスに柔軟性(優先順位)を設定し、他の仮想マシングループにインスタンスを振り分けることもできます。

スポットVM(仮想マシン)

サーバー上で動作するVMは、安定した継続的な運用が求められます。Webやファイルサーバーなどのサービスは、スケジュールに沿って実行されているコンピューティングの予定があるため、分析や運用を中断できません。
スポットVMは、上記のような中断や継続性のしばりがない業務用に、未使用の容量を格安の割引コストで購入できる仕組みです。

Microsoft公式の「料金計算ツール」の使い方

Azure製品ごとの価格計算事例や、コスト削減に利用できるサービスをいくつか紹介しました。しかしAzureは200以上の機能があり、それらの課金の仕組みや種々の割引サービスの利用などを考えると、情報収集や理解に膨大な時間がかかります。

個別の事例はAzureの概要として大筋を把握しておき、トータルの試算にはマイクロソフト社公式の計算ツールを利用するようにしましょう。
以下では、試算ツールの利用方法を簡単に紹介します。

1.要件定義を行う

まずは、Azureを使ってどのようなシステムを構築するのか、その要件をまとめます。使用するOSやCPUコア数、メモリ容量、ストレージ容量、その他サービスを決めましょう。要件定義が難しい場合は、料金計算ツールにあらかじめ用意されたシナリオの活用をおすすめします。

2.料金計算ツールで試算を行う

要件がまとまったら、料金計算ツールのサイトにアクセスしましょう。
左に大分類、右の大きな枠内にサービスが表示されています。必要なサービスを選択すると、サービス一覧の下に項目の入力(選択)欄が出てきます。ここで、見積もりに名称をつけて保存しておくことが可能です。

要件定義に沿って項目を入力します。希望のない項目はデフォルトでよいでしょう。
すべての項目を入力すると、右下に月額料金が表示されます。ちなみに、この試算内容はExcel形式でエクスポートすることも可能です。
Microsoft公式サイト|料金計算ツール

Azureの導入にお悩みならテクバンへ

Azureの料金の見積もり方について、価格決定の仕組みや割引サービス、試算に使える公式計算ツールを紹介してきました。
サービスごとに課金の仕組みが異なる点や、同じサービスでも機器のスペックによって複数の料金テーブルがあるなど、正確に価格を読み解くことはかなり難しいといえます。

要件定義をまとめて計算ツールを使えば、おおよその金額は算出できます。しかし、豊富なAzureの製品を把握し、計算ツールに反映させるにはAzureについての深い知識が求められます。さらに、様々な割引サービスについての情報も把握しておかなければなりません。

そこでおすすめしたいのが、Azure活用を支援する企業へのアウトソーシンングです。テクバンでは「Microsoft Azure導入支援サービス」、「Microsoft Azureクラウドファイルサーバー導入支援サービス」など、お客様ごとのシチュエーションに合わせた導入支援を行っています。
多機能でコストダウンも見込めるAzureを最大限に活用するためにも、ぜひご検討ください。

200種類以上あるAzureのサービスを適切に選定・導入してローコストで運用しよう

ITの急速な進歩に伴い、ネットワーク周りもずいぶん複雑になっています。近年では、高機能なサーバーやネットワーク機器が次々と登場し、オンプレミスの運用は難しくなっているのが現状です。
そのような状況で注目を集めているのが、Azureを始めとしたクラウドソリューションサービスです。これらは、あらゆるニーズに対応するため、非常に多機能なサービスといわれています。

ネットワーク環境をクラウドに移行するタイミングで、導入や運用についても、仕組みを熟知したプロへアウトソーシングの検討をおすすめします。高機能サービスのローコスト運用の鍵は、アウトソーシング先とのパートナーシップにあるといえるでしょう。

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