情シス運用サポートBlog

2023.09.28

ファイルサーバーをクラウドへ移行する目的や注意点は?

関連サービス
ITインフラ構築

目次

自社で運用するファイルサーバーが老朽化すると、サーバー機器のリプレイス、または移行の検討をしなければなりません。現在ではオンプレミス以外に、ファイルサーバー自体をクラウドへの移行という選択肢があり、メリットも異なります。
本記事では、ファイルサーバー移行の基本知識や注意点も含めて、詳しく解説します。

ファイルサーバーを クラウド化! 社員のリモート業務が進化

ファイルサーバー移行の目的

まずは、企業がファイルサーバー移行・移転を行う場合、何を目的に行うべきか、ご紹介します。

現行ファイルサーバーのハードウェアやOSの更改

ファイルサーバーは使用年数が長期にわたると、ハードウェアが古くなり、可用性やパフォーマンスに影響します。サーバーを構成するメモリやディスクが故障しやすくなる、パフォーマンスが低く感じられることが増えるでしょう。
さらにハードウェア以外にも、OSといったソフトウェアのバージョンが古い場合、メーカーサポートの契約期限切れが生じます。契約切れの前に、ソフトウェアのバージョンアップが必要です。

運用面の効率化

ファイルサーバーのディスク容量が不足気味になる場合、必要に応じて新たなファイルサーバーを構築する必要があります。その結果、多くのファイルサーバーが分散して構築されることもあるでしょう。サーバーの台数が増えるということは、それだけ運用・管理面の負担が増してしまいます。
これを回避するには、複数のファイルサーバーを用意する代わりに、大容量のファイルサーバーへ移行させれば、運用・管理面の負担は軽減されます。

運用コストの削減

ファイルサーバーの台数が増えると、運用管理だけでなく、運用・保守コストもかかります。ハードウェア数が多いほど故障する可能性は高く、これに伴うハードウェアサポートのコストもバカになりません。

また、ファイルサーバーは主にディスク(ストレージ)を必要としますが、CPUやメモリなどのリソースを100%使い切ることなく、更改・リプレイスとなる場合がほとんどといっていいでしょう。そのため、ファイルサーバーの統合・移行でリソースを効率化すれば、運用コスト削減が見込めるのです

クラウドコンピューティングの活用

ファイルサーバーが自社内にある場合、自社内のネットワーク以外はアクセスできず、社外から利用できません。
そこで、クラウドにファイルサーバーを構築すれば、社外からアクセスして利用することが可能になります。リモートワークができる環境を実現するのに有効な方法です。

ファイルサーバー「オンプレミス」と「クラウド」の比較

ファイルサーバーの移行先として、オンプレミスか、はたまたクラウドか、お悩みの方もいるでしょう。そこで、初期コスト・運用コスト・BCP対策・接続環境・ファイル共有という5つの観点で、オンプレミスとクラウドの違いをわかりやすく表にして整理します。

オンプレミス クラウド
初期コスト 機器の購入や設置場所の確保が必要。初期費用が高い サーバーはクラウド事業者保有のため、初期費用はほとんどかからない
運用コスト サーバー構築、運用も全て自社で実施する必要がある サーバー保守はクラウド事業者が実施するため、負荷を軽減できる
BCP(事業継続計画)対策 社内が被災すると大きな影響を受ける 堅固なデータセンターで運用されており、BCP対策としても有効
接続環境 外部からのアクセスにはVPN環境が必要 インターネット回線に接続できればどこでも利用可能
ファイル共有 共同編集に不向き バージョン管理など機能が豊富

クラウドでは、機器自体がクラウド事業者所有であるため、ハードウェアの運用・保守を気にする必要がありません。また、いつでもどこでも利用できるという点でも大きなメリットがあります。

ファイルサーバーの移行で注意すべきこと

多くの課題を解決できるファイルサーバー移行ですが、注意点もあります。

移行すべきデータを整理する

ファイルサーバーの移行を行う際、現在の全データを移行するのではなく、今後も活用するデータなのか、先に整理しておきましょう。使用しないファイルを持ち続けると、ムダにリソースを消費してしまいます。例えば、ファイルが作成されてから一定期間、閲覧や更新がされていないファイルは、ファイルサーバーではなくアーカイブ用ストレージに格納するといいでしょう。
ファイルサーバーのリソース消費を抑えるだけでなく、運用コストの削減にもつながります。

移行着手前にデータをバックアップしておく

移行作業前に、必ずデータのバックアップを取得しておきましょう。移行作業中に何らかの障害が発生し、データ破損・損失の危険性があるからです。移行中にディスク障害が発生すると、ファイルサーバー内の全データが破損するリスクもあります。このような状況を防ぐために、事前にデータのバックアップを取ることが重要です。

移行にかかる時間を事前に見積もる

移行中はファイルサーバー内のデータにアクセスできません。データのダウンロードなど移行にかかる時間は、ファイルサーバー内に格納されているデータ量や転送速度によって変わります。そのため、ファイルサーバーが使用できないことで業務に支障をきたす場合は、移行にかかる時間を事前に見積もっておきましょう。

移行中はデータ転送速度を監視する

大きなファイルを転送するとネットワークに負荷がかかり、転送速度に影響を及ぼす可能性もあります。転送速度の低下は、データ移行時間に大きく影響するため、サーバーやネットワーク負荷を監視しながら、全体的な負荷のバランスを調整しましょう。

