2025年10月にWindows 10のサポート終了が迫る中、多くの企業がWindows 11への移行を検討、または実施しています。Windowsとはデバイスやアプリを使うために必要な基本ソフトであるOS(オペレーティングシステム)のひとつです。
本記事では、Windows 10サポート終了のスケジュールと影響、移行後のOSであるWindows 11の特徴やメリットを詳しく紹介します。
さらに、スムーズなWindows 11移行を実現するための準備や移行方法、移行後に注意すべきポイントについても解説します。
また、安全かつ効率的な移行を実現するための手段として、外部委託の活用方法にも触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
Windows 10のサポート終了とは
Windows 10のサポート終了とは、マイクロソフトが提供するWindows 10のセキュリティ更新プログラムや技術サポートが終了することを指します。これに伴い、セキュリティアップデートを受けられなくなるため、サイバー攻撃のリスクが高くなります。
サポート終了のスケジュールやその影響について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼Windows 10サポート終了でどうすれば? 何が起こる? 対策や注意点、移行手順や対応ベンダー選びのコツも解説
Windows 11の主な特徴とメリット
Windows 10サポート終了に対応するため、多くの企業がデバイスOSをWindows 11へアップデートしています。そこで、まずWindows 11の特徴やWindows 10との違いやメリットについて、ご紹介します。
Windows 10との主な違い
Windows 11は、Windows 10と比較してデザイン・操作性・パフォーマンス・セキュリティ機能が大きく向上しています。
Windows 10 | 項目 | Windows 11 |
左寄せのデザイン | タスクバー | 中央配置がデフォルト(変更可) |
ライブタイル表示 | スタートメニュー | アイコンベースでシンプル |
制限のあるカスタマイズ | 仮想デスクトップ | 個別背景設定や操作性向上 |
スナップ機能あり | ウィンドウ管理 | スナップレイアウト・スナップグループに強化 |
追加インストールが必要 | Microsoft Teams統合 | 標準搭載でタスクバーから利用可 |
比較的低スペックでも可 | システム要件 | TPM 2.0や第8世代Intel以降のCPU推奨 |
セキュリティ機能
Windows 11では、Windows 10と比較してセキュリティの標準設定が強化され、企業や個人ユーザーのデータをより安全に保護できるようになっています。
- TPM 2.0が必須
ハードウェアレベルでのセキュリティ強化により、デバイスの安全性が向上 - ゼロトラストセキュリティを推奨
IDやデバイスの信頼性を都度検証し、不正アクセスを防止 - Microsoft Defenderの強化
Windows 10よりもウイルス対策機能が高度化し、フィッシング攻撃やランサムウェアの検出能力が向上 - セキュアブートの強制
未署名のOSやマルウェアの侵入を防ぐ機能が標準で有効化
詳しいセキュリティ関連情報については、Microsoftの公式ドキュメント(Windows 11セキュリティガイド)をご覧ください。
操作性と利便性の向上
Windows 11は、より直感的でスムーズな操作性で、特にマルチタスクに大きく寄与しています。
- スナップレイアウト機能
ウィンドウを簡単に配置できる「スナップレイアウト」により、作業効率が向上 - マルチタスク性の向上
スナップグループ機能を利用することで、アプリの組み合わせを記憶し、すぐに復元できる - タッチ・ペン・音声入力の強化
タッチスクリーンやデジタルペンの感度が向上し、手書き入力もスムーズ
さらに、一部のAndroidアプリはWindows上で直接動作するようになりました。このようにWindows 11は、より直感的に操作できる新しいUI(ユーザーインターフェース)により、パフォーマンスの向上が見込めるでしょう。
Windows 11への移行準備
新しいPCや既存PCをWindows 11へアップグレードするには、キッティング作業が必要になります。キッティング作業は、移行準備から始まり、アップグレードして業務で使える状態にセットアップするまでが含まれます。
まず、Windows 11への移行準備について解説します。
ハードウェア要件のチェック
Windows 11への移行をスムーズに進めるためには、現行のハードウェアがWindows 11のシステム要件を満たしているか確認する必要があります。MicrosoftはWindows 11の動作要件を定めており、次のようなスペックが最低限必要です。
項目 | 必要スペック |
プロセッサ | 1GHz以上、2コア以上の64ビット互換CPU(またはSoC) |
メモリ | 4GB以上 |
ストレージ | 64GB以上の記憶装置 |
ファームウェア | UEFI、セキュアブート対応 |
TPM | TPM 2.0対応 |
グラフィック | DirectX 12互換GPU(WDDM 2.0ドライバー) |
ディスプレイ | 9インチ以上、720p対応 |
これらの要件を満たしているかどうか確認するには、MicrosoftのPC正常性チェックツールを利用すると便利です。インストールし、チェックを実行すると、現在のPCがWindows 11に対応しているか、すぐに確認できます。
Windows 11に対応していないPCの場合は、新たにPCを調達する必要があります。
Windows 11移行のキッティングやPCの調達にお悩みの場合は、テクバンへご相談ください。
使用中のソフトウェアとの互換性
次に社内で使用しているソフトウェアや業務システムがWindows 11で問題なく動作するか、確認しましょう。
- 業務用アプリケーションの対応状況
- ドライバーやファームウェアのWindows 11対応
- 周辺機器(プリンター、スキャナー、特殊入力デバイス)の互換性
これらを確認するには、Microsoftの互換性サポートを参照する他、各ソフトウェアベンダーへ問い合わせると確実です。
必要なライセンスの準備
Windows 11へ移行するには、適切なライセンスを契約する必要があります。以下のライセンスオプションを確認しておきましょう。
ライセンス種別 | 概要 |
Windows 11 Home / Pro | 個人利用向けおよび小規模ビジネス向け |
Windows 11 Enterprise | 大規模企業向け、追加の管理・セキュリティ機能あり |
Windows 365 | クラウドで利用が可能 |
多数のライセンスをまとめて購入できる形態であるボリュームライセンス契約をしている企業は、Microsoftライセンスセンターで、必要なアップグレードを確認しましょう。
バックアップとデータ移行計画
Windows 11への移行作業中にデータを損失しないよう、適切なバックアップ計画を立てることが不可欠です。特に、以下について実施しましょう。
- 重要なファイル・フォルダのクラウドまたは外部ストレージへのバックアップ
- システムイメージの作成(万が一の復旧用)
- 移行後のデータ復旧手順の確認
Microsoftでは、Windowsバックアップ機能の利用を推奨しています。また、法人環境では専用のバックアップツール(例:Acronis True Image、Veeam)の活用も有効です。
適切なバックアップと事前準備を行うことで、Windows 11へのスムーズな移行と業務の継続を実現できます。
Windows 11への移行方法
Windows 10のサポート終了で、多くの企業がWindows 11へ移行すると見られています。
移行方法は大きく分けて「インプレースアップグレード」と「クリーンインストール」があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
そこで、適切な移行方法を選択するため、具体的な手順、トラブルシューティングのポイントについて詳しく解説します。
インプレースアップグレードとクリーンインストールの違い
Windows 11への移行を実施する前に、インプレースアップグレードとクリーンインストールの違いを理解しておくことが重要です。それぞれの方法の特徴を以下の表にまとめます。
移行方法 | インプレースアップグレード | クリーンインストール |
概要 | Windows 10を維持したまま、システムをWindows 11に更新 | すべてのデータを消去し、新規インストールを行う |
メリット |
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デメリット |
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まずは安定したシステム運用が重要なため、PCの使用年数やストレージの状態に応じてどちらの方法を選択するか慎重に検討する必要があります。
Windows 11への具体的なステップ
Windows 11への移行作業をスムーズに進めるためには、手順が適切でなければなりません。計画的に移行を進めましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼Windows 10サポート終了でどうすれば? 何が起こる? 対策や注意点、移行手順や対応ベンダー選びのコツも解説
Windows 11移行後に注意すべきポイント
Windows 10サポート終了により、Windows 11へ移行した後に予期せぬトラブルが発生することもあります。そこで、あらかじめ把握しておきたいポイントについて、ご紹介します。
新しいUIや機能への対応
Windows 11では、スタートメニューの配置変更や、タスクバーの中央配置、スナップレイアウトなどの新機能が導入されています。このため、Windows 10に慣れ親しんだ社内ユーザーにとっては戸惑う場面も多くなるかもしれません。
特に、Windows 11ではInternet Explorerが完全に廃止され、Microsoft EdgeのIEモードを利用する必要があります。Microsoftの公式ガイドなどを参照し、必要な設定を適用するようにしましょう。
セキュリティ設定の最適化
Windows 11では、より高度なセキュリティ機能が導入されていますが、適切に設定しなければその恩恵を最大限に得ることはできません。以下の項目を確認し、設定を最適化することが推奨されます。
項目 | 推奨設定 | 確認方法 |
Windows Hello | 顔認証や指紋認証を有効化 | 「設定」→「アカウント」→「サインイン オプション」 |
BitLocker | デバイスの暗号化を有効化 | 「設定」→「更新とセキュリティ」→「デバイスの暗号化」 |
TPM 2.0 有効化を確認 | 「Windowsキー + R」 | 「tpm.msc」と入力する |