移行前後に社内へアナウンスする

ファイルサーバーの移行前後では、社内にアナウンスしておかなければなりません。アクセス方法が変わってしまうと、ショートカットや運用フローも変わり、業務に影響を及ぼしますからです。
移行直後に混乱をなるべく避けるために、移行のタイミングと移行後のアクセス方法について、十分にアナウンスや研修をしておきましょう

ファイルサーバー移行の方法

実際にファイルサーバーを移行する場合には、大きく分けて2つの方法が考えられます。

自社で移行する

自社に知見のある人が在籍していれば、社内のリソースでファイルサーバーの移行を行うことも可能です。移行における費用を安く抑えられるものの、十分なスキルを持った人員確保が条件です。

移行サービス・ソリューションを活用する

ファイルサーバーの移行支援サービスを利用する方法です。多くのシステムで移行を経験したプロに作業を任せられる上、細かな相談も可能。導入時や導入後のフォローも得られます。ただし、その分自社で移行を行うよりも費用がかかります。

クラウドファイルサーバーを選定する際のポイント

クラウドのファイルサーバーを導入する場合、どのようなクラウドを選択すればよいでしょうか。ここでは、クラウドファイルサーバーを選定する際に見るべきポイントを4つご紹介します。

ランニングコストが高額にならないか

クラウドサービスは料金体系として従量課金制または月額制が多く、またサービスによって金額も異なります。また、プランによってはデータ転送料も考慮が必要です。さらに、必要に応じてオプションサービスの利用も検討しなければいけません。

このように、コストを考える上で考慮すべき点はたくさんあります。ランニングコストが高額にならないよう、自社のファイルサーバー利用状況を確認し、最適なプランを選定しましょう。

社内で利用しやすい操作性か

クラウドファイルサーバーの導入によって操作性が以前から変わると、業務に影響し、生産性が下がります。そのため、できるだけ操作性に優れ、誰でも簡単に利用できるサービスを選定しましょう。
例えば、次の機能が備わっていることで、オンプレミスと変わらぬ操作性が得られます。

  • デスクトップからクラウド上のファイルを検索でき、目的のファイルが見つけやすい
  • ローカルファイルと同様にファイルの操作や直接編集ができる

以前と変わらぬ操作性なら、社内研修も不要で、その分のコストを抑えられます。

利用中のサービス・システムと親和性があるか

ファイルサーバーと他サービスやシステムが連携している場合は、クラウドサービス利用後も相互接続が可能か、確認しましょう。
PC以外、タブレットやスマホといったモバイル端末の他、Amazon WorkSpacesなどの仮想デスクトップ、Microsoft 365などのサービスとも連携できれば、さらなる生産性向上が期待できます。

自社が求めるセキュリティ要件を満たすか

自社の重要なデータをクラウドに配置することに対して、セキュリティの懸念を抱くかもしれません。基本的にクラウドサービスは高いセキュリティを担保しています。しかし、少しでもリスクを抑えるためにも、自社のセキュリティ要件を満たしているか、確認するべきです。

ファイルサーバー移行・クラウド導入はテクバンまで

クラウドファイルサーバーは選定から移行まで、ポイントをしっかり押さえておかなければいけません。テクバンではプロのノウハウと経験で、お客様に合わせたクラウドファイルサーバーの導入をサポートしています。
ファイルサーバー移行の課題を解決する、テクバンの具体的なサービスをご紹介します。

Azureクラウドファイルサーバー導入支援サービス

「Azureクラウドファイルサーバー」は、マイクロソフト社が提供するクラウド「Microsoft Azure」にファイルサーバーを導入するサービスです。サービスメニューは3種類あります。

  • Azure仮想マシンにファイルサーバーを構築する
  • Azureのストレージサービス「Azure Files/Azure NetApp Files」を利用する
  • 既存ファイルサーバーとAzure Filesを同期するAzure Files連携

テクバンでは、ファイルサーバー導入はもちろん、Azure Virtual DesktopやMicrosoft 365などの導入支援を行っております。お客様の環境に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。一度、ご相談してはいかがでしょうか。
テクバンのMicrosoft Azure導入支援サービスとは?

Amazon FSx for Windows File Server導入支援サービス

「Amazon FSx for Windows File Server」は、AWSが提供するWindowsサーバー上に構築された共有ストレージサービスです。AWS上に構築したサーバーはもちろん、VPNやDirect Connectで接続した拠点からも、ファイルサーバーとして利用できます。

テクバンでは、Amazon FSx for Windows File Serverの導入だけでなく、ActiveDirectoryの移行やAmazon WorkSpaces環境構築も支援するメニューをご提供しています。オフィス環境全体のクラウド化サポートも可能です。
テクバンのAmazon FSx for Windows File Server導入支援サービスとは?

ファイルサーバー移行には入念な準備が必要

本記事ではファイルサーバーの移行について紹介しました。ファイルサーバーは組織の大切なデータを管理しているため、移行では様々な点を考慮する必要があります。移行作業前にデータ・ファイルを整理しておく、移行時間の見積もりといった事前準備をしっかり行うことが大切です。
クラウドの普及に伴い、初期コストや運用コストを抑えるクラウドのファイルサーバーを利用するケースも増えています。
今回ご紹介したクラウドファイルサーバーの導入支援サービスについて、さらに詳しい情報を得たいという方や、クラウドファイルサーバーの導入をご検討なら、テクバンへお気軽にお問い合わせください。
テクバンにまず相談してみる

お気軽に
ご相談ください