これらのセキュリティ設定を適切に行えば、Windows 10よりも安全な環境を構築することが可能になります。また、社内での統一したセキュリティポリシーの策定も行い、安全対策を徹底しましょう。
使い勝手の違いと社内サポートの対応
Windows 11への移行時、多くの企業で顕在化するのが「社内ヘルプデスクの負担増」です。先述したように、操作性の違いから、社内ユーザーは何らかの疑問や使いづらさを感じることがあり、特に移行初期段階では問い合わせ数が増える傾向にあります。
そのため、以下のような施策を事前に準備しておくことが望ましいでしょう。
- Windows 11の基本操作マニュアルを作成し、社内に配布
- 社内FAQページを設置し、よくある質問をまとめる
- IT担当者向けのトレーニングを実施し、問い合わせへの迅速な対応を可能にする
- 従業員向けに、Windows 11の特徴や変更点を説明するセミナーを開催
また、Microsoftの公式サポートページ(Windows サポート)を活用し、問題が発生した際の迅速な解決を図ることも有効です。
移行直後は、こうしたサポート体制を強化することで、生産性への影響を最小限に抑えられるようにしましょう。
外部委託の検討
Windows 11への移行は、社内リソースのみで対応することも可能ですが、多くの企業では専門のITサポート企業に外部委託することで、スムーズかつ安全な移行を実現しています。
特に社内にITに精通した担当者がいない場合や、対応デバイスが大規模となる場合には、外部委託するほうがトラブルを避けることにつながるでしょう。
Windows 11移行を外部委託するメリットとデメリット
外部委託には様々なメリットがありますが、一方でコストや依存リスクといったデメリットも存在します。これらを比較して、企業の状況に合った判断を行いましょう。
メリット | デメリット |
専門的な知識とノウハウを活用できる | コストが発生する(契約形態により変動) |
移行作業の負担軽減が可能 | 委託先によっては対応スピードに差がある |
セキュリティリスクを最小限に抑えられる | 社内ノウハウとして蓄積されにくい |
ハードウェア選定やライセンス管理の提案が受けられる | 特定ベンダーのサービスに依存し、他のベンダーへの移行が困難になる可能性がある |
ITサポート企業の選び方
適切なITサポート企業を選ぶためには、以下のポイントを重視するとよいでしょう。
- 対応実績
実際にWindows 10からWindows 11への移行実績があるかについて問い合わせて確認してみましょう。また、過去の導入事例やクライアントの声を参考にすることで、企業の信頼性を判断できます。
テクバンのLCM、キッティングサービスを確認する - 提供サービスの範囲
単なる移行作業だけでなく、インストール後の設定支援、トラブル対応、運用サポートまで含まれるかを確認しましょう。特に長期的なサポートを求める場合は、契約内容をしっかり精査する必要があります。
テクバンでは移行直後の混乱に備えて、ヘルプデスク対応を行っております。詳しくはお問い合わせください。
テクバンへ問い合わせしてみる - 料金体系と契約条件
費用体系が明確であるか、また契約後に追加料金が発生する可能性についても検討材料となります。契約前に詳細な見積もりを取り、比較検討しましょう。
テクバンへ見積もり依頼する - セキュリティ体制
移行作業に伴い、データの保護やアクセス管理が適切に行われるかどうかも重要なポイントです。
導入後のフォローアップ体制
Windows 11への移行が完了した後も、設定の最適化や、従業員への研修などのサポートが必要です。長期的に安心してWindows 11を運用するために、外部委託先がどのようなフォローアップ体制を提供しているか確認しておきましょう。
- サポートの種類と範囲
移行直後だけでなく、数カ月後や1年後もサポートが受けられる契約なのかを確認することが重要です。また、リモートサポートやオンサイト対応の有無など、自社のニーズに合った形態を選びましょう。 - Windows 11の活用支援
新機能の活用方法や、Windows 11固有の設定最適化などのアドバイスを受けられるかどうかもポイントです。例えば、マルチタスク向けのスナップ機能やセキュリティ機能の強化の活用法などを解説してくれる企業であれば、社内での定着を促進できます。 - トラブル発生時の対応力
移行後にシステムトラブルが発生した際、迅速に原因を特定し、復旧まで対応してくれるかが重要です。特に業務への影響を最小限に抑えるため、サポート体制が整っているかどうかをチェックしておきましょう。
Windows 10のサポート終了対応が不安なら外部委託も
Windows 10のサポート終了に伴い、企業は様々なリスクを回避するためにWindows 11への移行を検討する必要があります。Windows 11は強化されたセキュリティ機能や新たな操作性の向上が特徴で、スムーズな移行のためにはハードウェア要件の確認やソフトウェアの互換性チェックが重要です。
移行方法としては、インプレースアップグレードとクリーンインストールの2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に応じた選択が求められます。また、移行後は新しいUIやセキュリティ設定に適応するための対応も必要です。
自社リソースでの移行が難しい場合は、外部のITサポート企業への委託も有効な選択肢です。スムーズな移行と運用の安定を図るために、適切なパートナーを選びましょう。
Windows 11移行でお悩みの際はぜひテクバンまでお気軽にご相談ください。